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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国の経済状況は、昨年後半からの世界的な規模で進展した金融不安、信用収縮、企業業績・雇用状況の悪化、購買意欲の低下の連鎖で混迷の度を深め、企業の生産活動も著しく停滞をしました。昨年半ばまで成長を続けてきた世界の消費市場が急速に縮小したことで各製造企業の在庫が積み上がり、今年に入ってからは各社一斉に生産調整、在庫圧縮へ走り製造機能が大部分停止した状態となりました。製造メーカーでは機械稼働率が昨年の半分以下、下請け企業では機械稼働率が昨年の数分の一へと低下する企業が続出しました。大規模で急速な在庫調整が進展したことにより、今年の5月ころには大減産を一部で緩和する動きが出始め、一部の生産活動に動きが出てきました。
 このような状況の中、当社の業績も日本国内の製造業の機械稼働率の低下に連動し大きく落ち込みました。当社は主に金属部品加工を行う様々な業種で幅広く使用される消耗工具の製作・研磨に携わっており、個々の業種の影響は緩和される傾向にありましたが、今回の世界的規模、多業種にわたる受注減少の影響は大きく、特に当社の下期にあたる今年に入ってからの売上高が対前年同期比で半分以下の状態が続き、損益分岐点近辺での売上高で推移し、当社のすべての事業部門で売上高が低迷しました。
 また、国内株式市場の下落に伴い、保有していた有価証券の価値が大幅に低下し、当期に特別損失として有価証券評価損328,430千円を計上しました。
 この結果、当期の売上高は1,483,963千円(前期比32.1%減)、営業利益は324,533千円(前期比59.2%減)、経常利益は345,984千円(前期比57.9%減)、当期純利益は1,505千円(前期比99.7%減)となりました。
 部門別の営業の概況は以下のとおりであります。
 

<コレットチャック部門>

当部門は小型自動旋盤及び専用機などで使用されるコレットチャックを製作しておりますが、顧客が使用しているコレットチャックが消耗した場合や新たな部品を加工する場合に当社に受注がくることが多く、今年に入ってからの製造業全般における大幅な生産調整局面では当部門の受注も大幅に落ち込み、売上の減少が顕著となりました。
 この結果、当部門の売上高は1,041,598千円と前期比33.1%減となりました。

 

<自動旋盤用カム部門>

カム式自動旋盤は、同じ部品を大量に生産する場合に効果を発揮する機械であり、単純な部品の大量生産は海外に移転して久しいことと機械自体の製造が中止になっていることとで、国内では限られた顧客が機械を保有し部品加工を行っています。この部門でも生産調整の影響を受けて受注が減少しました。
 この結果、当部門の売上高は57,366千円と前期比43.8%減となりました。

 

<切削工具部門>

当部門では従来からの切削工具再研磨に加え特殊切削工具の製作を本格的に開始し顧客基盤の拡大を図りましたが、顧客企業の切削加工の大幅な落ち込みにより再研磨需要の減退、消耗品費削減の動きなどにより再研磨受注量が減少し、特殊切削工具も立ち上がりの鈍いものとなりました。
 この結果、当部門の売上高は384,998千円と前期比26.9%減となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益23,137千円、有価証券の償還による収入1,500,000千円、有価証券評価損328,430千円、売上債権の増減額264,318千円等を計上しましたが、有価証券の取得による支出1,497,922千円、有形固定資産の取得による支出513,931千円、法人税等の支払額253,528千円、配当金の支払額162,231千円等があったことにより、前期末に比べ264,314千円減少し、当期末は972,989千円(前期末比21.4%減)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動により増加した資金は、463,938千円(前期比10.1%減)となりました。これは、法人税等の支払額253,528千円等がありましたが、有価証券評価損328,430千円、売上債権の増減額264,318千円、減価償却費210,917千円等を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動により減少した資金は、566,020千円(前期比27.0%減)となりました。これは、有価証券の償還による収入1,500,000千円等がありましたが、有価証券の取得による支出1,497,922千円、有形固定資産の取得による支出513,931千円、定期預金の純増加額53,280千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動により減少した資金は、162,231千円(前期比3.4%減)となりました。これは全額配当金の支払額であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期の生産実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
当事業年度
(自 平成20年7月1日
至 平成21年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,089,132
67.8
自動旋盤用カム部門
57,366
56.2
切削工具部門
384,998
73.1
合計
1,531,497
68.6

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では標準品の場合、受注から製造、出荷までが概ね1日で完了します。
 また、標準品以外でも数日で出荷が可能な体制をとっております。従って受注残高は軽微であり、受注実績の記載を省略しております。

(3) 販売実績

当期の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
当事業年度
(自 平成20年7月1日
至 平成21年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,041,598
66.9
自動旋盤用カム部門
57,366
56.2
切削工具部門
384,998
73.1
合計
1,483,963
67.9

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。

3 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。

 

輸出先
前事業年度
(自 平成19年7月1日
至 平成20年6月30日)
当事業年度
(自 平成20年7月1日
至 平成21年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
アジア
台湾
149,629
50.5
90,544
48.3
韓国
54,155
18.3
40,356
21.5
シンガポール
25,707
8.7
21,351
11.5
中国(香港含む)
38,661
13.0
15,067
8.0
マレーシア
18,881
6.4
10,542
5.6
その他
9,295
3.1
9,647
5.1
合計
296,331
(13.6%)
100.0
187,510
(12.6%)
100.0

 

3 【対処すべき課題】

当社が製造、販売するコレットチャック、自動旋盤用カム、切削工具研磨・製造事業は精密機械部品または金型等を加工するために使用される工具にかかる事業であるため、当社の業績はこれらの加工業界の景気動向に影響を受ける傾向にあります。これまでもその影響により業績が大きく変動しております。
 今後につきましても、今回の世界的な規模での景気後退がどのような影響を与えるか見えない部分があり、製造業において高品質・短納期・低コストが更に厳しく要求されてくると思われます。世界的なコスト競争の中で国内製造業は厳しい対応が求められてきます。特に日本の製造業の大半を占める下請け企業においては、受注量が増加しても利益率の薄い中での繁忙となる可能性があり、厳しい状況は継続すると思われます。
 このような状況に鑑み、業績の安定化を図るための主力のコレットチャック部門では、小型自動旋盤用コレットチャックの対応機種を広げ各種専用機及び一般産業機械に使用されるコレットチャックの受注にも積極的に取り組んでまいります。
  生産面におきましては、ニーズの多様化するなかで作業の標準化、人材の育成、設備投資による作業の効率化・能力増強をさらに推進し、製造コストの低減を図り、納期の短縮に努めてまいります。 

また、コレットチャック部門では、品質保証体制の充実した製品作りを行い、顧客の信頼感をさらに高め、顧客要求に対応し、企業基盤の強化に努める所存であります。
 営業面におきましてはコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は高品質製品の短納期対応をさらに充実させ、顧客ニーズに応えることにより市場の優位性を保ってまいります。
 また、海外販売におきましては現地の商社と協力して、十分なアフターサービスを展開し、販売体制のサポートの強化拡充を図ってまいります。
 切削工具部門では、平成11年に新規事業としてスタートし、切削工具の再研磨を主体に顧客先への訪問・新聞・専門誌への広告などにより新規顧客開拓、リピートオーダーの定着に注力し、ある程度の基盤ができてまいりました。引き続き営業地域の拡大と、既存の営業地域内での浸透度を高めて、より一層強固な基盤づくりを目指します。
 また、今後は切削工具の再研磨に加えて、特殊切削工具の成形・製作に力を入れてまいります。特殊切削工具製作需要は、再研磨需要同等に大きなものであり、多品種の特殊切削工具に短納期で対応する事で受注を確保していく事が可能と考えております。従来対応不能であった難易度の高い特殊切削工具の製造が、可能になったことで、顧客の幅が着実に広がってきており、この動きを確かなものとして基盤の強化に努めてまいります。

4 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当期末(平成21年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業の特徴について

当社の前期までの数年間の業績は比較的順調に推移してきましたが、当期のような急激な景気減速局面では、その影響を受け大きく落ち込みました。将来の業績も景気の状態や機械業界の動向などによっては同様の影響を受ける可能性があります。
 当社の事業参入の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、入念な参入準備のもと「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し5年程度で業界での高シェアの確保を目指すというものです。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーにより継続的な受注が可能となります。当社の事業は基本的にリピートオ−ダー中心であり、平成11年に新規参入した切削工具部門以外は、積極的な受注活動は行っておりません。営業部門は顧客からの注文を電話、FAXで受け付け、受注内容を製造部門へ伝達することを主業務としております。そのため当社の業績は機械業界の設備投資の状況をあらわす実質機械受注(内閣府発表:電力・船舶を除く)にほぼ連動しております。
 

 

① コレットチャック部門について

   当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、自動旋盤による金属切削加工の大半の局面で使用される消耗工具で、通常の景気循環の中では安定して一定の需要が見込まれるものであります。前期までの5年間では売上高12億円から16億円程度で推移してきておりましたが、当期の急激な景気減速局面では、売上高が10億円程度まで減少しました。また、今後の市場規模が大きく拡大するものではなく、当部門の売上高も一定の範囲内で推移する可能性があります。このところ受注増加傾向にあるNC旋盤・一般産業用機械で使用される特殊コレットチャックについても切削加工において材料の保持方法が変わる場合や、特殊コレットチャックにおいて当社の知名度が充分に高まらない場合は、業績に影響を与える可能性があります。 

 また、将来技術革新等により切削工程が不可欠な工程でなくなった場合、当社のコレットチャック部門の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 自動旋盤用カム部門について

   自動旋盤用カム部門は自動旋盤のNC化、円高による製造メーカーの海外進出に伴う量産品の国内市場の減少、多品種少量生産に対応不可能等の要因により、年々減少傾向にあります。今後については、すでに小型自動旋盤メーカーが機械の製造を中止していること、カム式自動旋盤を使える作業員が高齢化していること、多品種少量生産が時代の趨勢であること等を考えますと、今後ともこの減少傾向は緩やかに継続していくものと思われます。

 

 ③ 切削工具部門について

   当社は切削工具部門において工業用刃物の再研磨及び特殊切削工具製造を行っております。工業用刃物の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は平成11年8月に新規事業展開を開始いたしました。

   ただし、当社の想定するほど自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しなかった場合、当社の切削工具部門の売上高は、当社が想定するほど増加しない可能性があります。
 また、当期から本格的に開始した特殊切削工具の製造は、従来から対応可能なものは扱っておりましたが、特殊切削工具製造に適した高精度研削盤を導入し、徐々に受注へと繋がってきています。ただし顧客に当社の特殊切削工具が浸透しない場合は売上が増加しない可能性があります。 

 

 (2) 海外市場依存度について

当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。また、この他に商社を経由した販売もあります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。

 

区分
第15期
第16期
第17期
第18期
第19期(当期)
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
輸出販売高
309,453
16.6
326,254
15.7
330,907
15.0
296,331
13.6
187,510
12.6
国内販売高
1,549,960
83.4
1,755,685
84.3
1,880,085
85.0
1,890,025
86.4
1,296,453
87.4
合   計
1,859,413
100.0
2,081,940
100.0
2,210,992
100.0
2,186,356
100.0
1,483,963
100.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当期末における流動資産の残高は、3,592,946千円(前期末は、3,849,721千円)となり、256,775千円減少しました。これは、現金及び預金が88,966千円、仕掛品が27,186千円増加し、また、当期は前期に比べ利益が大幅に減少したことで未収還付法人税等117,006千円を計上ましたが、有価証券が189,758千円、売掛金が169,358千円、受取手形が94,962千円減少したこと等によるものであります。

 

 (固定資産)

      当期末における固定資産の残高は、3,168,944千円(前期末は、3,272,020千円)となり、103,076千円減少しました。これは、現在建設中の新工場に係る建設仮勘定が317,604千円増加しましたが、投資有価証券が177,153千円、長期預金が300,000千円減少したこと等によるものであります。

 

(流動負債)

当期末における流動負債の残高は、54,220千円(前期末は、246,227千円)となり、192,007千円減少しました。これは、未払法人税等が117,688千円、未払金が40,614千円、減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当期末における固定負債の残高は、275,401千円(前期末は、259,416千円)となり、15,985千円増加しました。これは、退職給付引当金が14,595千円増加したこと等によるものであります。

 

(純資産)

   当期末における純資産の残高は、6,432,268千円(前期末は、6,616,097千円)となり、183,829千円減少いたしました。これは、当期純利益を1,505千円計上しましたが、その他有価証券評価差額金が23,335千円減少したこと及び配当金の支払が162,000千円あったこと等によるものであります。

 

 

(2) キャッシュ・フローの分析

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照下さい。

 

(キャッシュ・フロー指標)

 

 
第18期
第19期(当期)
自己資本比率(%)
92.9
95.1
時価ベースの自己資本比率 (%)
93.7
49.2
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

※当社は、第18期から第19期(当期)まで有利子負債は全くありませんので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績の項目をご参照ください。

 

 

(営業利益)

当期における営業利益は、324,533千円(前期は794,598千円)となり、470,065千円減少し、営業利益の売上高比率は14.4ポイント下降し、21.9%となりました。

 

(経常利益)

当期における経常利益は、345,984千円(前期は822,779千円)となり、476,794千円減少いたしました。これは、主に営業利益が減少したことによるものであります。

また、経常利益の売上高比率は、14.3ポイント下降し、23.3%となりました。

 

(当期純利益)

当期における当期純利益は、1,505千円(前期は487,817千円)となり、486,312千円減少いたしました。これは、主に有価証券評価損328,430千円を特別損失へ計上したことによるものであります。

また、当期純利益の売上高比率は22.2ポイント下降し0.1%、1株当たり当期純利益は、100円34銭(前期は32,521円18銭)となりました。

 





出典: 株式会社エーワン精密、2009-06-30 期 有価証券報告書