有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国の経済状況は、一昨年の金融危機に端を発した一連の金融不安、消費市場の収縮、大幅な生産調整、企業業績の悪化、株式市場の下落と世界同時不況状態に対し、世界各国で景気刺激策を打ち需要回復を図ったことにより世界の消費市場は落ち着きを取り戻し、また国内もエコ関連補助金により自動車、家電など耐久消費材が販売を回復してきたことなどにより、緩やかながら回復傾向を示してきました。国内製造業においても量産品および量産部品に関しては一昨年の景気低迷前の水準の7、8割程度まで戻してきているものが多く、落ち着きを取り戻しています。世界的に見るとやはり新興国がインフラ整備需要、耐久消費財需要が旺盛で消費市場が拡大し、世界から資本が集まることで現地の所得水準が上昇し、さらに消費市場が拡大する好循環に入り、世界景気の回復に大きく寄与しております。日本国内でも工作機械、建設機械、自動車などは海外需要が大きく伸び回復を牽引しており、エレクトロニクス製品の販売増に伴い半導体関連装置も大きく回復してきました。量産品に係わる企業では明確な回復傾向を示してきましたが、その一方、単品加工、設備関連、金型などの一品一様の分野ではいまだに回復傾向にあるとはいえない企業も多く、特にその傾向は小規模企業、下請け企業に多く見られます。
 このような状況の中、当社の業績は量産品の回復基調を受け、月を追うごとに緩やかに回復してまいりました。当社の顧客層の大半は量産品の製造に係わる企業であり、その企業の機械稼働率の上昇と連動し、当社の受注も回復してきました。特に量産品加工に関連の深いコレットチャック部門での受注回復が鮮明となりました。
 この結果、当期の売上高は1,518,385千円(前期比2.3%増)、営業利益は322,289千円(前期比0.7%減)、経常利益は342,251千円(前期比1.1%減)、当期純利益は196,894千円(前期は当期純利益1,505千円)となりました。
 部門別の営業の概況は以下のとおりであります。

 

<コレットチャック部門>

 コレットチャックは主に量産部品加工において使用されますが、昨年前半に大幅な減産によ
 る在庫調整が進み昨年半ばから徐々に量産部品生産が回復してきており、これを反映したかた
 ちで当部門売上高も回復傾向を持続してきました。当期初に比べ当期末のコレットチャック部
 門の売上高は5割増ほどに戻ってまいりました。
  この結果、当部門の売上高は1,115,826千円と前期比7.1%増となりました。

 

<切削工具部門>

 切削工具は金属・非鉄金属などさまざまな材料を切削加工する分野で使用されており、当社
 の顧客層も業種は多岐にわたり、加工内容も単品加工から量産品加工まで広範囲に及んでおり
 ます。今回の景気回復過程で量産品の加工水準はある程度戻してきましたが、加工に伴う設
 備・機械、治工具、金型などは依然として戻りの鈍いところも多く、その分野での切削工具需
 要も低調で当社の切削工具部門の受注の戻りも緩慢なものとなりました。  
  この結果、当部門の売上高は339,213千円と前期比11.9%減となりました。

 

<自動旋盤用カム部門>

 カム式自動旋盤は国内に現存する台数は少ないものの量産部品を大量に効率的に加工できる
 ため、今回の生産回復局面では当社の受注も連動して回復しました。
  この結果、当部門の売上高は63,345千円と前期比10.4%増となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益340,884千円、有価証券の償還による収入1,000,000千円、減価償却費233,795千円、法人税等の還付額107,709千円等を計上しましたが、有価証券の取得による支出1,011,183千円、有形固定資産の取得による支出225,010千円、売上債権の増加額168,992千円等があったことにより、前期末に比べ348,004千円増加し、当期末は1,320,994千円(前期末比35.8%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動により増加した資金は、646,462千円(前期比39.3%増)となりました。これは、売上債権の増加額168,992千円等がありましたが、税引前当期純利益340,884千円、減価償却費233,795千円、法人税等の還付額107,709千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動により減少した資金は、208,084千円(前期比63.2%減)となりました。これは、有価証券の償還による収入1,000,000千円等がありましたが、有価証券の取得による支出1,011,183千円、有形固定資産の取得による支出225,010千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動により減少した資金は、90,372千円(前期比44.3%減)となりました。これは、全額配当金の支払額であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期の生産実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
当事業年度
(自 平成21年7月1日
至 平成22年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,090,194
100.1
切削工具部門
343,907
89.3
自動旋盤用カム部門
63,345
110.4
合計
1,497,447
97.8

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当社では標準品の場合、受注から製造、出荷までが概ね1日で完了します。
 また、標準品以外でも数日で出荷が可能な体制をとっております。従って受注残高は軽微であり、受注実績の記載を省略しております。

 

(3) 販売実績

当期の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

 

事業部門別
当事業年度
(自 平成21年7月1日
至 平成22年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,115,826
107.1
切削工具部門
339,213
88.1
自動旋盤用カム部門
63,345
110.4
合計
1,518,385
102.3

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。

3 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に対する輸出高の割合であります。

 

輸出先
前事業年度
(自 平成20年7月1日
至 平成21年6月30日)
当事業年度
(自 平成21年7月1日
至 平成22年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
アジア
台湾
90,544
48.3
101,256
47.9
韓国
40,356
21.5
34,981
16.6
シンガポール
21,351
11.5
18,481
8.7
中国(香港含む)
15,067
8.0
23,964
11.4
マレーシア
10,542
5.6
11,459
5.4
その他
9,647
5.1
21,231
10.0
合計
187,510
(12.6%)
100.0
211,374
(13.9%)
100.0

 

 

3 【対処すべき課題】

当社が製造、販売するコレットチャック、自動旋盤用カム、切削工具研磨・製造事業は精密機械部品または金型等を加工するために使用される工具にかかる事業であるため、当社の業績はこれらの加工業界の景気動向に影響を受ける傾向にあります。これまでもその影響により業績が大きく変動しております。
 今後につきましても、今回の世界的な規模での景気後退がどのような影響を与えるか見えない部分があり、製造業において高品質・短納期・低コストが更に厳しく要求されてくると思われます。世界的なコスト競争の中で国内製造業は厳しい対応が求められてきます。特に日本の製造業の大半を占める下請け企業においては、受注量が増加しても利益率の薄い中での繁忙となる可能性があり、厳しい状況は継続すると思われます。
 このような状況に鑑み、業績の安定化を図るための主力のコレットチャック部門では、小型自動旋盤用コレットチャックの対応機種を広げ各種専用機及び一般産業機械に使用されるコレットチャックの受注にも積極的に取り組んでまいります。
  生産面におきましては、ニーズの多様化するなかで作業の標準化、人材の育成、設備投資による作業の効率化・能力増強をさらに推進し、製造コストの低減を図り、納期の短縮に努めてまいります。  

また、コレットチャック部門では、品質保証体制の充実した製品作りを行い、顧客の信頼感をさらに高め、顧客要求に対応し、企業基盤の強化に努める所存であります。
 営業面におきましてはコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は高品質製品の短納期対応をさらに充実させ、顧客ニーズに応えることにより市場の優位性を保ってまいります。
 また、海外販売におきましては現地の商社と協力して、十分なアフターサービスを展開し、販売体制のサポートの強化拡充を図ってまいります。
 切削工具部門では、11年前に新規事業としてスタートし、切削工具の再研磨を主体に顧客先への訪問・新聞・専門誌への広告などにより新規顧客開拓、リピートオーダーの定着に注力し、ある程度の基盤ができてまいりました。引き続き営業地域の拡大と、既存の営業地域内での浸透度を高めて、より一層強固な基盤づくりを目指します。
 また、今後は切削工具の再研磨に加えて、特殊切削工具の成形・製作に力を入れてまいります。特殊切削工具製作需要は、再研磨需要同等に大きなものであり、多品種の特殊切削工具に短納期で対応する事で受注を確保していく事が可能と考えております。従来対応不能であった難易度の高い特殊切削工具の製造が、可能になったことで、顧客の幅が着実に広がってきており、この動きを確かなものとして基盤の強化に努めてまいります。 

 

 

4 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当期末(平成22年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業の特徴について

当社の前々期までの数年間の業績は比較的順調に推移してきましたが、当期のような急激な景気減速局面では、その影響を受け大きく落ち込みました。将来の業績も景気の状態や機械業界の動向などによっては同様な影響を受ける可能性があります。
 当社の事業参入の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、入念な参入準備のもと「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し5年程度で業界での高シェアの確保を目指すというものです。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーにより継続的な受注が可能となります。当社の事業は基本的にリピートオ−ダー中心であり、11年前に新規参入した切削工具部門以外は、積極的な受注活動は行っておりません。営業部門は顧客からの注文を電話、FAXで受け付け、受注内容を製造部門へ伝達することを主業務としております。そのため当社の業績は機械業界の設備投資の状況をあらわす実質機械受注(内閣府発表:電力・船舶を除く)にほぼ連動しております。
 
 

 

① コレットチャック部門について

   当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、自動旋盤による金属切削加工の大半の局面で使用される消耗工具で、通常の景気循環の中では安定して一定の需要が見込まれるものであります。当部門の売上高は長い間12億円から16億円程度で推移しておりましたが、前期の急激な景気減速局面では、売上高が10億円程度まで減少しました。また、今後の市場規模が大きく拡大するものではなく、当部門の売上高も一定の範囲内で推移する可能性があります。このところ受注増加傾向にある NC旋盤・一般産業用機械で使用される特殊コレットチャックについても切削加工において材料の保持方法が変わる場合や、特殊コレットチャックにおいて当社の知名度が充分に高まらない場合は、業績に影響を与える可能性があります。
 また、将来技術革新等により切削工程が不可欠な工程でなくなった場合、当社のコレットチャック部門の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 切削工具部門について

   当社は切削工具部門において工業用刃物の再研磨及び特殊切削工具製造を行っております。工業用刃物の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は平成11年8月に新規事業展開を開始いたしました。
 ただし、当社の想定するほど自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しなかった場合、当社の切削工具部門の売上高は、当社が想定するほど増加しない可能性があります。
 また、当期から本格的に開始した特殊切削工具の製造は、従来から対応可能なものは扱っておりましたが、特殊切削工具製造に適した高精度研削盤を導入し、徐々に受注へと繋がってきています。ただし顧客に当社の特殊切削工具が浸透しない場合は売上が増加しない可能性があります。 

 

 ③ 自動旋盤用カム部門について

   自動旋盤用カム部門は自動旋盤のNC化、円高による製造メーカーの海外進出に伴う量産品の国内市場の減少、多品種少量生産に対応不可能等の要因により、年々減少傾向にあります。今後については、すでに小型自動旋盤メーカーが機械の製造を中止していること、カム式自動旋盤を使える作業員が高齢化していること、多品種少量生産が時代の趨勢であること等を考えますと、今後ともこの減少傾向は緩やかに継続していくものと思われます。

 

 (2) 海外市場依存度について

当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。また、この他に商社を経由した販売もあります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。

 

区分
第16期
第17期
第18期
第19期
第20期(当期)
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
輸出販売高
326,254
15.7
330,907
15.0
296,331
13.6
187,510
12.6
211,374
13.9
国内販売高
1,755,685
84.3
1,880,085
85.0
1,890,025
86.4
1,296,453
87.4
1,307,010
86.1
合   計
2,081,940
100.0
2,210,992
100.0
2,186,356
100.0
1,483,963
100.0
1,518,385
100.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当期末における流動資産の残高は、3,877,971千円(前期末は、3,592,946千円)となり、285,025千円増加しました。これは、未収還付法人税等が117,006千円、未収還付消費税が19,059千円減少しましたが、現金及び預金が321,205千円、売掛金が127,729千円増加したこと等によるものであります。

 

 (固定資産)

      当期末における固定資産の残高は、3,170,272千円(前期末は、3,168,944千円)となり、1,328千円増加しました。これは、建物が375,634千円、繰延税金資産が43,214千円増加しましたが、建設仮勘定が324,657千円、機械及び装置が75,963千円、投資有価証券が15,233千円減少したこと等によるものであります。この結果、当期末における総資産は、7,048,244千円(前期末は、6,761,890千円)となりました。

 

(流動負債)

当期末における流動負債の残高は、245,086千円(前期末は、54,220千円)となり、190,866千円増加しました。これは、未払法人税等が162,481千円、未払金が14,182千円、買掛金が7,822千円増加したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当期末における固定負債の残高は、311,667千円(前期末は、275,401千円)となり、36,265千円増加しました。これは、退職給付引当金が28,875千円、役員退職慰労引当金が7,390千円増加したことによるものであります。この結果、当期末における負債合計は、556,753千円(前期末は329,621千円)となりました。

 

(純資産)

当期末における純資産の残高は、6,491,490千円(前期末は、6,432,268千円)となり、59,221千円増加しました。これは、その他有価証券評価差額金が47,672千円減少しましたが、繰越利益剰余金が108,002千円増加したこと等によるものであります。
 

 

 

(2) キャッシュ・フローの分析

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照下さい。

 

(キャッシュ・フロー関連指標)

 

 
第19期
第20期(当期)
自己資本比率(%)
95.1
92.1
時価ベースの自己資本比率 (%)
49.2
61.3
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

※当社は、第19期から第20期(当期)まで有利子負債は全くありませんので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績の項目をご参照ください。

 

 

(営業利益)

当期における営業利益は、322,289千円(前期は324,533千円)となり、2,244千円減少
し、営業利益の売上高比率は0.6ポイント下降し、21.2%となりました。

 

(経常利益)

当期における経常利益は、342,251千円(前期は345,984千円)となり、3,733千円減少し
ました。これは、主に営業利益が減少したことによるものであります。
 また、経常利益の売上高比率は、0.7ポイント下降し、22.5%となりました。

 

(当期純利益)

当期における当期純利益は、196,894千円(前期は1,505千円)となり、195,389千円増加しました。これは、主に前期に特別損失に計上した有価証券評価損がなくなったことによるものであります。
 また、当期純利益の売上高比率は12.8ポイント上昇し12.9%、1株当たり当期純利益は、13,126円30銭(前期は100円34銭)となりました。
 

 





出典: 株式会社エーワン精密、2010-06-30 期 有価証券報告書