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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期におけるわが国の経済状況は、年末・年度末にかけて動きが出て堅調に推移しました。東日本大震災後の復興需要や被災した製造業の生産設備復旧に伴う生産再開、新興国中心の旺盛な消費需要などに牽引されて国内製造業の生産活動は、緩やかな増加傾向を示しました。また昨年末に復活したエコカー補助金効果により自動車が増産となり、裾野の広い業界だけに増産の好影響も出てきました。また世界的なヒット商品となっているスマートフォンやタブレット型端末などの増産により、その生産に携わる素材、部品、製造用設備などのメーカーが好調を維持し増産傾向を強めています。国内企業で増産に転じる企業が増えたことで設備投資意欲も出てきて全般的に堅調に推移しました。
 一方で南欧に端を発した金融不安により震源地である欧州は景気低迷し、今や世界の消費財の生産基地となっている新興国も欧州の需要低下の影響で景気減速傾向が出始めています。新興国も人件費が急速に上昇したり景気過熱気味となり金利引き上げで経済成長の速度調整をする国もあり、欧州の需要低迷で輸出が減少した中国などは逆に金利を引き下げ始めたりと新興国も成長速度が鈍化してきています。欧州財政問題による欧米金融機関の信用不安、米国の景気不透明感、相対的なドル信用力の低下などで円高圧力が継続しており、受注に占める外需比率の高い製造業では厳しい事業環境が継続しています。こうした環境下、量産品に関しては消費する地域での現地生産化の流れがあり、コスト重視の量産品は海外生産で、量産品でも難易度の高いものや高度の安全性が要求されるものは国内で生産をするなど棲み分けが一層明確になってきています。多品種小ロット品や高度な加工が要求されるものは国内企業の競争力は高く、復興需要と相俟って引き続き国内の需要は底堅く推移しました。

このような状況の中、当社の受注も堅調に推移し月により多少変動はありましたが一定の受注水準を維持しました。この結果、当期の売上高は1,876,238千円(前期比3.8%増)、営業利益は484,619千円(前期比1.7%減)、経常利益は513,719千円(前期比0.3%減)、当期純利益は284,936千円(前期比5.6%減)となりました。
 セグメント別の営業の概況は以下のとおりであります。

 

 

<コレットチャック部門>

コレットチャックは主に量産部品加工に使用されており、昨年半ばから昨年末にかけて受注増加傾向を示し、今年に入ってからは横ばいで水準を維持し、5月以降は鈍化傾向を示しました。当期を通しては安定した受注水準を維持しました。
 この結果、当部門の売上高は1,307,908千円となり前期比0.8%増となりました。

 

<切削工具部門>

切削工具は金属等の材料を削る工業用刃物であり、量産品加工から単品加工まで幅広い分野で使用されています。国内の量産品加工が堅調に推移したことと海外生産用の工作機械、専用機、治工具など単品加工でも受注があったこと等により、当期を通じて緩やかながら受注増加傾向をたどりました。
 この結果、当部門の売上高は512,543千円となり前期比14.1%増となりました。

 

<自動旋盤用カム部門>

国内のカム式自動旋盤と主に日系企業の海外工場で使用されるカム式自動旋盤向けに受注があり、現存する機械台数が限定されていることから前期に比較して受注は減少となりました。
 この結果、当部門の売上高は55,786千円となり前期比8.7%減となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出529,321千円、法人税等の支払額248,709千円、配当金の支払額97,767千円、未払金の減少額31,458千 円、たな卸資産の増加額20,417千円等がありましたが、税引前当期純利益500,871千円、定期預金の純減小額299,152千円、減価償却費291,159千円等を計上したことにより、前期末に比べ155,383千円増加し、当期末は1,315,904千円(前期末比13.4%増)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動により増加した資金は、488,747千円(前期は、567,262千円の増加)となりました。これは、法人税等の支払額248,709千円、未払金の減少額31,458千円、たな卸資産の増加額20,417千円等がありましたが、税引前当期純利益500,871千円、減価償却費291,159千円等があったことによるものであります。 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動により減少した資金は、235,596千円(前期は、637,637千円の減少)となりました。これは、定期預金の純減少額299,152千円等がありましたが、有形固定資産の取得による支出529,321千円等があったことによるものであります。
 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動により減少した資金は、97,767千円(前期は、90,098千円の減少)となりました。これは、全額配当金支払額であります。
 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当期の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称
当事業年度
(自 平成23年7月1日
至 平成24年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,339,728
105.6
切削工具部門
517,522
114.2
自動旋盤用カム部門
55,786
91.3
合計
1,913,037
107.3

  (注) 1 金額は販売価格によっております。

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当期の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称
当事業年度
(自 平成23年7月1日
至 平成24年6月30日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,313,116
101.4
44,212
113.4
切削工具部門
517,904
114.7
17,022
146.0
自動旋盤用カム部門
55,774
91.3
189
93.0
合計
1,886,794
104.4
61,423
120.8

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 

   

 

(3) 販売実績

当期の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称
当事業年度
(自 平成23年7月1日
至 平成24年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
コレットチャック部門
1,307,908
100.8
切削工具部門
512,543
114.1
自動旋盤用カム部門
55,786
91.3
合計
1,876,238
103.8

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。

3 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績

に対する輸出高の割合であります。

   

輸出先
前事業年度
(自 平成22年7月1日
至 平成23年6月30日)
当事業年度
(自 平成23年7月1日
至 平成24年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
アジア
台湾
113,628
51.9
91,513
46.3
韓国
44,198
20.2
44,500
22.5
中国(香港含む)
18,910
8.6
17,108
8.7
シンガポール
16,954
7.7
13,719
6.9
マレーシア
11,978
5.5
13,365
6.8
その他
13,363
6.1
17,248
8.7
合計
219,034
(12.1%)
100.0
197,456
(10.5%)
100.0

 

3 【対処すべき課題】

当社が製造、販売するコレットチャック、自動旋盤用カム、切削工具研磨・製造事業は精密機械部品または金型等を加工するために使用される工具にかかる事業であるため、当社の業績はこれらの加工業界の景気動向に影響を受ける傾向にあります。これまでもその影響により業績が大きく変動しております。
 今後につきましても、世界的な規模で景気変動が繰り返されていくと想定されますが、そうしたなか製造業において高品質・短納期・低コストがさらに厳しく要求されてくると思われます。世界的なコスト競争の中で国内製造業は厳しい対応が求められてきます。特に日本の製造業の大半を占める下請け企業においては、受注量が増加しても利益率の薄い中での繁忙となる可能性があり、厳しい状況は継続すると思われます。

このような状況に鑑み、業績の安定化を図るための主力のコレットチャック部門では、小型自動旋盤用コレットチャックの対応機種を広げ各種専用機及び一般産業機械に使用されるコレットチャックの受注にも積極的に取り組んでまいります。
 生産面におきましては、ニーズの多様化する中で作業の標準化、人材の育成、設備投資による作業の効率化・能力増強をさらに推進し、製造コストの低減を図り、納期の短縮に努めてまいります。
 また、コレットチャック部門では、品質保証体制の充実した製品作りを行い、顧客の信頼感をさらに高め、顧客要求に対応し、企業基盤の強化に努める所存であります。
 営業面におきましてはコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は高品質製品の短納期対応をさらに充実させ、顧客ニーズに応えることにより市場の優位性を保ってまいります。
 また、海外販売におきましては現地の商社と協力して、十分なアフターサービスを展開し、販売体制のサポートの強化拡充を図ってまいります。 
  切削工具部門では、切削工具の再研磨事業から開始し、顧客先への訪問・新聞・専門誌への広告などにより新規顧客開拓、リピートオーダーの定着に注力し、ある程度の基盤ができてまいりました。引き続き営業地域の拡大と、既存の営業地域内での浸透度を高めて、より一層強固な基盤作りを目指します。
 また、切削工具の再研磨に加えて、特殊切削工具の成形・製作に力を入れております。特殊切削工具製作需要は、再研磨需要同等に大きなものであり、多品種の特殊切削工具に短納期で対応することで受注を確保していくことが可能と考えております。従来対応不能であった難易度の高い特殊切削工具の製造が可能になったことで、顧客の幅が着実に広がってきており、この動きを確かなものとして基盤の強化に努めてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

文中における将来に関する事項は、当期末(平成24年6月30日)現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業の特徴について

当社は、不特定多数の顧客に対して基本的な機械加工で使用される消耗工具の製造・販売および研磨を行っております。事業の対象が機械加工で使用される消耗工具であるため、顧客企業の機械稼働率の多寡により当社の受注も変動します。将来の業績も景気の状態や機械業界の動向などによっては同様な影響を受ける可能性があります。
 当社の事業の方針は、①多品種少量生産向きで ②確実に需要が見込まれ ③既存のメーカーが顧客ニーズに充分対応できていない機械工具に対象を絞り、入念な参入準備のもと「高品質、短納期」を実現し、顧客からの信頼、リピートオーダーの獲得を重視し、5年程度で業界での高シェアの確保を目指すというものであります。当社の扱う機械工具は消耗品であるため、リピートオーダーによる継続的な受注が可能となります。受注に関してコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門は、完全な受注生産となっており積極的な受注活動は行っておりません。営業部門は、顧客からの注文を電話・FAXで受け付け、受注内容を製造部門へ伝達することを主要業務としております。そのため当社の業績は、機械業界の受注動向をあらわす実質機械受注(内閣府発表:電力・船舶を除く)にほぼ連動しております。

切削工具部門では、市場規模が大きく他部門に比べて市場開拓率が低いため市場浸透度を高めるべく営業活動を行っております。 

 

① コレットチャック部門について

当社の主力製品のスプリングコレットチャックは、小型自動旋盤による金属旋削・切削加工の大半の局面で使用される消耗工具であり、通常の景気循環の中では比較的安定した受注が見込まれます。顧客層が広範な業種に亘り顧客数が多いため、一定の受注量は確保しておりましたが、ここ数年の景気変動局面ではその影響を大きく受けました。今後も景気が大きく変動する場合、その影響を受ける可能性があります。

また、当社の関連するスプリングコレットチャックの市場は大きく拡大するものではなく、当部門の売上高も一定の範囲内で推移する可能性があります。このところ受注増加傾向にあるNC旋盤・一般産業用機械で使用される特殊コレットチャックについても、旋削加工において材料の保持方法が変わる場合や特殊コレットチャックの知名度が充分に高まらない場合は、当社の業績に影響を与える可能性があります。
 また将来、技術革新等により旋削加工工程が必要でなくなった場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ② 切削工具部門について

当社は切削工具部門において工業用刃物の再研磨及び特殊切削工具製造を行っております。工業用刃物の再研磨は、金属加工の高度化、複雑化に伴い超硬工具の普及が加速し、自社研磨から外部の専業へ外注するケースが増加しております。この流れを捉え当社は平成11年8月に事業展開を開始いたしました。事業開始から10年以上経過し顧客数も5,000社を超え一定の基盤ができておりますが、加工方法の変化で切削工具が使われなくなったり、再研磨需要が減少した場合、また大手企業が切削工具の再研磨を内製化した場合は当部門の売上が減少する可能性があります。
 また、3期前から本格的に開始した特殊切削工具の製造は、従来から対応可能なものは扱っておりましたが、特殊切削工具製造に適した高精度研削盤を導入し、徐々に受注へと繋がってきています。ただし顧客に当社の特殊切削工具が浸透しない場合は売上が増加しない可能性があります。 

 

 ③ 自動旋盤用カム部門について

自動旋盤用カム部門は自動旋盤のNC化、円高による製造メーカーの海外進出に伴う量産品の国内市場の減少、多品種少量生産に対応不可能等の要因により、年々減少傾向にあります。今後については、すでに小型自動旋盤メーカーが機械の製造を中止していること、カム式自動旋盤を使える作業員が高齢化していること、多品種少量生産が時代の趨勢であること等を考えますと、今後ともこの減少傾向は緩やかに継続していくものと思われます。

 

 (2) 海外市場依存度について

当社の最近5期における輸出販売高比率は、下表のとおりであります。また、この他に商社を経由した販売もあります。当社からの販売についてはすべて円建てで行っております。当社の輸出地域であるアジアの経済情勢、市場動向及び為替変動等によっては、輸出販売高に影響を与える可能性があります。

 

区分
第18期
第19期
第20期
第21期
第22期(当期)
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
金 額
比率
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
(千円)
(%)
輸出販売高
296,331
13.6
187,510
12.6
211,374
13.9
219,034
12.1
197,456
10.5
国内販売高
1,890,025
86.4
1,296,453
87.4
1,307,010
86.1
1,589,133
87.9
1,678,782
89.5
合   計
2,186,356
100.0
1,483,963
100.0
1,518,385
100.0
1,808,168
100.0
1,876,238
100.0

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(流動資産)

当期末における流動資産の残高は、4,104,685千円(前期末は、4,217,872千円)となり、113,187千円減少しました。これは仕掛品が20,865千円、売掛金が12,533千円増加しましたが、現金及び預金が143,769千円、繰延税金資産が8,888千円減少したこと等によるものであります。

 

 (固定資産)

当期末における固定資産の残高は、3,255,633千円(前期末は、3,118,038千円)となり、137,595千円増加しました。これは、繰延税金資産が76,851千円、建物が51,398千円、投資有価証券が50,582千円減少しましたが、機械及び装置が329,965千円増加したこと等によるものであります。この結果、当期末における総資産は、7,360,318千円(前期末は、7,335,911千円)となりました。

 

(流動負債)

当期末における流動負債の残高は、141,291千円(前期末は、272,108千円)となり130,817千円減少しました。これは、預り金が4,972千円増加しましたが、未払法人税等が127,227千円、未払金が7,527千円減少したこと等によるものであります。

 

(固定負債)

当期末における固定負債の残高は、340,816千円(前期末は、339,192千円)となり、1,624千円増加しました。これは、退職給付引当金が5,846千円減少しましたが、役員退職慰労引当金が7,470千円増加したことによるものであります。この結果、当期末における負債合計は、482,107千円(前期末は、611,300千円)となりました。

 

(純資産)

当期末における純資産の残高は、6,878,210千円(前期末は、6,724,610千円)となり、153,600千円増加しました。これは、繰越利益剰余金が237,774千円、その他有価証券評価差額金が33,836千円減少しましたが、別途積立金が300,000千円、特別償却準備金が125,210千円増加したことによるものであります。
 

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの分析

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の項目をご参照下さい。

 

(キャッシュ・フロー関連指標)

 

 
第21期
第22期(当期)
自己資本比率(%)
91.7
93.4
時価ベースの自己資本比率(%)
49.7
54.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。

※当社は、第21期から第22期(当期)まで有利子負債は全くありませんので、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績の項目をご参照ください。

 

(営業利益)

当期における営業利益は、484,619千円(前期は、492,793千円)となり、8,174千円減少しました。これは、売上高が68,070千円増加しましたが、一方で主に有形固定資産の取得により減価償却費が74,278千円増加したこと等によるものであります。

営業利益の売上高比率は、1.5ポイント下落し、25.8%となりました。 

 

(経常利益)

当期における経常利益は、513,719千円(前期は、515,503千円)となり、1,784千円減少しました。これは、主に営業利益が減少したことによるものであります。
 経常利益の売上高比率は、1.1ポイント下落し、27.4%となりました。

 

(当期純利益)

当期における当期純利益は、284,936千円(前期は、301,930千円)となり、16,994千円減少しました。これは、主に経常利益が減少したことと投資有価証券評価損12,870千円を計上したことによるものであります。
 当期純利益の売上高比率は、1.5ポイント下落し、15.2%となりました。

 





出典: 株式会社エーワン精密、2012-06-30 期 有価証券報告書