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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 当事業年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日)における我が国経済は、新興国、資源国の政治混乱、米国、欧州の景気不安が継続する中で、円安と原油価格の値下がりが進み、消費増税に伴う駆け込み需要の反動等、個人消費など一部に弱さがみられたものの、各種経済、金融政策の効果もあって緩やかな回復基調が続きました。

 再生医療分野では、平成25年4月に再生医療推進法が国会で可決承認され、同年11月には、条件及び期限付き承認制度など再生医療製品の特性を考慮した法改正である医薬品医療機器等法(薬事法等の一部を改正する法律)と、再生医療に用いる細胞加工を企業などに外部委託できることを定めた再生医療等安全性確保法が成立し、公布されました。平成26年6月には「日本再興戦略」改訂2014が閣議決定され、保険外併用療養費制度(混合診療)の拡大など、革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の早期実用化を目指す戦略が掲げられました。その後省令や各種通知の整備が進み、平成26年11月、医薬品医療機器等法及び再生医療等安全性確保法が施行されました。

 このような状況の下、当社は再生医療製品事業において自家培養表皮、自家培養軟骨、自家培養角膜上皮等の開発を進めました。

 自家培養表皮ジェイスは、平成21年1月に保険収載された我が国初の再生医療等製品であり、重症熱傷患者の治療を目的としています。ジェイスには保険適用に関し、「施設基準」や「算定限度」等の留意事項が付与されています。これら留意事項のうち「算定限度」に関しては、平成24年4月より一患者につき20枚から40枚に改定されました。当社は、主要な医療機関への販売促進に努めると同時に、重症熱傷治療におけるジェイスのより有用な使用方法について学会等を通じて啓蒙活動を行いました。当社のこれらの活動により、自家培養表皮による治療が医療現場において浸透してきました。当社は、7年次の使用成績等調査報告書を取り纏め、平成27年1月、再審査申請書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出しました。

 また当社は、ジェイスの適応拡大として、表皮水疱症及び巨大色素性母斑の治療を目的とした治験を進め、平成26年6月には表皮水疱症の治験終了届書を提出しました。ジェイスは、表皮水疱症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されています。巨大色素性母斑については、医師主導治験における治験機器提供者として支援していたものを企業治験として引き継いでおり、治験データのフォローアップを行っています。平成26年11月、ジェイスは先天性巨大色素性母斑の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されました。

 自家培養軟骨ジャックは、平成24年7月に厚生労働省により製造販売承認された整形外科領域における再生医療等製品であり、適応対象は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)です。さらに、平成25年4月より保険収載されました。ジャックには保険適用に関し、「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当社は医療機関及び実施医への研修を積極的に進めました。平成27年4月現在でジャックを使用できる医療機関(使用認定施設)は全国170に拡大し、全都道府県で使用可能になりました。

 自家培養角膜上皮は、前臨床試験と各種バリデーション試験の結果をまとめ、平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構に提出しました。平成26年11月に施行された医薬品医療機器等法のもとで治験を実施しています。平成27年3月、当社自家培養角膜上皮は、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を目的とした希少疾病用再生医療等製品に指定されました。

 研究開発支援事業である研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。当社は、本製品の販売促進を積極的に展開しました。平成25年7月に、ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法が、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載されました。また、同様にラボサイト角膜モデルでは、OECDが推進する眼刺激性試験の標準化を目指した共同研究を進めています。

 また当社は、平成26年11月に再生医療等安全性確保法が施行されたことに伴い、これまで再生医療製品事業により培ってきたノウハウを活用し、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工製造事業者等に対するコンサルティング事業ならびに細胞培養受託事業を開始しました。

 こうした結果、当事業年度における売上高は、富士フイルム株式会社からの受託開発売上高の発生等により、1,321,495千円(前期比31.1%増)となりましたが、人員補強による人件費の増加及びジャックの販売促進活動費用の増加等により営業損失は913,098千円(前期は1,025,433千円の営業損失)となりました。これに研究開発助成金の増加等で経常損失は686,687千円(前期は823,997千円の経常損失)となり、当期純損失は690,527千円(前期は827,837千円の当期純損失)となりました。

 なお、セグメント別では、再生医療製品事業の売上高は、1,232,430千円(前期比32.8%増)、研究開発支援事業の売上高は、89,064千円(前期比11.0%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて4,159,207千円増加し、5,466,281千円となりました。

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は756,723千円となり、前事業年度と比べ204,591千円減少しました。この主な要因は、税引前当期純損失の改善によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,425,372千円となり、前事業年度と比べ1,731,649千円増加しました。この主な要因は、定期預金の預入及び設備投資によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は6,341,304千円となり、前事業年度と比べ5,646,197千円増加しました。この主な要因は、富士フイルム株式会社の新株予約権の行使による収入6,840,000千円によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

 

 

前年同期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

668,317

77.8

研究開発支援事業(千円)

89,064

111.0

      合計(千円)

757,381

80.6

 (注)1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

再生医療製品事業

810,917

86.5

87,112

223.5

研究開発支援事業

91,340

116.2

4,913

177.6

合計

902,257

88.8

92,025

220.5

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3) 販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

 

当事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

 

 

前年同期比(%)

 

再生医療製品事業(千円)

1,232,430

132.8

研究開発支援事業(千円)

89,064

111.0

 合計(千円)

1,321,495

131.1

 (注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成25年4月1日

至 平成26年3月31日)

当事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

富士フイルム株式会社

432,159

32.7

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は再生医療の産業化を推進するために、会社が対処すべき課題を以下のとおり認識し、その解決に向けた取り組みを展開しています。

(1) 自家培養表皮ジェイスの展開

 自家培養表皮ジェイスは、我が国で第1号となる再生医療等製品として平成19年10月に厚生労働省より製造販売承認を受け、平成21年1月に保険収載されましたが、本品には承認条件及び保険適用に関する留意事項が付与されています。

 本品の承認条件「再審査期間(7年)中の全症例を対象とした使用成績調査」につきましては、平成26年10月をもって登録が完了し、平成27年1月に再審査申請書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出しましたが、承認条件の一つである「製造販売後臨床試験の実施」が継続しています。

 また、当社は主要な医療機関への販売促進に努めると同時に、重症熱傷治療における本品の適正な使用方法について学会等を通じて啓蒙活動を行うとともに、保険適用に関する留意事項の緩和について厚生労働省との調整に努めます。

(2) 自家培養軟骨ジャックの展開

 自家培養軟骨ジャックは、平成24年7月に厚生労働省により製造販売承認されました。整形外科領域における我が国初の再生医療等製品であり、平成25年4月に保険収載されましたが、本品には承認条件及び保険適用に関する留意事項が付与されています。

 当社は、本品の適正な使用方法について啓蒙活動を行うとともに、承認条件の一つである「再審査期間(7年)中の全症例を対象とした使用成績調査」につきましては、適正に実施しております。

 また、本品は保険適用に関して「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当社は医療機関及び実施医への研修を行う必要がありますが、平成27年4月現在で、170を超える医療機関において治療実施の準備が整い、国内すべての都道府県で使用可能となりました。当社は、引き続き、本品の普及に努めます。

(3) 自家培養角膜上皮の展開

 自家培養角膜上皮は、株式会社ニデックからの受託開発です。平成23年1月に製品仕様の一部を変更し、株式会社セルシードと協働しながら開発を進め、平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構に提出しました。

 当社は、委託元であるニデックと今後の開発方針を協議しながら、治験を遅延なく遂行し、早期の承認取得を目指します。その後は、速やかに保険協議を進めます。

(4) 研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの展開

 研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズは、動物実験を代替する試薬です。動物実験代替への理解促進や認知度向上のため、当社は、動物実験代替法から皮膚基礎科学、美白研究、幹細胞研究など、最新の研究報告を行うセミナーを開催する等の啓蒙活動を通じて、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの拡販に努めます。

 平成25年7月、ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法が、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載されました。また、OECDが推進する角膜に関する試験法のガイドライン化を目指して、ラボサイト 角膜モデルを用いた眼刺激性試験法に関する共同研究を進めています。

(5) 受託開発の推進

 当社は、富士フイルム株式会社から複数の開発業務を受託し、次世代の製品に繋がる開発を進めています。人員の適正配置及び効率化を推進し、既存の製品パイプラインを確実に推進するとともに、新製品の探索研究も積極的に進めます。

(6) 生産体制の強化

 自家培養軟骨ジャックの事業伸長に向けた製造能力の増強のため、本社棟4階に生産施設を拡張します。生産施設の拡張工事は、平成27年度上期に整備を完了し、稼働を開始する予定です。また、受注生産により製造部門に繁閑が生じることで、設備及び人員の非効率な運用が課題となっているため、製造や検査作業の効率化、自動化・機械化を促進します。

(7) 販売体制の強化

 自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックの適正使用に関する啓蒙活動ならびに販売活動、ならびに研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの普及活動において、多くの営業人員を必要としています。販売拡大に向けた営業活動の効率化を図るため、代理店の活用、担当及び人員配置の見直し、営業体制の効率化及び強化に努めていきます。

(8) 人事制度の見直し・強化

 当社の業務拡大による人材の多様化に柔軟に対応するため、人事制度の見直し及び強化が必要になります。働きがいのある職場環境の整備に努め、会社業績の向上を目指すとともに、当社が必要とする人材育成に取り組みます。

(9) 社屋拡張計画の策定・実行

 当社の業務拡大と社員数の増加に伴い、事務エリア、共有エリアが不足しています。今後の事業の進捗度合いを勘案し、適切に社屋の拡張を行います。

(10)財務体質の強化

 当社は、多額の製品開発費用が先行して必要となるため、継続的な営業損失が発生するとともに営業キャッシュフローもマイナスとなってきました。そのため、平成26年3月に富士フイルム株式会社を割当先とした新株予約権を発行し、総額73億8千万円が払い込まれました。これにより、当面の必要資金は確保でき財務体質の強化はされました。今後も、自家培養表皮ジェイス及び自家培養軟骨ジャックを中心として売上増加を図り、営業キャッシュフローを改善し、更なる財務体質の強化に努めます。

 

4【事業等のリスク】

 当社の経営成績及び財務状態に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクには以下の事項があります。以下の記載は、平成27年3月期末現在において当社が判断したものであり、事業に関連するリスクのすべてを網羅するものではありません。

 

(1) 再生医療の現状について

 我が国における再生医療の研究は、大学を中心としたアカデミアが中心となり1990年代から進展してきました。ヒト細胞組織の臨床応用を目指し、医学と工学をはじめとする複数の研究分野が連携することにより、再生医療は学際的な発展を遂げてきました。平成11年の当社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング設立に続き、再生医療を事業化するために、いくつかの再生医療ベンチャーが誕生しました。また、外資を含む製薬企業や医療機器メーカーも、再生医療の製品化・事業化を目指して開発を進めました。

 当社設立時には、自家細胞を使用した再生医療は薬事法(現、医薬品医療機器等法)の対象外であるとの認識でした。しかし、当時社会問題となっていた薬害エイズ事件等の影響を受け、再生医療は薬事法の承認審査を経ること、そして平成12年には治験を開始する前に、新たに制定された確認申請制度への適合を得ることが条件となり、再生医療に対する規制が徐々に強化されました。また、2000年代は上場企業の不祥事が続き、我が国経済ならびに資本市場が停滞しました。このため、再生医療分野に参入していた多くの企業が事業からの撤退あるいは倒産に追い込まれました。

 このような外部環境の中で、当社は平成19年に我が国初の再生医療等製品となる自家培養表皮ジェイスの製造販売承認を取得し、平成25年には第2号製品である自家培養軟骨ジャックの製造販売承認を取得しました。一方で、世界市場では過去に約50品目の再生医療等製品が、各国・地域の薬事承認を取得し上市されました。先進諸国の中で日本は再生医療の実用化に出遅れた状態が続きました。

 ところが、平成19年に京都大学教授の山中伸弥iPS細胞研究所長がヒトiPS細胞の樹立に成功して以降、薬事規制の見直しが始まり、平成23年には確認申請制度が廃止され、これに代わり薬事戦略相談制度が導入されました。また、平成24年に山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことを契機に、我が国は再生医療を成長戦略の一つとして位置付けました。再生医療への期待が急速に高まる中で、再生医療の普及を迅速に進めるための再生医療推進法が、平成25年4月に国会で可決承認されました。これを受け、平成26年11月に薬事法は医薬品医療機器等法として改正され、新たに再生医療等製品が定義されました。再生医療等製品には条件・期限付承認制度が導入されることになると同時に、医師法のもとで再生医療を安全かつ迅速に提供するための再生医療等安全性確保法が施行されました。

 以上のように再生医療を取り巻く外部環境は好転しつつありますが、我が国において再生医療は未だ黎明期にあり、依然として不確実性が高いと言えます。一般的に、再生医療分野のみならず、医療分野あるいは生命科学分野の事業化は長期に亘るとともに、法規制の影響を大きく受けるため、将来、新たなルールが適用された場合、当社の経営戦略に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、外資を含む参入者の増加が予想されるため、競争が激化するリスクは否定できません。

 

(2) ヒト又は動物由来の原材料の使用について

 当社の再生医療等製品はヒト細胞組織を利用したものですが、ヒト細胞組織を利用した再生医療等製品は、細胞組織に由来する感染の危険性を完全には排除できないため、安全性に関するリスクが高いとされています。また、当社の再生医療等製品の原材料やその製造工程で使用する培地には動物由来原料を使用しており、この動物由来原料の使用によって未知のウィルスによる被害等が発生する可能性を否定できません。このような場合、当社の業務及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、このような事例において、当社の過失が否定されたとしても、ネガティブなイメージによる業界全体及び当社製品に対する信頼が失われ、当社の事業に影響を与える可能性があります。

 なお、生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず発生した感染等による健康被害者に対して各種の救済給付を行い、被害者の迅速な救済を図ることを目的とし、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に基づく公的制度として「生物由来製品感染等被害救済制度」が平成16年4月に創設されています。また、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行い、被害を受けた方の迅速な救済を図ることを目的として昭和55年に創設された「医薬品副作用被害救済制度」は平成26年11月より再生医療等製品にも適用されています。

 

(3) 各事業内容について

 当社の再生医療製品事業及び研究開発支援事業における事業リスクは以下のように想定されます。

①自家培養表皮ジェイス

a)承認条件について

 当社は、平成19年10月に厚生労働省より重症熱傷を対象とした自家培養表皮ジェイスの製造販売承認を取得しました。製造販売承認の条件として、治験症例がきわめて限られているため、本品の安全性及び有効性を確認するための製造販売後臨床試験を早期に実施することを求められており、臨床試験の進捗状況やその結果をまとめて速やかに厚生労働省へ報告する必要があります。この製造販売後臨床試験の結果により、安全性や有効性に問題が生じた場合は、承認が取り消されることもあり、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。これと並行して実施した使用成績調査は、7年の再審査期間として平成26年10月までに登録した全症例の途中結果について、平成27年1月に再審査申請資料として提出しましたが、さらに調査中の残症例の1年間経過後のデータを加えた報告書を提出する必要があります。

 また、本品の製造過程に用いられるマウス由来3T3-J2細胞にかかる異種移植に伴うリスクを踏まえ、新たな取扱いの基準が定められるまでの間、最終製品のサンプル及び使用に関する記録を少なくとも30年間保存するなど、必要な措置を講じることも義務付けられています。これらの結果から、本品の安全性に重大な問題が明らかになった場合や有効性が認められなかった場合には、承認が取り消されることもあり、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります

b)保険適用に関する留意事項について

 本品は、平成21年1月に保険収載されましたが、本品の保険適用には留意事項が付与されています。今後、当該保険適用の条件の変更により、本品の販売計画及び当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、患者死亡等の理由による製造中止が発生しており、受注し製造を行っても、移植に至らず売上計上できない事例が発生する可能性があります。当該中止率が増加した場合には、本品の売上計画及び当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります

c)市場規模について

 重症熱傷の治療を目的とした本品の適応対象は「自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ、受傷面積として深達性Ⅱ度及びⅢ度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上の熱傷」とされており、その市場規模は著しく限定的です。そのため、一定割合以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があります。また一度に大量の受注があった場合には、当社の保有する生産能力では十分な供給ができない可能性があります

d)適応拡大について

 当社は、本品を重症熱傷患者の移植治療に安定供給することを通じて、再生医療産業の構築に注力したいと考えています。本品が使用できる疾患(適応対象)は、製造販売承認において明確に決められていますが、当社は、熱傷以外の疾患への本品の適応拡大を図っていきたいと考えています。自家培養表皮は臨床研究等において、白斑、母斑、瘢痕、採皮創などの治療においても有用であることが国内、海外で実証されています。ただし、本品は、過去に適応拡大の前例がない新規の製品であることや、治療における患者のリスクとベネフィットの観点から、一般的に重篤でないとされている重症熱傷以外の疾患に対して、適応拡大されない可能性があります

 

②自家培養軟骨ジャック

a)承認条件について

 当社は、平成21年8月に本品の製造販売承認申請を提出し、平成24年7月に厚生労働省より自家培養軟骨ジャックの製造販売承認を取得しました。製造販売承認の条件として、膝関節の外傷性軟骨欠損症及び離断性骨軟骨炎の治療に関する十分な知識・経験を有する医師及び施設において治療が行われることが求められており、これに伴い、日本整形外科学会のワーキンググループが、実施施設基準と実施医基準を策定し、厚生労働省に提出しました。また、製造販売後の一定期間は、本品の使用症例の全例を対象に使用成績調査を実施し、本品の安全性及び有効性に関するデータを収集し、その結果については定期的に厚生労働省に報告することが義務付けられています。これらの結果から、本品の安全性に重大な問題が明らかになった場合や有効性が認められなかった場合には、承認が取り消されることもあり、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります

b)保険適用について

 本品は、平成25年4月より保険収載されましたが、本品には保険適用に関し、「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されています。今後、当該保険適用の条件の変更により、本品の販売計画及び当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります

c)市場規模について

 膝関節軟骨の治療を目的とした本品の適応対象は「外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の臨床症状の緩和」です。「ただし、他に治療法がなく、かつ軟骨欠損面積が4cm2以上の軟骨欠損部位に適用する場合に限る」とされており、その市場規模は限定的です。そのため、一定割合以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があります。また一度に大量の受注があった場合には、当社の保有する生産能力では十分な供給ができない可能性があります

 

③自家培養角膜上皮

a)薬事審査プロセスについて

 当社が開発中の自家培養角膜上皮は、角膜移植を受けても視力回復が得られない患者等、既存治療法では治せない重症の患者を対象としています。当社は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の助言を参考に開発を進めた結果、平成26年10月に治験計画届書を提出しており、現在、角膜上皮幹細胞疲弊症を対象とした治験を実地しています。しかしながら、予想どおりに治験の症例収集が進行しなかった場合、また期待どおりの有効性と安全性が証明できなかった場合は、その後の薬事承認プロセスが想定どおりに進まない可能性があります

b)委託契約について

 自家培養角膜上皮の開発は、眼科医療機器メーカーである株式会社ニデックからの受託開発として進めています。当社は、ニデックが要求する製品の開発が完了した後、厚生労働省に製造販売承認申請書を提出します。ニデックとの委託契約により、自家培養角膜上皮に関する販売権はニデックに帰属するため、当社が自家培養角膜上皮の製造を行い、妥当な価格にてニデックに販売する計画です。しかしながら、ニデックの経営方針の変更等により受託開発契約の解約や規模縮小等の可能性も否定できません。このような場合には当社の事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります

 

④研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズ

 当社は、医薬品医療機器等法の規制を受けることなく、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを化粧品、製薬、化学品、日用品、農薬等の製造企業や安全性試験受託機関等に販売しています。本品の製造販売事業において、当社は後発参入であり、当市場には競合企業が複数存在します。そのため、競争の激化に伴う販売量の伸び悩みや、過当競争による販売価格の下落懸念、販売拡大のための営業体制の見直しに伴う経費の増大等の事情により、収益性が低下する可能性があります。

 また、売上増加施策の一つとして、特定地域では直販体制に変えて代理店体制をとっていますが、代理店手数料の上昇により、収益性が低下する可能性があります

 

⑤探索研究

 当社は富士フイルム株式会社より開発業務を受託しています。しかしながら、予想どおりに開発業務が進行しなかった場合、又は期待どおりの結果が得られなかった場合には、予定している開発委託金を受領できない場合があります。また、富士フイルムの経営方針の変更等により受託開発の解約や規模縮小等の可能性も否定できません。このような場合には当社の事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります

 

⑥その他

 当社は、再生医療等安全性確保法が施行されたことに伴い、再生医療等の提供機関及び細胞培養加工製造事業者等に対するコンサルティング事業ならびに細胞培養受託事業を開始しましたが、その潜在市場が当社の想定と異なり極端に小さい場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、潜在市場が当社想定より大きい場合は、当社の保有する設備や人員では十分な対応ができない可能性があります

 

(4) 知的財産権について

 当社は、事業の優位性を確保するため、開発する製品及び技術について知的財産権による保護に努めていますが、出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。また、知的財産権により保護されている第三者の技術を利用したい場合等には、その技術が利用できない場合、又は不利な条件で利用せざるを得ない場合もあります。

 さらに、他社の権利を侵害することがないように注意を払って事業展開をしていますが、訴訟等に巻き込まれる可能性を完全には否定できません。訴訟等に巻き込まれた場合には、係争費用や賠償金の等の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(5) 大学及び研究機関との関係について

 当社が取り組む再生医療は、大学等の研究機関ならびに医療機関及び医療関係者との連携・協力が必要不可欠です。また、開発段階にとどまらず、製品発売後の適正使用の促進や安全対策への取組み等についても、産学官の連携・協力は医療の向上に貢献できる重要な取組みと考えています。

 しかしながら、このような連携・協力活動は、法令や社会情勢により影響を受ける場合があります。再生医療等製品の開発には長い時間が必要な為、共同研究の中止や権利譲渡がされない等、当社の希望通りに行うことができない場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります

 

(6) 生産体制について

 当社は、平成16年11月に本社棟を竣工し、高品質で安全性の高い製品を生産するために必要なハードウェアを有するなど、医療機器の製造管理及び品質管理の基準(QMS)に適合する生産体制の整備を進めてきました(現時点では、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準(GCTP)に適合)。当社の製造設備では、清浄空調設備や室圧管理システムによる環境管理、ならびに人・物の動線管理を行うことにより、クリーンな環境を保てるように配慮しています。

 また、研究開発−製造−品質管理・保証体制の円滑な連携によって、運用管理等のソフトウェア面においてもこれら体制を合理的に維持するほか、細胞培養について十分訓練を受けた作業者が標準作業手順書に従い製造にあたる体制を構築してきました。

 ただし、事故や何らかの理由で想定どおりに製造インフラが機能しなかった場合、あるいは品質マネジメントシステムが想定どおりに運用できなかった場合には、当社の事業計画や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります

 

(7) 販売体制について

①販売インフラに関すること

 生きたヒト細胞を組み込んだ再生医療等製品は、未だ国内での販売実績が少なく、一般的な医薬品及び医療機器とは異なる販売体制の構築が要求されます。

 当社では、医療機関への適切な情報提供、担当医師への製品使用に関する説明・啓蒙活動に加え、保険収載に基づいた製品価格体系の構築、受注生産体制の仕組み作り、ロジスティックスの整備、医薬品医療機器等法に対応した安全管理ならびに製造販売後調査体制の強化、関連研究会の発足など、販売体制をより整備する必要があります。

 ただし、販売体制の整備が思うように進まず、計画どおりの売上げを計上できない可能性があります

②競合について

 再生医療を取り巻く外部環境は好転しつつあるため、外資を含む参入者が増加し、競争が激化することが予想されます。その競争で当社製品が優位性を保持できなかった場合、当社が想定する売上を計上できない可能性があります。一方で、新規参入が思うように進まず、再生医療市場が成熟しない可能性も否定できません。

 

(8) 当社の組織体制について

①特定人物への依存について

 当社は事業運営において、代表取締役及び取締役に過度に依存する体制を避けるべく、権限の委譲や人員拡充等により組織的対応を強化しています。しかし、当社組織は依然として小規模であり、代表取締役及び取締役が何らかの理由により当社業務の遂行が困難となった場合、当社の事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります

②小規模組織であること

 当社は平成27年3月末現在、役員及び従業員計185名の小規模な組織です。当社は相互牽制、内部統制及びコンプライアンス・リスク管理など組織的対応の強化を図るよう努めていますが、現状では、小規模組織で人的資源に限りがあるため、個々の従業員の働きに依存している面もあり、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合又は従業員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたす可能性があります。

 他方、大規模な人員確保等による急激な規模の拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与える可能性があります。

③人材の確保と育成

 当社の発展のためには、優秀な人材の確保を重要課題としてとらえています。定期的な新卒採用に加え、中途採用も実施しています。さらに、社内においては教育システムの充実、人事・評価制度の積極的改善など総合的対策により、活気ある独自の企業造りを進めています。

 しかし、人材の確保及び育成が計画どおりに進まない可能性、育てた人材が社外へ流出する可能性があります。このような場合には、当社の業務に支障をきたす可能性があります。

 

(9) 経営成績の推移等について

①過年度における業績推移について

 当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。

回次

第13期

第14期

第15期

第16期

第17期

決算年月

平成23年3月

平成24年3月

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

 売上高          (千円)

351,574

473,606

563,704

1,008,045

1,321,495

  再生医療製品事業

308,390

418,925

489,236

927,774

1,232,430

  研究開発支援事業

43,184

54,681

74,468

80,270

89,064

 経常損失(△)      (千円)

△1,153,146

△1,092,526

△1,073,846

△823,997

△686,687

 当期純損失(△)     (千円)

△1,156,986

△1,096,366

△1,077,686

△827,837

△690,527

 1株当たり当期純損失(△) (円)

△41.57

△29.98

△29.47

△22.54

△18.21

 純資産額         (千円)

4,488,083

3,391,717

2,326,030

2,163,393

8,397,115

 総資産額             (千円)

5,831,953

4,494,574

3,209,154

3,232,671

8,853,186

 営業活動による
 キャッシュ・フロー    (千円)

△1,012,151

△1,059,155

△989,987

△961,315

△756,723

 投資活動による
 キャッシュ・フロー    (千円)

△908,627

477,195

480,900

306,276

△1,425,372

 財務活動による
 キャッシュ・フロー    (千円)

3,748,998

△245,521

△239,318

695,107

6,341,304

 現金及び現金同等物
 の期末残高            (千円)

2,842,573

2,015,324

1,267,005

1,307,073

5,466,281

(注)1 売上高には、消費税等は含まれておりません。

2 当社は、平成26年4月1日付で普通株式1株を200株にする株式分割を行っております。1株当たり当期純損失につきましては、第13期の期首に遡って当該株式の分割が行われたと仮定して算定した数値を記載しております。

3 経営成績の変動理由は以下のとおりであります。

 第13期は、自家培養表皮ジェイスの施設基準緩和等により売上高は増加しましたが、製造・営業部員増強による人件費の増加及びジェイスの販売促進活動費等の増加により経常損失及び当期純損失を計上しました。

 第14期は、自家培養表皮ジェイスの採用施設数の増加及び認知度向上により売上高は増加しましたが、人員補強による人件費の増加及び研究開発費用の増加等により経常損失及び当期純損失を計上しました。

 第15期は、自家培養表皮ジェイスの算定限度緩和等により売上高は増加しましたが、生産及び臨床開発部門の人員補強等により経常損失及び当期純損失を計上しました。

 第16期は、自家培養表皮ジェイスの売上高が好調であったものの、人員補強による人件費の増加及び自家培養軟骨ジャックの販売促進活動費用の発生等により経常損失及び当期純損失を計上しました。

 第17期は、富士フイルム株式会社からの受託開発収入の発生等により売上高は増加しましたが、開発及び営業部門の人員補強による人件費の増加及び販売促進活動費用の増加等により経常損失及び当期純損失を計上しました。

 

②マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて

 多額の製品開発費用が先行して計上されることにより、当社は設立以来損失を計上しています。第17期末における繰越利益剰余金は△12,467,734千円となります。当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しています。しかしながら、計画どおりに当期純利益又は当期純損失を計上できない可能性があります。また、当社の事業が計画どおりに進展せず、継続的な損失がさらに発生する可能性があり、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。

 

③税務上の繰越欠損金について

 現在のところ税務上の繰越欠損金が存在しています。そのため、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合や税法改正により繰越欠損金による課税所得の控除が認められなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益又は当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

(10) 支配株主について

 平成26年12月の新株予約権の行使により、当社へ一番の影響力を持つのは当社の親会社となった富士フイルムホールディングス株式会社と考えられます。また、富士フイルム株式会社は、当社への資本参画のみならず研究開発及び事業展開においても大変重要な役割を担っています。そのため、今後富士フイルムホールディングス株式会社及び富士フイルム株式会社との関係に大きな変化が生じた場合、当社の経営に影響を及ぼす可能性があります。

 当社主要株主である株式会社ニデックは、当社の自家培養角膜上皮事業における開発委託元であるだけでなく、当社創業時に母体となって出資をするなど大変重要な役割を担ってきました。そのため、今後株式会社ニデックとの関係に大きな変化が生じた場合、当社の事業戦略や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

①関連当事者の商号等

商号

属性

住所

事業内容

議決権等の被所有割合(%)

富士フイルムホールディングス株式会社

親会社

東京都港区

富士フイルムグループを統括する持株会社

50.16

富士フイルム株式会社

その他の関係会社

東京都港区

イメージングソリューション、インフォメーションソリューションの開発、製造、販売、サービス

46.08

株式会社ニデック

主要株主

愛知県
蒲郡市

眼科医療機器ならびに眼鏡関連機器の開発・製造・販売、自家培養角膜の研究

10.41

 

②当社と関連当事者とのその他の関係

 平成27年3月31日における当社の役員15名のうち、石川隆利氏、助野健児氏は富士フイルムホールディングス株式会社ならびに富士フイルム株式会社の役員を、倉橋清隆氏は株式会社ニデックの役員を兼任しております。

当社における地位

氏名

兼職の状況及び役職

社外取締役(非常勤)

石川 隆利

富士フイルムホールディングス株式会社 取締役

富士フイルム株式会社 取締役常務執行役員医薬品事業部長

社外取締役(非常勤)

倉橋 清隆

株式会社ニデック 取締役薬事法務本部長

社外取締役(非常勤)

助野 健児

富士フイルムホールディングス株式会社 取締役執行役員経営企画部長

富士フイルム株式会社 取締役執行役員経営企画本部長

社外取締役(非常勤)

横川 拓哉

富士フイルム株式会社 再生医療事業推進室長 兼 医薬品事業部次長

 

 

③当社と関連当事者との取引(自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日)

種類

会社等の名称又は氏名

所在地

資本金又

は出資金

(千円)

事業の内容

又は職業

議決権等の所有(被所有)割合

(%)

関連当事者との関係

取引の内容

取引金額

(千円)

科目

期末残高

(千円)

その他の関係会社

富士フイルム株式会社

東京都港区

40,000,000

イメージングソリューション、インフォメーションソリューションの開発、製造、販売、サービス

(被所有)

直接

46.08

当社への開発委託

業務提携

役員の兼任

受託開発収入

(注2(1))

432,159

売掛金

146,118

諸経費の立替払

(注2(2))

1,117

立替金

857

出向者給与

(注2(3))

8,229

未払金

619

業務委託料

(注2(4))

13,364

新株予約権

の行使

(注2(5))

7,380,000

主要株主

株式会社ニデック

愛知県蒲郡市

461,890

眼科医療機器ならびに眼鏡関連機器の開発・製造・販売、自家培養角膜の研究

(被所有)

直接

10.41

当社への開発委託

役員の兼任

受託開発収入

(注2(6))

78.244

売掛金

4,153

受取技術料

(注2(7))

3,000

未収入金

243

(注)1 上記金額のうち、取引金額には消費税等が含まれておらず、期末残高には消費税等が含まれております。

2 取引条件及び取引条件の決定方針等

(1) 富士フイルム株式会社からの受託開発収入は契約をもとに決定しております

(2) 富士フイルム株式会社への諸経費の立替払いは、学会共催費等の支払いのうち、富士フイルム株式会社負担分について当社が一時的に立替払いをしたものであります。

(3) 富士フイルム株式会社からの出向者に対する給与は契約をもとに決定しております。

(4) 富士フイルム株式会社への業務委託料は契約をもとに決定しております。

(5) 平成26年2月14日開催の当社取締役会決議ならびに平成26年3月27日開催の臨時株主総会決議に基づき付与された新株予約権の当事業年度における権利行使を記載しております。なお、取引金額は、当事業年度における新株予約権の権利行使による付与株式に払込金額を乗じた金額を記載しております。

(6) 株式会社ニデックからの受託開発収入は契約をもとに決定しております。

(7) 株式会社ニデックからの受取技術料は契約をもとに決定しております。

5【経営上の重要な契約等】

 

契約書名

新技術開発成果実施契約書

相手方名

独立行政法人科学技術振興機構(現、国立研究開発法人科学技術振興機構)

契約締結日

平成21年2月13日

契約期間

原権利(特許権)の消滅する日まで

主な契約内容

当社は、独立行政法人科学技術振興機構より「自動制御培養法を用いたヒト培養軟骨」に関する新技術に関する特許(特許出願を含む)等(以下「本開発成果」という)の実施許諾を受けてこれを実施し、当社はその対価として売上の一定割合を開発納付金として15年間、もしくは開発納付金の累計額が、独立行政法人科学技術振興機構が当社に支出した委託開発費の2倍(最大で9億9千万円)に達する時点まで支払う。独立行政法人科学技術振興機構は、開発成功の認定の日以降3年間は当社以外の者に本開発成果の実施を許諾しない。

(注)本契約は、独立行政法人科学技術振興機構と平成12年3月31日に締結した「新技術開発成果実施契約」にかかる本開発が、同機構のPO(プログラム・オフィサー)評価会議の審査を受け、平成20年2月に成功と認定されたことによるものです。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Michele De Luca

契約締結日

平成15年7月27日

契約期間

平成15年8月1日から平成17年7月31日まで(平成17年8月1日付、平成19年7月18日付、平成22年7月26日付、平成23年8月1日付 CONSULTING CONTRACTにより平成24年7月31日まで延長)

期間満了前にどちらかが解約の申し出を行わなければ1年毎の延長。

主な契約内容

Michele De Luca,M.D.が当社に対して、皮膚及び角膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がMichele De Luca,M.D.に対してその対価を支払う。

 

契約書名

CONSULTING CONTRACT

相手方名

Graziella Pellegrini

契約締結日

平成15年7月27日

契約期間

平成15年8月1日から平成17年7月31日まで(平成17年8月1日付、平成19年7月18日付、平成22年7月26日付、平成23年8月1日付CONSULTING CONTRACTにより平成24年7月31日まで延長)

期間満了前にどちらかが解約の申し出を行わなければ1年毎の延長。

主な契約内容

Graziella Pellegrini,Ph.D.が当社に対して、皮膚及び角膜、結膜の培養技術ならびに培養製品の品質管理等に関するアドバイスをし、当社がGraziella Pellegrini,Ph.D.に対してその対価を支払う。

 

契約書名

ADVISORY AGREEMENT

相手方名

Howard Green

契約締結日

平成20年5月14日

契約期間

平成20年5月1日から平成21年4月30日(平成21年4月30日付ADVISORY AGREEMENTにより平成22年4月30日まで延長。これ以降、どちらかが解約の申し出を行わなければ1年毎の自動延長。)

主な契約内容

Prof. Howard Green, M.D.が当社に対して、自家培養皮膚や次世代製品についての科学的及びビジネスに関するアドバイスをし、当社がProf. Howard Green, M.D.に対してその対価を支払う。

(注)本契約は、期間満了により平成27年4月30日をもって終了しました。

 

契約書名

共同研究開発基本契約書

相手方名

株式会社セルシード

契約締結日

平成21年10月30日

契約期間

平成21年10月30日から平成24年10月29日まで(契約締結日から3年間とする。ただし、期間満了の3か月前までに両者のいずれからも解約の意思表示のないときは、本基本契約は更に満1年間自動的に継続更新されるものとし、以後も同様とする。)

主な契約内容

株式会社セルシードと当社は、両社が保有する技術及びノウハウを活用し、次世代再生医療製品及びサービスならびにビジネスモデルを共同開発する。本基本契約に基づいて株式会社セルシードと当社が共同で取り組む研究開発テーマは、両社合意の上で別途個別共同研究開発契約をもって定める。

 

契約書名

業務提携に関する契約書

相手方名

富士フイルム株式会社

契約締結日

平成22年10月6日

主な契約内容

・両社の技術を活用した再生医療製品の開発及び事業化

・再生医療用材料の開発可能性及びその用途の探索。

・探索活動で具体化した用途の再生医療用材料及び製品の開発ならびにその事業化

・当社が開発する再生医療製品の海外事業展開、国内事業拡大に向けた富士フイルム株式会社による支援。

 

契約書名

開発委託基本契約書

相手方名

株式会社ニデック

契約締結日

平成23年1月31日

契約期間

本契約締結日より5年間(平成23年1月31日から平成28年1月30日まで)とする。ただし、本製品の製造販売承認が得られるまでは自動的に1年毎延長される。

主な契約内容

当社は、株式会社ニデックより、培養角膜上皮細胞シート(以下「本製品」という)に関する技術開発、薬事申請及びその他の関連業務を受託し、委託料の支払いを受ける。本製品の開発に基づく成果は、原則として株式会社ニデックに帰属するが、本製品の開発の過程で得られた技術等は、当社が本製品以外の製品に自由に使用できる。また、本製品に関する特許権や特許を受ける権利等は、当社と株式会社ニデックとの共有とする。

 

契約書名

個別共同研究開発契約書

相手方名

株式会社セルシード

契約締結日

平成23年1月31日

契約期間

本個別契約締結日より3年間(平成23年1月31日から平成26年1月30日まで)とする。ただし、当社が自家培養角膜上皮の治験計画届を提出するまでは自動的に延長される。

主な契約内容

本個別契約に基づいて株式会社セルシード(以下「甲」という)と当社(以下「乙」という)が共同で取り組み研究テーマは、乙が進めている「自家角膜上皮幹細胞を細胞源とする培養角膜上皮組織」の研究開発に対する細胞シート工学の応用とする。甲は乙に対し、培養角膜上皮組織の培養に用いる温度応答性培養器材(以下「本培養器材」という)の開発及び提供、本培養器材の関連データ及び情報の提供、細胞シート工学に関する技術、ノウハウ等の提供を行う。乙は甲に対し、本培養器材の評価、本培養器材を用いた培養角膜上皮組織の研究開発及び薬事申請、甲の担当作業に必要な各種データ及び情報の提供を行う。

(注)本契約は、治験計画届書の提出により、平成26年10月14日をもって終了しました。

 

 

 

契約書名

新株予約権割当契約書

相手方名

富士フイルム株式会社

契約締結日

平成26年3月28日

主な契約内容

当社は、富士フイルムに対して発行要項に定める新株予約権18,000個を割当て、富士フイルムはこれを引受ける。

新株予約権を行使できる期間は、平成26年4月1日から平成31年3月31日まで。

(注)本契約は、平成26年12月18日付で全ての新株予約権について権利行使されたことにより終了しました。

 

契約書名

業務委託基本契約

相手方名

富士フイルム株式会社

契約締結日

平成26年4月1日

契約期間

本契約締結日より5年間(平成26年4月1日から平成31年3月31日まで)とする。ただし、別途協議のうえ、期間を短縮又は延長できる。

主な契約内容

当社は、富士フイルムが開発した生体適合性に優れるコラーゲン(リコンビナントペプチド:RCP)等の材料及び技術を用いた再生医療製品について、製品開発へ向けた研究開発受託業務を行う。

 

契約書名

平成26年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業」に関する委託契約書

相手方名

経済産業省

契約締結日

平成26年6月27日

契約期間

平成27年3月31日まで

主な契約内容

薬事法に準じた一連の再生医療事業実現プロセス「臨床試験」、「製造工程合理化」、「製造販売後の使用成績調査」、「製造販売承認品目の適応拡大」について、それぞれ個別の製品事例をもとに検証する。

(注)本契約は、契約期間の満了により平成27年3月31日をもって終了しました。

 

契約書名

業務委託契約書

相手方名

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立大学法人大阪大学

契約締結日

平成26年9月30日

契約期間

平成27年3月31日まで

主な契約内容

NEDO及び当社は、「医療情報の高度利用による医療システムの研究開発」プロジェクトについて委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。

「角膜上皮細胞を用いた自家培養角膜上皮シートの研究開発」

自家培養角膜上皮の品質規格の決定、臨床試験実施プロトコールの完成など、自家培養角膜上皮の製品化を進める。

(注)本契約は、契約期間の満了により平成27年3月31日をもって終了しました。

 

なお、当報告書提出日現在において、以下の重要な契約を締結しております。

契約書名

業務委託契約書

相手方名

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)

契約締結日

平成27年4月1日

契約期間

平成28年3月31日まで

主な契約内容

AMED及び当社は、「医療情報の高度利用による医療システムの研究開発」プロジェクトについて委託契約を締結する。委託業務の題目は以下のとおり。

「角膜上皮細胞を用いた自家培養角膜上皮シートの研究開発」

自家培養角膜上皮の品質規格の決定、臨床試験実施プロトコールの完成など、自家培養角膜上皮の製品化を進める。

 

6【研究開発活動】

 当社は、ティッシュ・エンジニアリング(組織工学)を学術的基盤として、生きた細胞を用いた人工組織・臓器の開発に取り組み、再生医療の発展に貢献すべく活動しております。

 当事業年度における事業別の研究開発活動は以下のとおりであり、研究開発費の総額は389,829千円であります。

 

(1) 再生医療製品事業

①自家培養表皮ジェイス

 自家培養表皮ジェイスは、平成19年10月に、日本で最初の再生医療等製品として製造承認を取得し、平成21年1月より保険収載されました。当事業年度は、前事業年度に続き、製造販売後臨床試験の継続ならびに使用成績調査を実施しました。特に、使用成績調査調整委員会での検討を通じ、ジェイスの適正使用法のとりまとめを行い、関連学会での報告・啓蒙活動を積極的に行いました。加えて、ジェイス製造工程の合理化に関する生産技術開発活動を行うことで、生産コストの削減に取り組んでまいりました。

 さらに当社は、ジェイスの適応拡大として、表皮水疱症及び巨大色素性母斑の治療を目的とした治験を進めました。なお、巨大色素性母斑については、医師主導の治験を支援していたものを企業治験として引き継ぎ、承認取得を目指すよう取り組んでまいりました。

②自家培養軟骨ジャック

 自家培養軟骨ジャックは、整形外科領域における我が国初の再生医療等製品として、平成24年7月に厚生労働省より製造販売承認を取得しました。ジャックの適応は膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)とされています。さらにジャックは平成25年4月より保険収載されました。

 ジャック使用にあたっては、実施医療機関に対し「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当事業年度は、前事業年度に引き続き、医療機関及び実施医への研修を積極的に進めてまいりました。平成27年4月時点でジャックを使用できる医療機関(認定施設)は全国170施設に拡大し、全都道府県で使用可能になりました。当社は、今後も引き続き、ジャック使用認定施設の拡大に努めます。

③自家培養角膜上皮

 自家培養角膜上皮は、De Luca、Pellegrini両氏との契約及び株式会社セルシードとの「共同研究開発基本契約」(平成21年10月締結)のもと、開発を進めてまいりました。平成23年1月に製品仕様の一部を変更し、株式会社セルシードと協働しながら開発を進めています。当該事業年度におきましては、前臨床試験と各種バリデーション試験の結果をまとめ、平成26年10月に治験計画届書を医薬品医療機器総合機構に提出しました。平成26年11月に施行された医薬品医療機器等法のもとで治験を実施しています。

 なお、自家培養角膜上皮に関する研究開発業務は、株式会社ニデックからの委託を受けて実施しております。

 

(2) 研究開発支援事業

 当社は、再生医療製品事業における研究開発により蓄積された高度な細胞培養技術をもとに、平成17年に研究用ヒト培養組織であるラボサイト エピ・モデル、平成18年にラボサイト メラノ・モデル、平成22年に眼刺激性試験を実施するためのモデルであるラボサイト 角膜モデルを発売してまいりました。さらに、平成25年7月に、ラボサイト エピ・モデル24を用いた皮膚刺激性試験に関する試験法が、標準法の一つとして経済協力開発機構(OECD)の試験法ガイドラインTG439へ収載されました。同様にラボサイト角膜モデルでは、OECDが推進する眼刺激性試験の標準化を目指した共同研究を進めています。

 当事業年度におきましては、これら製品の販売促進を目的として、顧客ニーズをもとにした営業支援データを蓄積してまいりました。さらに、一連の研究成果を学会及び論文にて発表しております。なお、本事業は、当社が薬事法の規制外品目を含めた複数の事業を持つことで、再生医療関連製品における薬事承認審査の厳格化に備えたものであります。

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

 当事業年度末において、総資産は8,853,186千円(前期と比べ5,620,515千円増加)、負債は456,070千円(前期と比べ613,207千円減少)、純資産は8,397,115千円(前期と比べ6,233,722千円増加)となっており、有利子負債は26,644千円(前期と比べ535,447千円減少)となっております。

 当事業年度における資産、負債及び純資産の状態に関する分析は以下のとおりであります。

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は6,672,991千円となり、前事業年度末から4,759,098千円増加いたしました。この主な要因は、富士フイルム株式会社の新株予約権行使により現金及び預金の残高が増加したことによるものであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は2,155,765千円となり、前事業年度末から837,960千円増加いたしました。この主な要因は、生産設備増設の投資により建設仮勘定が増加したこと等によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は346,162千円となり、前事業年度末から195,278千円減少いたしました。この主な要因は、借入金を繰上返済したことによるものであります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は109,907千円となり、前事業年度末から417,928千円減少いたしました。この主な要因は、借入金を繰上返済したことによるものであります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は8,397,115千円となり、前事業年度末から6,233,722千円増加いたしました。この主な要因は、富士フイルム株式会社の新株予約権行使により、資本金及び資本準備金が増加したこと等によるものであります。

 

(2) 経営成績の分析

 当社は、再生医療製品事業と研究開発支援事業を行っております。再生医療製品事業については、自家培養表皮ジェイスにおいて主要な医療機関への販売促進に努めると同時に、重症熱傷治療におけるジェイスのより有用な使用方法について学会等を通じて啓蒙活動を行いました。これにより自家培養表皮による治療が医療現場において浸透してきました。自家培養軟骨ジャックは、平成25年4月より保険収載され、これに関し「施設基準」や「実施医基準」等の留意事項が付与されているため、当社は医療機関及び実施医への研修を積極的に進めました。自家培養角膜上皮は株式会社ニデックから受託開発収入を受けており、研究開発を進めました。研究開発支援事業については、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズの販売促進を積極的に進めました。

 こうした結果、当事業年度における売上高は、富士フイルム株式会社からの受託開発収入の発生等により、1,321,495千円(前期比31.1%増)となりましたが、人員補強による人件費の増加及びジャックの販売促進活動費用の増加等により営業損失は913,098千円(前期は1,025,433千円の営業損失)となりました。これに研究開発助成金の増加等で経常損失は686,687千円(前期は823,997千円の経常損失)となり、当期純損失は690,527千円(前期は827,837千円の当期純損失)となりました。

 経営成績は上記のとおりであり、継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスとなっておりますが、ジェイス及びジャックを中心とした売上高の増加を図り、営業キャッシュ・フローを改善していくよう努めてまいります。

 

(3) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、第2「事業の状況」1「業績等の概要」(2)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。

 





出典: 株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、2015-03-31 期 有価証券報告書