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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績 

 当連結会計年度(平成24年1月1日から平成24年12月31日まで)におけるわが国経済は、東日本大震災からの復興需要に支えられた個人消費に一定の回復基調がみられたこと、また第4四半期後半においては、わが国の政権交代及びこれに伴う金融緩和政策への将来的な期待からこれまでの行き過ぎた円高基調が是正されたこともあり、輸出企業を中心に株式市場も活況を呈するなど、長引いた景気低迷からの脱却に僅かながらの期待を感じさせる面も残しましたが、欧州債務危機や新興国経済における成長鈍化懸念など、先行きの不透明な景況感で推移いたしました。

 当社グループが属しております筆記具業界におきましても、国内市場では少子・高齢化や人口減少に拠る需要の低迷、価格競争の激化などによる厳しい市場環境にあったことに加え、海外市場においても世界経済の景気減速懸念や、長期に亘った歴史的な円高基調によって難しい状況で推移いたしました。

 このような経営環境の中、当社グループは「最高の品質こそ最大のサービス」という社是の原点に立ち返り、高付加価値で高品質な商品開発を行ってまいりました。筆記具を単に「書く/描くための道具」として捉えるのではなく、当社製品を手に取られたお客様に新たな価値や喜び・驚きをご提供できるような商品(もの)作りを行うこと、油性ボールペンの「ジェットストリーム」やシャープペンシルの「クルトガ」、そして筆記具の新たな楽しみ方をご提案した「スタイルフィット」などはいずれもこの想いを具現化した商品の一例でありますが、これらの商品は成熟したとされております筆記具市場にありながら幅広いお客様のご支持をいただくと同時に更なる品質改良や多機能化、カラーバリエーションの充実を図り、当連結会計年度においても新たな顧客層を開拓しながら着実に市場シェアを広げました。

 これらの活動の結果、当連結会計年度の売上高は505億84百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は61億21百万円(前年同期比4.5%減)、経常利益は65億25百万円(前年同期比0.3%減)、当期純利益は38億98百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

 セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業においては、「ジェットストリーム」、「クルトガ」、「スタイルフィット」といった当社の主力商品の販売が堅調に推移した一方で、記録的かつ長期に亘った円高による影響から売上高は478億65百万円(前年同期比0.6%減)となりました。粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業においても、積極的な販売活動に注力いたしましたが、両事業を取り巻く市場環境はいずれも厳しく、売上高は27億18百万円(前年同期比3.2%減)となりました。

 なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。 

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて27億17百万円増加し、208億81百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、主に税金等調整前当期純利益63億66百万円、減価償却費15億63百万円、法人税等の支払による支出24億52百万円、たな卸資産の増加による資金の減少8億35百万円及び仕入債務の減少による資金の減少3億82百万円により、合計で43億29百万円(前年同期比10億49百万円の収入の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は、主に固定資産の取得による支出11億52百万円で、合計で13億15百万円(前年同期比11億42百万円の支出の減少)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は、主に配当金の支払7億64百万円で、合計で8億1百万円(前年同期比17億73百万円の支出の減少)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成24年1月1日

至 平成24年12月31日)

前年同期比(%)

筆記具及び筆記具周辺商品事業

(百万円)

38,730

101.7

その他の事業

(百万円)

707

100.6

合計

(百万円)

39,437

101.6

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成24年1月1日

至 平成24年12月31日)

前年同期比(%)

筆記具及び筆記具周辺商品事業

(百万円)

47,865

99.4

その他の事業

(百万円)

2,718

96.8

合計

(百万円)

50,584

99.3

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成23年1月1日

至 平成23年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成24年1月1日

至 平成24年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

SANFORD CORPORATION

5,170

10.1

4,996

9.9

 

3【対処すべき課題】

(1)今後の課題について 

当社は明治20年(1887年)の創業以来、「最高の品質こそ最大のサービス」を社是に掲げて品質向上と技術革新に努めてまいりました。

付加価値が高く、高品質の筆記具をお客様にお届けすることは、この社是を具現化するための施策のひとつであり、そのための開発・生産体制・販売網の整備を従来以上のスピード感をもって行うことは当社グループにとっての最重要課題であると考えております。

当社グループを取り巻く筆記具市場は、ライフスタイルや価値観の多様化、環境に対する意識の高まりなどによりお客様が筆記具に求められる機能やデザイン、カラーといった商品仕様に加えて、使用方法や使用場面も日々変化し、また細分化しつつあります。国外に目を転じてみても、アジア諸国を中心とした新興市場においては、その経済発展に伴い今後も需要の増加が見込まれる一方で、商品や品質に対する選別の目はより一層厳しくなることが予想されます。このように国内にとどまらずグローバルに多様化する価値観やニーズに対してこれまで以上にないスピード感をもってお応えするのみならず、お客様が筆記具に対して潜在的に持たれている価値観や満足感を掘り起こして、新たな喜びや驚きを提供し続ける商品(もの)作りを行うことは、当社グループにおける最大の課題であり使命であると考えております。

また、アイライナーなどで多くの実績を残しております化粧品事業をはじめとした新規事業は、当社グループにおける長年の筆記具事業で培った技術や経験を活かしたものであります。今後も筆記具における最高レベルの技術という強みを発揮した新規事業にも積極的に取り組み、以って相乗的に両者の価値を向上していくこと、これらの事業活動を取り組むに際しては、コーポレートガバナンス体制及び財務報告の適正性を保つ内部統制体制の強化にも積極的に取り組んでゆくことが当社グループの企業価値の更なる向上に繋がると考えております。

  

(2)株式会社の支配に関する基本方針について

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)を以下の通り定めております。

①基本方針

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。そして、当社の企業価値の向上は、お客様が求める最高品質の筆記具を市場に提供すると共に、筆記具事業で培った技術を応用して新規事業を開拓し、その双方を結びつけ一体的な経営を行うことによって実現されるものであると考えています。

 当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案がなされた場合、その判断は最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社株式について大量買付けがなされた場合、それが当社の企業価値並びに株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量買付けの中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付けの内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が株主に対して代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との交渉を必要とするもの等、大量買付けの対象となる会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

 当社株式の大量買付けを行う者が、当社グループの財務及び事業の内容を理解するのは勿論のこと、上記の当社の企業価値の源泉を理解した上で、かかる企業価値の源泉を中長期的に確保し、向上させることができなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する当社株式の大量買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針を決定する者として不適切であり、このような者による当社株式の大量買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を講じることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。 

②基本方針の実現に資する取り組み

 当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして以下の施策を実施しております。

イ.中期3ヵ年経営計画策定

 当社は、平成25年1月より「更なる成長に向けたグループ全体での基盤づくり」を基本方針とする平成27年までの中期3ヵ年経営計画をスタートさせました。その重点方針として「創新により競争力を高める」、「付加価値を生み出すための基盤整備」、「競争に耐える体力づくり」の3つを掲げ、企業価値向上に取り組んでおります。

ロ.コーポレート・ガバナンスの強化

 当社は、透明性の高い公正な経営を実現すべく、取締役の任期を1年とし、かつ社外取締役を選任することにより経営に対する監視機能の強化を図っております。また、監査役につきましては、社外監査役2名を含む4名により監査役会を構成し、取締役の職務執行の監査を行っております。当社は、このように、社外取締役と社外監査役による当社経営に対する監督・監視機能の充実を図り、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図っております。

③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み

 当社は、平成25年2月15日開催の当社取締役会において、株主の皆様の承認を条件として、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)を一部改定の上で更新することを決議し、同年3月28日開催の第138回定時株主総会(以下、「本定時株主総会」といいます。)において、当該対応策を導入することの承認を得ております(以下、改定後の当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)を「本プラン」といいます。)。

 なお、当社は、平成22年2月15日開催の当社取締役会において、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)(以下、「旧プラン」といいます。)の改定導入を決議し、旧プランは、同年3月26日開催の第135回定時株主総会において株主の皆様にご承認をいただいてまいりましたが、本定時株主総会終結の時をもって有効期間の満了により失効いたしました。

 また、本プランの基本的内容は旧プランと同一ですが、旧プランから本プランへの主な改定内容としては、以下の点が挙げられます。

・本プランの適用対象となる買付等の概念を整理し、明確化いたしました。

・本プランに基づく対抗措置として、新株予約権の無償割当てを選択する場合、新株予約権の目的である株式の数 

 を1株に限定しない形とする等の見直しをいたしました。

 

 本プランは、本プランの適用対象となる買付等が行われる場合に、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報や時間を確保すると共に、買収者との交渉の機会を確保すること等により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させることを目的として、必要な手続を定めております。買収者は、本プランに係る手続に従い、当社取締役会又は当社株主総会において本プランを発動しない旨が決定された場合に、当該決定時以降に限り当社株券等の大量買付けを行うことができるものとされています。

 買収者が本プランに定められた手続に従わない場合や当社株券等の大量買付けが当社の企業価値・株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プラン所定の発動要件を満たす場合には、当社は、買収者等による権利行使は原則として認められないとの行使条件及び当社が買収者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てる等の方法により対抗措置を実施いたします。

 当社は、本プランに従った新株予約権の無償割当てその他法令及び当社定款において認められる対抗措置の実施、不実施又は中止等の判断については、取締役の恣意的判断を排するため、当社経営陣から独立した社外取締役等のみから構成される独立委員会を設置し、その客観的な判断を経るものとしつつ、取締役会においても慎重な判断を行うものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、本プラン所定の発動要件を満たす場合には、株主総会を開催し、新株予約権の無償割当てその他法令及び当社定款において認められる対抗措置の実施に関する株主の皆様の意思を確認することがあります。

 なお、本プランの有効期間は、本定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとしております。

④具体的取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由

 当社の中期3ヵ年経営計画をはじめとする企業価値向上のための取り組みやコーポレート・ガバナンスの強化といった各施策は、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに基本方針の実現に資するものです。従って、これらの各施策は、基本方針に沿い、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 本プランは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるための枠組みであり、同じく基本方針に沿うものです。また、本プランは経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則を全て充足していること、本プランは、本定時株主総会において株主の皆様の承認を得たうえ更新されるものであること、当社の業務執行を行う経営陣から独立した社外取締役等のみから構成される独立委員会が設置されており、本プランの発動に際しては独立委員会による勧告を経ることが必要とされていること、本プランの内容として発動に関する合理的かつ客観的な要件が設定されていること、有効期間が約3年間と定められた上、株主総会又は取締役会によりいつでも廃止できるとされていること、さらに、当社取締役の任期は1年とされていること等により、その公正性・客観性が担保されており、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。  

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

①為替等のリスク

 当社グループの当連結会計年度の売上高に占める米国、アジア、欧州、中近東、オセアニアなど海外市場に対する売上高は40.0%であります。これらの国々との取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、為替の変動リスクを負っております。これらの取引では先物為替予約などによるヘッジ策を講じておりますが、それにより完全に為替リスクが回避される保障はありません。また、当社は海外にも生産及び販売子会社を擁しており、これらの海外子会社の経営環境の変化や為替相場の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

②カントリーリスク

当社グループは、米国、アジア、欧州、中近東、オセアニアなど世界各国において販売事業を、アジアにおいて製造事業を展開しております。当社グループでは、これらの国のカントリーリスクを事前に調査、察知して対処するよう努力しておりますが、予測できない政治的・経済的、あるいは租税制度、法律、規制などの急激な変動、テロ・戦争の勃発、さらには、地震・台風・洪水・感染症などの自然災害による社会混乱は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

③新製品開発

 当社グループの主たる事業である筆記具の市場におきましては、新製品の開発、発売が当社グループの将来の成長を支える大きな要因であると考えており、付加価値の高い魅力的な新製品を継続的に開発する体制を整えております。しかしながら、今後ますます市場のニーズは多様化し、商品サイクルが短縮化することが予想され、市場ニーズにあった魅力的な新製品をタイムリーに開発、発売することができない場合には、将来の成長性と収益性に影響を与える可能性があります。

④資産の減損

 当社グループでは筆記具の生産のための設備を保有しておりますが、急激な売上げの減少などで生産数量が大幅に減少した場合にはこれらの有形固定資産の収益性が悪化いたします。また、当社では時価のある有価証券を保有しておりますが、株式相場が大幅に下落した場合には、明らかに回復見込みがある場合を除いて減損処理を行う必要があります。これら資産の減損処理は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑤情報システム

 当社グループは、重要な情報の紛失、誤用改ざん等を防止するため、情報システムに対して適切なセキュリティを実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや情報機器の欠陥、停止、一時的な混乱、内部情報の紛失、改ざんなどのリスクがあります。このような事象が事業活動に支障をきたした場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑥たな卸資産

 当社グループでは、「たな卸資産の評価に関する会計基準」を適用しており、販売目的のたな卸資産の収益性を期末において評価し、収益性が低下していると判断される場合には評価損を計上することになります。このため、当社グループのたな卸資産について、市場環境の急激な変化や消費者ニーズの変化により収益性が低下していると判断し評価損を計上する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑦原材料等の調達

 当社グループは、主な原材料として原油価格の影響を強く受ける樹脂材、需給バランスに加えて原産地国の資源政策、環境政策の影響を受ける金属材や板材を使用しております。これらの原材料が予期せぬ経済的あるいは政治的な事情により、予定していた単価で安定的に調達できなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑧法規制

当社グループが行っている事業は、国内外の関連法規制を受け、その規制内容には保安安全に係るもの、環境や化学物質に係るもの、その他事業活動に関するものなど様々なものがあります。当社グループは、これらの法規制を遵守し、種々の事業活動を行っておりますが、将来的に法規制の大幅な変更や規制強化が行われた場合は、当社グループの活動の制限やコストの増加につながり、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

⑨自然災害

 当社グループは、東京に本社機能を持ち、神奈川県、群馬県及び山形県に主要な生産及び研究拠点があります。当該地域において首都圏直下型地震のような巨大地震及びこれに伴う津波などの大規模自然災害が発生した場合、本社機能の麻痺や生産及び研究活動が停止する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は、「最高の品質こそ最大のサービス」の基本理念のもと、筆記具及びその周辺商品等における新製品の開発と品質向上、安全性の確保、環境問題への対応を目的としております。また筆記具以外の分野にもこれらの成果を広く応用展開することも積極的に進めております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費は27億3百万円でした。このうち26億67百万円は筆記具及び筆記具周辺商品事業に係るものであります。以下は筆記具及び筆記具周辺商品の主な研究開発活動及び成果であります。

(1) 筆記具事業

① 油性ボールペン『ジェットストリーム』より、カラーインクを8色発売しました。

 ジェットストリームは超・低摩擦インクを搭載した油性ボールペンで、なめらかな筆記性を実感できるということで好評を頂いております。今回は、学生を中心にノートの色分けなどに使うカラーインクでなめらかな書き味を好むユーザーに対して、新たにカラーインクを開発しました。

② 工業用『水性ペイントマーカー』を発売しました。

 ペイントマーカーの大半は工業用途として使用されているため、インクを水性化し、環境や作業者への健康に配慮した『水性ペイントマーカー』を開発いたしました。金属・ゴム・プラスチックにも鮮やかに発色し、耐水性、固着性もあり、油性ペイントマーカーと同様の描線性能を実現しています。インクを水性化することで、従来品の油性ペイントマーカーよりVOC含有量を約89%削減しました。また、軸には金属部品を一切使用していないため、使用後はプラスチックごみとして分別せずに廃棄可能です。

③ ブラックボードマーカー『ブラックボードポスカ』を発売しました。

 飲食店を中心に、店頭POPとしてブラックボードを利用している店舗が増えています。従来より発売している『ポスカ』でもブラックボードへの筆記は可能ですが、ポスカの持つ耐水性により簡単に消すことができませんでした。そこで「鮮やかな発色。濃い色の上にも書くことができる」という『ポスカ』の特長をそのままに、水ぶきで消すことができるインクを開発いたしました。開発したインクは、耐水性、固着性は従来の『ポスカ』の性能を維持しており、「こすれに強い」「水・雨に流れにくい」という特長を併せ持っています。 

④ 芯が回ってトガり続けるシャープ「クルトガ」で使用すると、トガりやすくなめらかに書ける芯『クルトガ

 替芯』を発売しました。

 従来の芯は、外側が硬く、内側がやわらかい構造になっておりました。それに対してクルトガ替芯は独自の新製法により、芯の内側が硬く、外側がやわらかい構造を作り出しております。

 その為、内側は削れにくく、外側は削れやすいので、トガりやすく、しかもなめらかに書くことができます。また、芯先が円すい形にトガるため、紙に引っかかりにくく、折れにくい機能を実現しました。

 

(2) 筆記具周辺商品事業

 ① 化粧品部門

 筆記具のインク流出機構設計を応用し、お客様の使い勝手の良い化粧品容器の開発を行っております。また、アイライナー、ネイル、リップ、染毛料や化粧鉛筆についても、筆記具で培った超微粒子顔料分散技術、インク配合技術や鉛筆製造技術を応用することにより国内・海外の化粧品業界から高い評価を受けております。

② カーボン事業

 シャープ芯の研究から生まれた当社独自のカーボン製造技術であるPFCT(Plastic Formed Carbon Technology)による機能性炭素材は広い分野で高い評価を得ております。

 高性能スピーカー用振動板、各種センサー用の電極材料、高潤滑特性を生かした摺動部材などの実績を始め、携帯電話やタブレットPC等の電気製品のパーツとしての展開で、更なる成長に大きな期待がもたれております。 

③ その他

 筆記具用インクの無水染色技術への開発展開は、環境を配慮した染色方法と新たな可能性を秘めた技術として注目を集めています。また当社の保有する顔料分散技術を用いて、その他応用分野への展開も積極的に進めています。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、当社グループは、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っており、継続して評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性のために、これら見積りと異なる場合があります。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 個人消費に一定の回復基調がみられたものの、世界経済の成長鈍化懸念や長期に亘る歴史的円高により売上高は前連結会計年度に比べて3億71百万円減少し505億84百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

② 営業利益 

 グループ全体でさらなるコスト削減に努める一方で、必要な販売促進策を実施した結果、営業利益は前連結会計年度に比べて2億90百万円減少し61億21百万円(前年同期比4.5%減)となりました。

③ 営業外損益

 営業外収益は前連結会計年度に比べて34百万円増加し5億29百万円となりました。また営業外費用は、前連結会計年度1億99百万円あった為替差損が発生せず、前連結会計年度に比べて2億38百万円減少し1億25百万円となりました。

④ 特別損益

 特別利益は、前連結会計年度に81百万円あった固定資産売却益が3百万円しか発生しなかったこと等により、前連結会計年度に比べて94百万円減少し24百万円となりました。特別損失は投資有価証券評価損が発生しなかったこと等により前連結会計年度に比べて1億90百万円減少し1億83百万円となりました。

⑤ 当期純利益

 当期純利益は税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べて78百万円増加し、法人税、住民税及び事業税、ならびに法人税等調整額の合計額が前連結会計年度に比べて2億16百万円増加した事により前連結会計年度に比べて1億37百万円減少し38億98百万円(前年同期比3.4%減)となりました。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産、負債及び純資産の状況

 当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。

 資産は、有形固定資産が減少したものの、たな卸資産や、現金及び預金が増加したことにより前連結会計年度末に比べて52億59百万円増加し700億27百万円となりました。

 負債は、支払手形及び買掛金は減少したものの、短期借入金、未払法人税等が増加し、前連結会計年度末に比べて7億82百万円増加し188億48百万円となりました。

 純資産は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて44億77百万円増加し511億79百万円となりました。

 ② キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2[事業の状況]1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローに記載のとおりであります。

 





出典: 三菱鉛筆株式会社、2012-12-31 期 有価証券報告書