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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度(平成28年1月〜12月)における我が国経済は、海外経済の減速や為替変動の影響が成長率を下押しする一方、公的需要の増加や個人消費の底入れに支えられ、緩やかな回復基調で推移したものの、中国経済、英国のEU離脱問題、米国のトランプ政権の決定の影響など、先行きの不透明感がさらに拡大しました。

このような経営環境の中、当社グループでは『クリーン、ヘルス、セーフティ』の3市場に対する戦略商品の普及、及び新規物件の受注活動を継続して行った結果、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。

売上高は79億36百万円(前連結会計年度比1.9%増)となり、利益については、海外生産子会社の本格稼働及び全社を挙げた業務効率化なども寄与し、営業利益6億34百万円(同20.5%増)、経常利益5億54百万円(同23.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3億88百万円(同63.3%増)となりました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

セグメント別の業績は以下の通りです。

 

(マスク関連事業)

製造業向けを中心とした産業用の防じん・防毒マスクの販売は予想以上に堅調で推移しました。また前年度末からリフラクトリーセラミックファイバー対策用などで需要が急増した電動ファン付き呼吸用保護具「BL」シリーズの販売が、売上高を押し上げました。また使い捨て式マスクについても、医療用、一般用(中国向け含む)の需要増加に対応し売上を伸ばしました。その結果、当事業の売上高は71億12百万円(同2.2%増)となりました。

 

(その他事業/環境関連事業等を含む)

 オープンクリーンシステム「KOACH」の販売は『アクチュアルクリーン(実際の作業時の清浄度)』を訴求する営業活動を代理店、販売店と協働して行った結果、ベンチ型の「スタンドコーチ」の民間企業での新規・リピート採用の増加などで、販売件数は前年度を上回りましたが、売上高については、前年度に納入したルーム型の大型物件(重力波望遠鏡施設かぐら)の反動減を補うまでには至らず、当事業の売上高は8億24百万円(同0.4%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、19億99百万円となり、前連結会計年度末と比較して2億21百万円増加いたしました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は8億30百万円(前連結会計年度は7億7百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が5億54百万円となったことと、減価償却費4億35百万円及びたな卸資産の増加額2億74百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は2億45百万円(前連結会計年度は12億17百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2億98百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3億53百万円(前連結会計年度は3億82百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入による収入13億円、長期借入金の返済による支出13億89百万円及び配当金の支払額1億26百万円等によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

8,517,565

119.8

その他事業(千円)

862,558

103.7

合計(千円)

9,380,123

118.1

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

7,112,701

102.2

その他事業(千円)

824,008

99.6

合計(千円)

7,936,710

101.9

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ミドリ安全用品㈱

1,408,949

18.1

1,451,942

18.3

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

当社グループは、企業価値のさらなる向上と持続的な発展・成長を実現するために、3つの経営理念①「人を育てる」、②「技術を育てる」、③「クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる」を掲げ、それを長期的な課題として取り組んでおります。

 

①人を育てる

「社員の生きがいと企業の存続を両立させてこそ企業としての存在価値がある」、「社員の幸福や生きがいは、雇用された社員の尊厳が、企業の活動の中にも存在していることが重要」との考えのもと、当社グループは人事管理制度 興研トータル人事システム「HOPES(ホープス)」を確立し、20年以上に亘って運用して参りました。

この制度は、専門能力、業務実績達成能力、管理能力をそれぞれ別の能力と見て、社員一人ひとりを3つの角度から独立して評価・運用した多様性を受容する人事システムです。この制度を礎に、社員自らが研鑚を重ね、各分野を支える担い手に成長し、当社オリジナルの成果を実現して社会に貢献して参りました。

当社グループは、この「HOPES」を不変の柱として、多様な人材の活用と成長を図って参ります。

 

②技術を育てる

当社グループが創業以来、守り続けてきた「他社に追随しない」「徹底的に研究する」という研究開発の理念を技術開発員一人ひとりに徹底・浸透させるため、マトリクス型の研究開発体制や人事評価として技術専門能力を高めるマイスター制度、全技術開発者と全取締役参加による月例研究発表会などの仕組みを作り、運用しています。その結果、オンリーワン、ナンバーワン製品が次々と生まれ、特許、意匠、商標、先使用権を合わせた知財保有件数は、平成28年末現在、国内166件、海外80件となっています。

当社グループは、『クリーン、ヘルス、セーフティ』各分野の事業拡大・発展に資する先進技術を生み出す研究開発拠点として「飯能先進技術センター」の建設を決定いたしました。竣工は平成30年を予定しており、同センターから新たな技術革新が始まります。

 

③クリーン、ヘルス、セーフティの分野で新市場を育てる

当社グループは、独自技術による様々なソリューションを提供することで、新しい市場を創造・育成し、各分野の課題解決を図ります。

 

<クリーン> クリーン分野における標準技術になることを目指します

オープンクリーンシステム「KOACH」は、全く世界になかった概念でスーパークリーンを作り出す画期的な製品です。当社グループでは、「KOACH」が作り出すスーパークリーン(世界最高水準の清浄度)とアクチュアルクリーン(実際の作業時の清浄度)でクリーン環境の常識を覆し、技術革新に貢献します。

また、当分野の新しい事業としてオカモト株式会社と共同開発したクリーンルーム用手袋「ピュアネスゼロワン」の販売を開始します。同製品は、世界最高レベルの環境から誕生した手袋として、当社グループのクリーン事業のワンストップソリューションの推進だけでなく、現在進めている啓発活動「アクチュアルクリーン」に大いに役立つ商材であります。

 

<ヘルス> 課題の解決と新事業の展開を図ります

使い捨て式マスク「ハイラック」シリーズは、フィット性能の高さが認められ、感染対策用としてシェアの拡大が続いていますが、今後さらに確固たる地位を築くため、フィッティング測定サービスを活用したフィットの重要性の啓発活動などを行い、安定的拡大を図って参ります。

確実な洗浄消毒と低ランニングコストを実現する全自動内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍」は既存顧客の高い評価を後ろ盾とした営業を継続し、着実な受注に結び付けます。

高い抗菌作用、防カビ性、抗ウイルス性を持ち合わせながら、生体安全性が高く、環境にも優しい銅系抗菌剤「イマディーズ」については、市場拡大のための課題解決を図りながら、大きな柱に育てるべく挑戦を続けて参ります。

 

<セーフティ> 真に役立つ活動を行って参ります

「マスクはフィットしていなければ、役に立たない」ことを認知して頂くための活動を続け、シリコーン面体マスク、フリーフィットリップ付き使い捨て式マスク、フィットチェッカー内蔵マスクなど、フィット性及び防護性を高める機能を付加した製品を国内外に普及させて参ります。

安全性や快適性の高さから“理想のマスク”“究極のマスク”と呼ばれる電動ファン付き呼吸用保護具「BL」シリーズを、過酷な作業環境や高齢者が多い職場用として、その作業負担を軽減するべく、より一層の普及に努めます。

また、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、火山噴火、地震などによるパンデミックやエマージェンシー対策としてのマスクの必要性を関係機関に訴え、備蓄、装着訓練の実施を推奨して参ります。

4【事業等のリスク】

当社グループの事業、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書の提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

①研究開発について

当社グループは、研究開発型企業として『クリーン、ヘルス、セーフティ』に係わる革新性の高い製品を市場に供給することを目的に経営資源を投入しておりますが、研究開発の全てが、新製品の開発や営業収益の増加に結びつくとは限らず、また、諸事情により研究開発を中止せざるを得なくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはオリジナリティの高い技術をベースとした製品開発について、必要な知的財産の保護手続きを行い既に特許等も多数保有しておりますが、その独自の技術を法的制限のみで完全に保護することには限界があり、第三者が当社の知的財産を用いた模倣品や類似品の製造、販売を防止できない可能性があります。そうした事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②法的規制について

当社グループの事業は、「労働安全衛生法」「医薬品医療機器等法」「製造物責任法」等の様々な法規制に関連しており、これら法規制を遵守すべくコンプライアンス体制並びに内部統制の強化に努めて参ります。

万一、これら法規制に適合しない事象が発生した場合、製品の回収に加え当社グループが進めている事業に制限が出る可能性があります。また、新たな法規の制定や改正がなされた場合は、設備投資等の新たな費用が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③品質保証・品質管理について

当社グループの製品は、過酷な環境下での使用が想定されることに加え、使用者の安全と健康を守るという目的から、より高い耐久性、信頼性が求められます。当社グループは、社長直轄の品質に関わる独立した部門である品質保証室を設置するとともに、ISO 9001に基づく品質マネジメントシステムを構築及び維持することにより、万全な品質保証体制を取っています。そして品質保証室は、各テクノヤード(製造拠点)に製品検査員を配置し、テクノヤードの製造工程、検査工程の監視を行っております。当然のことながら各テクノヤードは、日本工業規格、厚生労働省国家検定規格及び当社独自の厳格な品質保証・品質管理基準による製品の製造を行っております。

以上、万全な品質保証・品質管理体制を維持、強化しておりますが、万一、厚生労働省の呼吸用保護具買取り試験による不適合の指摘を予期せぬ要因で受けたり、製品の欠陥及び故障が発生したりした場合は、回収、修理費用等の負担などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④災害及び感染症等について

社グループの製造拠点であるテクノヤードでは、従前より地震リスクの調査を受診し、その結果に基づいた事業継続計画を実行し、震災時においても混乱なく生産が再開できる体制を整えております。しかしながら、拠点近辺を震源地とする直下型の大地震や自然災害、その他予期せぬ事故及び新型インフルエンザ等の感染症の拡大によって、生産活動の停止等、事業活動の継続に支障をきたす事象が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、感染症対策として自社製の感染対策用マスクを従業員全員へ配布し着用を奨励するとともに、各事業所での備蓄も行っております。

 

⑤環境問題について

当社グループの研究所とテクノヤードの計2ヶ所において、これまでに発生したトリクロロエチレンによる土壌・地下水汚染の浄化対策を継続的に実施しておりますが、浄化が完了する時期の想定が現在の段階では難しく、浄化対策が長期間を要した場合、その対策に関わる費用は当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥情報セキュリティについて

当社グループは、事業遂行に関連して、技術、営業、その他、事業に関する機密情報を多数有しております。情報管理には万全を期しておりますが、予期せぬ事態により情報が流出した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦内部統制について

当社グループは、業務の有効性及び効率性、財務報告の信頼性、事業活動に係る法令等の遵守並びに資産の保全という観点から内部統制システムの充実に努めております。しかしながら、内部統制システムには一定の限界があり、構築した内部統制システムにおいて想定する範囲外の事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧海外子会社について

生産子会社としてタイに設立したSIAM  KOKEN LTD.は、順調なマスク製造を続け、当社グループの利益拡大に寄与し始めておりますが、タイに関する政治・社会情勢及び法規制や為替動向などによって予測し得ない事態が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、当社グループの事業領域である『クリーン、ヘルス、セーフティ』に対し、自由で独創的な技術開発とその多面的応用を目指して活動しております。そして未来技術の基礎開発・応用開発にプロジェクトチームを含めマトリックス型の研究体制を敷いております。なお、研究開発担当人員は74名、当連結会計年度の研究開発費は、総額5億56百万円であります。

 当連結会計年度中の主な開発製品は以下の通りです。

 

◇原子力災害対策用防毒マスク「サカヰ式1521HGN型」(国家検定合格 第TN522号)

 放射性物質対策用防じんマスク「サカヰ式1521HN型」(国家検定合格 第TM669号)

 原子力発電所などで働く作業者は、内部被ばくを防止するため多くの現場で高性能な全面形マスクを使用します。この全面形マスク装着時の負担を軽減するためのマスクを開発いたしました。

 

<主な特長>

原子力災害対策用吸収缶(ヨウ化メチル用吸収缶)「サカヰ式RDG-2HP型」または高性能ダストフィルタ「サカヰ式RD-6型」を付けて呼吸を保護します。

・ネットハーネスを使用することで、頭部への圧迫感を低減するとともに、締め紐に触れず簡単にマスクの取り外しができるようにしました。

・接顔部は、肌触りの良いシリコーンゴム製で、柔らかな装着感によって顔やあごへの負担を軽減します。

・汗抜き口を接顔部に配置し、効果的にマスク外へ排出します。

・防護服とマスクを養生しやすいホルダー回転構造です。

 

◇一般消費者用マスク「ハイラックNeo KIDS」シリーズ

 「ハイラック Neo KIDS」シリーズは、「ハイラックKIDS」シリーズに「ハイラック Neo」シリーズで好評の“FFリップ−u(マスク内側の接顔クッション)を採用したことで、従来品よりさらにソフトな感触と安定したフィットが得られるようになりました。この製品化により「ハイラック Neo」シリーズは、大人用から子ども用までのラインナップが揃いました。

 

 <主な特長>

・ハイラックNeo KIDS

長さ調節が可能な耳かけひもやマスクの内側が顔になじみやすい立体構造の接顔クッションFFリップ−uを採用することで、簡単に装着でき、フィットを良好に保ちます。産業用、医療用で幅広く使用されている「ハイラック350型」と同等の高性能フィルタを使用し、ウイルス、細菌、PM2.5等の侵入を防ぎます。以下の2品種もこれらハイラックNeo KIDSの特長を備えています。

 

・ハイラックNeo KIDS かからんぞ

付属した排気弁がマスク内のムレを抑えて、呼吸を楽にします。

 

・ハイラックNeo KIDS うつさんぞ

感染症患者専用のマスクです。吐いた息に含まれるウイルスや細菌等をフィルタでろ過し、マスク外に拡散させません。息を吸う時は、吸気口を介して行う構造のため、楽に呼吸ができます。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

(2) 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、165億4百万円となり前連結会計年度末162億94百万円に比べ2億9百万円増加いたしました。その主な要因は、流動資産が受取手形及び売掛金が減少した一方、現金及び預金、商品及び製品が増加したこと等により3億57百万円増加したこと、固定資産が減価償却の実施等により1億47百万円減少したことによるものであります

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、75億円となり前連結会計年度末74億3百万円に比べ96百万円増加いたしました。その主な要因は、流動負債が賞与引当金の増加等により95百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、90億4百万円となり前連結会計年度末88億91百万円に比べ1億12百万円増加いたしました。その主な要因は、利益剰余金が2億61百万円増加したことによるものです。その結果、自己資本比率は54.2%(前連結会計年度末54.2%)となりました。

 

(3) 経営成績の分析

 当連結会計年度における経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」をご参照下さい。

 

(4) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。





出典: 興研株式会社、2016-12-31 期 有価証券報告書