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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度のわが国経済は、政府の経済政策や日銀の強力な金融緩和政策を背景にして、大企業を中心に大筋では緩やかな回復基調を維持しましたが、消費税率の引き上げなどで景気の落ち込みが予想以上に長引いているうえ、円安基調下で輸入原材料価格が原油を除いて全体的に上昇し、更には新興国経済の減速懸念や中東等での地政学的リスクなど、わが国経済への下押し圧力も高まったため、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました

 こうした状況下、当社グループは引き続きスピーディな経営判断を心がけ、グローバルな視点から、当社グループの生産・販売体制の連携強化と効率化、更には付加価値向上に役立つ新規開発製品の迅速かつ継続的な市場投入にも注力してまいりました

 とりわけ、当社グループの急務な課題である連結業績の早期改善を着実に実施していくため、事業の重点化と他社との差別化を通して当社グループの特長をより生かした経営を行うべく、グループ事業の再構築について鋭意検討を進めてまいりました。

 特に、当初の販売計画からの大幅な遅れで投資負担の重さと生産コストの高止まりが続き、その結果当社の連結業績を大きく悪化させてきた製造子会社ソマテック株式会社の事業につきましては、多面的な観点から慎重な検討を重ねた結果、当該子会社が目指した対象市場の変化の速さや競争激化の状況に鑑み、当該子会社の業績改善が極めて困難と判断し、当該子会社を平成26年12月31日をもって解散させ、当該子会社の事業から撤退いたしました。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高は238億9千2百万円(前年同期比1.5%増)と若干の増収となりましたが、損益面では、営業損失が2億8千7百万円(前年同期は営業損失10億4千万円)、経常損失が3億5千万円(前年同期は経常損失9億8千7百万円)となり、更に、ソマテック株式会社の事業撤退損25億6千1百万円を特別損失に計上したことなどで、当期純損失が27億5千9百万円(前年同期は当期純損失16億1百万円)となりました

 これまで当社の連結業績の足かせとなってきたソマテック株式会社の事業からは撤退したことで、今後は当社の得意としてきた業界や市場で、当社の特長ある差別化製商品や情報をベースにグローバルな拡販体制や市場の深耕を一段と推進し、早期の業績改善を図ってまいります。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

 [高機能材料事業]

 高機能材料事業では、自動車業界が国内市場では消費税率引き上げの影響で低迷したものの海外市場では比較的堅調に推移したこと、更には、当社グループのグローバルな営業活動が進展したことで、関係する高機能樹脂製品の販売が増加しました。また、スマートフォンなど成長携帯機器向け分野では、コーティング製品の販売が前年同期の落ち込みレベルから回復して販売が増加しました。一方、回路基板材料などは海外安価品の台頭で市場での競争が強まり販売が減少しました。また、その他の電子機器や家電製品向け分野では、需要がまだら模様で推移し、関係製商品の販売もその影響を強く受けました。その結果、当事業全体の売上高は168億9千9百万円(前年同期比4.1%増)となりましたが、ソマテック株式会社の大きな事業コストが当年度の第3四半期まで続いたことで、営業損失が1億4千3百万円(前年同期は営業損失9億2千9百万円)となりました

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

コーティング製品

スマートフォンやタブレットPCなどの携帯機器向け販売が前年同期の落ち込みレベルから回復し、海外での拡販も加わって、11.5%の増収となりました

高機能樹脂製品

自動車部品業界向け販売が、懸念した消費税率引き上げの反動減も軽微で済み、グローバルな生産供給体制下で拡販も進展して、17.1%増と伸長しました

電子材料

スマートフォン向け回路基板材料の販売が安価な海外品の台頭で落ち込み、その他の電子材料も競合が進んで低迷したため、5.4%の減収となりました

機能性樹脂

家電関連の主要顧客が海外生産へとシフトして、国内での関連樹脂需要が漸減している中で、販路の拡大と拡販に鋭意努め、1.0%の増収となりました

 

 

 [環境材料事業]

 環境材料事業の主要顧客である製紙業界では、円安基調下で輸入原燃料価格が高止まりし、加えて消費税率引き上げの影響などによる消費マインドの落ち込みで紙の国内需要も低迷したため、業界全体として厳しい状況が続きました。かかる市場環境下にあって、当社グループの販売におきましても競合他社との競争が激化するなど厳しさが一段と増しました。当社グループは、製紙各社が中国をはじめとする新興海外諸国へとその軸足をシフトさせている状況に合わせ、国内市場はもとより、中国や東南アジアの新興市場に対しても、当社の特長ある差別化製商品を主体に、引き続き、きめ細かなマーケティングと拡販に努めてまいりました。その結果、当事業全体の売上高は57億6千万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は3千2百万円(前年同期比8.3%増)となりました

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

ファインケミカルズ

特長ある当社の製紙ケミカルズ製品への高い評価が定着してきた一方で、製紙各社の減産やコスト意識の高まりも影響して、3.4%の減収となりました

製紙用化学品

消費税率引き上げの影響で塗工紙減産や競合が進み、主力の塗工用バインダーが減少したため、新商材は進展したものの、4.1%の減収となりました

 

 [その他の事業]

 その他の事業の主体をなす食品材料では、消費税率引き上げの影響などで全体的に消費マインドが落ち込んだ影響で、販売の低迷が続きました。なかでも、天然増粘安定剤の主力商品では、一昨年度の供給タイトな状況下で起こった価格の異常な高騰の影響がまだ残存していることや、それに代わる安価な競合品の参入などもあって、増粘安定剤の販売が前年同期との比較では減少となりました。その一方で、乾燥野菜や新たな商材の販売では、円安下での厳しい市場環境のなかで、顧客への積極的な営業活動で拡販が進み販売が増加しました。その結果、当事業全体の売上高は12億3千2百万円(前年同期比5.6%減)、営業利益は1億3千7百万円(前年同期比19.3%減)となりました

 

(2)キャッシュ・フロー

   当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、43億6千9百万円となり、前連結会計年度末と比較して9千1百万円の増加となりました。

    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

    営業活動によるキャッシュ・フローは、8千万円の資金減少(前連結会計年度は4億2千9百万円の資金減少)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純損失を29億2千8百万円計上したこと、事業撤退損を25億6千1百万円計上したこと、減価償却費を7億6千6百万円計上したこと、たな卸資産が2億5千2百万円減少したこと、売上債権が2億5千1百万円増加したこと、補助金等の返還を2億6百万円実行したこと、及び退職給付に係る資産が1億4千8百万円増加したことによるものです。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

    投資活動によるキャッシュ・フローは、1億4千7百万円の資金減少(前連結会計年度は6億6千3百万円の資金減少)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得として4億7百万円支出したこと、及び投資有価証券の売却による収入を2億7千8百万円計上したことによるものです。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

    財務活動によるキャッシュ・フローは、1億1百万円の資金減少(前連結会計年度は1億9千6百万円の資金減少)となりました。その主な要因は、長期借入金の借入れを70億円実行したこと、長期借入金の返済により67億円支出したこと、短期借入金の返済により9億円支出したこと、及び短期借入金の借入れを5億円実行したことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

5,897,380

101.1

環境材料事業(千円)

904,556

91.4

報告セグメント計(千円)

6,801,937

99.7

その他の事業(千円)

合計(千円)

6,801,937

99.7

 (注)1.金額は製造原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

8,967,535

95.4

環境材料事業(千円)

4,378,844

95.4

報告セグメント計(千円)

13,346,380

95.4

その他の事業(千円)

1,057,088

109.5

合計(千円)

14,403,469

96.3

 (注)1.金額は仕入原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

  (3)受注状況

 当社グループは一部を除いて受注生産は行っておりません。

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

16,899,435

104.1

環境材料事業(千円)

5,760,389

96.1

報告セグメント計(千円)

22,659,825

101.9

その他の事業(千円)

1,232,326

94.4

合計(千円)

23,892,152

101.5

 (注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先別

前連結会計年度

(自 平成25年4月1日

 至 平成26年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成26年4月1日

 至 平成27年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本メクトロン㈱

2,380,202

10.1

2,665,191

11.2

日本製紙㈱

2,761,682

11.7

2,435,533

10.2

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

経済のグローバル化が進展するなかで、経済活動は一段と多様化して深化し、また、その変化のスピードも加速しています。そうした認識のもとで、当社グループは、「知恵を生かし、当社独自の技術を総合的に活用したグローバルな事業活動を推進して社会に貢献していく」という当社経営の基本に沿って、当社グループの総合力をより効果的に発揮すべく、事業の重点化と他社との差別化に向けた事業再構築の検討を鋭意行ってまいりました。

その結果、当社の連結業績改善への足かせとなってきた製造子会社ソマテック株式会社につきましては、平成26年12月31日をもって解散させて当該子会社の事業から撤退し、コンパクトな事業体制のもとで新たなスタートへと踏み出しました。そして平成27年4月からは、新たに策定した新3カ年の「中期事業計画」に沿って、以下の事項を主な中期的課題として取り組み、引き続きスピーディな経営判断と具体的施策の着実な実施を行ってまいります

 

(1)高い付加価値を生み出す提案力と重点コア事業の強化

コーティング製品や高機能樹脂製品で代表される重点コア事業におきましては、市場ニーズの多様化と高機能化が果断なく進み、新たな課題解決の必要性が益々高まっています

そのため、重点コア事業における開発・生産・販売等を支える基盤技術につきましては、社外の最新技術も積極的に取り入れながら独自性と競争力の強化を図るとともに、引き続き顧客企業との連携や産学連携を一層深めながら、社会が求める課題解決に向けて高い付加価値を生み出す独自の提案力で顧客のニーズに的確に応えつつ、重点コア事業の強化に努めてまいります

 

(2)新興海外市場へのキャッチアップの促進

当社グループの関係顧客や関係業界では、国内市場から海外新興市場へと、事業活動の軸足を一段と移しております。当社グループは、これまで構築してきた中国・香港・タイ・台湾・インドの各事業拠点に備わる様々な機能を有効に活用し、顧客に対する当社グループの存在価値を総合的に高めつつ、新興する海外市場へのキャッチアップを促進して、事業の拡大を図ってまいります

例えば、電子部品や自動車部品の業界向けには、当社グループの特長あるコーティング製品や高機能樹脂製品を現地で生産・加工販売したり、あるいは関連する商品を仕入販売したり、更には、製紙業界や食品業界向けにも独自性のある関連製商品を積極的に拡販していくなど、幅広い展開を引き続き行ってまいります

また、当社グループの差別化された製品群が中国・アジア以外のグローバル市場においても着実に販路を拡げている状況を踏まえ、引き続きグローバルな最適サプライチェーンの観点から、例えば他社への生産委託といった体制も取り入れながら製品供給の多様化を図りつつ、顧客ニーズに的確に応えてまいります。

 

(3)グローバル視点でのコーポレート・ガバナンスの強化とそれを支える人材の育成

政府の成長戦略の一環としてコーポレート・ガバナンスの重要性が強く打ち出されているなかで、海外子会社の重要性が益々高まっている当社グループの経営におきましても、グローバルな視点でコーポレート・ガバナンスの強化を図っていくことが、極めて重要な経営課題の一つとなっております

そのためには、グローバル社会の諸規範などを尊重する高い倫理性が求められることは勿論のこと、経営という高い視点でマネージング力を発揮できる有能な人材の存在がなによりも大切であります。

グローバルな事業活動を推進する当社グループにおきましては、とりわけ当社の良き経営理念を、役員を含めた全社員が継承し、当社グループのあるべき姿と価値観を全員で共有しながら、健全なコーポレート・ガバナンスのもとで事業活動を行い、事業の目的を達成していくことが、企業の社会的責任を果たしていく上で極めて重要であります。

かかる観点から、企業経営を支える人材は、国籍の区別なく広く有能な人材を世に求め、健全な企業経営と企業の持続的発展に役立つ総合力を生み出せる優れた人材の育成を果断なく行ってまいります

4【事業等のリスク】

 当社グループは、業績改善を早期に図るため、事業の重点化と他社との差別化を通して、より特長ある当社グループの経営を行うべく、事業再構築の検討を行ってまいりました。

 その結果、事業進展の大幅な遅れなどによって当社の連結業績を大きく悪化させてきた製造子会社ソマテック株式会社につきましては、平成26年12月31日をもって解散させて当該子会社の事業から撤退し、当該事業がもたらしてきた連結業績に対する大きな下振れリスクについては回避することといたしました。

 従って、当連結会計年度においては当該子会社の事業撤退に基づく大きな特別損失が発生し、業績及び財政状態に大きな一時的変動が生じておりますが、それ以外におきましては、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある新たな事項は発生しておりません。

 当社グループは、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては引き続き以下のようなものがあり、これらのリスクは投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。なお、当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に鋭意努めてまいります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1)全般的事項

  当社グループは、コーティング製品・高機能樹脂製品・ファインケミカルズ等の製造販売及び電子材料・機能性樹脂・製紙用化学品・食品材料等の仕入販売に係る業務を行っております。
 製造販売については、競合他社との品質や価格の競争激化に加え、国際的な原油価格の市況や為替レートの変動等により当社グループの原材料の仕入価格が上昇した場合、技術開発部門が研究開発の成果として販売先の要求や市場動向に合わせてタイムリーに新製品を投入できない場合、製品に欠陥が生じた場合等には、販売数量の減少、販売価格の下落及び製造原価の上昇により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 仕入販売については、販売先の業界及び最終製品を製造する業界全体の動向に加えて、当社グループの仕入先の生産供給体制により販売数量及び価格が変動する可能性があります。また、競合他社が同種品を廉価で販売したり、高機能・高付加価値の新商品を市場に新規投入する等によって価格競争が激化し、あるいは仕入先と販売先が直取引をすることにより、販売数量が減少・販売価格が下落した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 上記以外に、国内の景気変動だけでなく海外における景気変動や政治情勢の変化、通貨価値の変動、社会的混乱、火災等の災害、環境・リサイクル・食品の安全性等当社グループの取扱製品・商品に関する規制を含めた法制度の変化等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(2)債権の回収可能性について

    必要充分な債権管理は実施しておりますが、当社グループの取引先が債権の弁済に重大な問題が生じた場合等には、引当金の追加計上または貸倒損失の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3)退職給付債務について

    当社は、従業員に対して確定給付型退職年金制度として確定給付企業年金制度を設けており、更に日本電子回路厚生年金基金(総合型)に加入しております。今後の割引率の低下及び運用利回りの悪化は退職給付費用及び未認識数理計算上の差異の増加となり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(4)特定の取引先への依存について

    当社グループは、製紙用化学品の仕入商品である紙塗工用バインダーや、回路基板材料用の仕入商品である電子材料や機能性樹脂の一定割合を、特定の取引先から購入しております
 また、当連結会計年度において売上高の10%以上を販売している取引先が2社あります。
 当社グループとこれらの特定の取引先とは、これまで長期間に亘り緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、特定の取引先の今後の経営方針が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(5)保有する有価証券の価格変動について

    当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を保有しておりますが、株式市場の動向や投資先企業の状況等によっては、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります

 

5【経営上の重要な契約等】

シンジケートローン契約

当社は、平成26年9月25日付けで、機動的かつ安定的な資金調達手段を導入することを目的とし、株式会社三井住友銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結しております。

借入額

契約期間

資金使途

7,000,000千円

自 平成26年9月30日

至 平成28年9月30日

運転資金及びリファイナンス資金

なお、シンジケートローン契約に付されている財務制限条項については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係 ※4)」に記載しております。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、市場ニーズの変化に対する的確な対応や技術革新への新たな対応などを通して、事業の持続的な発展を図り、合わせて社会に貢献していくことを目的として、主に基盤技術開発分野、高機能材料事業及び環境材料事業において、積極的な研究開発活動を行っております。

 当社グループがこれまで蓄積してきた技術資源やノウハウを基盤として、今後の成長が期待される分野に的を絞った市場開発や技術・製品開発、更には生産技術開発などに注力すると共に、これらを支える基盤技術の深耕や新たなビジネス開発のための基礎的研究にも努めております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は4億2千1百万円となりました。

 なお、事業セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1) 基盤技術開発分野

  基盤技術開発分野の開発では、耐熱高分子材料に関わる分子設計や合成・複合化技術など、当社の基盤技術を構成する主要要素技術の更なる強化を目的とした研究開発を始めとして、バイオマテリアルや食品加工の分野における素材開発を目的とした研究開発などを行っております。その結果、世界最高レベルの耐熱性と溶媒溶解性を高度に兼ね備えた画期的な溶媒可溶型ポリイミドの開発に成功し、ユーザーからの高い評価を得て、市場に展開でき始めております

  基盤技術開発分野における当連結会計年度の研究開発費は1億7千5百万円であります。

(2) 高機能材料事業

  高機能材料事業の開発は、機能性フィルムに関連した研究開発と高機能樹脂に関連した研究開発とに大別されます。

  機能性フィルムに関連した研究開発では、益々多様化・高度化する市場ニーズに応えるため、コーティングやラミネーション、フィルムの表面加工(サンドマット加工やプラズマ加工処理)や粘接着樹脂の応用技術といった各種関連技術を複合的に駆使して製品開発を行っており、特に電子回路基板や微細電子部品の製造、光学機器や各種情報通信機器の製造といった分野で、当社の独自技術を生かした製品開発が進んでいます。実績として電子部品製造工程時に使用される特殊基材を使用したメッキマスク用保護フィルムを市場に展開することができました。引き続き、市場ニーズに応える高付加価値製品として、また、市場競争力をも一段と高めた差別化製品として、更なる育成に努めてまいります。

  また、高機能樹脂に関連した研究開発では、自動車電装部品、小型モーター、その他の電気・電子部品などで使用される電気絶縁材料や防錆材料に関する高機能化のための研究開発や関連設備(粉体塗装機の設計・製造・販売)を始めとして、各種電子機器の部品実装に関わる接着・封止樹脂の高機能化研究開発、更には、高熱伝導性接着剤、構造接着剤の研究開発なども行っております

  高機能材料事業における当連結会計年度の研究開発費は1億9千9百万円であります。

(3) 環境材料事業

  環境材料事業の開発では、製紙業界を始め、製紙業界で培った技術の横展開として、排水処理等水処理などの環境材料分野、木材化学、コンクリ—ト、塗料分野などの化学材料について、新たな市場ニーズに的確に応える製品開発を目的とした研究開発を行っております。特に、製紙業界向けでは、製紙工程や塗工工程で使用される殺菌剤、歩留剤・凝結剤、塗料改質剤、分散剤などの新製品開発、排水工程で使用される水処理薬剤の研究開発を行っております

  環境材料事業における当連結会計年度の研究開発費は4千6百万円であります。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び記載内容に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」において記載しておりますが、特に以下に記載する重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

① 有価証券の減損処理

     当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を保有しておりますが、これらの有価証券は株式市場の変動リスクを負っています。当社は、合理的な評価基準に基づき有価証券の減損処理を実施しております。

② 貸倒引当金の計上基準

     当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。

③ 退職給付債務について

     当社は、従業員に対して確定給付型退職金制度として確定給付企業年金制度を設けており、さらに日本電子回路厚生年金基金(総合型)に加入しております。退職給付債務及び退職給付に係る負債並びに退職給付に係る資産の計算における年金資産については、割引率・長期期待運用収益率等各種比率に基づき合理的な基準による見積り計算を実施しております。

④ 繰延税金資産の回収可能性の評価

     当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産を計上しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は238億9千2百万円(前年同期比1.5%増)、営業損失は2億8千7百万円(前年同期は営業損失10億4千万円)、経常損失は3億5千万円(前年同期は経常損失9億8千7百万円)、当期純損失は27億5千9百万円(前年同期は当期純損失16億1百万円)となりました。

 

      ① 売上高の分析

        政府の経済政策や日銀の強力な金融緩和政策を背景にして、大企業を中心に大筋では緩やかな回復基調を維持しましたが、消費税率の引き上げなどで景気の落ち込みが予想以上に長引いていることなどから、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。こうした状況下、新規開発製品の迅速かつ継続的な市場投入に注力してまいりましたが、競合他社との競合が激化するなど厳しさが一段と増したことなどもあって、売上は微増に留まりました。

        その結果、当連結会計年度の売上高は238億9千2百万円(前年同期比1.5%増)となりました。

 

      ② 販売費及び一般管理費の分析

        当社グループ全体において、引き続き徹底したコスト削減と業務効率の改善を図った成果もあり、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は30億2千7百万円(前年同期比2.4%減)となりました。

 

      ③ 営業外損益及び特別損益の分析

        営業外収益は前連結会計年度から1千4百万円増加して1億4千3百万円(前年同期比10.9%増)となりました。また、営業外費用は前連結会計年度から1億3千万円増加して2億7百万円(前年同期比169.3%増)となりました。これは主にシンジケートローン手数料の増加によるものであります。

        特別利益は前連結会計年度から2億8千6百万円減少して6千1百万円(前年同期比82.3%減)となりました。これは補助金等収入の減少と投資有価証券売却益の増加によるものであります。また、特別損失は前連結会計年度から18億4千1百万円増加して26億3千8百万円(前年同期比230.8%増)となりました。これは主に事業撤退損の増加及び減損損失の減少によるものであります。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは製造販売と仕入販売に係る業務を行っておりますが、近年の更なる競争激化により一層厳しさを増している状況にあります。
 製造販売については、製品の販売先の動向や、その販売先が属する電子部品・自動車・製紙といった関係業界の動向、更には、販売先が関係業界で占める位置づけなどが、当社グループの販売数量及び販売価格に大きく影響を与える可能性があります。また、市場における競合各社間の競争激化を反映して、特にコーティング製品や高機能樹脂製品を中心に海外での廉価品の台頭などによって販売価格が下落したり、あるいは、原油価格の上昇などで原材料価格が上昇して製造コストが増加するといった要因により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります
 仕入販売については、製紙業界やIT関連業界、更には食品業界といった当社グループの販売先業界全体の動向に加えて、当社グループの仕入先の生産供給体制と販売先の需要とのバランスが、販売数量及び販売価格に影響を与える可能性があります。また、競合他社による廉価販売や新商品の市場投入で既存の商流・商権が変化することなどにより、当社グループの販売数量の減少及び販売価格の下落を引き起こす可能性があります。

(4)戦略的現状と見通し

これまで当社グループの連結業績を大きく悪化させてきた製造子会社ソマテック株式会社の事業から撤退したことで、今後は事業の重点化と他社との差別化を当社グループの重要な戦略と位置づけて、業績改善に向けた道筋へ大きく前進させました。
 当社グループとしては、引き続き将来的に成長が期待できる事業分野と市場へ、経営資源を重点的に集中させ、「スピードある変化への対応」でビジネスの強化と領域の拡大に努めてまいります
 具体的には、製造販売においては、とりわけ電子部品や自動車部品の業界を中心に、コーティング製品や高機能樹脂製品の差別化戦略や付加価値の高い新規開発製品の市場投入で拡販と領域の拡大を図り、また仕入販売においては、特長ある既存商品群の物流・販売網強化と顧客ニーズに的確に応える新規商権の獲得に注力してまいります
 また、当社グループのグローバル展開では、アジア各地の当社子会社を拠点として、中国・インドを含むアジア新興市場での事業活動をメインに据え、更には、景気回復が進むアメリカとその周辺市場においても生産・物流・販売の機能強化に努めてまいります

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、43億6千9百万円となり、前連結会計年度末と比較して9千1百万円の増加となりました。

これは、現金及び現金同等物に係る換算差額(増額)を4億2千万円計上したこと、及び営業活動によるキャッシュ・フローが8千万円の資金減少、有形固定資産の取得による支出などにより投資活動によるキャッシュ・フローが1億4千7百万円の資金減少、借入れによる収入及び借入金の返済による支出などにより財務活動によるキャッシュ・フローが1億1百万円の資金減少となったためであります。

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、最新の経営環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案すべく尽力しておりますが、今後も経営環境は更に厳しさを増し、急激に変化していくものと予想されます
 当社グループとしては、今後もこの現状を正確かつ的確に把握してグループの総合力が効果的に発揮できるよう、引き続きコーポレート・ガバナンスの強化とスピーディーな業務執行に心掛け、業績改善に努めていく方針であります





出典: ソマール株式会社、2015-03-31 期 有価証券報告書