有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度のわが国経済は、年度の前半では円高による逆風にさらされたものの、全体的には政府の継続した経済対策や日銀の金融緩和政策などで、雇用や所得環境の改善が進み、また、中国をはじめとする新興国経済の減速も底入れしてきたことで、底堅く推移し緩やかな回復基調を維持しました。しかし一方では、英国のEU離脱の問題や米国のトランプ新政権誕生などで保護主義的な政策への懸念が強まっており、更には、中東や東アジアにおける地政学リスクも加わってグローバル経済の不確実性が高まっていることから、わが国経済の先行きは不透明さを一段と強めております。

 こうした状況下で当社グループは、引き続き当社グループの特長を生かした事業運営とスピーディーな経営判断を心がけ、国内市場の新たな開拓はもとより、中国や東南アジアの新興市場、更には、堅調な景気を維持する米国やその周辺市場も視野に入れたグローバルな視点で、独自の新製品の拡販を主体としたきめ細かな営業活動に注力するとともに、物流インフラの整備や業務効率の更なる改善にも努めてまいりました。当年度におきましては、とりわけ前年度の業績を大きく牽引したスマートフォン関係業界向けの販売がその反動から低迷して、当年度の業績を大きく引き下げたなか、かかる業績向上に向けた取り組みにより、特に海外拠点での業績が順調に進展し、更には、年度後半からの円安基調も追い風となって、当期連結業績の落ち込みを下支えしました。

 その結果、当連結会計年度の業績は、売上高が209億4千1百万円(前年同期比11.1%減)、営業利益が5億8千万円(前年同期比30.2%減)、経常利益が5億9千1百万円(前年同期比20.4%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益が5億1千1百万円(前年同期比47.3%減)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

 [高機能材料事業]

 スマートフォンなどの電子機器業界向け関連製商品の販売では、前年度の旺盛な需要からの反動減で需要が落ち込み、特にコーティング製品や電子材料の販売が前年度から大きく減少しました。一方、自動車部品業界向け関連製商品の販売では、国内の自動車生産の低迷の影響は受けたものの、関係業界の海外進出に呼応したグローバル対応が順調に推移して販売を進展させ、当事業全体の業績の落ち込みを下支えしました。その結果、当事業全体の売上高は158億8千9百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益は7億1千2百万円(前年同期比25.8%減)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

コーティング製品

スマートフォンや映像電子機器などの電子部品や部材の製造用関連製品の販売が、前年度の旺盛な需要からの反動で大きく落ち込み、21.3%の減収となりました。

高機能樹脂製品

主体となる自動車部品業界向けの販売が、国内自動車生産低迷の影響を受けたものの、中国、タイ、米国などへのグローバル対応が着実に進展し、1.7%の増収となりました。

電子材料

スマートフォン用回路基板材料の販売が、前年度の活況から一転して大きく落ち込み、また、重電向け絶縁材料の販売も需要の低迷で振るわず、13.6%の減収となりました。

機能性樹脂

回路基板材料用の熱硬化性樹脂の販売は微増となりましたが、自動車関連部品用の熱可塑性樹脂や樹脂用添加剤の販売が減少したため、1.3%の減収となりました。

 

 

 [環境材料事業]

 当事業が主要な販売先としている製紙業界では、国内の紙需要が漸減傾向にあることから事業の軸足を少しずつ海外市場へと移しております。そうした影響で、とりわけ国内製紙市場では、競合他社との競争が一段と激しさを増しており、これに加えて海外市場への当社グループのキャッチアップも遅れているため、当事業の事業環境は厳しい状況が続いております。更に当年度においては、当事業の主要な仕入販売商品である紙塗工用バインダーが、仕入先メーカーの国内生産拠点の統廃合推進に伴い、国内一部地域における物流面での相対的な競争力の低下をもたらし、当該地域の主要販売先を失注するなどしたため、バインダーの販売が当初の想定以上に大きく減少しました。その結果、当事業全体の売上高は41億1千9百万円(前年同期比17.3%減)となりましたが、営業利益は4千7百万円(前年同期比76.0%増)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

ファインケミカルズ

当社の特長ある製品群の拡販に努め、工業用殺菌剤の販売は増加しましたが、製紙用ケミカルズが競合他社との競争激化で販売減となり、2.4%の減収となりました。

製紙用化学品

製紙関連ケミカルズの新規商品が新たな顧客の獲得などで販売を伸ばしましたが、紙塗工用バインダーの販売が予想以上に減少したため、21.8%の減収となりました。

 

 [食品材料事業]

 食品材料事業では、健康にやさしく特長ある天然の食品材料を主として食品業界へ積極的に販売するとともに、新たな市場の開拓にも鋭意取り組んでおります。当事業の主要な販売商品である天然の増粘安定剤は、輸入先での収穫状況を反映して生産者価格が当年度に大きく下落し、それを受けて国内の販売価格も大きく値を下げたため、増粘安定剤の販売が大きく減少しました。また、乾燥野菜の販売では、拡販に努めたものの、主要販売先の一つで商流変更による販売失注が生じたため、販売の減少となりました。その結果、当事業全体の売上高は9億1千9百万円(前年同期比20.6%減)、営業利益は1億1千6百万円(前年同期比6.0%減)となりました。

 

(主な製商品群の概況)

製商品群

概況(数値は前年同期との対比)

食品素材等

増粘安定剤は国内販売価格の大きな下落から販売減となり、また乾燥野菜は商流変更による一部の顧客失注が生じて販売を減少させたため、20.6%の減収となりました。

 

 [その他の事業]

 その他の事業では、当社グループの成長を支える新たな事業を開発・育成すべく、当社グループが保有する様々な情報や独自の技術を総合的に活用して、特長ある活動を推進しております。当事業におきましては、まだ本格的な販売には至っておらず、試販の段階ではありますが、売上高は1千3百万円(前年同期比244.3%増)となり、営業損失は7百万円(前年同期は営業損失2百万円)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

   当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して4億8百万円増加して、40億8千7百万円となりました。

 

    当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

    営業活動によるキャッシュ・フローは、10億4千4百万円の資金増加(前連結会計年度は10億7千8百万円の資金増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5億8千9百万円、減価償却費3億6千7百万円、たな卸資産の減少2億3千4百万円、仕入債務の増加1億1千5百万円等の資金増加要因が、退職給付に係る資産の増加1億4千4百万円等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

    投資活動によるキャッシュ・フローは、2億1百万円の資金減少(前連結会計年度は12億2千3百万円の資金増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出を2億2千2百万円計上したことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

    財務活動によるキャッシュ・フローは、4億1百万円の資金減少(前連結会計年度は30億1百万円の資金減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出39億円の資金減少要因が、長期借入金の借入35億円の資金増加要因を上回ったことによるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

4,895,433

92.2

環境材料事業(千円)

753,290

81.9

食品材料事業(千円)

60,760

103.5

報告セグメント計(千円)

5,648,724

89.8

その他の事業(千円)

合計(千円)

5,648,724

89.8

 (注)1.金額は製造原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しおります。

 

(2)仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

8,096,018

89.5

環境材料事業(千円)

2,913,014

78.5

食品材料事業(千円)

623,903

67.1

報告セグメント計(千円)

11,632,937

85.0

その他の事業(千円)

8,448

合計(千円)

11,641,385

85.0

 (注)1.金額は仕入原価によって表示しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しおります。

 

  (3)受注状況

 当社グループは一部を除いて受注生産は行っておりません。

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

前年同期比(%)

高機能材料事業(千円)

15,889,398

91.2

環境材料事業(千円)

4,119,161

82.7

食品材料事業(千円)

919,565

79.4

報告セグメント計(千円)

20,928,125

88.8

その他の事業(千円)

13,441

344.3

合計(千円)

20,941,566

88.9

 (注)1.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前期同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しおります。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

 至 平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

 至 平成29年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本メクトロン株式会社

2,969,428

12.6

1,929,011

9.2

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

(1)経営方針

当社グループは、「高い企業倫理観のもとで、真に社会に貢献できる企業となることを目指す」とする当社グループの経営理念に沿って、永年培ってきた独自のコア技術を更に強化するとともに、これら技術を総合的に活用して独自の事業領域を構築し、顧客に存在価値を認められる開発型企業としての位置づけを更に高めてまいります。

また、グローバルに通用する企業品質を心がけ、将来に向けた成長分野と市場で重点的な事業展開を行うとともに、未来を切り拓く次世代技術にも積極的にチャレンジしてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループが永年関わってきた電子回路基板や自動車電装部品、更にはデジタル光学機器部品などを中心とするエレクトロニクス関連分野は、当社グループ独自のコア技術が特に活用でき、今後も成長が見込まれる重要分野と位置づけており、市場の拡大が期待できる海外新興市場や堅調な成長を維持する北米市場などでの事業活動を積極的に推進するとともに、事業領域を拡げる新たな市場の開発や技術開発にも果敢にチャレンジして、共同開発やOEM製品の提供、更には受託製造といった「テクノロジーパートナー」としての存在価値を高め、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、継続的な企業価値の増大を最も重要な経営課題として認識し、売上高利益率や総資産利益率といった事業や資本の効率性の指標を重視しながら、営業利益等の各利益金額の増加及びキャッシュ・フローの創出等を重要な経営指標として掲げております。

今後も経営指標の向上に向けて諸施策を実施し、業績の拡大及び企業価値の増大を図ってまいります。

 

 

(4)経営環境

中国をはじめとする海外新興市場の景気の持ち直しや、堅調な景気が続く米国経済を背景として、わが国では輸出や設備投資に回復の動きが出始め、また、政府の継続した経済対策や日銀の金融緩和政策とも相まって、わが国経済は緩やかな回復基調を維持しております。

しかし一方では、米国新政権の新たな政策に代表されるように、海外での保護主義的な経済政策への懸念が拡がり、これに加えて、中東や東アジアにおける地政学リスクも高まっていることから、世界経済の先行きには不確実性が増し、予断を許さない状況となっております。

当社グループが関わる業界は、人々の暮らしに直結する幅広い業界に及んでおりますが、なかでも、スマートフォンなどの携帯情報機器に関わるエレクトロニクス関係業界や益々IT化が進む自動車関係業界、更には製紙や食品といった業界などには深く関わってまいりました。かかる業界では、経済のグローバル化の進展やわが国の少子高齢化を背景とした国内需要の減少などから、事業の軸足を海外市場へと移行させております。更に、とりわけエレクトロニクスや自動車の関係業界では、人々の価値観の多様化が進むとともに、関連する製商品やサービスに対するニーズが複雑化・高度化し、かつ、その変化のスピードが一段と速まっており、その結果として競合各社間の競争が益々激しさを増す厳しい経営環境となっております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社は、業績の持続的な向上と社会への更なる貢献に寄与できる企業となるため、社会が求める課題の解決や新たな価値の創造を目指して、事業の重点化と他社との差別化を重視し、積極的な事業運営に鋭意取り組んでまいりました。

今後は、引き続き「知恵を生かし、当社グループ独自の技術や情報を総合的に活用したグローバルな事業活動を積極的に推進して、課題解決型企業として社会に貢献していく」という当社グループ経営の基本に沿って、独自性と総合力を発揮した事業運営を更に推進してまいります。とりわけ平成27年度から推進中の「中期事業計画」の最終年度にあたる平成29年度に向けて、引き続き中期的課題として取り組んでいる以下の事項について、スピーディーな経営判断と各施策の着実な成果を重ねながら、企業価値の向上に努めてまいります。

 

① 社会が求める課題解決に向けて、市場ニーズの洞察とそれに応える斬新な提案力の強化

     当社グループが重点コア事業として取り組んでいるコーティング製品・高機能樹脂製品・電子材料などに関わる高機能材料事業では、自動車やスマートフォン、デジタル光学機器といった関係業界向けに、永年に亘り当社グループの特長ある機能性化学素材を提供し、人々の暮らしの便利さや安心・安全を支える社会的役割の一端を担ってまいりました。

     こうした業界では、人々のライフスタイルや価値観の変化とともに、市場ニーズの多様化と高度化が果断なく進んでいるため、新たな課題解決の重要性が益々高まっています。

     そのため、特に高機能材料事業では、従来にも増してグローバル市場の観点から市場ニーズの変化を洞察しつつ情報収集に努め、自社技術はもとより、社外の最新技術も積極的に取り入れながら、課題解決に向けて斬新かつ先見性のある提案力を磨き、市場における当社グループの競争力を更に高めてまいります。

     とりわけ、当社グループが関わる優れた取引先企業との連携や産学連携などは、当社グループの特長を生かした成果へとつなげやすいことから、引き続き積極的に取り組み、社会が求める課題の解決に向けて効果のある提案ができるよう努めてまいります。

 

② 海外市場の更なる開拓

     当社グループが関係する高機能材料事業、環境材料事業、食品材料事業では、国内市場における新たなビジネスチャンスが縮小していくなかで、中国をはじめとする海外の新興市場や北米市場などでは一層の成長の機会が期待されており、当社グループの国内顧客もこうした海外市場へと、その事業活動の軸足を一段と移しています。そうした状況に対処するため、当社グループは、かかる海外市場の成長力を積極的に取り入れるべく、各種の施策を継続して実施しており、当社グループの海外売上高もそうした取り組みとともに毎年高まっています。

     当社グループは、海外市場の更なる開拓を進めるため、海外進出している国内関係企業との連携による海外への移転拡販はもとより、新たな海外顧客の独自開拓も積極的に推進してまいります。そのため、これまで構築してきた当社グループの海外拠点が保有する情報収集機能や製造・販売・物流といったサプライチェーンの機能を、顧客志向に沿って強化し、主力の高機能材料事業に加えて、環境材料事業や食品材料事業の特長ある製商品群の拡販にも一層注力しながら、海外市場での事業強化を更に推進してまいります。

 

③ 当社グループのガバナンス体制強化とグローバルな経営人材の育成

政府の成長戦略の一環として策定されたコーポレートガバナンス・コードが上場企業に適用され、企業のガバナンス体制強化の重要性が広く一般社会にも浸透し始めてはおりますが、企業の不祥事は様々な形で相変わらず後を絶たない状況にあります。企業の存立は企業に関わる多くのステークホルダーとの信頼の上に成り立っており、そうした認識に基づく企業経営が益々求められています。

グローバルな経営に携わる当社グループにとって、関係するグローバル社会の諸規範などを尊重する高い倫理性が経営に求められることは勿論のこと、当社グループの経営理念に沿った使命感のある事業運営ができ、かつ、組織を束ねる高いマネージング力を発揮できる有能な人材の確保が何よりも重要です。

当社グループは、永年培ってきた当社グループの良き経営理念を、役員自ら率先垂範して継承・実践し、当社グループのあるべき姿と価値観を全社員が共有しながら事業運営ができるよう常に心がけており、このことは今後の事業運営においても極めて大切であると考えています。

それ故当社グループは、社外取締役や社外監査役といった独立性の高い社外役員による経営監視のもとで、グローバル視点に立ったコーポレート・ガバナンスの更なる強化を引き続き重要な経営課題として取り組み、そうした取り組みを支える経営人材は、国籍の区別なく広く有能な人材を世に求め、健全な企業経営と企業の持続的発展に貢献できるよう、人事制度も見直しながら人材の育成を果断なく進めてまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあり、これらのリスクは投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。それ故当社グループは、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に鋭意努めてまいります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

(1)全般的事項

  当社グループは、コーティング製品・高機能樹脂製品・ファインケミカルズ等の製造販売及び電子材料・機能性樹脂・製紙用化学品・食品素材等の仕入販売に係る業務を行っております。
 製造販売については、競合他社との品質や価格の競争激化に加え、国際的な原油価格の市況や為替レートの変動等により当社グループの原材料の仕入価格が上昇した場合、技術開発部門が研究開発の成果として販売先の要求や市場動向に合わせてタイムリーに新製品を投入できない場合、製品に欠陥が生じた場合等には、販売数量の減少、販売価格の下落及び製造原価の上昇により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 仕入販売については、販売先の業界及び最終製品を製造する業界全体の動向に加えて、当社グループの仕入先の生産供給体制により販売数量及び価格が変動する可能性があります。また、競合他社が同種品を廉価で販売したり、高機能・高付加価値の新商品を市場に新規投入する等によって価格競争が激化した場合、仕入先と販売先が直取引を行った場合等には、販売数量の減少及び販売価格の下落により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 上記以外に、国内の景気変動だけでなく海外における景気変動や政治情勢の変化、通貨価値の変動、社会的混乱、火災等の災害、環境・リサイクル・食品の安全性等に関わる当社グループの取扱製品・商品への規制を含めた法制度の変化等により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(2)債権の回収可能性について

    必要充分な債権管理は実施しておりますが、当社グループの取引先が債権の弁済に重大な問題が生じた場合等には、引当金の追加計上又は貸倒損失の発生により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(3)退職給付債務について

    当社は、従業員に対して確定給付型退職年金制度として確定給付企業年金制度を設けております。今後の割引率の低下及び運用利回りの悪化は退職給付費用及び未認識数理計算上の差異の増加となり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
 なお、当社がこれまで加入してきた日本電子回路厚生年金基金(総合型)は、平成29年1月20日の代議員会で当該基金の解散を決議し、同年3月31日付で厚生労働大臣より解散の認可を受けました。
 今後当社は、これまでの当該基金による確定給付型の制度に代えて、確定拠出年金制度(企業型)を新たな制度として導入することを決定し、平成29年7月1日からその運用を開始する予定です。

 

(4)特定の取引先への依存について

    当社グループは、製紙用化学品の仕入商品である紙塗工用バインダーや、回路基板材料用の仕入商品である電子材料や機能性樹脂の一定割合を、特定の仕入先から購入しております。
 当社グループとこれらの特定の取引先とは、これまで永年に亘り緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、特定の取引先の今後の経営方針が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

(5)保有する有価証券の価格変動について

    当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を政策的に保有しており、株式市場の動向や投資先企業の状況等によっては、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、市場ニーズの変化に対する的確な対応や技術革新への新たな対応などを通して、事業の持続的な発展を図り、合わせて社会に貢献していくことを目的として、基盤技術開発分野とともに、高機能材料事業、環境材料事業及び食品材料事業の各分野において、積極的な研究開発活動を行っております。

 当社グループがこれまで蓄積してきた技術資源やノウハウを基盤として、今後の成長が見込まれる分野に的を絞った市場開発や技術・製品開発、更には生産技術開発などに注力するとともに、これらを支える基盤技術の深耕や新たなビジネス開発のための基礎的研究にも努めております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は3億5千7百万円となりました。

 なお、事業セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

(1) 基盤技術開発分野

  基盤技術開発分野では、当社の基盤技術を構成する主要要素技術の更なる強化を目的とした研究開発を始めとして、耐熱高分子材料に関わる分子設計や合成・複合化技術の研究開発、バイオマテリアルの研究開発などを行っております。その結果、世界最高レベルの耐熱性や高度な透明性などの特色ある性能を備えた画期的な溶媒可溶型ポリイミドの開発に成功し、ユーザーからの高い評価を得ていることから、試販等による市場評価を引き続き行いながら、本格的な製品化に向けて鋭意取り組んでおります

  基盤技術開発分野における当連結会計年度の研究開発費は1億3千5百万円であります。

(2) 高機能材料事業

  高機能材料事業は、機能性フィルムに関連した研究開発と高機能樹脂に関連した研究開発とに大別されます。

  機能性フィルムに関連した研究開発では、益々多様化・高度化する市場ニーズに応えるため、コーティングやラミネーション、フィルムの表面加工(サンドマット加工やプラズマ加工処理)や粘接着樹脂の応用技術といった各種関連技術を複合的に駆使して製品開発を行っており、特に電子回路基板や微細電子部品の製造、光学機器や各種情報通信機器の製造といった分野で、当社の独自技術を生かした製品開発が進んでいます。実績として、電子部品製造工程で使用される特殊基材のメッキマスク用保護フィルムは、市場で高い評価を受け、最新のスマートフォン向け電子製品の製造でも採用されております。また、光学機能特性を高めた独自の遮光フィルムは、最新モデルのデジタル映像機器の付加価値を向上させる重要部材の一つとして位置づけられるに至りました。引き続き、市場ニーズに応える高付加価値製品や市場競争力を一段と高めた差別化製品などの更なる開発・育成に努めてまいります。

  また、高機能樹脂に関連した研究開発では、自動車電装部品、小型モーター、その他の電気・電子部品などで使用される電気絶縁材料や防錆材料に関する高機能化のための研究開発や関連設備(粉体塗装機の設計・製作)の開発を始めとして、各種電子機器の部品実装に関わる接着・封止樹脂の高機能化研究開発、更には、高熱伝導性接着剤、構造接着剤の研究開発、建築関連部材の防錆用塗料の開発なども行っております

  高機能材料事業における当連結会計年度の研究開発費は1億4千8百万円であります。

 

(3) 環境材料事業

  環境材料事業では、主に製紙工程、塗工工程に使用される、製紙業界向けファインケミカルズの歩留・凝結剤、塗料改質剤、殺菌剤、分散剤等の製品開発に取り組んでおります。特に顧客ニーズを的確に取り込むため、薬剤の新規高機能グレード化、周辺助剤の新規製品開発に注力しております。

  更に、製紙業界で培った技術をベースにして、特長ある優れた化学素材の製造技術を有する関係企業と連携しながら、高度水処理分野にも積極的な開発を進めており、例えば、工場の排水処理設備における新たな廃水処理剤としての実用化が進展しております。

  環境材料事業における当連結会計年度の研究開発費は4千3百万円であります。

(4) 食品材料事業

  食品材料事業の開発では、加工食品等に適応する高機能な増粘剤・ゲル化剤の製品開発に取り組んでおります。とりわけ、当社グループが関わる天然の食品素材が有する優れた物理的・化学的特性要素に着目し応用することで、食味の変化がなく、少量で大幅な食感の改善効果や安定性の向上効果を発現する新規の増粘多糖類製剤の開発に成功し、様々な用途の提案を行いながら、開発製品の本格的な販売に向けて取り組んでおります。

  食品材料事業における当連結会計年度の研究開発費は3千1百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び記載内容に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」において記載しておりますが、特に以下に記載する重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

① 有価証券の減損処理

     当社は、金融機関や取引に関連する会社等の株式等を政策的に保有しておりますが、これらの有価証券は株式市場の変動リスクを負っています。当社は、合理的な評価基準に基づき有価証券の減損処理を実施しております。

② 貸倒引当金の計上基準

     当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。

③ 退職給付債務について

     当社は、従業員に対して確定給付型退職金制度として確定給付企業年金制度を設けております。退職給付債務及び退職給付に係る負債並びに退職給付に係る資産の計算における年金資産については、割引率・長期期待運用収益率等各種比率に基づき合理的な基準による見積り計算を実施しております。

④ 繰延税金資産の回収可能性の評価

     当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積り、繰延税金資産を計上しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は209億4千1百万円(前年同期比11.1%減)、営業利益は5億8千万円(前年同期比30.2%減)、経常利益は5億9千1百万円(前年同期比20.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億1千1百万円(前年同期比47.3%減)となりました。

 

 

      ① 売上高の分析

政府の経済対策や新興国経済の減速の底入れを背景として、景気は緩やかな回復基調を維持しましたが、英国のEU離脱の問題や米国のトランプ新政権による保護主義的な政策への懸念、更には中東や東アジアにおける地政学リスクも加わり、わが国経済の先行きは不透明な状況が続きました。

こうした状況下、当社グループは平成27年度から推進中の「中期事業計画」に従い、グローバルな視点での営業活動に注力し、独自の新製品の拡販に鋭意努めてまいりましたが、前連結会計年度に業績を大きく牽引したスマートフォン関係業界向けの販売がその反動から低迷した影響もあり、売上は大きく減少いたしました。

        その結果、当連結会計年度の売上高は209億4千1百万円(前年同期比11.1%減)となりました。

 

      ② 販売費及び一般管理費の分析

        当社グループ全体において、引き続き徹底したコスト削減と業務効率の改善を図った成果もあり、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は28億2千6百万円(前年同期比1.6%減)となりました。

 

      ③ 営業外損益及び特別損益の分析

        営業外収益は前連結会計年度から2千2百万円減少して7千4百万円(前年同期比22.7%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において事業撤退損失引当金戻入益が一過性の事象として発生していたこと、及び受取利息の減少によるものであります。また、営業外費用は前連結会計年度から1億2千1百万円減少して6千4百万円(前年同期比65.4%減)となりました。これは主に、前連結会計年度において清算関連費用が一過性の事象として発生していたこと、並びに支払利息及び為替差損の減少によるものであります。

        特別利益は前連結会計年度においては発生しておりましたが、当連結会計年度においては発生しておりません。また、特別損失は主にゴルフ会員権売却損の発生により1百万円(前年同期比12.3%増)となりました。

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

世界の経済情勢は、とりわけ米国トランプ新政権の誕生以来、保護主義的な政策への回帰による世界経済の縮小懸念が拡がっており、更には世界的な地政学的リスクの高まりも加わって、グローバル経済の先行きは非常に不透明さを増しており、かかる状況下での様々な変化が為替の大きな変動なども伴って、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼすことが予想されます。

当社グループを取り巻くこうした予測の難しい経営環境のなかで、当社グループは製造販売と仕入販売に係る業務を行っておりますが、当社グループが関係する市場や販売先では近年特に競争が激しさを増しており、そのため当社グループの経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

製造販売については、製品の販売先の動向や、その販売先が属する電子部品・自動車・製紙といった関係業界の動向、更には、販売先が関係業界で占める位置づけなどが、当社グループの販売数量及び販売価格に大きく影響を与える可能性があります。また、市場における競合各社間の競争激化を反映して、特にコーティング製品や高機能樹脂製品を中心に海外での廉価品の台頭などによって販売価格が下落したり、あるいは、原油価格の上昇などで原材料価格が上昇して製造コストが増加するといった要因により、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

仕入販売については、製紙業界やIT関連業界、更には食品業界といった当社グループの販売先業界全体の動向に加えて、当社グループの仕入先の生産供給体制と販売先の需要とのバランスが、販売数量及び販売価格に影響を与える可能性があります。また、競合他社による廉価販売や新商品の市場投入で既存の商流・商権が変化することなどにより、当社グループの販売数量の減少及び販売価格の下落を引き起こす可能性があります。

(4)戦略的現状と見通し

 当社グループは、事業の重点化と他社との差別化を重要な戦略と位置づけて、引き続きグローバルな視野に立って将来的に成長が期待できる事業分野と市場へ、経営資源を重点的に集中させ、研究開発資源の有効かつ効率的な活用と「スピードある変化への対応」でビジネスの強化と領域の拡大に努めてまいります。

 具体的には、製造販売においては、とりわけ電子部品や自動車部品、更にはデジタル光学機器の業界を中心に、コーティング製品や高機能樹脂製品の差別化戦略、付加価値の高い新規開発製品の市場投入などで拡販と領域の拡大を図り、また仕入販売においては、特長ある既存商品群の物流・販売網強化と顧客ニーズに的確に応えるための仕入先との共同開発を含めた協働、更には新規商権の獲得などにも注力してまいります。

 また、当社グループのグローバル展開では、アジア各地の当社子会社を拠点として、中国・インドを含むアジア新興市場での事業活動をメインに据え、堅調な景気を維持する米国やその周辺市場においても生産・物流・販売の機能強化と更なる情報収集に努めてまいります。

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、40億8千7百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億8百万円の増加となりました。

これは、営業活動によるキャッシュ・フローが10億4千4百万円の資金増加、有形固定資産の取得による支出などにより投資活動によるキャッシュ・フローが2億1百万円の資金減少となったこと、借入金の返済による支出などにより財務活動によるキャッシュ・フローが4億1百万円の資金減少となったためであります。

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、最新の経営環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案すべく尽力しておりますが、米国のトランプ新政権の誕生などで新たに提起された保護主義的な政策による世界経済の縮小懸念、更には中東や東アジアにおける地政学的リスクの高まりなどから、当社グループの経営環境は大きな影響を受けて一段と厳しさを増すことが予想されます。
 当社グループとしては、今後もこの現状を正確かつ的確に把握してグループの総合力を効果的に発揮できるよう、引き続きコーポレート・ガバナンスの強化とスピーディーな業務執行を心がけ、業績の向上に努めていく方針であります。





出典: ソマール株式会社、2017-03-31 期 有価証券報告書