有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のわが国経済は、サブプライムローン問題に起因した米国発の世界的な金融危機の深刻化を背景に、世界規模の信用収縮が需要の減退を招いたことから同時不況色を強めることとなり、世界景気の一層の下振れ懸念や株式市場の変動の影響を受け、金融危機と実体経済悪化の悪循環がさらに強まる状況となりました。企業部門は、歴史的な規模での生産・設備投資の調整を余儀なくされ、大規模な人員削減による雇用情勢の悪化と所得の減少により個人消費も大きく減退することとなり、2008年10月から12月期の実質GDP(国内総生産)は、第一次石油ショックに匹敵するマイナス成長を記録するなど大変厳しい状況となりました。金融危機の震源ではない日本経済が、主要国の中でも際立って悪化したのは、世界的な需要の減退と円高の進行により、日本経済の輸出依存度と日本企業の海外依存度の高さに起因するものと考えられます。 
 このような環境下にあって株式市場は、期初こそ日経平均株価は12,000円台半ばから始まり、金融システム安定化への期待感から6月には14,601円まで上昇しましたが、その後は原油価格の高騰によるインフレリスクが台頭し、外国人投資家が8年ぶりに日本株を売り越すなかで、日経平均株価は12営業日連続安を記録するなど下落基調に転じました。 
 特にリーマン・ブラザーズが経営破綻した9月以降は、世界中の投資家による現金化の動きが予想を上回る速度で強まり、世界同時株安が加速するなかで、2003年4月28日につけたバブル崩壊後の安値である7,603円を割り込み、さらに10月28日には26年ぶりに一時7,000円を割り込み6,994円まで下落することとなりました。これに対して、主要各国政府や中央銀行が協調し、公的資金の注入や大幅な利下げなど、大規模な金融安定化策や景気刺激策を発表したことで、市場は徐々に落ち着きを取り戻し、一時は9,000円台まで回復しました。しかしながら、金融不安が再燃し、実体経済の悪化が鮮明となった3月初旬には、日経平均株価は再び7,000円台割れ寸前となり、大型株が売り込まれたTOPIXはバブル後の最安値を更新しました。期末にかけては、下落率などのテクニカル面と追加経済対策への期待感から切り返し、当連結会計年度末の日経平均株価は8,109円となり、年間で35.3%の大幅な下落となりました。 
 一方、債券市場は、期前半はインフレ懸念により、各国は政策金利の引き上げを行いましたが、リーマン・ショック以降は金融不安の高まりから、一斉に政策金利を引き下げることとなりました。日本の長期金利は、期初は1.3%程度で推移しておりましたが、CPI(全国消費者物価指数)の高い伸び率をきっかけに、6月中旬には1.895%まで上昇しました。しかし、その後は金融危機に伴いリスク回避的な傾向が強まるなかで安全資産とされる国債が買い直され、日銀も政策金利を引き下げるなど、長期金利は12月末には1.155%まで低下しましたが、期末にかけては、政府の追加経済対策による国債の増発懸念から1.340%となりました。また、円相場は対ドルで円高が進行し、12月中旬には一時87円台の高値をつけ、他の通貨に対しても総じて円高水準で推移しました。 
 この間当企業集団は、株式、投資信託、債券を中心に、顧客ニーズに沿った商品を取り扱いましたが、世界的な金融の混乱による株安、円高、企業業績の悪化等により、顧客が保有する資産価値が大きく目減りするなかで、顧客の投資マインドが大きく減退し、金融商品の販売が大幅に減少した結果、純営業収益は39.6%の減収となりました。 

 

主要な連結の収益及び費用等の概況は、以下のとおりであります。

 

① 受入手数料

 

 
前連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
当連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
(百万円)
(百万円)
委託手数料
2,940
1,974
引受け・売出し手数料
63
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
67
募集・売出しの取扱手数料
2,149
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
1,023
その他の受入手数料
1,539
964
合計
6,691
4,030

(注)「金融商品取引法等の一部を改正する法律」及び関係政府令の施行(平成20年12月12日)に伴い、「有価証券関連業経理の統一に関する規則」の一部が改正され、受入手数料の内訳科目の「引受け・売出し手数料」及び「募集・売出しの取扱手数料」は、「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」及び「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」にそれぞれ科目名が変更されております。

 

受入手数料の合計は40億30百万円(前連結会計年度比60.2%)となりました。

科目別の内訳は、以下のとおりであります。

・委託手数料

株式委託手数料は19億57百万円(前連結会計年度比67.0%)となりました。また、債券やETFを含む委託手数料の合計は19億74百万円(同67.2%)となりました。

 

・引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

市場全体の公開社数が大幅に減少するなかで、新規株式公開業務においては、当社主幹事案件第1号の株式会社メディサイエンスプラニングが上場したこと等により、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は67百万円(前連結会計年度比105.6%)となりました。

 

・募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

主に投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は10億23百万円(前連結会計年度比47.6%)となりました。

 

・その他の受入手数料

投資信託の信託報酬が中心のその他の受入手数料は9億64百万円(前連結会計年度比62.7%)となりました。

 

② トレーディング損益

 

 
前連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
当連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
(百万円)
(百万円)
株券等
605
689
債券等
1,199
298
その他
95
176
合計
1,900
1,164

 

トレーディング損益は、「株券等」が6億89百万円(前連結会計年度比114.0%)、「債券等」が2億98百万円(同24.8%)となり、外国為替取引から生じる損益の「その他」 1億76百万円(同184.6%)を含めたトレーディング損益の合計は11億64百万円(同61.3%)の利益となりました。

 

③ 金融収支

金融収益は4億24百万円(前連結会計年度比64.8%)、金融費用は2億8百万円(同72.6%)となり、金融収支は2億16百万円(同58.6%)となりました。

 

④ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、人件費等の減少により64億95百万円(前連結会計年度比85.6%)となりました。主な内訳は、取引関係費8億64百万円(同95.2%)、人件費35億39百万円(同81.5%)、不動産関係費6億56百万円(同95.3%)、事務費9億98百万円(同94.4%)、減価償却費2億29百万円(同82.8%)であります。 

 

⑤ 特別損益

特別損益は、投資有価証券売却益などの特別利益5億40百万円と、投資有価証券評価損などの特別損失4億59百万円の計上を行ったことから、差し引き80百万円の利益となりました。 

 

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は56億19百万円(前連結会計年度比60.8%)、純営業収益は54億11百万円(同60.4%)、経常損失は8億72百万円(前連結会計年度16億5百万円の利益)となり、当期純損失は5億81百万円(前連結会計年度9億57百万円の利益)となりました。 

 

(注) 1 業績については、事業の種類別セグメント情報及び所在地別セグメント情報を作成しておりませんので、その区分による記載を行っておりません。

2 「業績等の概要」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、信用取引の減少などにより12億43百万円の収入超過(前年同期12億45百万円の収入超過)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、主に短期金融市場(コール市場)における運用資金の回収により21億12百万円の収入超過(同23億95百万円の収入超過)となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、株主配当金の支払や短期借入金の返済などにより5億70百万円の支出超過(同8億85百万円の支出超過)となりました。 
 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ27億74百万円増加し144億36百万円となりました。 

 

(3) トレーディング業務の状況

① トレーディング商品

トレーディング商品の残高は以下のとおりであります。

 

 
前連結会計年度
平成20年3月31日現在
当連結会計年度
平成21年3月31日現在
(百万円)
(百万円)
資産の部のトレーディング商品
399
429
 商品有価証券等
399
429
  株式
153
3
  債券
246
426
 デリバティブ取引
負債の部のトレーディング商品
45
3
 商品有価証券等
45
3
  株式
45
3
 デリバティブ取引

 

② トレーディングのリスク管理

当社は社内規定に基づく運用限度額を設定し、短期売買を主体としたトレーディング業務を行うことを基本とし、ポジションに対するリスク(マーケットリスク)については、売買を執行する各商品部門から独立したリスク管理担当部署において日々の売買状況、保有残高、実現損益及び評価損益等の運用状況を把握することでリスク管理を行い、その結果を定期的に経営陣及び関連部署に報告しております。

一方、取引先リスクについては、取引開始に先立ち当社が定める取引開始基準に基づく顧客審査を行い、日々の管理体制として担保評価及び各取引の評価損益の把握等、適切な管理を行っております。

 

(注) トレーディング業務は、当企業集団のうち提出会社が行う業務であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社及び当社の連結子会社1社の主たる事業は、金融商品取引業を中核とする投資・金融サービス業という事業セグメントに属しております。このため、当該箇所において記載できる情報がないことから、事業の状況につきましては「1 業績等の概要」欄に含めて記載しております。

 

3 【対処すべき課題】

わが国の金融・資本市場は、昨年9月のリ−マン・ショック以降に外部環境が激変し、世界的な金融危機と景気後退が深刻化するなかで世界同時株安となり、証券会社を取り巻く経営環境は大変厳しい状況となっております。その一方で、信頼と活力ある金融・資本市場の構築に向けた“貯蓄から投資へ”の流れを促進させる施策は、長期にわたる資産形成の手段として、投資家への“信頼”“利便性”“保護”を目的に次々と講じられており、金融・資本市場の担い手としての証券会社の役割と責任は、これまで以上に大きくなっております。
 当社はこのような状況認識のもと、質の高い商品戦略と一元管理された顧客戦略を有効にリンクさせ、“商品熟知”と“顧客熟知”といった原点に立ち返り、富裕層を中心とした新規顧客の開拓と新規資金の導入により、収益基盤と顧客基盤の強化を図り、業績の回復に努めてまいる所存であります。また、収益源を獲得するための戦力強化と内部管理体制の充実を図る観点から、現環境は優秀な人材を確保する好機と捉え、適宜採用を行うことで、将来の布石としたいと考えております。
 そして、財務報告に係る内部統制報告制度への万全なる対応を行うとともに、全役職員が法令遵守と自己規律を徹底し、高い倫理観を共有した誠実な企業として認知されるべく、盤石なるコンプライアンス遵守体制の確立とリスク管理体制の強化を目指してまいります。さらに、良好な財務基盤を生かした配当政策を継続することで、株主の皆様及びお客様に信頼される証券会社となるべく一層の努力をいたす所存であります。

 

4 【事業等のリスク】

当企業集団の業績は、今後起こりうる要因により影響を受ける可能性があります。このため、以下において、事業展開上リスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、ここに記載の項目は当企業集団が有価証券報告書提出日現在において認識しているものに限られており、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。
 当企業集団は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、以下の特別記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があります。

 

(1) 主要な事業の前提に係るリスク

① 金融商品取引業の登録等

当社は、金融商品取引業者として金融商品取引法第29条に基づく金融商品取引業の登録(登録番号 近畿財務局長(金商)第20号)を受けて金融商品取引業務を営んでおります。
 金融商品取引業については、金融商品取引法第52条第1項、同第53条第3項、同第54条にて、登録の取消となる要件が定められており、これに該当した場合、登録の取消が命じられます。

 

② 自己資本規制比率

金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、金融商品取引業者に対して自己資本規制比率を一定以上維持することを義務づけております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本の額の、保有する有価証券の価格変動、その他の理由により発生し得るリスク相当額の合計に対する比率を指します(金融商品取引法第46条の6第1項)。当該比率が120%を下回った場合、金融庁は金融商品取引業者に対して、業務方法の変更等を命じ、財産供託その他監督上必要な事項を命じることができます。また、100%を下回った場合には3ヶ月以内の期間、業務の停止を命じることができ、さらに業務停止命令後3ヶ月を経過しても100%を下回り、かつ、回復の見込みがないときは金融商品取引業の登録を取り消すことができるとされています(同法第53条、第194条の7第1項)。また、金融商品取引業者は、四半期ごとに、この自己資本規制比率を記載した書面を作成し、3ヶ月間、全ての営業所に備え置き、公衆の縦覧に供しなければならず(同法第46条の6第3項)、これに違反した場合には罰則が科されます(同法第198条の6第6号、第207条第1項第4号)。

 

③ 顧客資産の分別管理

金融商品取引業者は、金融商品取引法及び金融商品取引業等に関する内閣府令により、経営破綻等が生じた場合に顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう、顧客から預託を受けた有価証券及び金銭につき、自己の固有財産と分別して管理することが義務づけられております。しかし、分別管理が十分でないと判断された場合には、金融庁長官による行政処分の対象となるほか(金融商品取引法第52条第1項第6号)、刑事罰も科されます(同法第198条の5第2号、第207条第1項第3号)。

 

現時点において、取消事由等や法令違反等に該当する事実はないと認識しておりますが、将来、何らかの事由により登録等の取消等があった場合には、当企業集団の重要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 株式市場の動向による影響について

当企業集団の純営業収益は、主に株式、投資信託の販売による受入手数料と株式、債券のトレーディング損益によって構成されております。とりわけ純営業収益に占める株式委託手数料の割合は36.2%と高くなっております。当企業集団は、従来から投資信託、債券などの継続販売により、収益源の多様化を図っておりますが、十分に収益源の多様化が図られない場合には、株式市場の動向によって収益が変動する可能性が高く、その場合には当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(3) 信用取引について

信用取引においては、顧客への信用供与が発生し、市況の変動によって顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。株式相場の変動等により、担保となっている有価証券の価値が低下した場合など、各顧客に追加で担保の差し入れを求める場合がありますが、顧客が追加担保の差し入れに応じない場合には、契約により担保となっている代用証券を処分することとなり、株式相場が急激に変動した場合など、顧客への信用取引貸付金を十分回収できない可能性もあり、その場合には当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(4) システム関連について

当社の基幹システムは、株式会社野村総合研究所に全面的に委託しております。
また、バックオフィス業務等の一部を日本クリアリングサービス株式会社及び株式会社だいこう証券ビジネス等に事務委託を行っており、当社が顧客に間接・直接的に提供している企業情報や株価等は、株式会社QUICKをはじめとする情報提供業者等から契約に基づいて提供されております。
 上記の業務委託先のシステムに重大なトラブルが発生した場合には、当企業集団の業務に影響を及ぼすと同時に顧客からの信認の低下をもたらす可能性があります。

 

(5) 顧客情報の漏洩について

当社の顧客情報は、株式会社野村総合研究所のオンラインシステムによって管理されており、同社においてセキュリティについては万全を期しておりますが、コンピュータハッカーの浸入、コンピュータウイルス等による破壊的な影響を受ける場合が有り得ます。また、当企業集団においても、個人情報保護に関しては万全を期しておりますが、何らかの原因で顧客情報が流出したり、不正使用が行われた場合には、当社の評価を低下させ、当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(6) 訴訟について

当企業集団では、社員に対するコンプライアンスの徹底、顧客の注文内容の十分な確認、事務処理の正確性の確保などを平素より重視しておりますが、価格変動の激しい株式などリスク商品を取扱っているという業務内容の特殊性から、顧客との間で、注文執行時における事実認識の食い違いなどを理由とした紛争が発生するケースがあります。そのような紛争の未然防止のため最大限の努力をしていく方針ですが、顧客との紛争の可能性がないとは言えず、訴訟となった場合には当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

提出会社が作成する連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」並びに当企業集団の主たる事業である有価証券関連業を営む会社に適用される「金融商品取引業等に関する内閣府令」及び「有価証券関連業経理の統一に関する規則」等国内において一般に公正妥当と認められている基準(以下「会計基準等」という。)に準拠して作成しております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末の資産・負債並びに連結会計期間の収益・費用に基づき作成しておりますが、これらの中には会計基準等に認められた範囲において行った見積り計上によるものが含まれており、見積り特有の不確実性により将来の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。

以下に掲げる項目が、提出会社の連結財務諸表作成において使用される重要な判断と見積りに影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

① 費用の見積り

貸倒引当金の計上基準として一般債権に使用する貸倒実績率や貸倒懸念債権等個別に回収可能性を検討した結果の回収不能見込額、賞与引当金の計上基準である実際支給見込額等は合理的な根拠に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性により将来の結果がこれらの見積りと異なった場合には追加引当の必要や費用の追加発生の可能性があります。

 

② 投資の減損

長期的な保有を目的とした株式の取得を行っております。これらは、投資特有のリスクを伴うため投資価値の下落に対して一定の基準を設けております。市場性のあるもののうち時価が取得価額に比べ30%から50%の範囲で下落した銘柄については、下落が一時的ではないと判断された場合には減損処理を行い、50%超下落した銘柄については減損処理を行います。また、市場性のない株式については純資産額により減損の兆候を判定し、価値の毀損が認められた場合には減損処理を行うこととしております。当連結会計年度においては、市場性のある株式10銘柄及び市場性のない株式3銘柄について減損処理を実施しております。なお、その他の銘柄についても将来の市況悪化や投資先の業績不振等現在の帳簿価格に反映されていない損失発生の顕在化や投資価値の下落により減損処理の必要が生じる可能性があります。また、長期投資を基本として投資事業有限責任組合等への出資を行っております。当該出資については、「金融商品会計に関する実務指針」等に従い、組合契約に規定される決算報告日に応じて入手可能な最近の決算書を基礎とし、組合決算の持分相当額を純額方式により各連結会計年度の損益として計上することとしております。また、組合等がその他有価証券を保有している場合で当該有価証券に評価差額がある場合には、評価差額に対する持分相当額をその他有価証券評価差額金に計上することとしております。

以上のように当該出資についても組合決算に基づく投資価値を最大限反映させておりますが、投資特有のリスクを伴うため将来において最大出資額までの損失を被る可能性があります。

 

(2) 経営成績

① 概要

当連結会計年度は、世界的な金融の混乱による株安、円高、企業業績の悪化等により、顧客が保有する資産価値が大きく目減りするなかで、顧客の投資マインドが大きく減退し、金融商品の販売が大幅に減少いたしました。 

 

② 純営業収益

・受入手数料

株価は、期初こそ日経平均株価が12,000円台半ばから始まり、金融システム安定化への期待感から6月には14,601円まで上昇しましたが、その後は原油価格の高騰によるインフレリスクが台頭し、外国人投資家が8年ぶりに日本株を売り越すなかで、日経平均株価は12営業日連続安を記録するなど下落基調に転じました。
 特にリーマン・ブラザーズが経営破綻した9月以降は、世界中の投資家による現金化の動きが予想を上回る速度で強まり、世界同時株安が加速するなかで、2003年4月28日につけたバブル崩壊後の安値である7,603円を割り込み、さらに10月28日には26年ぶりに一時7,000円を割り込み6,994円まで下落することとなりました。これに対して、主要各国政府や中央銀行が協調し、公的資金の注入や大幅な利下げなど、大規模な金融安定化策や景気刺激策を発表したことで、市場は徐々に落ち着きを取り戻し、一時は9,000円台まで回復しましたが、金融不安が再燃し、実体経済の悪化が鮮明となった3月初旬には、日経平均株価は再び7,000円台割れ寸前となり、大型株が売り込まれたTOPIXはバブル後の最安値を更新しました。期末にかけては、下落率などのテクニカル面と追加経済対策への期待感から切り返し、当連結会計年度末の日経平均株価は8,109円となり、年間で35.3%の大幅な下落となりました。このような環境の中で、株式委託手数料は19億57百万円(前連結会計年度比67.0%)となり、債券やETFを含む委託手数料の合計は19億74百万円(同67.2%)となりました。なお、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は67百万円(同105.6%)となりました。これは、市場全体の公開社数が大幅に減少するなかで、新規株式公開業務において、当社主幹事案件第1号の株式会社メディサイエンスプラニングが上場したこと等によるものです。
 また、主に投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は10億23百万円(同47.6%)、投資信託の信託報酬が中心のその他の受入手数料は9億64百万円(同62.7%)となりました。 

 

・トレーディング損益

トレーディング損益は、「株券等」が6億89百万円(前連結会計年度比114.0%)、「債券等」が2億98百万円(同24.8%)となり、外国為替取引から生じる損益の「その他」 1億76百万円(同184.6%)を含めたトレーディング損益の合計は11億64百万円(同61.3%)の利益となりました。

 

・金融収支

金融収益は4億24百万円(前連結会計年度比64.8%)、金融費用は2億8百万円(同72.6%)となり、金融収支は2億16百万円(同58.6%)となりました。

 

以上のことから当連結会計年度の純営業収益は54億11百万円(前連結会計年度比60.4%)となりました。

 

③ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は、人件費等の減少により64億95百万円(前連結会計年度比85.6%)となりました。主な内訳は、取引関係費8億64百万円(同95.2%)、人件費35億39百万円(同81.5%)、不動産関係費6億56百万円(同95.3%)、事務費9億98百万円(同94.4%)、減価償却費2億29百万円(同82.8%)であります。 

 

④ 特別損益

特別損益は、投資有価証券売却益などの特別利益5億40百万円と、投資有価証券評価損などの特別損失4億59百万円の計上を行ったことから、差し引き80百万円の利益となりました。 

 

以上の結果、経常損失は8億72百万円(前連結会計年度16億5百万円の利益)となり、当期純損失は5億81百万円(前連結会計年度9億57百万円の利益)となりました。

 

(3) 流動性及び資金の源泉

① キャッシュ・フロー

前連結会計年度12億45百万円の収入超過であった営業活動によるキャッシュ・フローは、信用取引の減少などにより12億43百万円の収入超過となりました。一方、前連結会計年度23億95百万円の収入超過であった投資活動によるキャッシュ・フローは、主に短期金融市場(コール市場)における運用資金の回収により21億12百万円の収入超過となり、前連結会計年度は株主配当金の支払などにより8億85百万円の支出超過であった財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度も株主配当金の支払や短期借入金を返済したことなどにより5億70百万円の支出超過となりました。 

 

② 資金需要

当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、トレーディング業務及び顧客の信用取引に対する融資のほか取引関係費や人件費等の販売費・一般管理費であります。

 

③ 財務政策

当企業集団の運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入により調達しております。このうち借入による資金調達に関しましては、銀行等金融機関からの融資が運転資金及び設備投資資金に充てる目的のものであり、証券金融会社からの融資は顧客の信用取引に係る資金調達を目的としたものであります。

当企業集団は144億36百万円の現金及び現金同等物残高と未使用の借入可能枠により将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能であると考えております。

 





出典: 髙木証券株式会社、2009-03-31 期 有価証券報告書