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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のわが国経済は、一昨年のリーマン・ショックをきっかけに、世界的にも深刻な金融危機と実体経済の悪化といった影響を大きく受けたものの、各国が実施した積極的な景気刺激策や金融安定化策が奏功し、昨年6月には景気底入れ宣言が出されるなど、景気は外需主導で持ち直してまいりました。特に中国など新興国経済の高成長を背景にした輸出増が製造業の生産拡大に結びつき、企業収益改善の方向性も明確になってまいりました。その一方で、完全失業率が高水準で推移し、企業業績の改善が所得増につながっておらず、長引くデフレ傾向のなかで個人消費など内需の回復力は弱く、実感の乏しい緩慢な景気回復局面が続いております。
 このような環境下にあって株式市場は、昨年3月10日に付けたバブル崩壊後の安値(終値ベース7,054円)から、各国が実施した政策効果によって回復過程を辿り、総じて堅調に推移しました。
 新年度入り後は、エコカー減税やエコポイントを含めた経済対策の実施や世界的な信用収縮懸念の後退と景気回復期待を背景に戻り基調を強め、5月には一時的に新型インフルエンザの国内感染拡大を嫌気して下落する場面もありましたが、6月には日経平均株価は10,000円台を回復し、民主党が衆議院選挙で圧勝した8月下旬まで上昇基調となりました。しかし、鳩山政権誕生後は、民主党の政策に対する不透明感が台頭するとともに、大型増資による需給悪化懸念により下落基調となり、11月下旬にはデフレ宣言およびドバイショックならびに84円台となる急激な円高が重なって9,000円台まで株安が進行しました。この円高・株安をきっかけに、12月には政府と日銀がデフレ克服のため協調して追加の金融緩和措置と経済対策を打ち出したことが転機となって、利上げ観測の出ていた米国との金利差が拡大し円高に歯止めがかかるとともに、出遅れ感の強かった日本株に対する外国人投資家の買い越し基調が強まり、本年1月中旬には11,000円目前まで上昇しました。その後は、米国政府が提示した金融規制強化案および中国・インドの金融引き締め策ならびにギリシャの財政不安を理由に、2月初旬には一時10,000円割れまで反落しましたが、3月には米国の雇用改善への期待から米国株式市場の上昇が続き、為替市場では円安・ドル高の動きが強まったこと、欧州連合のギリシャ支援策の合意等、為替市場とマクロ経済面からのサポートにより、期末にかけては輸出関連株を中心に買い安心感が広がり再び上昇基調となりました。その結果、当連結会計年度末の日経平均株価は11,089円となり、前連結会計年度末の8,109円に比べ36.8%と大幅に上昇しました。
 一方、債券市場は新年度1.3%台で始まった長期金利は、国債増発による需給悪化懸念を嫌気して6月上旬には1.5%台半ばまで上昇しましたが、日銀が追加金融緩和策の導入を決めた12月には1.2%程度まで低下し、当連結会計年度末には1.4%程度の水準となりました。各国が出口戦略として金融引き締め策に転じるなかで、日本は政策金利を据え置き追加金融緩和策を実施するなど、長期金利は年間を通して概ね1.2%から1.5%の低位安定した狭いレンジの動きとなりました。
 この間当企業集団は、投資信託を募集商品の中心に据えて販売するとともに、香港H株やユーロ円CBの販売に努めました結果、当連結会計年度の経常利益は11億1百万円の黒字に転換いたしました。

 

主要な連結の収益および費用等の概況は、以下のとおりであります。

 

① 受入手数料

 

 
前連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
当連結会計年度
自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日
(百万円)
(百万円)
委託手数料
1,974
2,051
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
67
64
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
1,023
1,729
その他の受入手数料
964
804
合計
4,030
4,649

 

受入手数料の合計は46億49百万円(前連結会計年度比115.4%)となりました。

科目別の内訳は、次のとおりであります。

・委託手数料

株式委託手数料は20億35百万円(前連結会計年度比104.0%)となりました。また、債券やETFを含む委託手数料の合計は20億51百万円(同103.9%)となりました。 

 

・引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

市場全体の新規公開社数が大幅に減少するなかで、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は64百万円(前連結会計年度比95.4%)となりました。 

 

・募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

主に投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は17億29百万円(前連結会計年度比168.9%)となりました。 

 

・その他の受入手数料

投資信託の信託報酬が中心のその他の受入手数料は8億4百万円(前連結会計年度比83.4%)となりました。

 

② トレーディング損益

 

 
前連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
当連結会計年度
自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日
(百万円)
(百万円)
株券等
689
1,457
債券等
298
328
その他
176
943
合計
1,164
2,728

 

トレーディング損益は、ユーロ円CB販売を含む「株券等」が14億57百万円(前連結会計年度比211.3%)、外債販売が主な「債券等」が3億28百万円(同110.1%)となり、外国為替取引から生じる損益の「その他」9億43百万円(同534.6%)を含めたトレーディング損益の合計は27億28百万円(同234.4%)の利益となりました。

 

③ 金融収支

金融収益は1億98百万円(前連結会計年度比46.8%)、金融費用は1億3百万円(同49.8%)となり、金融収支は95百万円(同43.9%)となりました。

 

④ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は65億43百万円(前連結会計年度比100.7%)となりました。主な内訳は、取引関係費8億48百万円(同98.2%)、人件費35億68百万円(同100.8%)、不動産関係費6億14百万円(同93.6%)、事務費10億40百万円(同104.2%)、減価償却費2億25百万円(同98.0%)であります。 

 

⑤ 特別損益

特別損益は、投資有価証券売却益等の特別利益7億36百万円と、投資有価証券評価損等の特別損失1億64百万円の計上を行ったことから、差し引き5億72百万円の利益となりました。 

 

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は75億76百万円(前連結会計年度比134.8%)、純営業収益は74億73百万円(同138.1%)、経常利益は11億1百万円(前連結会計年度8億72百万円の損失)となり、当期純利益は9億76百万円(前連結会計年度5億81百万円の損失)となりました。 
 

 

(注) 1 業績については、事業の種類別セグメント情報および所在地別セグメント情報を作成しておりませんので、その区分による記載を行っておりません。

2 「業績等の概要」に記載の消費税等の課税取引については、消費税等を含んでおりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益16億73百万円の計上があったものの信用取引の減少などにより13億80百万円の収入超過(前年同期12億43百万円の収入超過)となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入や固定資産の取得のための支出などにより6億86百万円の収入超過(同21億12百万円の収入超過)となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、株主配当金の支払などにより3億52百万円の支出超過(同5億70百万円の支出超過)となりました。
 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ17億28百万円増加し161億65百万円となりました。

 

(3) トレーディング業務の状況

① トレーディング商品

トレーディング商品の残高は以下のとおりであります。

 

 
前連結会計年度
平成21年3月31日現在
当連結会計年度
平成22年3月31日現在
(百万円)
(百万円)
資産の部のトレーディング商品
429
267
 商品有価証券等
429
267
  株式
3
26
  債券
426
241
 デリバティブ取引
負債の部のトレーディング商品
3
 商品有価証券等
3
  株式
3
 デリバティブ取引

 

② トレーディングのリスク管理

当社は社内規程に基づく運用限度額を設定し、短期売買を主体としたトレーディング業務を行うことを基本とし、ポジションに対するリスク(マーケットリスク)については、売買を執行する各商品部門から独立したリスク管理担当部署において日々の売買状況、保有残高、実現損益および評価損益等の運用状況を把握することでリスク管理を行い、その結果を定期的に経営陣および関連部署に報告しております。

一方、取引先リスクについては、取引開始に先立ち当社が定める取引開始基準に基づく顧客審査を行い、日々の管理体制として担保評価および各取引の評価損益の把握等、適切な管理を行っております。

 

(注) トレーディング業務は、当企業集団のうち提出会社が行う業務であります。

 

2 【生産、受注および販売の状況】

当社および当社の連結子会社1社の主たる事業は、金融商品取引業を中核とする投資・金融サービス業という事業セグメントに属しております。このため、当該箇所において記載できる情報がないことから、事業の状況につきましては「1 業績等の概要」欄に含めて記載しております。

 

3 【対処すべき課題】

証券業界を取り巻く環境は、リーマン・ショック以降の世界的な景気後退や市況の悪化を受け、市場の金融仲介機能は未だ回復しておらず、引き続き厳しい経営環境が続くものと思われます。
 金融・資本市場の担い手である証券会社として、金融危機以降に外部環境が激変し不確実性が高まっている今こそ、リテール対面証券ビジネスの優位性と存在価値を生かして、お客様が必要としている満足度の高い投資アドバイスを的確に行い、その結果としてお客様の投資パフォーマンスの向上に資することが重要であると考えております。
 当社はこのような状況認識のもと、質の高い商品戦略と顧客戦略を有効にリンクさせ、“商品熟知”と“顧客熟知”といった原点に立ち返り、営業員に対して一段のスキルアップを醸成するとともに、適合性を斟酌した既存顧客の活性化、富裕層を中心とした新規顧客の開拓と新規資金の導入により、収益基盤と顧客基盤の強化を図り、業績の向上に努めてまいります。
 なお、平成22年6月17日に、当社に対する検査の結果、不動産投資ファンドの勧誘等に関し、法令違反等の事実が認められたため、証券取引等監視委員会から内閣総理大臣および金融庁長官に対して行政処分を求める勧告が行われ、平成22年6月25日に、近畿財務局長より行政処分を受けました。
 当該処分の内容は次のとおりです。

(1) 業務停止命令

平成22年7月1日から同年7月14日までの間、第二種金融商品取引業に係る業務(当局が個別に認めたものを除く。)の停止。

(2) 業務改善命令

① 金融商品の勧誘に関し、例えば以下の取組みなどにより、その商品性・リスクについて、顧客

 が十分に理解できるようにするための説明態勢等の構築を図ること。

・顧客への説明に使用する販売資料の整備

・研修等の実施による、営業員への商品性等の周知徹底

・新商品導入時における内部牽制機能の構築

② 顧客からの苦情等に関し、適切に調査・原因分析等が行われるよう、「金融商品取引業者等向

 けの総合的な監督指針」の改正も踏まえ、苦情等処理態勢の強化を図ること。

③ その他投資者保護の視点に立った、経営管理態勢および内部管理態勢の充実・強化、役職員の 

 法令遵守意識の徹底を図ること。

④ 本件に係る責任の所在の明確化を図ること。

⑤ 上記①から④について、その対応・実施状況を平成22年7月23日までに書面により報告する

 こと。

当社といたしましては、かかる事態を厳粛かつ重大に受け止め、問題点の改善、内部管理態勢の強化・充実に取組むとともに、役職員一同全力で法令等遵守意識を徹底し、再発防止ならびに信頼の回復に努めてまいる所存であります。

 

4 【事業等のリスク】

当企業集団の業績は、今後起こりうる様々な要因により影響を受ける可能性があります。このため、以下において、事業展開上リスク要因となる可能性がある主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、ここに記載の項目は当企業集団が有価証券報告書提出日現在において認識しているものに限られており、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。
 当企業集団は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、以下の特別記載事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があります。

 

(1) 法的規制について

① 金融商品取引業の登録について

当社は、金融商品取引業者として金融商品取引法第29条に基づく金融商品取引業の登録(登録番号 近畿財務局長(金商)第20号)を受けております。
 金融商品取引業者は、金融商品取引業またはこれに付随する業務に関し、法令等に違反した場合には、登録または認可の取り消し、一定期間の業務停止または業務改善命令を受ける可能性があり、その結果次第では当社の信頼および評判の失墜を招き、当企業集団の重要な事業活動に支障をきたすとともに、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自己資本規制比率について

金融商品取引業者には、金融商品取引法および金融商品取引業等に関する内閣府令に基づき、財務の健全性の指標として自己資本規制比率を一定以上(120%以上)に維持することが義務づけられております。
 平成22年3月31日現在における当社の自己資本規制比率は929.3%と高水準でありますが、仮に今後、自己資本規制比率が通常の想定範囲を超え大幅に低下した場合には、当企業集団に対する評判リスクが増大し業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

③ 金融商品販売法および消費者契約法について

当企業集団は、金融商品の販売等に関する法律(金融商品販売法)および消費者契約法を遵守した業務展開を図っているものと認識しておりますが、上記法令に適合していないと認められる事象が発生し、顧客から当該事象を理由として訴訟等が提起された場合には、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 顧客資産の分別管理について

金融商品取引業者は、金融商品取引法および金融商品取引業等に関する内閣府令により、経営破綻等が生じた場合に顧客資産が適切かつ円滑に返還されるよう、顧客から預託を受けた有価証券および金銭につき、自己の固有財産と分別して管理することが義務づけられております。しかし、分別管理が十分でないと判断された場合には、行政処分の対象となるほか、刑事罰も科され、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

以上のように、将来、何らかの事由により登録等の取消等があった場合には、当企業集団の重要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 株式市場の動向による影響について

当企業集団の純営業収益は、主に株式、投資信託の販売による受入手数料と株式、債券のトレーディング損益によって構成されております。とりわけ純営業収益に占める株式委託手数料の割合は27.3%と高くなっております。当企業集団は、従来から投資信託、債券などの継続販売により、収益源の多様化を図っておりますが、十分に収益源の多様化が図られない場合には、株式市場の動向によって収益が変動する可能性が高く、その場合には当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(3) 信用取引について

信用取引においては、顧客への信用供与に伴い、市況の変動によって顧客の信用リスクが顕在化する可能性があります。株式相場の変動等により、担保となっている有価証券の価値が低下した場合など、各顧客に追加で担保の差し入れを求める場合がありますが、顧客が追加担保の差し入れに応じない場合には、契約により担保となっている代用証券を処分することとなり、株式相場が急激に変動した場合など、顧客への信用取引貸付金を十分回収できない可能性もあり、その場合には当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(4) システム関連について

当社の基幹システムは、株式会社野村総合研究所に全面的に委託しております。
 また、バックオフィス業務等の一部を日本クリアリングサービス株式会社および株式会社だいこう証券ビジネス等に事務委託を行っており、当社が顧客に直接・間接的に提供している企業情報や株価等は、株式会社QUICKをはじめとする情報提供業者等から契約に基づいて提供されております。
 上記の業務委託先のシステムに重大なトラブルが発生した場合には、当企業集団の業務に影響を及ぼすと同時に顧客からの信認の低下をもたらす可能性があります。 

 

(5) 顧客情報の漏洩について

当社の顧客情報は、株式会社野村総合研究所のオンラインシステムによって管理されており、同社においてセキュリティについては万全を期しておりますが、コンピュータハッカーの浸入、コンピュータウイルス等による破壊的な影響を受ける場合が有り得ます。また、当企業集団においても、個人情報保護に関しては万全を期しておりますが、何らかの原因で顧客情報が流出したり、不正使用が行われた場合には、当社の評価を低下させ、当企業集団の業績に影響を及ぼす場合があります。

 

(6) 訴訟について

当企業集団では、コンプライアンス遵守体制の確立を目指し、紛争の未然防止に努めておりますが、価格変動の激しいリスク商品を取扱っているという業務内容の特殊性から、顧客との間でトラブルが発生した場合には、訴訟に発展する可能性がないとは言えず、仮に当企業集団の主張が認められなかった場合には、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。

(1) 重要な会計方針および見積り

提出会社が作成する連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」ならびに当企業集団の主たる事業である有価証券関連業を営む会社に適用される「金融商品取引業等に関する内閣府令」および「有価証券関連業経理の統一に関する規則」等国内において一般に公正妥当と認められている基準(以下「会計基準等」という。)に準拠して作成しております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末の資産・負債ならびに連結会計期間の収益・費用に基づき作成しておりますが、これらの中には会計基準等に認められた範囲において行った見積り計上によるものが含まれており、見積り特有の不確実性により将来の結果がこれらの見積りと異なる場合があります。

以下に掲げる項目が、提出会社の連結財務諸表作成において使用される重要な判断と見積りに影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

① 費用の見積り

貸倒引当金の計上基準として一般債権に使用する貸倒実績率や貸倒懸念債権等個別に回収可能性を検討した結果の回収不能見込額、賞与引当金の計上基準である実際支給見込額等は合理的な根拠に基づき見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性により将来の結果がこれらの見積りと異なった場合には追加引当の必要や費用の追加発生の可能性があります。

 

② 投資の減損

長期的な保有を目的とした株式の取得を行っております。これらは、投資特有のリスクを伴うため投資価値の下落に対して一定の基準を設けております。市場性のあるもののうち時価が取得価額に比べ30%から50%の範囲で下落した銘柄については、下落が一時的ではないと判断された場合には減損処理を行い、50%超下落した銘柄については減損処理を行います。また、市場性のない株式については純資産額により減損の兆候を判定し、価値の毀損が認められた場合には減損処理を行うこととしております。当連結会計年度においては、市場性のある株式1銘柄および市場性のない株式1銘柄について減損処理を実施しております。なお、その他の銘柄についても将来の市況悪化や投資先の業績不振等現在の帳簿価格に反映されていない損失発生の顕在化や投資価値の下落により減損処理の必要が生じる可能性があります。また、長期投資を基本として投資事業有限責任組合等への出資を行っております。当該出資については、「金融商品会計に関する実務指針」等に従い、組合契約に規定される決算報告日に応じて入手可能な最近の決算書を基礎とし、組合決算の持分相当額を純額方式により各連結会計年度の損益として計上することとしております。また、組合等がその他有価証券を保有している場合で当該有価証券に評価差額がある場合には、評価差額に対する持分相当額をその他有価証券評価差額金に計上することとしております。

以上のように当該出資についても組合決算に基づく投資価値を最大限反映させておりますが、投資特有のリスクを伴うため将来において最大出資額までの損失を被る可能性があります。

 

(2) 経営成績

① 概要

当連結会計年度は、一昨年のリーマン・ショックをきっかけに、世界的にも深刻な金融危機と実体経済の悪化といった影響を大きく受けたものの、各国が実施した積極的な景気刺激策や金融安定化策が奏功し、昨年6月には景気底入れ宣言が出されるなど、景気は外需主導で持ち直してまいりました。
 その一方で、完全失業率が高水準で推移し、企業業績の改善が所得増につながっておらず、長引くデフレ傾向のなかで個人消費など内需の回復力は弱く、実感の乏しい緩慢な景気回復局面が続いております。

 

② 純営業収益

・受入手数料

エコカー減税やエコポイントを含めた経済対策の実施や世界的な信用収縮懸念の後退と景気回復期待を背景に戻り基調を強め、5月には一時的に新型インフルエンザの国内感染拡大を嫌気して下落する場面もありましたが、6月には日経平均株価は10,000円台を回復し、民主党が衆議院選挙で圧勝した8月下旬まで上昇基調となりました。しかし、鳩山政権誕生後は、民主党の政策に対する不透明感が台頭するとともに、大型増資による需給悪化懸念により下落基調となり、11月下旬にはデフレ宣言およびドバイショックならびに84円台となる急激な円高が重なって9,000円台まで株安が進行しました。この円高・株安をきっかけに、12月には政府と日銀がデフレ克服のため協調して追加の金融緩和措置と経済対策を打ち出したことが転機となって、利上げ観測の出ていた米国との金利差が拡大し円高に歯止めがかるとともに、出遅れ感の強かった日本株に対する外国人投資家の買い越し基調が強まり、本年1月中旬には11,000円目前まで上昇しました。その後は、米国政府が提示した金融規制強化案および中国・インドの金融引き締め策ならびにギリシャの財政不安を理由に、2月初旬には一時10,000円割れまで反落しましたが、3月には米国の雇用改善への期待から米国株式市場の上昇が続き、為替市場では円安・ドル高の動きが強まったこと、欧州連合のギリシャ支援策の合意等、為替市場とマクロ経済面からのサポートにより、期末にかけては輸出関連株を中心に買い安心感が広がり再び上昇基調となりました。その結果、当連結会計年度末の日経平均株価は11,089円となり、前連結会計年度末の8,109円に比べ36.8%と大幅に上昇しました。このような環境の中で、株式委託手数料は20億35百万円(前連結会計年度比104.0%)となり、債券やETFを含む委託手数料の合計は20億51百万円(同103.9%)となりました。なお、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は64百万円(同95.4%)となりました。
 また、主に投資信託の販売手数料で構成される募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は17億29百万円(同168.9%)、投資信託の信託報酬が中心のその他の受入手数料は8億4百万円(同83.4%)となりました。 

 

・トレーディング損益

トレーディング損益は、ユーロ円CB販売を含む「株券等」が14億57百万円(前連結会計年度比211.3%)、外債販売が主な「債券等」が3億28百万円(同110.1%)となり、外国為替取引から生じる損益の「その他」 9億43百万円(同534.6%)を含めたトレーディング損益の合計は27億28百万円(同234.4%)の利益となりました。  

 

・金融収支

金融収益1億98百万円(前連結会計年度比46.8%)、金融費用は1億3百万円(同49.8%)となり、金融収支は95百万円(同43.9%)となりました。

 

以上のことから当連結会計年度の純営業収益は74億73百万円(前連結会計年度比138.1%)となりました。

 

③ 販売費・一般管理費

販売費・一般管理費は65億43百万円(前連結会計年度比100.7%)となりました。主な内訳は、取引関係費8億48百万円(同98.2%)、人件費35億68百万円(同100.8%)、不動産関係費6億14百万円(同93.6%)、事務費10億40百万円(同104.2%)、減価償却費2億25百万円(同98.0%)であります。 

 

④ 特別損益

特別損益は、投資有価証券売却益等の特別利益7億36百万円と、投資有価証券評価損等の特別損失1億64百万円の計上を行ったことから、差し引き5億72百万円の利益となりました。

 

以上の結果、経常利益は11億1百万円(前連結会計年度8億72百万円の損失)となり、当期純利益は9億76百万円(前連結会計年度5億81百万円の損失)となりました。 

 

(3) 資本の財源および資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

前連結会計年度12億43百万円の収入超過であった営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益16億73百万円の計上があったものの信用取引の減少などにより13億80百万円の収入超過となりました。一方、前連結会計年度21億12百万円の収入超過であった投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入や固定資産の取得のための支出などにより6億86百万円の収入超過となり、前連結会計年度は株主配当金の支払などにより5億70百万円の支出超過であった財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度も株主配当金の支払などにより3億52百万円の支出超過となりました。 

 

② 資金需要

当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、トレーディング業務および顧客の信用取引に対する融資のほか取引関係費や人件費等の販売費・一般管理費であります。 

 

③ 財務政策

当企業集団の運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金または借入により調達しております。このうち借入による資金調達に関しましては、銀行等金融機関からの融資が運転資金および設備投資資金に充てる目的のものであり、証券金融会社からの融資は顧客の信用取引に係る資金調達を目的としたものであります。
 当企業集団は161億65百万円の現金及び現金同等物残高と未使用の借入可能枠により将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能であると考えております。

 

 





出典: 髙木証券株式会社、2010-03-31 期 有価証券報告書