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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のわが国経済は、輸出・生産の回復や政府の経済対策効果による個人消費の持ち直し等がみられましたが、経済活動の水準が依然として低いなか、自律的回復力は弱く、雇用情勢の深刻さや物価の下落傾向が続くなど、本格的な景気回復には至りませんでした。

当不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、企業のオフィス需要の減退により稼働率や賃料水準が下落するなど、厳しい事業環境が続きました。分譲住宅市場については、販売価格の調整や政策効果等により、顧客の購入意欲が顕在化し、契約率の上昇や販売在庫の圧縮が進んだものの、新規供給戸数及び着工戸数は大幅に減少し、市況回復感に乏しい展開となりました。また、不動産投資市場については、引き続き取引が低迷していたものの、大型ビルの取引が再開されるなど、年後半には回復の兆しがみられました。

このような事業環境のもと、当社グループは、オフィスビルなどの賃貸事業やマンション・戸建住宅などの分譲事業を柱に据え、また都市開発プロジェクトの推進も積極的に行うなど、収益力の強化と将来に向けての安定した経営基盤の構築に注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、営業収益は2,626億9百万円(前期1,998億1千1百万円、前期比31.4%増)、営業利益は291億6千2百万円(前期277億1千万円、前期比5.2%増)、経常利益は193億3千1百万円(前期205億円、前期比5.7%減)となりました。

特別損益につきましては、特別利益にグループ会社の再編を行ったことにより関係会社株式売却益37億1千3百万円を計上し、特別損失に「棚卸資産の評価に関する会計基準」の適用に伴いたな卸資産評価損54億5千9百万円を計上したほか、SPC(特別目的会社)を活用したマンション事業の収支悪化等により投資有価証券評価損86億3千9百万円を計上しました。

この結果、当期純利益は63億4千5百万円(前期101億1百万円、前期比37.2%減)となりました。

なお、当連結会計年度は、当社において1億1千5百万株の新株式を発行し、不動産開発投資資金として305億3千9百万円を調達しました。

 

事業の種類別セグメントごとの業績の概況は以下の通りであります。

① 賃貸事業

賃貸事業においては、「安全で快適な空間の提供」を目指してテナントサービスに注力するとともに、稼働率及び収益性の向上を図ってまいりました。

「建物賃貸」において、オフィスビルでは、大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業による「JAビル」・「経団連会館」(東京都千代田区)、「大崎センタービル」(東京都品川区)、「名古屋プライムセントラルタワー」(愛知県名古屋市)等が新規稼働したほか、賃貸マンションでは「アパートメンツ三軒茶屋」(東京都世田谷区)、商業施設では「SMARK(スマーク)」(群馬県伊勢崎市)が通期稼働したこと等により、前期比13.4%の増収となりました。また、当連結会計年度において「東京建物仙台ビル」(宮城県仙台市)が竣工しました。

SPC配当収益においては、大規模複合施設「オリナスタワー」(東京都墨田区)の建物売却による配当収益を計上しました。

この結果、当連結会計年度の賃貸事業における営業収益は680億8百万円(前期585億9千5百万円、前期比16.1%増)、営業利益は286億5千9百万円(前期261億7千6百万円、前期比9.5%増)となりました。

なお、SPCを活用し開発を推進している「大手町1−6計画(仮称)」(東京都千代田区、延床面積約198,000㎡)を着工したほか、「大手町一丁目第2地区第一種市街地再開発事業(A棟)」(東京都千代田区、延床面積約110,000㎡)に特定建築者として参画することが決定しました。

区分
前連結会計年度
当連結会計年度
賃貸面積(㎡)
(うち転貸面積)
金額(百万円)
賃貸面積(㎡)
(うち転貸面積)
金額(百万円)
土地賃貸
38,350
(10,704)
847
31,723
(10,704)
 786
建物賃貸
640,140
(166,391)
40,695
692,772
(198,634)
46,147
ビル運営管理受託等(注)
17,052
21,074
合計
58,595
68,008

(注) ビル運営管理受託等には、SPCを活用した収益ビル等への投資に係る配当収益が、当連結会計年度において11,724百万円、前連結会計年度において9,902百万円含まれております。

 

② 分譲事業

分譲事業においては、分譲マンションブランド「Brillia(ブリリア)」のブランドアイデンティティである「洗練された住まい」「住んでからの安心」の実現に向け、厳選した用地取得と顧客志向の商品企画を徹底するとともに、品質管理や入居後のアフターサービス、管理運営にも注力してまいりました。また、販売業務と管理業務の連携を深め競争力を強化するべく、㈱東京建物アメニティサポートを東京建物不動産販売㈱の完全子会社としました。

「マンション」では、「Brillia Mare有明TOWER&GARDEN」(東京都江東区)、「THE TOYOSU TOWER」(東京都江東区)、「Brillia Tower NAGOYA GRAND-SUITE」(愛知県名古屋市)、「Brillia琵琶湖大津京 Beach&Residence」(滋賀県大津市)等を、「戸建」では、「Brillia Terrace世田谷・喜多見」(東京都世田谷区)等を売上に計上しました。また、「宅地等」では、「オリナスタワー」の土地及び「東京虎ノ門ビル」(東京都港区)等を売上に計上しました。

この結果、当連結会計年度の分譲事業における営業収益は1,580億5千4百万円(前期926億5千7百万円、前期比70.6%増)、営業利益は85億5千5百万円(前期12億6千2百万円、前期比577.8%増)となりました。

なお、当連結会計年度では、現在販売中の分譲マンション等において、たな卸資産評価損47億9千5百万円を営業原価に計上しました。

 

区分
前連結会計年度
当連結会計年度
販売数量等
金額(百万円)
販売数量等
金額(百万円)
マンション(注)
販売戸数
1,837 戸
80,453
販売戸数
2,914 戸
120,769
戸建(戸建用宅地含む)
販売戸数
88 戸
4,388
販売戸数
49 戸
2,250
宅地等
販売件数
18 件
3,722
販売件数
37 件
30,305
住宅管理業務受託
管理戸数
31,749 戸
4,092
管理戸数
34,522 戸
4,728
合計
92,657
158,054

(注) マンションには、当社と共同で分譲事業を行ったSPCに係る配当収益が、前連結会計年度において3,014百万円含まれております。

 

③ その他事業

その他事業においては、「不動産流通事業」において、企業間の不動産取引の低迷を受け、仲介手数料収入が大幅に減少、「メディアコンプレックス事業」において、同事業を手掛ける㈱アンフォルマを売却したことにより減収、「その他」において、前連結会計年度にSPC保有資産売却による配当収益を計上した影響等により大幅な減収となりました。

また、「リゾート・レジャー・ホテル事業」において、ゴルフ場6コースを会社分割により売却しました。

この結果、当連結会計年度のその他事業における営業収益は365億4千6百万円(前期485億5千8百万円、前期比24.7%減)、営業損失は9億6千4百万円(前期営業利益80億8千1百万円)となりました。

区分
前連結会計年度
当連結会計年度
口数(口)
金額(百万円)
口数(口)
金額(百万円)
不動産流通事業
3,706
5,454
3,170
3,137
リゾート・レジャー・ホテル事業
11,215
11,316
リフォーム事業
6,631
5,536
飲食事業
1,186
1,050
メディアコンプレックス事業
6,524
4,701
温浴事業
2,987
3,286
その他(注)
14,558
7,517
合計
48,558
36,546

(注) その他には、SPCを活用した商業施設等への投資及び不動産投資信託への投資に係る配当収益が、当連結会計年度において1,468百万円、前連結会計年度において7,850百万円含まれております。

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により662億9千3百万円増加、投資活動により489億1千5百万円減少、財務活動により184億8千7百万円減少したこと等により、前期末比で10億8千万円減少し、160億7千8百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、662億9千3百万円(前年比830億4千6百万円増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益74億3千3百万円と非資金損益項目である減価償却費85億4百万円、投資有価証券評価損86億3千9百万円のほか、売上債権の減少106億3千2百万円、たな卸資産の減少264億1千2百万円による資金の増加があった一方、法人税等の支払73億9千5百万円による資金の減少があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、489億1千5百万円(前期比278億4千6百万円増加)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出245億8千9百万円、匿名組合への出資による支出147億9千8百万円及び固定資産の取得による支出355億7千8百万円による資金の減少があった一方、子会社株式の売却による収入88億9千7百万円、不動産特定共同事業出資受入金の増加102億4千4百万円による資金の増加があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、184億8千7百万円(前期比1,186億6千4百万円減少)となりました。これは主に、株式の発行305億3千9百万円及び社債の発行120億円等による資金調達の一方、借入金の返済を行ったことによるものであります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

生産、受注及び販売の状況については、「1業績等の概要」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示しております。

 

3 【対処すべき課題】

今後のわが国経済は、景気の持ち直し傾向が続くことが予測されますが、雇用情勢の一層の悪化や物価下落の影響等、景気を下押しする要因も内包しており、予断を許さない状況にあります。

当不動産業界におきましては、賃貸オフィス市場については、空室率の悪化に歯止めがかかることが見込まれるものの、賃料水準は引き続き弱含みで推移するものと思われます。また、分譲住宅市場については、供給戸数は依然低水準に留まると予想されますが、住宅版エコポイントの創設等により、環境配慮型住宅への顧客の関心が、市場の活性化につながることが期待されます。

このような情勢のもと、当社グループは、グループ中期経営計画(2009年〜2014年)に基づき、更なる収益力・財務体質の強化を進め、着実な足場固めを図ってまいります。そして、事業環境の変化を新たな価値を創造する好機と捉え、成長が見込まれる中国において事業を展開するほか、高齢化社会への対応や環境配慮への取り組みを推進するなど、新たなステージへの飛躍を実現してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 不動産市況の動向

今後、景気の動向により、賃貸オフィス市場において企業の業績悪化に伴うオフィスニーズの減退が起こる場合、また、分譲住宅市場において顧客の買い控え傾向が継続する場合等、不動産市況の動向が、当社グループの事業展開、業績等に影響を及ぼし、また当社グループ所有資産の価値低下につながる可能性があります。

 

(2) 不動産関連法制、税制の制定・改定

当社グループの事業は、「宅地建物取引業法」、「不動産の鑑定評価に関する法律」、「建築基準法」、「不動産特定共同事業法」、「資産の流動化に関する法律」、「金融商品取引法」等各種法令の他、各自治体が制定した条例等による規制を受けております。このため、将来において、これらの関連法制・条例等が制定・改定された場合には、新たな義務の発生、費用負担の増加、権利の制限等が発生する可能性があり、また、税制が制定・改定された場合には資産の保有、取得、売却等に係るコストの増加、またこれらの要因による顧客の購買意欲の低下等により、当社グループの事業展開、業績や財政状態に影響を及ぼし、また当社グループ所有資産の価値低下につながる可能性があります。

 

(3) 金利の変動

当社グループは、有利子負債の92%を長期による借入とする安定的な資金調達を行うとともに、ほぼ全ての長期借入について金利を固定化し、金利変動による影響を極力少なくするべく対処しておりますが、金利が上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼし、また当社グループ所有資産の価値低下につながる可能性があります。

 

(4) 天災等の発生

地震・風水害等の天災地変、戦争、暴動、テロ、その他突発的な事故の発生により、当社グループ所有資産の価値低下や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 株式市場の動向

当社グループは、市場性のある株式を保有しておりますが、株式市場が下落し、保有株式の価値が大幅に下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は9,694億9千2百万円となり前期末比で54億6千2百万円増加しました。これは、営業未収入金の回収、販売用不動産の売却等により流動資産が484億7千8百万円減少、「JAビル」・「経団連会館」、「名古屋プライムセントラルタワー」、「東京建物仙台ビル」の竣工及び日本橋1丁目開発特定目的会社の新規連結等による有形固定資産の増加、SPCへの出資等による匿名組合出資金の増加等により固定資産が539億4千1百万円増加したこと等によるものです。

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は7,102億円となり前期末比で224億7千5百万円減少しました。有利子負債については、当社において社債120億円を発行したほか、日本橋1丁目開発特定目的会社の新規連結により増加した一方、借入金の返済により前期末比286億7千1百万円減少しております。なお、有利子負債残高は5,109億3千4百万円となっております。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は2,592億9千2百万円となり前期末比で279億3千8百万円増加しました。これは、新株式発行による資本金及び資本剰余金の増加等によるものであります。

 

(2) 経営成績の分析

(営業収益・営業利益)

「JAビル」・「経団連会館」、「大崎センタービル」等の新規稼動のほか、大規模複合施設「オリナスタワー」の売却、「Brillia Mare有明TOWER&GARDEN」の売上計上等により、営業収益は前期比627億9千8百万円増の2,626億9百万円、営業利益は前期比14億5千2百万円増の291億6千2百万円となりました。

(経常利益)

営業利益が増加した一方、支払利息が増加したこと等により、経常利益は前期比11億6千8百万円減の193億3千1百万円となりました。

(特別損益)

特別損益では、特別利益にグループ会社の再編を行ったことによる関係会社株式売却益を計上し、特別損失に「棚卸資産の評価に関する会計基準」の適用に伴うたな卸資産評価損及びSPCを活用したマンション事業の収支悪化等による投資有価証券評価損を計上しました。

以上の結果、当期純利益は前期比37億5千5百万円減の63億4千5百万円となりました。

各セグメントの業績概要については、「第2 事業の状況」の1業績等の概要をご参照下さい。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況」の1業績等の概要をご参照ください。





出典: 東京建物株式会社、2009-12-31 期 有価証券報告書