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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、一昨年からの急激な景気後退の影響が続き、極めて不透明な状況でスタートしました。その後、アジア向け輸出の増加や景気対策の効果などにより持ち直してきているものの、なお自律性は弱く、失業率が高水準で推移するなど、依然として厳しい状況が続きました。また、平成21年3月から実施されている高速道路料金の土日祝日上限1,000円施策により、鉄道などのご利用は減少しました。このような経営環境の中、当社、連結子会社および持分法適用関連会社は、鉄道事業におけるサービスの向上や駅を中心とした生活サービス事業の推進などを通じて収入の確保に努めるとともに、Suicaを活用した事業についても積極的に展開しました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、当社の運輸収入が大幅な減収だったことなどにより前期比4.6%減の2,573,723百万円となり、営業利益は減価償却費が増加したことなどにより前期比20.3%減の344,848百万円となりました。また、経常利益は前期比28.6%減の235,137百万円、当期純利益は前期比35.8%減の120,214百万円となりました。

事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。

 

① 運輸業

運輸業においては、鉄道事業を中心に、安全性と安定性のさらなる向上を図りながら、新幹線ネットワークや首都圏の在来線ネットワーク等の利用促進と収入の確保に努めてまいりました。

具体的には、お客さまのご利用状況にあわせ、列車の増発や指定席車両数の拡大を実施しました。また、横浜や新潟でのデスティネーションキャンペーンの実施や新しい着地開発型旅行商品「旅市」の発売などを通じ、エリア内の観光流動の創造に努めました。さらに、高速道路料金引下げへの対策として、「ツーデーパス」、「週末日帰りパス」、「ふるさと行きの乗車券」などの発売や、鉄道と組み合わせた格安なレンタカー商品の提供などを行いました。「大人の休日倶楽部」については、会員限定のきっぷや旅行商品の発売など会員サービスの充実と会員数の拡大に努めました。このほか、常磐線各駅停車などに新型車両を導入するとともに、平成22年3月にはダイヤ改正を実施し、横須賀線「武蔵小杉駅」の開業や「成田エクスプレス」の増発を実施するなど、お客さまの利便性と快適性の向上を図りました。Suicaについては、平成22年3月に九州旅客鉄道株式会社の「SUGOCA(スゴカ)」、西日本鉄道株式会社の「nimoca(ニモカ)」、福岡市交通局の「はやかけん」との在来線IC乗車券の相互利用を開始しました。バス事業については、近距離路線の増便や弾力的な料金設定などにより高速路線の競争力の強化を図りました。モノレール鉄道業については、休日向けに「モノレール&山手線内割引きっぷ」を発売するなど、ご利用促進に努めました。

しかしながら、景気低迷に加え高速道路料金引下げの影響などを受け、鉄道ネットワークの輸送量は前連結会計年度を下回り、売上高は前期比4.3%減の1,808,704百万円となり、営業利益は前期比25.2%減の231,326百万円となりました。

 

② 駅スペース活用事業

駅スペース活用事業においては、「エキナカ」の価値を最大まで引き出す「ステーションルネッサンス」を積極的に推進しました。具体的には、「ディラ大船」Ⅴ期(神奈川)や「エキュート東京」(東京)を開業しました。また、越後湯沢駅では、地元と連携し、「CoCoLo湯沢がんぎどおり」(新潟)として地域色あふれる店舗へのリニューアルを実施しました。

しかしながら、グループ会社の事業再編に伴い、ショッピング・オフィス事業等に一部事業を移管したことや、景気低迷の影響などを受け、売上高は前期比7.7%減の399,957百万円となり、営業利益は前期比12.7%減の33,330百万円となりました。

 

③ ショッピング・オフィス事業

ショッピング・オフィス事業においては、「LUMINE MAN SHIBUYA(ルミネマン渋谷)」(東京)や「イーサイト上尾」(埼玉)、「アトレヴィ巣鴨」(東京)などを開業しました。また、イオンモール株式会社と共同で土浦駅ビルのリニューアルを行い、「ペルチ土浦」(茨城)として開業しました。

これに加え、グループ会社の事業再編に伴い、駅スペース活用事業から一部事業を承継したことなどから、売上高は前期比1.8%増の235,847百万円となりましたが、景気低迷の影響などを受け、営業利益は前期比1.0%減の69,308百万円となりました。

 

④ その他事業

その他事業においては、ホテル業では、「ホテルメッツ駒込」(東京)を開業したほか、「ホテルメトロポリタン秋田」(秋田)などをリニューアルしました。また、「地域再発見プロジェクト」として、「フォルクローロいわて東和」(岩手)などでもリニューアルを実施しました。広告代理業では、「デジタルポスター」をはじめとした駅広告などの販売促進に努めました。その他サービス業では、「ジェクサー・フィットネスクラブ東神奈川」(神奈川)などを開業しました。クレジットカード事業では、平成21年9月にさらなる事業の強化をめざして株式会社ビューカードを設立し、平成22年2月、当社のクレジットカード事業を同社に分割しました。Suicaによるショッピングサービス(電子マネー)では、市中の加盟店開拓を引き続き積極的に進めたほか、平成22年3月、「SUGOCA」、「nimoca」、「はやかけん」および東海旅客鉄道株式会社の「TOICA(トイカ)」との電子マネー相互利用を開始し、当連結会計年度末現在の利用可能店舗等の数は、約89,350となりました。

しかしながら、広告代理業が低調だったことやIC対応機器等の売上が前連結会計年度に比べて減少したことなどにより、売上高は前期比3.1%減の528,132百万円となり、営業利益は前期比21.8%減の13,505百万円となりました。

 

(参考)

当社の鉄道事業の営業実績

当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。

① 輸送実績

 

区分
単位
第22期
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
第23期
(自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日)
営業日数
365
365
営業キロ
新幹線
キロ
1,052.9
1,052.9
在来線
6,473.9
6,473.9
7,526.8
7,526.8
客車走行キロ
新幹線
千キロ
431,886
436,306
在来線
1,824,501
1,832,243
2,256,388
2,268,549
輸送人員
定期
千人
3,804,913
3,782,798
定期外
2,352,531
2,306,025
6,157,444
6,088,824
輸送人キロ
新幹線
定期
千人キロ
1,678,494
1,665,825
定期外
17,623,886
16,486,187
19,302,380
18,152,013
在来線
関東圏
定期
69,081,369
68,693,427
定期外
34,619,058
33,653,238
103,700,428
102,346,666
その他
定期
3,336,531
3,318,039
定期外
3,316,105
3,143,008
6,652,636
6,461,048
定期
72,417,900
72,011,467
定期外
37,935,163
36,796,246
110,353,064
108,807,714
合計
定期
74,096,395
73,677,293
定期外
55,559,050
53,282,434
129,655,445
126,959,727
乗車効率
新幹線
55.9
52.1
在来線
45.7
44.8
47.0
45.7

(注) 1 乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率=
輸送人キロ
×100
客車走行キロ×客車平均定員

2 「関東圏」とは、当社東京支社、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。

 

② 収入実績

 

区分
単位
第22期
(自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日)
第23期
(自 平成21年4月1日
至 平成22年3月31日)
旅客運輸収入
新幹線
定期
百万円
22,948
22,774
定期外
451,943
416,729
474,892
439,504
在来線
関東圏
定期
453,613
449,152
定期外
695,777
671,522
1,149,391
1,120,674
その他
定期
19,989
19,782
定期外
64,601
60,699
84,590
80,482
定期
473,603
468,934
定期外
760,378
732,222
1,233,981
1,201,157
合計
定期
496,552
491,709
定期外
1,212,322
1,148,951
1,708,874
1,640,661
荷物収入
220
200
合計
1,709,095
1,640,861
鉄道線路使用料収入
8,563
8,175
運輸雑収
164,861
153,658
収入合計
1,882,520
1,802,695

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の減少などにより、流入額は前連結会計年度に比べ105,179百万円減の479,179百万円となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出の減少などにより、流出額は前連結会計年度に比べ5,113百万円減の391,682百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済による支出の減少などにより、流出額は前連結会計年度に比べ43,910百万円減の115,327百万円となりました。

なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ27,115百万円減の83,756百万円となりました。

また、当連結会計年度末の長期債務残高は、3,443,870百万円であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。

なお、販売の状況については、「1 業績等の概要」における各事業の種類別セグメント業績に関連づけて示しております。

 

3 【対処すべき課題】

[「グループ経営ビジョン 2020 −挑む−」]

当社グループは、「信頼される生活サービス創造グループ」をめざすというグループ理念のもと、現状にとどまることなく、新たな目標に向かって挑戦し続けることとしております。具体的には、「安全とお客さま満足の徹底的な追求」、「持続的成長と次代への挑戦」、「企業の社会的責任の遂行」、「組織の力・人材の力の向上」を基本的な経営の方向として位置づけ、長期的な視点から企業価値の向上に努めてまいります。

 

[安全とお客さま満足の徹底的な追求]

当社グループは、安全を経営のトップ・プライオリティと位置づけ、「究極の安全」をめざします。また、輸送の安定性からお客さまへの応対に至るまで、部門や系統を越えたチームワークと、真摯な仕事に裏打ちされた高い品質のサービスを提供することでお客さま満足を高めます。これらにより、鉄道をはじめとするすべての事業においてお客さまに安心を感じていただけることをめざします。

 

[持続的成長と次代への挑戦]

当社グループは、競争に勝てる優位性を確保し、人口減少社会でも縮小均衡に安住しない、持続的成長をめざした経営を進めるとともに、新たな事業の創出への挑戦を行います。また、企業の成長を支える科学技術の力を育てるため、研究開発分野に経営資源を重点投入するとともに、技術力や人材等、私たちの持つ経営資源の強みを活かし、新たな分野に積極的に挑戦します。

 

[企業の社会的責任の遂行]

当社グループは、事業活動を通じて、地域の皆さま、地域全体、そして広くわが国社会に貢献する企業であり続けます。今後は、解決が求められている地域・社会の問題に対し、これまでより一歩踏み込み、地域と当社グループがともに役割を果たしていくという連携関係を構築しつつ、事業を通じた解決に取り組みます。また、地球環境問題への対応についても、未来に向け解決を図らなくてはならない課題と位置づけ、数値目標を掲げて取り組みます。

 

[組織の力・人材の力の向上]

意欲を持って自らの成長の機会を求める社員が仕事を通じて自己実現を図り、達成感を得られるよう、人事・賃金制度や研修等の見直しを進めるとともに、グループ社員一人ひとりの意欲に応えていきます。また、経営を進めていくための基礎として、組織形態、権限・責任のあり方を見直し、迅速な事業や施策の展開に向け、組織の力を向上させます。

 

当社は、信濃川発電所(新潟県小千谷市、十日町市にある千手、小千谷、小千谷第二各発電所の総称)において、許可された最大取水量を超えて取水していたことなどから、平成21年3月10日、国土交通省北陸地方整備局長より、河川法に基づく流水の占用許可取消等の行政処分を受けました。その後、処分内容に従って是正を行い、再発防止策を構築するとともに、地域との密接な連携に努めてまいりました。
 関係の皆さまの同意を得て、平成22年4月2日、国土交通省北陸地方整備局長へ流水の占用許可申請を行いました。6月9日、同局長より許可を受け、信濃川発電所は取水および発電を再開しました。
 今回の不祥事の反省を踏まえ今後も再発防止に向けコンプライアンス経営を推進するとともに、地域との共生に誠心誠意取り組んでまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響をおよぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に係る法律関連事項

当社は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」の適用対象からは除外されているものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。

① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)

鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線および鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃および新幹線特急料金の上限について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。

② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(以下「JR会社法」という)(昭和61年法律第88号)

a 制定趣旨・目的等

改正前のJR会社法は、北海道旅客鉄道株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社(以下「旅客会社」という)ならびに日本貨物鉄道株式会社(以下「貨物会社」という)の出資・設立を定めるとともに、その目的および事業範囲について規定していました。本法により、各社は鉄道事業法の規制に加えて、経営上の重要事項に関して国土交通大臣の認可を必要とするなどの規制を受けるとともに、各社の社債権者が他の債権者に先立って弁済を受ける権利(一般担保)等の特例措置が講じられてきました。

b JR会社法の改正等について

(a) 平成13年12月1日に施行された旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(以下「JR会社法改正法」という)(平成13年法律第61号)により、東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社(以下「本州旅客会社」という)については、JR会社法の適用対象から除外され、それまでJR会社法で定められていた規制が撤廃されました。

(b) また、JR会社法改正法では、本州旅客会社およびその鉄道事業の全部または一部を譲受・合併・分割・相続により施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という)を定める(附則第2条第1項)こととされております。この指針については、平成13年11月7日に告示され、平成13年12月1日より適用となっております。

(c) 指針に定められた事項は以下の3点です。

・会社間(新会社の間または新会社と新会社以外の旅客会社および貨物会社との間をいう。以下同じ)における旅客の運賃および料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他の鉄道事業に関する会社間における連携および協力の確保に関する事項

・日本国有鉄道の改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持および駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項

・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害またはその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項

(d) 国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保する必要があるときには新会社に対し指導および助言をすることができ(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業経営を行ったときには勧告および命令をすることができる(附則第4条)とされております。

(e) 指針に定められているこれらの事項については、当社は従来から十分留意した事業運営を行っており、今後も当然配慮していくこととなるため、経営に大きな影響をおよぼすものではありません。

(f) その他、JR会社法改正法では、その施行日前に本州旅客会社が発行した社債について、施行日以後もJR会社法第4条の一般担保の効力を有するとする(附則第7条)など、必要な経過措置等についても定められております。

 

(2) 運賃および料金の設定または変更

当社の鉄道事業における運賃・料金の設定、変更に際しては、鉄道事業法により必要な手続きが定められています。これらの手続きが変更される場合、または何らかの理由により手続きに基づいた運賃・料金の変更を機動的に行えない場合には、当社の収益に影響を与える可能性があります。なお、手続きの詳細については以下のとおりです。

① 運賃および料金の認可の仕組みと手続き

鉄道運送事業者は、旅客の運賃および新幹線特急料金(以下「運賃等」という)の上限を定め、または変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。

また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更ならびに在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項および第4項)。

鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、大手民営鉄道事業者における近年の例によれば次のようになっております。

 


 

(注) 1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法(平成11年法律第100号)第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるときまたは国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。

2 昭和44年の閣議決定に基づく手続きであります。

3 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。

 

なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保等を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃については、遠距離逓減制を加味したものとしております。

② 当社の考え方

a 当社では、昭和62年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(平成元年4月および平成9年4月)を除くと、これまで運賃改定を実施しておりません。

当社では、運賃値上げに依存しない強固な経営基盤を確立すべく、収入の確保と経費削減による効率的な事業運営に努めておりますが、経営環境の変化等により適正な利潤を確保できない場合は、運賃改定を適時実施する必要があると考えております。

b 適正な利潤については、効率的な事業運営に努めることを前提とした上で、株主の皆さまに対する利益還元に加え、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。

c 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を確保し、質の高いサービスを提供すること等により強固な経営基盤を確立するという観点から実施しております。なお、当社としましては、事業者の明確な経営責任のもとで主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しております。

③ 国土交通省の考え方

当社の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。

a 東日本旅客鉄道株式会社を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。

なお、原価計算期間は3年間とする。

b 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。

また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。

c 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。

総括原価=営業費等(注1)+事業報酬

・ 事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率

・ 事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)

・ 事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)

       ×他人資本報酬率(注4)

(注) 1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。

2 運転資本=営業費および貯蔵品の一部

3 自己資本比率30%、他人資本比率70%

4 自己資本報酬率は、公社債応募者利回り、全産業平均自己資本利益率および配当所要率の平均、他人資本報酬率は借入金等の実績平均レート

d なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、またはその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)または(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第5項)。

(a) 特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき。

(b) 他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき。

 

(3) 整備新幹線計画

① 整備新幹線の建設計画

整備新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき整備計画が決定された新幹線鉄道であります。昭和48年に東北新幹線(盛岡市〜青森市)、北陸新幹線(東京都〜長野市〜富山市〜大阪市)、九州新幹線(福岡市〜鹿児島市)などについて整備計画が定められました。国鉄の分割民営化後、当社は、北陸新幹線(高崎市〜上越市)および東北新幹線(盛岡市〜青森市)の営業主体とされ、平成9年10月1日に北陸新幹線高崎・長野間が、平成14年12月1日に東北新幹線盛岡・八戸間が開業しました。

当社管内では、東北新幹線八戸・新青森間と、北陸新幹線長野・上越間が、引き続き独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構によって建設工事中です。この二区間については、平成8年12月の「政府与党合意」の際、与党三党の申し入れで標準軌新線〈フル規格〉として整備するものとされ、平成10年1月の政府・与党整備新幹線検討委員会において、所要の認可等の手続きを経て平成9年度中に着工することなどが決定されました。これに基づき、平成10年3月に日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が全国新幹線鉄道整備法第9条に規定する運輸大臣の認可を得て建設に着手しました。

なお、平成16年12月の「政府・与党申合せ」において、当社管内の整備新幹線の完成見込みは、東北新幹線八戸・新青森間については「平成22年度末の完成を目指す」、北陸新幹線長野・白山総合車両基地間(当社管内は長野・上越間)については「平成26年度末の完成を目指すこととし、できる限り早期の完成に努めることとする」とされております。このうち、東北新幹線八戸・新青森間の開業日を平成22年12月4日とすることを、当社は平成22年5月に公表しました。

また、当社管内以外では、現在、北海道新幹線新青森・新函館間、北陸新幹線上越・白山総合車両基地間、九州新幹線博多・新八代間および武雄温泉・諫早間の整備が進められております。

② 整備新幹線建設の費用負担

a 整備新幹線の建設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が行っており、その費用については国、地方公共団体およびJRが負担することとされておりますが、JRの負担については、次の(a)および(b)を充てることとされております。

 (a) 整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料等

 (b) 既設の新幹線鉄道施設の譲渡収入の一部

b 平成9年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が新たに設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令第6条に規定されております。

 同施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益に基づいて算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払う租税および同機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、同機構において定めるものとされています。このうち受益については、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間および関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線および関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測および収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益に基づいて算定される額については、開業後30年間は定額とされております。また、租税および同機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に算入されているため、新幹線開業に伴う営業主体の負担は受益の範囲内であります。

  平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間の貸付料の額について、当社は、日本鉄道建設公団(現独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)により算定された具体的な貸付料の額が当該新幹線開業に伴う当社の受益の範囲内にあると判断し、平成9年9月に同公団との合意に至りました。また、当該貸付料の額について、同公団は、平成9年9月に運輸大臣の認可を受けております。なお、平成21年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分175億円、租税および管理費相当額43億円の計218億円であります。

  また、平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間の貸付料の額についても、同様に平成14年11月に当社と同公団とが合意に至るとともに、当該貸付料の額について、同公団は平成14年11月に国土交通大臣の認可を受けております。なお、平成21年度分の貸付料の額は、受益に基づいて算定された定額部分79億円、租税および管理費相当額14億円の計93億円であります。

c 整備新幹線の建設主体は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構であり、同機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされております。当社は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記bの貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担はないものとされております。

  また、開業の初期等の単年度においては、整備新幹線の建設がない場合と比較して、車両の償却負担等により、整備新幹線に関連する当社の収支に影響を与える場合もありますが、上記bの貸付料の性格からみて、開業後30年間の累積では収支に影響を与えないものと考えられます。

  なお、JRの負担については「貸付料等」とされておりますが、この「等」とは、貸付料を開業の直前に前払いする場合のみを意味するものであり、JRと同機構との協議の上、両者の合意に基づきこれを実施することとされていることから、当社の意向を十分反映したものになると考えられます。

③ 並行在来線の扱い

平成9年10月に開業した北陸新幹線高崎・長野間においては、開業時に、信越線横川・軽井沢間は廃止、同軽井沢・篠ノ井間は当社から経営分離されました。また、平成14年12月に開業した東北新幹線盛岡・八戸間においては、開業時に、東北線盛岡・八戸間が当社から経営分離されました。

なお、平成8年12月の「政府与党合意」において、建設着工する区間の並行在来線については、新幹線開業時にJRの経営から分離することとされました。これに基づき、平成10年3月に新規着工された東北新幹線八戸・新青森間および北陸新幹線長野・上越間に並行する在来線のうち、東北線八戸・青森間および信越線長野・直江津間について、当該新幹線開業時に当社から経営分離されることで、地元の同意を得ております。

さらに、平成12年12月の「政府・与党申合せ」において、JRから経営分離された並行在来線上を引き続きJR貨物が走行する場合には、線路使用実態に応じた適切な線路使用料を確保することとし、これに伴うJR貨物の受損については、必要に応じこれに係る新幹線貸付料収入の一部を活用して調整する措置を講じることが決定されました。

これに基づき、平成14年10月に全国新幹線鉄道整備法施行令が改正され、従来は新幹線の建設費用に充当することが原則とされていたJRが支払う貸付料について、JR貨物への調整措置に必要な額にも充当できることとされました。

④ 整備新幹線建設に関する当社の考え方

整備新幹線建設にあたって、当社としては、

a 営業主体となるJRが負担することになるのは、新幹線開業に伴って生じる受益を限度とした、上記貸付料等のみであり、この貸付料等以外の負担は一切生じないこと

b 整備する線区の並行在来線を当社から経営分離することについて、地元の同意が確認できていること

の二点が必須の条件と考えており、従来も、今後も、この条件が厳守されることをもって営業主体としての責務を果たすことを基本方針としております。

現在、整備が進められている東北新幹線八戸・新青森間および北陸新幹線長野・上越間について、当社は上記の2つの条件が満たされていることを確認のうえ、平成10年1月に着工に同意したものであります。

整備新幹線の建設に関する上記の2つの条件が変更された場合には、当社の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 安全対策

 鉄道事業においては、自然災害や人為的ミス、犯罪・テロ行為等によって事故が発生した場合、また感染症の大規模な流行が発生した場合、大きな損害が出る可能性があります。

 当社グループは、安全の確保を経営の最重要課題と位置づけ、平成25年度までの安全5カ年計画「安全ビジョン2013」に基づき、ハード、ソフトの両面からより安全性の高い鉄道システムづくりに取り組んでおります。

 具体的には、列車事故防止対策として、列車の衝突防止、曲線部等における速度超過防止を目的に、在来線への自動列車停止装置(ATS−P、ATS−Ps)の整備を進めました。特に、平成17年の羽越本線列車事故を受け、強風対策として風速計の増設に引き続き取り組んだほか、防風柵の設置や強風警報システムの導入を進めました。地震対策については、高架橋等の耐震補強工事を継続するとともに、大地震発生時に列車をより早く停止させるための在来線早期地震警報システムを首都圏から全線区に拡大しました。また、踏切事故防止対策として、障害物検知装置の設置などを進めました。さらに、駅のホームにおける事故防止を目的として、山手線の恵比寿駅と目黒駅にホームドアを先行導入するための工事を進めました。

 

(5) 情報システム・個人情報保護

当社グループは、現在、鉄道事業、生活サービス事業およびSuicaを活用した事業の様々な業務分野で、多くのコンピュータシステムを用いております。また、当社グループと密接な取引関係にある他の旅行会社や鉄道情報システム株式会社等においても、コンピュータシステムが重要な役割を果たしております。自然災害や人為的ミス等によってこれらのコンピュータシステムの機能に重大な障害が発生した場合、当社グループの業務運営に影響を与える可能性があります。また、コンピュータウイルスの感染や人為的不正操作等によりコンピュータシステム上の個人情報が外部に流出した場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、日常より自社システムの機能向上や関係する社員の教育など、障害防止策を講じるとともに、万一障害が発生した場合においても速やかに初動体制を構築し、各部署が連携して対策をとることで、影響を最小限のものとするよう努めております。また、社内規程を整備し、個人情報の適正な取扱いについて定め、個人情報を取り扱う者の限定、アクセス権限の管理を行うほか、社内のチェック体制を構築するなど、個人情報の厳正な管理・保護に努めております。

 

(6) 生活サービス事業等の展開

当社グループは、生活サービス事業を鉄道事業と並ぶ経営の両輪と位置づけ、駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他事業(ホテル業、広告代理業など)の展開を行っています。

生活サービス事業については、景気低迷や天候不順などを理由とした消費低迷により、ショッピングセンター、オフィスビル、駅構内小売・飲食店舗、ホテルなどの収益の減少や広告の販売不振、テナントによる賃料減額要求が生じる可能性があります。さらに、食中毒事故などの製造・販売商品の瑕疵による売上の減少や当社グループに対する信頼の低下、テナントや取引先企業等の倒産などの発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。当社グループは、1日約1,700万人(平均輸送人員)のお客さまがご利用になる「駅」という当社最大の経営資源を十分活用した事業展開を図るとともに、衛生管理や取引先情報の管理などを徹底することにより、収益向上とお客さまからの信頼の確保に努めております。

 

(7) 他事業者との競合

当社グループは、鉄道事業において、他の鉄道および航空機、自動車、バス等の対抗輸送機関と競合しているほか、生活サービス事業においても、既存および新規の事業者と競合しております。これら鉄道事業、生活サービス事業における今後の競合状況が当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
 鉄道事業においては、首都圏の他の鉄道事業者における大規模改良工事の進展や成田新高速鉄道の開業、羽田空港の再拡張による航空路線の増便などによる交通市場の競争激化が、当社の鉄道事業の収益に影響をおよぼすことが予想されます。
 生活サービス事業の駅スペース活用事業やショッピング・オフィス事業においては、他社の新規進出や周辺商業施設のリニューアルにより当社グループの競争力が低下する可能性があります。さらに、ホテル業では、外資系高級ホテル、国内他社による低価格ビジネスホテルや婚礼専門施設の進出により、競争が激しくなっており、当社グループの生活サービス事業の収益に影響をおよぼす可能性があります。

 

(8) 長期債務の削減

当連結会計年度末の長期債務残高は、3兆4,438億円であります。また、当連結会計年度の支払利息は1,125億円であり、これは営業利益の32.7%に相当します。
 当社グループは、長期債務の削減、低利の融資への借換えなどを今後とも進めてまいりますが、想定外の事由によりフリー・キャッシュ・フローが減少する場合、または今後の金利動向により調達金利が変動する場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(9) コンプライアンス

 当社グループは、鉄道事業、生活サービス事業およびSuicaを活用した事業などの様々な業務分野において、鉄道事業法をはじめとする関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生した場合、行政処分や社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、「法令遵守及び企業倫理に関する指針」を策定しているほか、法令遵守に関する社員教育の強化、業務全般に関わる法令の遵守状況の点検を進めるなど、コンプライアンスの確保に努めております。

 

(10) 高速道路料金の引下げ

政府による経済対策の一環として平成21年3月から実施されている高速道路料金の土日祝日上限1,000円施策により、鉄道事業の収益をはじめとして当社グループは大きな影響を受けておりますが、これに加え、平成22年6月から全国37路線50区間を対象とした高速道路の無料化に向けた社会実験の実施が予定されています。さらに、全国を普通車上限2,000円、大型車上限5,000円などとする新たな上限料金制度の導入についても計画されています。こうした高速道路料金の引下げにより、当社グループの財政状態および経営成績に影響をおよぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、新幹線鉄道に係る鉄道施設の譲渡等に関する法律(平成3年法律第45号)に基づき、東北および上越新幹線鉄道に係る鉄道施設(車両を除く)を平成3年10月1日、新幹線鉄道保有機構より3兆1,069億円で譲り受け、このうち2兆7,404億円については25.5年、3,665億円については60年の元利均等半年賦により鉄道整備基金に支払うことなどに関して、新幹線鉄道保有機構との間に契約を結んでおります。なお、新幹線鉄道保有機構は平成3年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は鉄道整備基金に承継され、さらに鉄道整備基金は平成9年10月1日に解散し、その一切の権利および義務は運輸施設整備事業団に承継されました。また、運輸施設整備事業団は平成15年10月1日に解散し、同日に解散した日本鉄道建設公団とともに、その一切の権利および義務は、法律により国が承継する資産を除き、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構へ承継されております。

(2) 当社は、乗車券等の相互発売等旅客営業に係る事項、会社間の運賃および料金の収入区分ならびに収入清算の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、他の旅客会社との間に契約を結んでおります。

  なお、上記の契約では、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客および荷物に対する運賃および料金の算出に当たっては、通算できる制度によることとし、かつ、旅客運賃については、遠距離逓減制が加味されたものでなければならないこと、また、旅客会社において、他の旅客会社に関連する乗車券類を発売した場合は、当該他の旅客会社は、発売した旅客会社に販売手数料を支払うものとされております。

(3) 当社は、貨物会社が当社の鉄道線路を使用する場合の取扱い、駅業務ならびに車両および鉄道施設の保守等の業務の受委託、会社間の経費清算の取扱い等に関して、貨物会社との間に契約を結んでおります。

  なお、上記の契約では、貨物会社が鉄道線路を使用するために当社に支払う線路使用料は、貨物会社が当社鉄道線路を使用することにより追加的に発生する額とされております。

(4) 当社は、旅客会社6社共同で列車の座席指定券等の発売を行うためのオンラインシステム(マルスシステム)の使用、各旅客会社間の収入清算等の計算業務の委託等に関して、鉄道情報システム株式会社との間に契約を結んでおります。

(5) 当社は、当社のクレジットカード事業を、当社の100%子会社である株式会社ビューカードに吸収分割により承継させることとし、平成21年12月17日付で株式会社ビューカードとの間で吸収分割契約を締結いたしました。

  本吸収分割の内容は以下のとおりであります。

① 吸収分割の目的

当社がこれまで取り組んできたクレジットカード事業のさらなる強化を目的として、当社のクレジットカード事業を、株式会社ビューカードに承継させることといたしました。

② 吸収分割の方法

当社を吸収分割会社とし、株式会社ビューカードを吸収分割承継会社とする分社型の吸収分割であります。

③ 本吸収分割の効力発生日

平成22年2月1日

なお、本吸収分割は上記の日程にて完了いたしました。

④ 吸収分割会社となる会社に割り当てられる吸収分割承継会社となる会社の株式の数その他の財産の内容

吸収分割承継会社である株式会社ビューカードは、吸収分割会社である当社の100%子会社であることから、本吸収分割におきまして、株式その他の財産の交付を行いません。

⑤ 分割する資産、負債の状況(平成22年1月31日現在)
資産
金額(百万円)
負債
金額(百万円)
流動資産
203,252
流動負債
198,404
固定資産
51
固定負債
合計
203,304
合計
198,404

⑥ 吸収分割承継会社の概要(平成22年3月31日現在)
商号
株式会社ビューカード
本店の所在地
東京都品川区大崎一丁目5番1号
代表者の氏名
石 司 次 男
資本金の額
5,000百万円
事業の内容
クレジットカード事業および付随する事業

 

6 【研究開発活動】

当社グループでは当連結会計年度において、「グループ経営ビジョン 2020 −挑む−」の実現へ向け、運輸業部門を中心に、鉄道システムの革新と新たなマーケットの創出に取り組むことを通して、鉄道ビジネスの変革をめざした研究開発を推進しました。

具体的には、JR東日本研究開発センターを主要な拠点として、「究極の安全の追求」、「安定性・信頼性の向上」、「マーケットの拡大・創出」、「地球環境への貢献」の4つを柱に掲げ、各分野の研究開発に取り組みました。

また、企業グループとして持続的な発展を図りながら、環境保護における社会的責任を果たすため、平成21年4月、JR東日本研究開発センター内に「環境技術研究所」を設立しました。運転エネルギーに関して、新たなエネルギーの適用や効率的利用の研究開発のほか、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の適用に関する基礎的な研究開発などを進めました。

当連結会計年度の研究開発費総額は、16,486百万円であります。また、主な研究開発状況は次のとおりであります。

 

(1) 運輸業

① 究極の安全の追求

鉄道事故にかかわる安全対策として、安全性評価手法の研究やヒューマンエラーを防止するシステムの開発を行いました。また、地震時における新幹線の脱線対策や強風対策など、自然現象に起因する鉄道災害の予防および被害の最小化に向けた研究開発に取り組みました。このほか、お客さまが「安心して」利用できる駅を実現するために必要なシステムについて、ハード・ソフトの両面から研究開発を進めました。

 

② 安定性・信頼性の向上

「車両の性能向上に関する開発」、「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」など、首都圏を中心とした在来鉄道の革新に向けた開発を効率的に進めるために、在来線用試験電車「MUE−Train(ミュートレイン)」を活用し、走行試験を実施しました。このほか、光伝送技術を用いてケーブル数と配線作業を削減する信号システム「ネットワーク信号制御システム」、輸送混乱からの早期回復を支援するシステムなどの開発を進めました。

 

③ マーケットの拡大・創出

多様化するお客さまのニーズに応え鉄道の競争力強化をめざすため、到達時分の短縮と快適な駅・車両空間の創造に向けた研究開発を進めました。具体的には、新幹線高速試験電車「FASTECH(ファステック)360」の走行試験を行い、新幹線ネットワーク拡充に向けて線区ごとの使用環境を考慮した研究開発を行いました。また、ご利用いただきやすい駅をめざして、列車の運行情報をわかりやすく提供するシステムやお客さま一人ひとりのニーズに応じた情報を提供するシステムの研究開発を進めました。

 

④ 地球環境への貢献

 環境負荷低減などのコンセプトのもと新たな動力システムの実現をめざした「NEトレイン(New Energy Train)」については、電車に大容量の蓄電池を搭載した「蓄電池駆動電車システム」の研究開発を進め、走行試験を行いました。また、クリーンな新エネルギーや省エネルギー制御技術などの研究開発を進めました。

 

⑤ その他

より基礎的な分野の研究開発は、「研究開発等に関する協定」に基づき財団法人鉄道総合技術研究所にも委託しており、当連結会計年度における同研究所に対する負担金は、5,700百万円であります。

また、技術論文誌「JR EAST Technical Review」により国内外への情報発信を行いました。

 

 

(2) 駅スペース活用事業、ショッピング・オフィス事業、その他事業

特に記載する事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

① 営業収益

当連結会計年度の営業収益は、ショッピング・オフィス事業の売上が増加したものの、運輸業、駅スペース活用事業、その他事業の売上が減少したことにより、前期比4.6%減の2兆5,737億円となりました。

運輸業の外部顧客に対する売上高は、前期比4.0%減の1兆7,579億円となりました。

これは、当社の鉄道事業における旅客運輸収入が、新幹線および在来線において、定期収入、定期外収入ともに不調だったことなどにより、前期比4.0%減の1兆6,408億円となったことなどによるものであります。

新幹線に関しては、景気低迷の影響などを受けて、東北新幹線、上越新幹線の長距離区間の利用や、東北新幹線の東京〜宇都宮、上越新幹線の東京〜高崎など東京近郊区間の利用が減少したことなどにより、輸送人キロは前期比6.0%減の181億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち定期収入では、前期比0.8%減の227億円となり、定期外収入では、景気低迷に加え高速道路料金引下げの影響などを受けて、東北新幹線の東京〜仙台、上越新幹線の東京〜新潟などの長距離区間が減少したことや、東北新幹線の東京〜宇都宮、上越新幹線の東京〜高崎などの東京近郊区間も減少したことなどにより、前期比7.8%減の4,167億円となり、全体では前期比7.5%減の4,395億円となりました。

 関東圏の在来線に関しては、沿線の新規商業施設開業などによる利用の増加はあったものの、特急列車の利用の減少や台風・地震の影響に加え、高速道路料金引下げの影響などにより、輸送人キロは前期比1.3%減の1,023億人キロとなりました。旅客運輸収入のうち定期収入では、厳しい雇用情勢の影響などにより、前期比1.0%減の4,491億円となりました。定期外収入では、特急列車および普通列車グリーン車の利用の減少や台風・地震の影響などにより、前期比3.5%減の6,715億円となりました。全体では前期比2.5%減の1兆1,206億円となりました。

関東圏以外の在来線に関しては、特急列車の利用の減少などにより、輸送人キロは前期比2.9%減の64億人キロとなりました。旅客運輸収入は、定期収入が前期比1.0%減の197億円、定期外収入が前期比6.0%減の606億円とともに前年実績を下回ったため、全体では前期比4.9%減の804億円となりました。

運輸業以外の事業の外部顧客に対する売上高については、以下のようになりました。

駅スペース活用事業では、グループ会社再編に伴い、ショッピング・オフィス事業等に一部事業を移管したことや、景気低迷の影響などを受け、前期比6.7%減の3,871億円となりました。

ショッピング・オフィス事業では、グループ会社再編に伴い、駅スペース活用事業から一部事業を承継したことなどにより、前期比1.9%増の2,269億円となりました。

その他事業では、広告代理業が低調だったことや、IC対応機器等の売上が前連結会計年度に比べて減少したことなどにより、前期比11.3%減の2,016億円となりました。

 

② 営業費用

営業費用は、前期比1.6%減の2兆2,288億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の84.0%に対して、当連結会計年度は86.6%となりました。
  運輸業等営業費及び売上原価は、前期比1.6%減の1兆7,209億円となりました。これは、減価償却費などが増加したものの、連結子会社の売上減に伴う売上原価の減少などにより物件費が減少したことなどによるものであります。
  販売費及び一般管理費は、前期比1.4%減の5,079億円となりました。これは、人件費が減少したことなどによるものであります。

 

③ 営業利益

営業利益は、前期比20.3%減の3,448億円となり、2期連続の減益となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の16.0%に対し、当連結会計年度は13.4%となりました。

 

④ 営業外損益

営業外収益は、前期比24.7%減の158億円となりました。これは、受取配当金が減少したことなどによるものであります。
 営業外費用は、前期比1.2%増の1,256億円となりました。これは、持分法による投資損失の増加などによるものであります。

なお、受取利息などの金融収益から、支払利息などの金融費用を差し引いた金融収支は、1,100億円のマイナスとなり、前連結会計年度から5.7%改善しております。

 

⑤ 経常利益

経常利益は、前期比28.6%減の2,351億円となり、2期連続の減益となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の12.2%に対し、当連結会計年度は9.1%となりました。

 

⑥ 特別損益

特別利益は、前期比2.3%減の792億円となりました。これは、容積利用権売却益が増加したものの、固定資産売却益が減少したことなどによるものであります。
  特別損失は、前期比12.9%増の994億円となりました。これは、減損損失や環境対策費が増加したことなどによるものであります。

 

⑦ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前期比33.4%減の2,148億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の12.0%に対し、当連結会計年度は8.3%となりました。

 

⑧ 当期純利益

当期純利益は、前期比35.8%減の1,202億円となり、2期連続の減益となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の468.68円に対し、当連結会計年度は303.35円となりました。また、営業収益に対する当期純利益の比率は、前連結会計年度の6.9%に対し、当連結会計年度は4.7%となりました。

 

(3) 資本の財源および資金の流動性

① キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,051億円少ない4,791億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益が減少したことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より51億円少ない3,916億円の流出となりました。これは、固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものであります。

なお、設備投資の概要は以下のとおりです。

運輸業に関しては、安全・安定輸送対策を中心に、競争力の高い輸送ネットワーク構築を目的とした設備投資を行いました。駅スペース活用事業に関しては、五反田駅、東京駅などでステーションルネッサンスによる店舗展開を推進しました。ショッピング・オフィス事業については、「シァルプラット東神奈川」(神奈川)などの設備投資を実施するとともに、引き続き東京駅八重洲開発工事として「グラントウキョウ ノースタワー」Ⅱ期(東京)等の建設を行いました。その他事業については、「ホテルメッツ駒込」(東京)等の建設を行いました。

また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,000億円減少し、874億円の流入となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より439億円少ない1,153億円の流出となりました。これは、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものであります。
 なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の1,108億円から271億円減少し、837億円となりました。

 

② 財務政策

 当連結会計年度末の長期債務残高は、3兆4,438億円であります。当該債務は、新幹線鉄道施設等に関連する鉄道施設購入長期未払金および社債、長期借入金によって構成されております。
 新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、以下の3つに区分されます。

a 変動利率(当連結会計年度については年利4.15%)により平成29年3月31日までに支払われる5,247億円

b 年利6.35%の固定利率により同日までに支払われる2,839億円

c 年利6.55%の固定利率により平成63年9月30日までに支払われる3,485億円

また、このほか、当連結会計年度末現在、当社が秋田新幹線に関連するものとして135億円、東京モノレール㈱が68億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。
 当社は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の同意を得て、平成9年度より、新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金について期限前弁済(以下「早期弁済」という)を行っており、平成21年度は354億円の早期弁済を行いました。

当社グループは平成13年度よりキャッシュマネジメントシステムを導入し、それまで各社が個別に行っていた余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、長期債務削減に努めております。また、グループ間の支払いを相殺して決済したり、グループ内の支払業務を集約する支払代行制度を利用したりするなど資金管理手法を向上させております。

当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を平成25年から平成42年の間とする9本の無担保普通社債を総額1,900億円発行いたしました。これらの社債は、㈱格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、当社はスタンダード&プアーズよりAA-、ムーディーズよりAa1の長期債格付けを取得しております。

また、短期資金の需要に対応するため、主要な銀行に総額3,000億円の当座借越枠を設定しており、当連結会計年度末における利用残高はありません。コマーシャル・ペーパーについては、㈱格付投資情報センターよりa-1+、ムーディーズよりP-1の短期債(CP)格付けを取得しており、当連結会計年度末における発行残高はありません。

当社グループにおいては、銀行からのコミットメント・ライン(一定条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)は設定しておりません。

 





出典: 東日本旅客鉄道株式会社、2010-03-31 期 有価証券報告書