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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度の日本経済は、一部に持ち直しの動きが見られたものの、東日本大震災の影響や、欧州の債務危機、円高の進行などにより、引き続き厳しい状況で推移しました。バス業界は、長引く景気の低迷や少子高齢化、過疎化の進行などにより、依然として旅客の減少が続く厳しい環境下にあります。

 このような状況のもと、当社グループでは、全事業にわたり積極的な営業活動を展開するとともに、極力諸経費の節減に取り組み、経営基盤の強化と業績の改善を図りました。しかしながら、当期は、東日本大震災に加え、平成23年9月、紀伊半島を中心に甚大な被害をもたらした台風12号の影響や、前期に開催された平城遷都1300年祭の反動減もあり、当連結会計年度の売上高は、前年同期に比較して1,658,170千円(6.0%)減収の26,033,536千円となり、営業利益は、前年同期に比較して468,027千円(47.7%)減益の512,295千円、経常利益は、前年同期に比較して466,325千円(51.4%)減益の441,011千円となりました。また、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を控除した当期純利益は、前年同期に比較して340,505千円(87.8%)減益の47,221千円となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 なお、旅行事業営業収益を、平成23年8月の業務組織改編に伴い、当期より、その他事業から自動車運送事業に計上先を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。 

 

 1.自動車運送事業

 乗合バスにおいては、利用実態に応じた運行計画を編成し、利便性の向上と輸送の効率化を図りました。また、自治体との協議のもと、地域の主要施設間を結ぶコミュニティバスを運行し、交通空白地帯の解消に努めました。貸切バスでは、「親鸞聖人750回大遠忌法要」団体参拝の輸送を行うなど、積極的な営業活動に努めました。また、自家用バスの運行管理受託及び運転者派遣事業を拡充するため、地域との連携を強化し新規受注の獲得に取り組みました。しかし、両事業とも前期に開催された平城遷都1300年祭の反動減に加えて、東日本大震災や相次ぐ自然災害に伴うキャンセル等の影響を受けたため、バス事業における売上高は前年同期に比較して846,023千円(5.7%)減収の14,123,356千円となりました。

 タクシー事業においても、東日本大震災の影響や、前期の平城遷都1300年祭での観光特別コースなどがありましたため、売上高は前年同期に比較して161,473千円(5.4%)減収の2,802,703千円となりました。

 旅行事業においては、平成23年4月、橿原市が近鉄大和八木駅前にオープンした「かしはらナビプラザ」内に旅行窓口を移転し、販売体制を強化しましたが、東日本大震災の影響によるキャンセルや出控えの影響を受けましたため、前年同期に比較して37,001千円(14.8%)減収の212,375千円となりました。

 これらの結果、当事業の売上高は前年同期に比較して1,090,476千円(5.8%)減収の17,741,718千円となり、営業損失は221,731千円(前年同期は175,440千円の営業利益)となりました。

 

 2.不動産事業

 賃貸事業においては、積極的な営業活動を展開して新規テナントの誘致に努めましたが、景気低迷による賃料の減額などにより、売上高は、前年同期に比較して18,535千円(1.5%)減収の1,196,355千円となりました。しかしながら、駐輪・駐車場事業においては、平成23年4月から堺市指定管理の駐輪事業を新規受託したことにより、売上高は前年同期に比較して139,302千円(18.1%)増収の908,662千円となりました。

 これらの結果、当事業の売上高は前年同期に比較して117,488千円(5.9%)増収の2,111,611千円となり、営業利益は16,692千円(2.5%)増益の691,852千円となりました。

 3.物品販売事業

 飲食事業においては、平成23年5月の「ひな野 登美ヶ丘店」の閉店や、同年12月の「サンマルク 宇治店」の閉店のほか、前期にありました平城遷都1300年祭の平城宮跡会場及び第27回全国都市緑化フェア会場への出店の反動により、売上高は前年同期に比較して457,831千円(11.6%)減収の3,490,702千円となりました。整備事業においても、大口の受注が減少したことなどにより、売上高は前年同期に比較して200,447千円(10.4%)減収の1,725,406千円となりました。

 これらの結果、当事業の売上高は前年同期に比較して753,595千円(8.2%)減収の8,448,868千円となり、営業損失は40,502千円(前年同期は66,482千円の営業利益)となりました。

 4.その他事業

 自動車教習所事業においては、企業や高齢者向けの受託講習の拡大を図るなどにより、売上高は前年同期に比較して9,715千円(2.7%)増収の365,259千円となりました。

 この結果、当事業の売上高は前年同期に比較して10,469千円(2.6%)増収の417,970千円となり、営業利益は13,976千円(29.6%)増益の61,266千円となりました。

(なお、記載金額については消費税等を含んでおりません。)

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により719,839千円の資金を得、投資活動により382,456千円、財務活動により423,572千円の資金を使用した結果、資金残高は前年同期に比較して86,189千円減少の764,655千円となりました。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 税金等調整前当期純利益が前年同期に比較して322,380千円減少したことに加え、前年同期に過年度損益修正損を385,087千円計上したため、営業活動により得られた資金は、前年同期に比較して1,073,143千円減少の719,839千円となりました。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 短期貸付金の回収による収入が前年同期に比較して168,864千円減少しましたが、短期貸付による支出が179,629千円減少し、固定資産の取得による支出が前年同期に比較して76,164千円減少しましたため、投資活動により使用した資金は、前年同期に比較して191,402千円減少の382,456千円となりました。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 短期借入金の純増減額が前年同期に比較して820,000千円の増加となりましため、財務活動により使用した資金は、前年同期に比較して897,645千円減少の423,572千円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注形態をとらない商品も多いため、セグメントごとに受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため、生産、受注及び販売の状況については「1 業績等の概要」においてセグメントの業績に関連付けて示しております。

3【対処すべき課題】

 今後の見通しにつきましては、円高の長期化や原油価格の上昇など景気を下押しするリスクが存在し、本格的な回復には、なお時間がかかるものと思われます。

 自動車運送事業では、運輸安全マネジメントを徹底して公共交通機関の使命である安全輸送の完遂に鋭意努力しておりますが、自動車排出ガス規制などの環境問題への対応や、軽油価格が再び高騰するリスクなど、経営環境は依然として厳しいものと予想されます。これらに対応するため、旅客ニーズに合ったサービスの提供や運行の効率化、低公害車両の代替を推進してまいります。

 不動産事業では、安定的な賃料収入の確保に向けた営業を展開するとともに、販売用不動産の販売による増収に努めます。

 物品販売事業では、既存店舗のリニューアルによる顧客の確保や、原価及び人件費等の適正管理による経費の節減を徹底するとともに、立地特性、地域ニーズに応じた販売店舗やレストランの出店を検討してまいります。

 その他事業では、自動車教習所事業において、高齢者講習受講者の増加に備えて受入態勢の整備を行うほか、職業運転者教育の充実と拡大を図り、増収に努めます。

 このような状況のなか、奈良県との協働連携協定により、バスネットワークの維持やバス利用者の確保に努めてまいります。また、内部統制の強化により健全な企業体質を堅持して、奈良交通グループの総合力強化と経営の効率化を図り、持続的な発展に努める所存であります。

4【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重大事故による事業の制限について

 自動車運送事業においては、重大事故が発生すると、企業イメージやお客様の信用を大きく失墜させます。 さらに、当局からの車両使用停止や事業計画変更の一定期間停止などの行政処分により、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)旅客の減少について

 自動車運送事業は、少子高齢化による通勤・通学需要の減少や、山間地域における過疎化の進行など、旅客が減少を続ける厳しい経営環境にあります。 
 上記経営環境が改善されず旅客の減少が続けば、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)自然災害、感染症等の発生について

震災など大規模な自然災害の発生や感染症の流行などにより、施設の損壊、旅客の出控えに加え、社員の勤務の確保が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 

(4)燃料価格の高騰について

自動車運送事業を主軸とする当社グループでは、燃料価格が高騰した場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

(5)金利の変動について

当社グループでは、設備資金のほか運転資金についても主として金融機関からの借入により資金を調達しているため、金利が上昇した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6)減損会計の適用について

当社グループが保有する資産に時価の下落や収益性の低下等が生じた場合、減損損失の計上により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 

(7)補助金及び公共性について

乗合自動車運送事業では、国や地方自治体からの補助金を活用しながら、不採算路線であっても社会的要請の高い路線を維持しております。

補助金制度が廃止または減額された場合、事業規模の縮小など、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。 

(8)個人情報の漏洩について

当社グループでは、自動車運送事業をはじめ旅行事業など各事業で顧客情報を保有しており、個人情報の漏洩を防止すべく情報管理体制の整備に取り組んでおります。

個人情報が漏洩した場合、顧客離れや企業イメージの失墜、さらには多額の損害賠償請求による財務的リスクを負うなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 

(9)食品の衛生管理について

当社グループが経営する飲食事業においては、食材の品質など衛生管理の徹底に努めておりますが、食中毒の発生により営業停止処分等を受けた場合、社会的信用の失墜につながり、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)フランチャイズへの依存について

当社グループは、飲食事業、自動車用品販売事業において、フランチャイズ契約により経営を行っております。

提供される商品やサービスに重大な欠陥等が生じた場合、又は本部の経営方針の転換や業績が悪化した場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しておりますが、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

(2)当連結会計年度末の財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比較して610,389千円減少の34,824,234千円となりました。その主な原因は、バス及びタクシーなどの代替などをおこなったものの、減価償却及び除却などにより、有形固定資産が前連結会計年度末に比較して323,803千円減少したほか、税制改正による法人税率の変更に伴い、繰延税金資産を取り崩したためであります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比較して1,118,512千円減少の24,680,989千円となりました。その主な原因は、短期借入金と長期借入金を合わせた借入金残高が前連結会計年度末に比較して96,000千円増加しましたが、退職給付引当金が退職及び年金保険料の支払い等により、前連結会計年度末に比較して148,802千円減少したほか、法人税率の変更に伴い、再評価に係る繰延税金負債が前連結会計年度末に比較して569,100千円減少したためであります。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比較して508,123千円増加の10,143,244千円となりました。その主な原因は、法人税率の変更に伴う土地再評価差額金569,100千円の計上による増加であります。なお、自己資本比率については、29.1%と、前連結会計年度末に比較して1.9ポイント上昇することとなりました。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、自動車運送事業等営業収益が、前期の平城遷都1300年祭関連輸送の反動や、東日本大震災や相次ぐ自然災害の影響を受けたため、前年同期に比較して1,087,190千円の減収となり、その他の営業収益も、前期の平城遷都1300年祭の平城宮跡会場や第27回全国都市緑化フェア会場への新規出店による反動などにより、前年同期に比較して570,980千円の減収となりましたため、前年同期に比較して1,658,170千円減収の26,033,536千円となりました。

 売上原価は、燃料の仕入価格の上昇による燃料油脂費の増加があるものの、飲食事業、物品販売事業の減収に伴う費用の増加などにより、前年同期に比較して885,786千円減少の20,226,604千円となりました。

 これらの結果、営業利益は前年同期に比較して468,027千円減益の512,295千円となり、経常利益は前年同期に比較して466,325円減益の441,011千円となりました。

 特別利益は、バス環境向上事業補助金等68,885千円を計上しております。

 特別損失は、固定資産除却損67,724千円、固定資産圧縮損54,996千円のほか、飲食店舗等の減損損失40,215千円を計上しております。 

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前年同期に比較して322,380千円減益の346,960千円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を控除した少数株主損益調整前当期純利益及び当期純利益は、前年同期に比較して340,505千円減益の47,221千円となりました。

 なお、事業の種類別セグメントの売上高については、前掲の「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。

 

(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、前掲の「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループを取り巻く経営環境については、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、様々な要因により影響を受け、変動する可能性があります。自動車運送事業では、外部環境が改善されず、旅客減少が続いた場合、事業規模の縮小につながる可能性があります。さらに世界的な原油需要、産油地域の情勢により、燃料価格が高騰した場合、経営成績に重要な影響があります。また、物品販売事業では、フランチャイズ契約により営業している事業が大半を占めているため、フランチャイザーにおける経営方針の転換や業績の悪化により、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6)今後の見通し及び経営方針

 今後の見通しにつきましては、円高の長期化や原油価格の上昇など景気を下押しするリスクが存在し、本格的な回復には、なお時間がかかるものと思われます。

 こうしたなかにあって当社グループでは、内部統制の強化により健全な企業体質を堅持して、総合力強化と経営の効率化を図り、持続的な発展に努める所存であります。自動車運送事業では、奈良県との協働連携協定により、バスネットワークの維持やバス利用者の確保に努めるとともに、長期的に安定した利益を確保できる収益構造への転換を図り、また、不動産事業、物品販売事業及びその他事業につきましては、経営資源を最大限活用した事業展開により収益の拡大に努めてまいります。 

 





出典: 奈良交通株式会社、2012-03-31 期 有価証券報告書