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第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における総販売電力量は、前連結会計年度と比べ4億20百万キロワット時増(2.2%増)の191億12百万キロワット時となった。なおこの間の設備利用率は87.1%である。

 これに伴う販売電力料1,729億56百万円を含めた経常収益は、前連結会計年度と比べ24.5%増の1,761億29百万円となった。

 一方支出面では、当連結会計年度の経常費用は前連結会計年度に比べ24.9%増の1,743億59百万円となった。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ3.6%減の17億69百万円となった。前連結会計年度は特別損失として固定資産売却損を14億38百万円計上したが、当連結会計年度は特別損益の計上はないことから、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度と比べ346.4%増の17億69百万円となった。また、当期純利益は前連結会計年度と比べ121.3%増の11億63百万円となった。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、使用済核燃料再処理引当金等の増加による収入が大きく、前連結会計年度と比べ68億12百万円増加し、当連結会計年度末残高は530億30百万円となった。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ9.9%増の790億66百万円の収入となった。これは、使用済核燃料再処理引当金等の増加額が大きかったことなどによるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ18.8%増の665億33百万円の支出となった。これは有価証券の取得による支出が大きかったことなどによるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ74.3%増の57億20百万円の支出となった。これは、有利子負債の圧縮を進めたことなどによるものである。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 発電実績

 

種別

当連結会計年度

(平成16年4月1日から

平成17年3月31日まで)

前年同期比(%)

東海第二発電所

発電電力量

(MWH)

9,075,064

112.6

所内用電力量

(MWH)

348,978

122.4

販売電力量

(MWH)

8,726,086

112.2

敦賀発電所1号機

発電電力量

(MWH)

2,670,811

102.8

所内用電力量

(MWH)

128,911

103.3

販売電力量

(MWH)

2,541,900

102.7

敦賀発電所2号機

発電電力量

(MWH)

8,219,364

93.2

所内用電力量

(MWH)

374,373

97.9

販売電力量

(MWH)

7,844,991

92.9

合計

発電電力量

(MWH)

19,965,239

102.5

所内用電力量

(MWH)

852,262

107.6

販売電力量

(MWH)

19,112,977

102.2

 

(2) 販売実績

 

種別

当連結会計年度

(平成16年4月1日から

平成17年3月31日まで)

前年同期比(%)

販売電力量(MWH)

19,112,977

102.2

販売電力料(百万円)

172,956

124.6

(注) 上記金額には消費税等は含んでいない。

 

電力の販売先は以下のとおりである。

 

相手先

前連結会計年度

(平成15年4月1日から

平成16年3月31日まで)

当連結会計年度

(平成16年4月1日から

平成17年3月31日まで)

販売電力料

(百万円)

総販売実績に

対する比率(%)

販売電力料

(百万円)

総販売実績に

対する比率(%)

東京電力㈱

38,380

27.6

65,610

37.9

関西電力㈱

35,511

25.6

36,823

21.3

中部電力㈱

32,282

23.3

33,764

19.5

北陸電力㈱

23,179

16.7

25,244

14.6

東北電力㈱

9,458

6.8

11,513

6.7

(注) 上記金額には消費税等は含んでいない。

 

3 【対処すべき課題】

平成17年2月の京都議定書発効により地球環境問題が社会的関心を集めるなか、原子力発電はエネルギーセキュリティ及び地球温暖化対策の面で優れた特性を有する基幹電源であることから、その必要性が再認識されている。また、原子力委員会における次期「原子力開発利用長期計画」の策定においても、原子燃料サイクル政策の推進が改めて確認され、さらに、原子力発電に関する国及び民間事業者が取り組むべき中長期的課題についての議論が行われている。

一方、平成12年から順次導入されてきた電力小売自由化は、本年4月からはさらに50キロワット以上の全ての高圧需要家に拡大され、販売電力量にして6割を超える範囲が自由化の対象となり、また、日本卸電力取引所についても実運用が開始された。このように電力自由化が進展するなかで、当社においてもお客様である電力会社にご満足いただけるよう、安定供給と、より一層の発電原価の低減に取り組む必要がある。

このような情勢を踏まえ、当社は、「安全第一」を基本方針として、発電所の安定運転等による経営基盤の拡充に取り組むとともに、パイオニア精神を発揮して、保修の直営化、東海発電所廃止措置工事、使用済燃料中間貯蔵事業、プルサーマル計画の推進、並びに中小型軽水炉及び高速増殖炉に関する研究開発に努めていく。また、こうした事業活動を通じて蓄積した知的財産を事業領域のさらなる拡大に役立てていく。

 

既設発電所については、二次系配管等の肉厚の点検を実施し、配管の健全性を確認した。今後とも予防保全の実施に取り組み、保守管理、品質保証活動に万全を期することにより、安全運転を継続していく。また、設備の更新により生じる余力を活用して電気出力を増加させる「出力向上」の検討を進めていく。

敦賀発電所3,4号機の増設計画については、昨年6月に準備工事に係る各種許認可を得て、7月に護岸・防波堤の構築等の準備工事を開始したが、本年も安全かつ着実に進めていく所存である。また、本年2月に経済産業省原子力安全・保安院から安全審査に万全を期するための追加調査の指示があったので、調査を実施していく。

保修の直営化については、保修工事として大型のポンプや電動機、放射線モニター、遮断器といった多様な機器の分解点検等を実施するとともに、機器の点検内容・点検周期の見直しや工事内容の適正化を行い、設備の信頼性向上、技術・技能向上に取り組んでおり、引き続き今後も着実に充実を図っていく。また、平成11年度から導入している機器運転状態の監視結果から異常兆候を把握し、その状況に応じて点検を行う状態監視保全の拡大、及び設備の健全性を評価し、点検計画へ反映する設備管理業務についても、さらに直営化を拡大・推進していく。

東海発電所の廃止措置については、高所作業等の特殊作業を除き当社とグループ会社による直営体制により、安全かつ順調に進捗しており、原子炉サービス建屋内の給水ポンプ・非常用ディーゼル発電機等の撤去工事を完了している。第1期工事の最終年度にあたる平成17年度は、燃料取替機等の撤去工事を安全第一に継続実施し、引き続く第2期工事に向けて、作業安全とコスト削減を目指した適切な直営作業体制の検討を進めていく。また、将来の廃止措置の事業化に備え、技術の蓄積を行うとともに、国内商業炉初の廃止措置として、合理的な撤去方法、廃棄物処理・処分方法、クリアランス制度(注)等の検討を通じて、今後の敦賀発電所1号機を含めた軽水炉廃止措置の道筋になるよう取り組んでいく。

使用済燃料の中間貯蔵事業については、東京電力株式会社が青森県むつ市で計画している事業に当社も参画し、青森県をはじめとした地域の皆様方のご理解とご協力のもとに、東京電力株式会社と共同して事業主体となる新会社の設立及び事業許可申請に向けた諸準備を進めていく。また、プルサーマル計画についても、敦賀発電所2号機、東海第二発電所への導入に向けて、地域の皆様方のご理解とご協力が得られるように理解活動を強化するとともに、計画の具体化について検討、準備を進めていく。

研究開発については、上記の各事業に関連して、既設発電所の信頼性・経済性の向上に資する研究、廃止措置における廃棄物処理・処分の最適化を図るための研究、クリアランス制度の法制化に対応する合理的な判断方法の研究、敦賀発電所1号機の廃止に向けた研究を行うとともに、将来の原子力の動向を見据え、経済性向上を目指した中小型軽水炉の予備的基本設計の研究、核燃料サイクル開発機構と協力しての高速増殖炉における実用化戦略調査研究を引き続き実施していく。

当社は、設立以来のパイオニア精神をさらに高揚させ、社員ひとり一人が創意工夫を凝らして以上の諸課題に取り組んでいくとともに、当社事業活動に対する社会からの信頼が不可欠であることを認識し、法令遵守やリスク管理の推進、風通しの良い職場風土の醸成等に努め、社会の皆様からさらに信頼されるよう努力していく所存である。

 

(注)クリアランス制度

原子力施設に用いられた金属、コンクリート等であって放射能濃度が著しく低いことを主務大臣が確認したものについては「核燃料物質によって汚染された物」でないものとして取り扱う旨の規定を設け、通常の廃棄物と同等の処分、再生利用を可能とする制度

 

4 【事業等のリスク】

5〔経営上の重要な契約等〕に記載している契約によって、当社は事業運営上必要な経費が確保されるため、事業リスクが基本的に回避されているが、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがある。

なお、本項においては将来に関する事項が含まれているが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものである。

 

(1) 設備及び操業トラブルの発生について

当社は原子力発電専業の会社である。原子力発電に係る設備及び操業トラブルの発生による発電能力の低下によって、当社グループの経営成績及び財務状況は、影響を受ける可能性がある。

 

(2) 金利変動について

当社は、福井県敦賀市において敦賀発電所3,4号機の増設を計画しており、その建設費の多くを金融機関より調達することとしている。今後の金利動向及び格付けの変更によって敦賀発電所3,4号機建設費の調達金利が変動することにより、当社グループの経営成績及び財務状況は影響を受ける可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は卸電気事業者であり、一般電気事業者である東北電力㈱、東京電力㈱、中部電力㈱、北陸電力㈱及び関西電力㈱の5社に対し、電力受給契約に基づき、電力を供給している。

当社が供給する電力については、上記受電会社との間で締結している基本協定等において、全量受電されることが担保されていると共に、各社の受電比率等についての取り決めがなされている。

各年の電力受給については、効率化を反映した資本費・運転維持費等に、適正な報酬を加えた料金原価を算定し、受電会社との調整を経て確定した料金原価で基本料金(販売電力量の増減に関係なく得られる収入)と電力量料金(販売電力量の増減に応じて得られる収入)を定めた電力受給契約を締結し、それに基づき実施している。

なお、電気事業の規制緩和の一環として、電気事業法における卸供給料金が平成12年度料金以降、認可制から届出制になっており、当事者間の私契約がより尊重されるようになった。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動については、原子力発電の一層の発展・定着に貢献することを目標として、今日まで培ってきた技術力を基に将来に向けた事業展開を目指し、我が国の原子力発電に貢献すべく、総合的な研究開発活動を積極的に実施している。

将来炉開発では、経済性の向上を目指した革新的中小型炉概念を構築したので、今後、技術的・経済的成立性の確認に向けて、引き続き予備的基本設計研究を実施していく。

高速増殖炉開発については、複数の選択肢を視野に入れ、炉とサイクルの整合のとれた、軽水炉や他電源と比肩しうる経済性を達成できる高速増殖炉システムの研究開発に取り組んでいる。

また、既設発電所の安全・安定運転の維持、経済性の一層の向上に向け、プラント毎の状況に応じた研究開発を行っている。

この他、新規ユニット増設に向けた研究、発電所の廃止措置に関する研究及び原子燃料サイクル、耐震技術、先端技術の開発にも力を入れている。

当連結会計年度の研究開発費は、16億17百万円である。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) キャッシュ・フローの分析

営業活動によるキャッシュ・フローの主な源泉は、減価償却費、核燃料減損額、使用済核燃料再処理費振替額、使用済核燃料再処理引当金の増加額、等である。このうち使用済核燃料再処理費振替額、及び使用済核燃料再処理引当金の増加額については、前連結会計年度よりも大幅に増えている、という特徴がある。これは、再処理役務が完了したことに伴うものである。

営業活動で得られたキャッシュの範囲内で設備投資及び核燃料の取得をしているが、それ以上に余剰資金が存在している。その余剰資金を、長期借入金の返済に充当し、さらに効率的運用により財務収益の確保を図るため有価証券の取得に充当した。

以上の結果、当連結会計年度において増加した現金及び現金同等物は68億12百万円となった。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は530億30百万円であり、連結グループの流動性は極めて高い。

(2) 連結貸借対照表の分析

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて303億94百万円増の5,929億57百万円となった。これは、減価償却の進行等により電気事業固定資産が減少したものの、余剰資金の運用として有価証券を購入したことにより、長期投資及び短期投資が大幅に増えたことなどによるものである。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて292億27百万円増の4,265億5百万円となった。これは、長期借入金の減少はあるものの、使用済核燃料再処理引当金の増加が大きいことなどによるものである。

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末と比べて11億66百万円増の1,664億51百万円となった。これは、当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加などである。

 

提出会社は原子力発電専業の卸電気事業者であることから、原子力発電特有の資産及び負債の占める割合が大きくなっている。

資産の部では、電気事業固定資産、固定資産仮勘定及び核燃料の合計が、総資産の約62%を占めている。

負債の部では、使用済核燃料再処理引当金及び原子力発電施設解体引当金の合計が、総資産の約57%を占めている。

 

(3) 連結損益計算書の分析

1〔業績等の概要〕及び2〔生産、受注及び販売の状況〕にある通り、当連結会計年度は前連結会計年度と比較すると、経常利益ベースで増収(24.5%増、346億67百万円増)減益(3.6%減、65百万円減)となった。

電気事業営業収益の増加要因は、料金原価に含まれている使用済核燃料再処理費が前連結会計年度よりも多額だったため、販売単価が前連結会計年度よりも高かったことなどである。

電気事業営業費用の増加要因は、再処理役務が完了したことに伴い、使用済核燃料再処理費が前連結会計年度よりも大幅に増えたこと、敦賀発電所2号機の定検期間が前連結会計年度に比べ長かったことによる修繕費の増加、などによるものである。

前連結会計年度は特別損失として固定資産売却損を計上したが、当連結会計年度は特別損益の計上はない。

以上の結果、当期純利益は前連結会計年度と比べ121.3%増の11億63百万円となった。





出典: 日本原子力発電株式会社、2005-03-31 期 有価証券報告書