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セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度は、前連結会計年度に引き続き、全国的に原子力発電所が再起動できない状況が継続し、当社グループにおいても東海第二発電所、敦賀発電所1号機及び同2号機が年度を通して停止することとなった。このため当連結会計年度においては販売電力量は発生していない。当期経常収益については、発電所設備の機能維持や安全確保の原資となる販売電力料1,302億73百万円を含めて、前連結会計年度と比べ5.2%増の1,347億43百万円となった。
 一方支出面では、業務各般にわたる徹底した合理化、効率化の推進により、諸経費の縮減に努めたものの、長期停止中の発電所設備の健全性維持に関連する修繕費用が増加したことなどから、当期経常費用は前連結会計年度と比べ7.1%増の1,277億92百万円となった。
 以上の結果、当期経常利益は前期と比べ20.1%減の69億50百万円の利益となったが、核燃料の保有量調整に関する損失を特別損失として43億66百万円計上したことから、税金等調整前当期純利益は25億83百万円となり、法人税率の変更に伴う繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額を反映した結果、法人税等控除後の当期純損益は、30億83百万円の当期純損失となった(前連結会計年度は16億55百万円の当期純利益)。
 なお、当グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略している。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の61億55百万円の収入から207億82百万円増加し、269億38百万円の収入となった。これは、仕入債務等の支払に伴う支出が減少したことなどによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の264億51百万円の支出から、支出が216億74百万円減少し、47億76百万円の支出となった。これは、固定資産の取得に伴う支出が減少したことなどによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の192億98百万円の支出から、支出が155億79百万円減少し、37億18百万円の支出となった。これは、コマーシャル・ペーパーの償還による支出が減少したことなどによるものである。
 以上の結果、当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ184億
42百万円増加し、当連結会計年度末残高は490億58百万円となった。 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 発電実績

 

セグメント名称

項目

当連結会計年度

(平成26年4月1日から

平成27年3月31日まで)

前年同期比(%)

電 気 事 業

発電電力量

(MWh)

所内用電力量

(MWh)

販売電力量

(MWh)

 

 

(2) 販売実績

 

セグメント名称

項目

当連結会計年度

(平成26年4月1日から

平成27年3月31日まで)

前年同期比(%)

電 気 事 業

販売電力量

(MWh)

販売電力料

(百万円)

130,273

104.8

 

(注) 上記金額には、消費税等は含んでいない。

 

電力の販売先は以下のとおりである。

 

相手先

前連結会計年度

(平成25年4月1日から

平成26年3月31日まで)

当連結会計年度

(平成26年4月1日から

平成27年3月31日まで)

販売電力料
(百万円)

総販売実績に
対する比率(%)

販売電力料
(百万円)

総販売実績に
対する比率(%)

東京電力株式会社

40,956

33.0

49,818

38.2

中部電力株式会社

26,233

21.1

26,034

20.0

関西電力株式会社

28,781

23.2

25,506

19.6

北陸電力株式会社

19,075

15.3

18,565

14.3

東北電力株式会社

9,223

7.4

10,349

7.9

 

(注) 上記金額には、消費税等は含んでいない。

 

 

3 【対処すべき課題】

既設発電所の再起動を見通すことができない状況が続くなか、平成28年には電力小売の全面自由化と併せて、卸電気事業規制が撤廃されることが決定しているため、当社グループは、従来のビジネスモデルから脱却し、新たなビジネスモデルを構築することが不可欠な状況にある。
 こうした状況を踏まえ、当社グループは、安全第一を最優先に、「既設発電所の運営」、「敦賀発電所3,4号機増設計画の推進」、「福島第一原子力発電所支援」、「廃止措置事業」、「海外事業」を事業の柱に位置付け、経営改革を進めていく。また、経営改革の推進にあたり、関係会社3社の統合を含めた組織形態の最適化を進めていく。
 原子力発電は、国の「エネルギー基本計画」において、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けられている。当社グループは、原子力発電事業を核とする企業集団として、安全性向上に対する取組みを積み重ね、原子力発電の推進に着実に取り組んでいく。

 

4 【事業等のリスク】

以下においては、当社の業績、財政状態並びに現在及び将来の事業等に関して重要なリスク要因となる可能性がある事項を記載している。また、当社の事業その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載している。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「当社」には当社並びに当社の連結子会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義の通り。)を含んでいる。
 なお、文中における将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社が判断したものである。

 

(1)東日本大震災による影響等について

平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、太平洋沿岸部を中心に大きな被害に見舞われ、当社の設備にも被害が発生したが、被災した主要設備の復旧は完了している。現在も引続き、その他の設備の復旧に取り組んでいるところである。
 同時に、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、津波対策の強化や緊急時の電源確保をはじめとする緊急安全対策やシビアアクシデント対策等の安全性向上対策を進めている。今後も、新たな知見が得られた場合は迅速かつ的確に対策を追加し、原子力発電所の安全確保に万全を期していく。
 当社は、平成26年5月20日付で新規制基準への適合性審査に係る申請を行った東海第二発電所について、原子力規制委員会(以下、「規制委員会」という。)の審査に適切に対応するとともに、引続き、既設発電所の安全性、信頼性の向上のための取組みを進めていく所存であるが、規制委員会による適合性確認審査等の動向によっては、既設発電所の再起動時期、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。 
 なお、敦賀発電所敷地内破砕帯については、平成25年5月22日に「D-1破砕帯は活断層である」とする有識者会合の評価書案が規制委員会で了承されたが、追加調査の結果を踏まえ、平成25年7月11日に規制委員会に対し報告書を提出している。当該報告書において、当社は、調査結果に基づく科学的見地からの総合的評価を取りまとめ、敷地内破砕帯が「耐震設計上考慮する活断層」ではない旨結論づけている。加えて、国内外の専門家による外部レビューチームの報告(平成25年8月1日)においても、敷地内破砕帯は少なくとも12万〜13万年前以降活動していないものと結論づけられ、上記の当社見解が支持されている。
  一方、規制委員会においては、当社からの追加調査の結果を踏まえた報告書提出を受け、有識者会合による現地確認を行ったうえで、論点について再審議することを決定し、有識者による現地調査(平成26年1月20、21日及び23、24日)が実施されるとともに、「敦賀発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合 追加調査評価会合」による審議がなされ、敦賀発電所2号機の原子炉建屋直下を通る破砕帯は「将来活動する可能性のある断層等」であるとの評価書案が取りまとめられている(平成26年4月14日から11月19日までの間に5回の会合を実施)。
 その後開催されたピア・レビュー会合(平成26年12月10日)ではピア・レビュアーの専門家の方々から、評価書案の根幹に係る数多くのコメントが出されている。
 当社も評価書案の詳細な分析を行い、多数の問題点とを指摘するとともに、ピア・レビュアーのコメントが評価書案へ反映されないなど、適正な手続きがなされていないことを踏まえ、規制委員会に対して、評価書案の見直しや、当社との議論及び評価書案の報告を受けることの再検討について、強く申し入れている(平成27年3月5、24日)。
 しかしながら、第65回規制委員会(平成27年3月25日)において、敦賀発電所2号機の原子炉建屋直下を通るいずれかの破砕帯は「将来活動する可能性のある断層等」であると結論づけた評価書が報告されている。
 なお、第43回規制委員会(平成26年12月3日)において、敷地内破砕帯調査に関する有識者会合の評価と、新規制基準への適合性審査との関係が示され、新規制基準への適合性審査は有識者会合による評価にかかわらず、規制委員会が審査を行った上で許認可の可否を決定すること、許認可にあたり、有識者会合による評価を重要な知見の一つとして参考とすること、更には事業者から追加調査等による新たな知見の提出があれば、これを含めて厳正に確認を行っていくこと等が整理されている。
 当社は、上記評価書やこれまでの審議において指摘された事項については、いずれもデータ等により十分反論、反証できるものと考えている。また、規制委員会に対して、評価書の記載内容の見直しと、公平・中立かつ科学的・技術的な審議が再度なされるよう、引続き要請していく。
 

(2)原子力発電所の安全安定運転について

当社は原子力発電専業の会社として、原子力発電所の安全かつ安定的な運転に向け万全を期しているが、地震や津波をはじめとする自然災害、原子力発電に係る設備トラブル、テロ等の妨害行為、原子燃料調達支障等の操業トラブルが発生した場合、発電能力の低下によって、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。また、当社に対する社会的信用が低下する可能性がある。

 

(3)安全文化の醸成、品質管理、環境汚染防止について

当社は、全ての業務について、安全文化の醸成、品質管理、環境汚染防止に努めているが、原子力発電に係る設備トラブル、作業ミス、電気事業法等の法令による規制や社内ルールからの逸脱等により事故や人身災害、大規模な環境汚染が発生した場合、当社への社会的信用が低下し、円滑な業務運営に影響を与える可能性がある。

 

(4)法令遵守などについて

当社は「電気事業法」、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」をはじめ、事業運営において様々な法令の適用を受けている。当社は、法令を遵守した業務運営を定着させるための取り組みに努めているが、法令違反及び企業倫理に反した行為が発生した場合、当社への社会的信用が低下し、円滑な業務運営に影響を与える可能性がある。

 

(5)情報管理について

当社は、原子力発電所運営に関する設備情報や、核物質管理上の情報を保有している。情報の適切な取扱いを図るため、情報流出防止対策の強化や社内ルールの整備、社員教育を実施しているが、情報の流出により問題が発生した場合、円滑な業務運営に影響を与える可能性がある。

 

(6)電気事業制度改革、規制環境等について

電気事業における制度改革やそれに伴う競争の進展など、当社を取り巻く事業環境の変化により、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
 また、原子力発電に伴い発生する使用済燃料の再処理や放射性廃棄物の処分、原子力発電施設の廃止措置等に係る費用の会計上の取扱いについては、国により制度措置が講じられているが、制度の見直し等により、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。また、六ヶ所再処理施設等の稼働状況や同ウラン濃縮施設に係る廃止措置のあり方などによっては、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。
 上記については、平成28年からの小売全面自由化及び卸料金規制の撤廃を予定した「電気事業法等の一部を改正する法律」(平成26年6月18日 法律第72号)が公布されており、今後の法施行に向けて、原子力事業の環境整備も含めた詳細な制度設計が検討される見通しである。

 

(7)金融市場の動向について

当社は、福井県敦賀市において敦賀発電所3,4号機の増設を計画しており、その建設費の多くを社債発行及び金融機関からの借入により調達することとしている。当社の有利子負債残高(連結)は、平成27年3月末時点で178,894百万円(総資産の21.3%に相当)であるが、今後、有利子負債依存度が高まった場合、金融情勢および金利水準の動向によっては、当社の財政状態及び発電所の増設等をはじめとした事業計画は、影響を受ける可能性がある。
 また、企業年金資産等において保有している国内外の株式や債券は、株式市況や債券市況等により時価が変動することから、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

(8)発電所増設計画の変更等について

敦賀発電所3,4号機増設計画については、平成16年3月に原子炉設置変更許可を経済産業大臣に申請し、国による安全審査中である。今後とも、国のエネルギー政策の見直しや安全規制に係る状況等を注視しつつ、安全審査に着実に対応し計画を確実に進めて行くが、状況の大幅な変化、予期せぬ事態の発生等により大幅な計画の変更等が起これば、円滑な業務運営に影響を与える可能性があり、また、当社の業績及び財政状態は影響を受ける可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は卸電気事業者であり、一般電気事業者である東北電力㈱、東京電力㈱、中部電力㈱、北陸電力㈱及び関西電力㈱の受電5社と電力受給に関する基本協定及び電力受給契約等を締結している。
 電力受給に関する基本協定では、当社の供給する電力の全量を受電会社が受電すること及び受電各社の受電比率等を定めている。営業運転を既に停止している東海発電所及び停止を決定した敦賀発電所1号機については、運転停止後に発生する費用(停止後費用)の取扱いについての基本協定等を締結し、原則として受電会社が停止後費用を負担すること等を定めている。建設を計画している敦賀発電所3,4号機についても、受電会社と基本協定を締結し、発生電力の全量を受電会社が受電すること及び受電各社の受電比率等を定めている。
 電力受給契約については、原則として事業年度毎に締結しており、料金その他の供給条件を定めている。料金は、基本料金(電気の供給量にかかわらず支払を受ける料金)と電力量料金(電気の供給量に応じて支払を受ける料金)から成っており、効率化を反映した資本費・運転維持費等に適正な事業報酬を加えて算定した料金原価をもとに設定している。
 なお、受給契約に定める料金その他の供給条件については、電気事業法に基づき経済産業大臣に届け出ている。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動については、法令・新規制基準への対応として、既設発電所の再稼働に必要となるもの、及び廃止措置や国際協力関連等の今後の当社事業展開に必要な研究開発を中心に進めている。
 将来炉開発では、国内外の安全規制や安全設計の最新の動向に係る調査・分析を進めつつ、静的安全系の特性を活かした安全設計概念の検討を行っている。
 高速増殖炉開発については、エネルギー基本計画を踏まえ、海外の開発状況、国の国際協力に関する動向に注視しつつ、電力としての高速増殖炉の開発に係る方針を電力各社と確認したうえで、日本原子力研究開発機構が実施している高速増殖炉サイクルの実用化に向けた研究開発に将来ユーザーとして必要な協力を行っている。
 当連結会計年度の研究開発費は、607百万円である。
 なお、当グループは単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略している。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 連結貸借対照表の分析

①資産の部

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて14億57百万円減の8,394億19百万円となった。
 固定資産は、前連結会計年度末と比べて336億58百万円減の7,218億38百万円となった。これは、電気事業固定資産及び核燃料の減少などによるものである。
 流動資産は、前連結会計年度末と比べて322億1百万円増の1,175億81百万円となった。これは、短期投資の増加などによるものである。
 

②負債の部

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて89百万円減の6,763億2百万円となった。
 固定負債は、前連結会計年度末と比べて90億91百万円減の5,175億52百万円となった。これは、長期借入金の減少や使用済燃料再処理等引当金の取崩しに伴う減少などによるものである。
 流動負債は、前連結会計年度末と比べて90億2百万円増の1,587億49百万円となった。これは、設備工事、修繕工事等の仕入債務の増加などによるものである。
 

③純資産の部

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて13億67百万円減の1,631億17百万円となった。これは、退職給付に係る調整額を計上したことに伴うその他の包括利益累計額の増加など及び当期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少などによるものである。

 

提出会社は原子力発電専業の卸電気事業者であることから、原子力発電特有の資産及び負債の占める割合が大きくなっている。
 資産の部では、電気事業固定資産、固定資産仮勘定、核燃料及び使用済燃料再処理等積立金の合計が、総資産の約66%を占めている。
 負債の部では、使用済燃料再処理等引当金、使用済燃料再処理等準備引当金及び資産除去債務の合計が、総資産の約47%を占めている。

 

(2) 連結損益計算書の分析

1[業績等の概要]及び2[生産、受注及び販売の状況]にある通り、当連結会計年度は前連結会計年度と比較すると、経常ベースで増収(5.2%増、67億4百万円増)減益(20.1%減、17億50百万円減)となった。
 電気事業営業収益の増加要因は、発電所設備の機能維持や安全確保の原資となる電力料収入が、前連結会計年度に比べて増加したことなどによるものである。
 電気事業営業費用の増加要因は、業務各般にわたる徹底した合理化、効率化の推進による諸経費の縮減に努めたものの、長期停止中の発電所設備の健全性維持に関連する修繕費用が増加したことなどによるものである。

これに、核燃料の保有量調整に関する損失などの特別損失を計上したこと及び法人税率の変更に伴い繰延税金資産の取崩しによる法人税等調整額を反映した結果、法人税等控除後の当期純損失は30億83百万円となった(前連結会計年度は16億55百万円の当期純利益)。
 

(3) キャッシュ・フローの分析

営業活動によるキャッシュ・フローの主な源泉は、減価償却費、原子力発電施設解体費である。
 営業活動によるキャッシュ・フローの金額は、前連結会計年度と比較して仕入債務の増減額による支出が減少したことなどにより、増加している。
 この営業活動によるキャッシュ・フローを、設備投資や核燃料の取得、借入金の返済に伴う支出等に充当した。
 以上の結果、当連結会計年度において、現金及び現金同等物は184億42百万円増加し、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は490億58百万円となった。

 





出典: 日本原子力発電株式会社、2015-03-31 期 有価証券報告書