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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、サブプライムローン関連の金融市場の混乱を背景とする米国経済の減速や為替市場の変動、原油等の原材料価格高騰といった要因により下半期以降に景気動向に対する不透明感が広がったものの、高水準で推移する企業収益、増加基調の設備投資などから判断し、景気は緩やかながらも拡大傾向にあったものと考えられます。

当業界を取り巻く経営環境としては、製造業における競争優位性獲得を目的とした設備投資需要、また、依然として強い金融機関の基幹システム更新投資需要などを背景に、企業部門においてIT投資が活発に行われる状況にありました。

こうした状況下、当社グループにおきましては、製造業、金融業向け案件を中心にITシステム構築需要は好調に推移しました。また、ソフトウェア受託開発事業におきましては、プロジェクト管理の高度化による不採算案件の減少、また、実働稼働率の向上、業務委託費の削減等により収益性が改善いたしました。加えて、プロダクトディストリビューション事業におきましても、戦略性・成長性を重視したターゲットビジネスへの経営資源の集中により収益性が向上しました。

このような事業活動の結果、当連結会計年度の売上高は前期比0.1%減の137,199百万円となりました。経常利益は前期比18.6%増の10,548百万円となり、当期純利益は前期比23.7%増の5,415百万円となりました。

当連結会計年度においては以下の施策に取り組んでまいりましたが、次年度以降も顧客企業のITサービスニーズに対して迅速に対応するためこれらの施策に継続的に取り組むとともに、新たな施策にチャレンジし、トップクラスのITサービス企業を目指し、成長力・競争力の更なる強化を図ってまいります。

 

1 事業基盤の強化

・当社の戦略的注力事業でありますターゲットビジネスの強化を目的に、組織改編を実施するとともに、注力分野の見直し等を継続的に進めてまいりました。

・ソフトウェア受託開発事業において採算見積り管理・進捗管理・品質管理の徹底に努め、生産性の向上、不採算案件発生の低減を図っております。

・グローバル戦略を推進するため、海外拠点の強化、拡充を実施しました。

・全社の業務委託先管理業務を集中化し、業務委託にかかる全社的な効率的運営・管理と業務委託費の低減に努めました。

・人材力、技術力を強化するため、技術人材に対しての専門教育を含む役職員向けの研修制度を刷新しました。

 

2 戦略的事業投資

ターゲットビジネスの拡充並びに各事業の競争力強化を目的として以下のような戦略的事業投資を行いました。

・平成19年5月25日、内部統制システムの構築市場でのワークフロー分野に積極的に対応する目的で㈱ソフトクリエイトの子会社である㈱エイトレッドに出資し、持分法適用関連会社としております。

・平成19年8月13日、日本企業向けにグローバル規模でのネットワーク・アウトソーシング・サービスを提供するため、Datacraft Asia Ltd.との合弁会社として住商情報データクラフト㈱を当社の持分法適用関連会社としております。

・平成19年8月30日、製造業の製造現場における「ものづくり支援」の強化を目的に構造解析ソリューションに強みを持つ㈱アライドエンジニアリングに出資を行い、新たに子会社としております。

・平成19年11月30日、最先端IT技術の導入、あるいは、最新のソフトウェア・ハードウェア等の製品調達力を確保する目的として米国シリコンバレーを拠点にベンチャー投資を行っているPresidio STX,LLCに対し、当社子会社であるSumisho Computer Systems(USA),Inc.が出資をしております。

・平成19年12月17日に、アジア・豪州地域に進出している日系企業のITサポートを目的にシンガポールのSumisho Computer Systems(Asia Pacific)Pte.Ltd.を全額出資子会社とし、グローバルなサポート拠点を拡充しております。

・平成19年12月21日、国内開発拠点の拡充を目的としてエヌ・デーソフトウェア㈱に出資するとともに業務提携を行っております。

・平成20年3月7日、統合CRM(Customer Relationship Management)パッケージのベンダーであるエンプレックス㈱へ追加出資を行い、子会社としております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末より、4,180百万円増加し、35,592百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は12,409百万円となりました。

主な増加要因は、税金等調整前当期純利益10,053百万円、減価償却費2,415百万円、売上債権の減少による資金の増加5,299百万円によるものであります。主な減少要因は、仕入債務の減少による資金の減少1,177百万円、法人税等の支払額 3,409百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は3,031百万円となりました。

主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出1,050百万円、ソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出1,442百万円、投資有価証券の取得による支出1,587百万円並びに連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出605百万円によるものであります。また、主な増加要因は、事業譲渡による収入498百万円の他、株式売却や資金運用のための債券の償還によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は5,228百万円となりました。

主な減少要因は、自己株式の取得による支出3,392百万円、平成19年3月期期末配当金(1株当たり15円)の支払796百万円及び平成20年3月期中間配当金(1株当たり15円)の支払796百万円によるものであります。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業部門名称
生産高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
48,251
+1.3
情報処理
36,001
+4.5
システム販売
52,662
△4.2
合計
136,916
△0.1

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度におけるソフトウェア開発の受注状況を示すと、次のとおりであります。

 

事業部門名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
47,460
△3.8
5,964
△15.2

(注) 1 情報処理等については、把握が困難なため省略しております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業部門名称
販売高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
48,525
+1.3
情報処理
36,010
+4.4
システム販売
52,662
△4.2
合計
137,199
△0.1

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
住友商事株式会社
14,570
10.6
13,340
9.7

2 上記金額は販売価格によっております。

3 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

販売実績につきましては、前連結会計年度より従来の事業部門別3区分(ソフトウェア開発・情報処理・システム販売)に加えて、3つの新事業部門別区分に基づいて管理しております。
 ソリューション別に分類し集計することにより、当社グループの経営状況をより正確に伝えるための一助とするものであります。

 

新事業部門名称
販売高(百万円)
前期比(%)
業務系ソリューション
70,625
△1.7
ERPソリューション
15,341
+1.4
プラットフォームソリューション
51,232
+1.8
合計
137,199
△0.1

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

3 【対処すべき課題】

今後の当社グループを取り巻く経営環境を展望しますと、米国経済の減速、為替市場の変動、原油等の原材料価格の高騰等を背景に、全般的な景気動向に不透明感が広がっております。製造業を中心に事業競争力強化のための戦略的なIT投資は増加傾向にあるものの、企業価値向上・ROI等を強く意識した企業のIT投資における選別的な傾向は今後さらに強くなると考えられます。

こうした状況下、現時点における当社の経営課題としては、各顧客企業が真に求めるITサービスニーズに応えることで、日本の産業界における強固な事業パートナーとしての立ち位置を確保し、もって中期的な企業成長を図るための各種施策が求められていると認識しております。

具体的には、事業基盤の強化及び収益成長力の確保を経営課題と捉えた上で各々の課題解決に向け各種の事業施策を遂行する所存であります。

すなわち、事業基盤の強化につきましては、当社グループ全体のインターナルコントロール、コンプライアンス、セキュリティ管理を始めとする経営インフラの更なる強化を行うとともに、住友商事グループにおけるITソリューション事業の中核企業としての同グループとの更なる連携強化、多岐にわたるITサービスのワンストップ型提供による顧客満足度の向上並びに各顧客企業との関係強化、パートナー企業を含めた組織的技術力の高度化・標準化の推進、プロジェクト管理の更なる徹底等を推進し収益基盤の強化を図ってまいります。

次に、収益成長力の確保につきましては、ターゲットビジネスへの経営資源の重点配分を行い各ビジネスの拡充を図るとともに、各ビジネス相互の事業シナジーを追求し、当社の提供するITサービスの付加価値向上と新規ITサービスの開拓、新規顧客の獲得を図ってまいります。

さらに、当社のグローバルITサービス体制をベースにしたグローバルITサービス力の強化並びに当社グループ独自のパッケージソフト開発及び当該パッケージソフトを核にしたソリューション事業の展開を基軸に当社グループの差別化戦略を推進し、ビジネス機会の積極的拡大を図ってまいります。

こうした戦略をスピード感をもって推進すべく、当社グループの総力をもって事業を遂行するとともに、戦略的事業提携並びに同投資の推進に注力し、業務提携・資本提携・投資先との事業連携強化も併せて行い、当社の中期的成長軌道を確固たるものにしてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業(経営成績と財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

1 事業環境リスク

近年、当社グループが属する情報サービス業界においては、競合他社との競争激化やハードウェアの価格低下を含む案件価格の低下傾向が続いております。このような環境の下、経済情勢の変化等により顧客企業の情報化投資動向が急速かつ大きく変化した場合や、業界内部での価格競争が現状を大幅に超える水準で継続した場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2 システム開発リスク

当社グループは、顧客企業の各種情報システムの受託開発業務を行っておりますが、複雑化・短納期化するシステムの開発においては、計画通りの品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、生産能力の確保、コストの効率化、技術力・ノウハウ活用のためにオフショアを含む多数の業務委託会社を活用しておりますが、種々の事情により、期待した生産性や品質が維持できない可能性があります。

このため、専門部署による引合い・見積り段階でのチェックや案件の進捗管理、品質チェックの実施、更には業務委託会社の総合的審査の実施や委託業務の進捗及び品質管理徹底により、納入するシステム全体に、予定しない不具合が生じないよう組織的に努力し、リスクの低減に努めております。

 

3 技術革新への対応に伴うリスク

当社グループが属する情報サービス業界は技術革新が激しいことから、当社グループが現在保有する技術・技能・ノウハウ等が陳腐化する可能性があります。また、当社グループの収益の源泉である顧客企業向けシステム構築に提供するソフトウェアあるいはハードウェア等の製品が、業界の技術標準の急速な変化により、その技術優位性あるいは価格優位性を失う可能性があります。当社グループは技術革新に適時・的確に対応するために、従業員の有する能力開発を高め、新しい技術の組織的発掘及び習得を推進しております。また、システム構築にかかる技術力・製品調達力において分散化を図ると同時に、特定の技術・ノウハウ・製品に過度の収益を依存することなく、ビジネスを推進しております。しかしながら、当社グループが市場からの支持を獲得できる新技術あるいは新製品を正確に予想し、その技術力を習得かつ業務上利用できるとは限らず、当社グループが業界の技術変化の方向性を十分に予測できない場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

4 情報セキュリティリスク

当社グループでは、システム開発時から運用段階に至るまで、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業のシステム技術情報等の各種機密情報を知り得る場合があります。コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これら機密情報の漏洩や改竄等が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招く可能性があります。

このため、当社グループでは、コンプライアンスの徹底を図るとともに、物理的なセキュリティ対策を強化し、更には業務委託会社も含めて、啓蒙と教育を徹底する等の情報セキュリティ強化策を講じてまいります。

また、業務委託会社には重要事項の徹底のための説明会の開催、必要に応じたオンサイトレビュー実施等を通じて、当社グループと同レベルの情報セキュリティの確保と情報管理の徹底を要請しております。

 

5 投資リスク

当社グループでは、ターゲットビジネス領域でのソリューション提供力強化、生産能力確保、最先端分野における技術力、最新のソフトウェア・ハードウェア等の製品調達力確保等を目的に、

①国内外の事業会社やベンチャー企業向けに出資・融資等の信用供与・試作製品の購入その他の戦略的投資

②ターゲットビジネス領域でのパッケージソフト開発や新サービス開発のための投資
を行っております。

投資に際しては、事業投資先や当該投資先の事業計画、リスク・リターン等について十分に検討し、また投資後であっても、計画進捗のチェックやモニタリングを行うなどリスク管理体制を整えています。

しかしながら、こうした投資は事業投資先の業績悪化や、計画未達成等のため、当初見込んだリターンが得られない若しくは損失を被り、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

6 訴訟リスク

当社グループでは、当社グループ以外の開発・製造によるソフトウェア・ハードウェア等の製品を多数の顧客企業に対し販売・納入しており、これらの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を含む訴訟等を提起する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

7 固定資産の減損リスク

当社グループは、当連結会計年度末において、帳簿価額27,428百万円の土地・建物等を保有しており、オフィス・データセンター・寮・社宅として使用しております。平成18年3月期から導入された減損会計により、地価の動向や当社グループの収益の状況によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

ただし、キャッシュ・フローを生み出す合理的な単位でのグルーピングを行い、その回収可能性を判断することから、現時点における減損の必要性は低いと考えられます。なお、当連結会計年度において減損損失認識の対象となった固定資産はありません。

 

8 製品調達リスク

当社グループでは国内外から幅広く選りすぐりのソフト・ハードを調達して顧客企業に提供しております。

米国への駐在員派遣や、親会社の住友商事グループのネットワークを活用して海外製品の発掘・調達、技術動向の掌握に努めている他、国内外のベンダー各社とは事業戦略を共有して動向把握と安定的な調達を図っております。しかしながらベンダー事業戦略の突然の変更による製品仕様変更・製品供給の停止、急速な技術革新による製品価値の低下により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社及び国内関係会社、米国、欧州の日米欧3拠点が一体となって、グローバルな視点から、最新IT動向を鋭敏に捉えつつ、緊密に情報交換、共有することによって、当社グループ全体として最新のIT導入と技術レベルの高度化、充実を図るべく研究開発活動を推進しております。

 

① 高品質アプリケーション・システム構築のための標準プロセスに関する研究

 ユビキタスコンピューティングの普及、Web2.0に見られるインターネット技術の高度化に伴い、企業システムに対する顧客の要求は多様化・複雑化がますます進展し、システム構築に求められる技術の高度化も一段と進んでいます。また、システム開発では高品質なシステムであることはもとより、短期間にシステム開発を実現することも求められるようになってきています。当社では技術の進展に伴って、自社標準プロセス、設計手法などの継続的な見直しを図るとともに、グローバル戦略に沿った標準開発プロセスの確立及び開発手法の体系的再整備に取組んでいます。また、現場で活用される実戦的な開発標準をめざし、品質の確保と効率化を両立させるために標準と支援ツールセットの連携化について取組んでおります。これらの成果を基にしてCMMIに基づくプロセス改善を推進して開発現場でのプロセス品質の向上と見える化を積極的に図るとともに、システム品質向上と納期確保に努めております。

 

② RIA(Rich Internet Applications)技術を活用した新エンタープライズ・システムの研究

 最近のWeb2.0やAjaxなどの新しいインターネット技術の進展に伴い、高度なユーザーインターフェイスを持つ、リッチ化されたアプリケーションのニーズが高まっております。当社は、数年前からこの分野に注目し、2004年に次世代Web開発言語“Curl”の知財権を取得するとともに、Curlの高機能化や、リッチ化技術のエンタープライズ領域への適応研究を行ってまいりました。具体的には、最近注目されているSOA技術とRIA技術とをコラボレートしたフラット化技術の研究並びにエンタープライズ系システムへの適用やサーバーサイドとの親和性の向上による、使い易く開発生産性の高いシステム化技術を中心に研究を行っております。

 

③ オープンソース・システムを活用した低コストシステム構築に関する研究

 近年、急速に普及してきたオープンソース・システム(OSS)は、企業における基幹系システムやネットワーク・ビジネス等において重要な役割を担うようになりつつあります。官公庁・自治体、大手企業を中心とした情報システム及びWeb系システムのスケールアウト構成でのシステム基盤のOSS利用を始め、お客様の強いTCO削減要求と相俟ってOSSに対するサポート要請が急速に増加しております。当社では、OSSの適用性、性能評価や各プロダクトの解析等による技術ノウハウの蓄積・強化を行うとともに、お客様のニーズに対応すべくこれらの技術研究を行い最適なソリューション提供に努めております。

 具体的には、オープン基盤OSである“Linux”、OSSのスタンダードDBMS(Data Base Management System)になりつつある“MySQL”を中心に、アプリケーション・ソフトウェアを含む各種関連プロダクトの解析・研究を行っております。また、今後求められる大規模運用技術基盤を確立すべくOSの仮想化技術製品である“Linux/Xen”の適用研究も推進しております。

 

④ 新システム基盤技術の最適化に関する研究

 電子政府や最近話題のWeb2.0に代表されるように、インターネットを中心とした情報システムは、国家及び企業に不可欠なインフラとなっており、拡大の一途を辿っています。

 対象業務の複雑さ、システム規模の拡大及び技術の高度化など多面的に対応するには、業務の特性を的確に把握し具現化するとともに、特性にあった最適なシステムを構築する必要があります。当社では、情報システムを支えるIT基盤分野(ハードウェア、ミドルウェア、ネットワーク、セキュリティ、運用管理等)について、信頼性・可用性・拡張性・運用性及びパフォーマンスといった視点において、要素技術及びプロダクトの評価と選定、これらを組み合わせた稼動検証、性能検証等、常に最新の技術を用いたお客様に最適なシステム構成を提供するための技術研究を行っております。当該業務に特化した技術研究を行うための専門知識として、IT基盤ラボラトリーを設置し、IT基盤のユーティリティ化など次世代型のIT基盤モデルの研究を推進しております。

 

⑤ 新アプリケーションアーキテクチャに関する研究

 ユビキタスコンピューティングの浸透と新しいスタイルのモバイル端末・デバイスの出現、通信と放送の融合進展に伴う新しいITCサービスへの期待、SaaSに代表されるインターネットにおけるアプリケーションデリバリー形態の新規潮流、IT技術の進歩は益々加速しながら、新しい技術コンセプト、新しい要素技術が現れてきております。このような新しい技術コンセプト、要素技術の中から将来のソリューションにつながる要素技術に着目し、提供するソリューションの中に組み入れて育てていくことが必要です。

 当社では各ソリューションに最新技術を取り込むことを推進する一方で、競争力の強化の観点から、既存ソリューションと一線を画して新しく出現した技術コンセプト、要素技術についても調査・検証する必要があると考えています。このような視点から専門的に技術調査、研究を行う組織としてアーキテクチャキッチンを設置し、新技術の影響力、ソリューションへ応用例、採用すべき開発手法やアーキテクチャ構造などを中心に調査・研究を推進しております。

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、1,251百万円であります。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

1 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。

この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与える見積り及び判断を必要としております。当社は過去の実績、または、現在の状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りを判断の基礎としております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の会計方針が連結財務諸表の作成において重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。

 

① たな卸資産の評価

当社グループのたな卸資産は主に仕掛品と商品に区分されます。仕掛品は個別に受注したソフトウェアで開発途中のものであり、期末の評価は、実際個別原価計算に基づき原価を集計し、その後、各契約単位で評価減の必要性の判定を行っております。具体的には、決算日以降に発生する原価と合わせ見積った原価が、予定する将来収益を超えると推測され、その原因が当期に起因すると判断した場合は所要の評価減を行っております。

また、商品は、期末時点で商品プロダクトごとに将来の販売可能価額を見積り、その見積販売可能価額が販売予定価額を下回ると判断した場合は、所要の評価減を行っております。

 

② 繰延税金資産

当社グループは、財務諸表と税務上の資産負債との間に生ずる一時的な差異に関わる税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しています。前連結会計年度において、将来減算一時差異が見積課税所得を上回っておりましたので、繰延税金資産の回収可能性の判断を行い、解消時期の見通しが困難な将来減算一時差異については、繰延税金資産の回収不能分として評価性引当金を計上しております。各社において繰越欠損金がある場合は、将来の事業計画に基づき合理的に回収可能な金額を算出し、それを限度とし計上しております。

 

③ 貸倒引当金

当社グループは、過去の貸倒実績率に基づき一般債権に対する貸倒引当金を算定しております。また、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を判断し、回収不能見込額を貸倒引当金として追加計上しております。

 

④ 市場販売目的のソフトウェアの償却

当社グループは市場販売目的のソフトウェアの償却は、①見込販売収益に基づく償却費と、②残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分による償却費とを比較し、いずれか大きい額を償却費として計算することとしております。

 

⑤ 投資の減損

当社グループでは、営業上・戦略上の理由から事業会社の株式を保有しております。

当社グループでは、「金融商品に関する会計基準」に基づき、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら株式の減損を実施しております。具体的には、上場会社の株式は、期末時点で株価が帳簿価額に対し50%を下回った場合に減損を計上しております。非上場会社の株式については、当該会社の純資産価額の当社持分が、帳簿価額の50%を下回った場合に、また、このうち投資して間もない株式にあっては投資後2年間にわたり赤字が継続している場合に、将来の回復可能性を検討した上で、減損処理を行うこととしております。当連結会計年度においては、これらの基準に基づき、保有株式の減損の要否を判定した結果、6銘柄について、減損を認識する必要があると判断し、減損処理を行いました。

 

⑥ 退職給付費用と退職給付引当金

当社グループでは、従業員の退職給付費用及び引当金は、保険数理計算により算出される退職給付債務(一部の国内子会社は簡便法)に基づき計上しております。退職給付債務の割引率は、「退職給付会計に関する実務指針」に基づき、安全性の高い長期債券(20年国債)の利回りを基に直近5年平均値にて決定しており、この割引率により将来債務の割引計算を行っております。

 

⑦ 固定資産の減損に係る会計処理

当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針」に基づき、固定資産の減損処理の要否を判定しております。当連結会計年度において、減損の兆候のある固定資産はありますが、その回収可能性を判断した結果、減損損失の認識は不要と判定しております。

 

2 経営成績

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、製造業、金融業向け案件を中心にITシステム構築需要は好調に推移したものの、情報通信関連のハードウェア販売の減少等もあり、前連結会計年度に対し0.1%減の137,199百万円となりました。

 

 

事業部門名称
前連結会計年度
自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日
当連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
前期比
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
ソフトウェア開発
47,912
34.9
48,525
35.4
612
1.3
情報処理
34,485
25.1
36,010
26.2
1,525
4.4
システム販売
54,946
40.0
52,662
38.4
△2,284
△4.2
合計
137,344
100.0
137,199
100.0
△145
△0.1

 

(ソフトウェア開発)

ソフトウェア開発については、通信業界及び電力業界向け売上等が減少したものの、製造業、流通業及び証券、生損保向け等が増加したことにより、前期比1.3%増の48,525百万円となりました。

 

(情報処理)

情報処理については、通信業界向け受託業務が増加したことにより、前期比4.4%増の36,010百万円となりました。

 

(システム販売)

システム販売については、製造業向けが増加したものの、通信業界向けハードウェア販売等が減少したことにより、前期比4.2%減の52,662百万円となりました。

 

 

売上高につきましては、前連結会計年度より従来の事業部門別3区分(ソフトウェア開発・情報処理・システム販売)に加えて、3つの新事業部門別区分に基づいて管理しております。ソリューション別に分類し集計することにより、当社グループの経営状況をより正確に伝えるための一助とするものであります。

当該、新事業部門別による売上高は、次のとおりであります。

 

新事業部門名称
前連結会計年度
自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日
当連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
前期比
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
業務系ソリューション
71,876
52.4
70,625
51.5
△1,251
△1.7
ERPソリューション
15,133
11.0
15,341
11.2
207
1.4
プラットフォーム
ソリューション
50,334
36.6
51,232
37.3
898
1.8
合計
137,344
100.0
137,199
100.0
△145
△0.1

 

② 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、プロジェクト管理の高度化による不採算案件の減少、業務委託費の削減等により、前連結会計年度に対し2.9%増の31,593百万円となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、グローバル事業戦略などの収益基盤拡充、人材力拡充、内部統制強化などのマネジメント基盤強化等の戦略的投資による費用増加はあったものの、事業譲渡関連による費用減少や間接部門、事業部門の販管費の効率化があり、前連結会計年度に対し3.9%減の21,283百万円となりました。

 

④ 営業利益

以上により、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に対し20.4%増の10,309百万円となりました。

 

⑤ 営業外収益・営業外費用[純額]

当連結会計年度の営業外収益(費用)は、前連結会計年度の332百万円の収益[純額]から93百万円減少し239百万円の収益[純額]となりました。

 

⑥ 経常利益

以上により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に対し18.6%増の10,548百万円となりました。

 

⑦ 特別損益

当連結会計年度の特別利益528百万円の主な内訳は、事業の一部を売却したことによる事業譲渡益430百万円であります。特別損失1,024百万円の主な内訳は、固定資産除却損194百万円、ソフトウェア一時償却額214百万円、投資有価証券評価損597百万円であります。

 

⑧ 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に対し26.5%増の10,053百万円となりました。

 

⑨ 法人税等

当連結会計年度の法人税等は、前期比30.7%増の4,547百万円となりました。評価性引当とした投資有価証券評価損の計上などにより、税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率(負担税率)は、前連結会計年度の43.8%から45.2%と1.4ポイントの増加となりました。

 

⑩ 少数株主利益

当連結会計年度の少数株主利益は、㈱ビリングソフトを100%子会社化したことによる減少、ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン㈱の事業譲渡益による増加などにより、前連結会計年度に対し1.6%減の90百万円となりました。

 

⑪ 当期純利益

当期純利益は、前連結会計年度に対し23.7%増の5,415百万円となりました。また、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の80.91円から21.61円増加し102.52円となりました。

 

3 財政状態

① 資産の部

当連結会計年度末の資産の部は、前連結会計年度末に対し851百万円増加し、117,069百万円となりました。

 

(a) 流動資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に対し828百万円減少し、70,614百万円となりました。

主に、メディカルサイエンス関連の事業を譲渡したことに伴う売掛金の減少によるものです。

 

(b) 固定資産

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に対し1,679百万円増加し、46,455百万円となりました。

時価下落などにより投資有価証券が減少しましたが、データセンターの増強工事に伴う建物及び構築物の増加、㈱アライドエンジニアリング、エンプレックス㈱を子会社化したことによるのれんの増加などにより、前連結会計年度に対し固定資産は増加しました。

 

② 負債の部

当連結会計年度末の負債の部は、前連結会計年度末に対し1,812百万円増加し、26,776百万円となりました。

 

(a) 流動負債

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に対し1,117百万円増加し、25,416百万円となりました。

メディカルサイエンス関連の事業を譲渡したことによる買掛金の減少はあったものの、未払法人税等の増加、新たに連結した子会社の借入金の増加などにより、前連結会計年度に対し流動負債が増加しました。

 

(b) 固定負債

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に対し694百万円増加し、1,359百万円となりました。

主に、新たに連結した子会社の借入金や社債の増加によるものです。

 

③ 純資産の部

当連結会計年度末の純資産の部は、前連結会計年度末に対し960百万円減少し、90,293百万円となりました。

主に、自己株式の市場買付、時価下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少によるものです。

総資産に占める自己資本比率は前連結会計年度末の78.2%から76.5%となり、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末より34.20円増加し1,746.47円となりました。





出典: SCSK株式会社、2008-03-31 期 有価証券報告書