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セクション一覧

第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、世界の金融資本市場危機を契機とする欧米経済の急激な悪化、外国為替市場における円高の進展、さらには各種商品市況の大幅な変動等を要因として、企業収益は大きく減少し、景気は大幅に悪化しました。

当業界を取り巻く経営環境としては、グループ企業の経営管理強化など内部統制整備を目的とした基幹系システム関連のIT投資等が引き続き行われたものの、上記の景気動向、さらには景気の先行きに対しての深刻な悪化懸念を反映し、製造業を中心とした輸出関連企業並びに金融業の一部企業においてIT投資が抑制され、また、一部の企業においては投資支出の凍結が行われる状況にありました。

こうした状況下、当社グループの当連結会計年度の連結業績につきましては、ERPソリューション案件並びに一部のネットワーク機器にかかるITシステム需要は増加傾向にあったものの、証券業向けビジネスの減少や、製造業向けハードウェア他のシステム販売、官公庁向け大型ハードウェアシステム案件の反動減等があり、売上高は前期比2.1%減の134,263百万円となりました。利益面においては、ERPパッケージソフト事業における収益性改善があったものの、上記減収に伴う減益や、一部子会社における損失計上により、経常利益は前期比9.7%減の9,523百万円となりました。当期純利益は投資有価証券評価損及び前連結会計年度に計上された事業譲渡益の反動減等により前期比26.8%減の3,961百万円となりました。

当連結会計年度においては以下の施策に取り組んでまいりましたが、次年度以降も顧客企業のITサービスニーズに対して迅速に対応するため、これらの施策に継続的に取り組むとともに、新たな施策にチャレンジし、トップクラスのITサービス企業を目指し、成長力・競争力の更なる強化を図ってまいります。

 

① 事業基盤の強化

・当社の戦略事業でありますターゲットビジネスの強化を継続的に進めてまいりました。特に製造業を中心にソフト受託開発案件を推進するとともに、データセンターの拡充等事業基盤の強化に注力してまいりました。

・グローバル戦略を推進し、海外拠点の強化、拡充を実施しました。

・パッケージソフト事業戦略を推進し、当社独自のERPパッケージソフトである「ProActive」においてはマーケティング施策の推進並びに新モジュールの開発を、また、CRMソリューション分野で企業買収を行う等、収益基盤の強化に注力してまいりました。

・金融商品取引法等への対応を含め、内部統制のさらなる強化策を遂行するとともに、情報セキュリティの高度化に注力いたしました。

・人材力を強化するため、特に技術人材に対しての専門教育を含む役職員向けの研修制度を拡充いたしました。

 

② 戦略的事業投資

ターゲットビジネスの拡充を目的として以下のような戦略的事業投資を行いました。

・平成20年6月、製造業向けソリューション事業の強化を目的に㈱アルゴグラフィックスと資本・業務提携を行いました。

・平成20年8月、金融業向けソリューション事業の展開・強化を目的に、ニイウス コー㈱並びにニイウス㈱からORFE国際勘定系オンラインサービス事業の譲受を行いました。

・平成20年9月、北米あるいは欧州地区における日系グローバル企業に対してのITサービスビジネスの拡充を目的として、当社連結子会社であるSumisho Computer Systems(USA), Inc.が、SAPコンサルタント企業であるB4 Consulting, Inc.を新たに連結子会社としました。

・平成20年9月、ソフトウェア開発事業におけるパートナー戦略の推進を目的として、㈱大和コンピューターと資本・業務提携を行いました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末より、6,325百万円減少し、29,267百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は7,666百万円となりました。

主な増加要因は、税金等調整前当期純利益7,367百万円、減価償却費2,616百万円、投資有価証券評価損1,597百万円によるものであります。主な減少要因は、仕入債務の減少2,002百万円、法人税等の支払額4,590百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は9,347百万円となりました。

主な減少要因は、有形固定資産の取得2,353百万円、ソフトウェア等の無形固定資産の取得2,069百万円、投資有価証券の取得4,997百万円によるものであります。また、主な増加要因は、株式売却や資金運用のための債券の償還によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は4,347百万円となりました。

主な減少要因は、自己株式の取得による支出1,695百万円、平成20年3月期期末配当金(1株当たり16円)の支払820百万円及び平成21年3月期中間配当金(1株当たり16円)の支払820百万円によるものであります。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループにおける業務系ソリューション、ERPソリューション、プラットフォームソリューションごとの販売実績は、次のとおりであります。

 

 
販売高(百万円)
前期比(%)
業務系ソリューション
66,968
△5.2
ERPソリューション
16,440
7.2
プラットフォームソリューション
50,854
△0.7
合計
134,263
△2.1

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

なお、生産実績等をソフトウェア開発・情報処理・システム販売に分類すると、次のとおりであります。

(1) 生産実績

 

 
生産高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
49,133
1.8
情報処理
35,746
△0.7
システム販売
49,379
△6.2
合計
134,259
△1.9

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当連結会計年度におけるソフトウェア開発の受注状況を示すと、次のとおりであります。

 

 
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
50,248
5.9
7,030
17.9

(注) 1 情報処理等については、把握が困難なため省略しております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

 

 
販売高(百万円)
前期比(%)
ソフトウェア開発
49,182
1.4
情報処理
35,702
△0.9
システム販売
49,379
△6.2
合計
134,263
△2.1

(注) 1 上記金額は販売価格によっております。

2 上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の当社グループを取り巻く経営環境を展望しますと、世界の金融資本市場危機を契機とする欧米経済の急激な悪化や外国為替市場・商品市場の大幅な変動等は、当面の景気動向に多大な影響を与えるのみならず、世界経済における産業構造的な変化をも招来しているものと考えられます。この経済構造の大きな変化に直面する顧客企業においては事業モデルの再構築が必要とされるとともに、IT投資が当該事業再構築のために最も重要な事業活動の一つと位置付けられると考えられます。一方、IT投資についてはその価値認識が高まるがゆえに、顧客企業において企業価値向上の観点からIT投資を吟味し、より選別的に投資の可否判断を行う傾向が今後強まるものと考えられます。

こうした状況下、顧客企業の事業価値向上に繋がる高品質のITサービスを提供し、新たなビジネスバリューを顧客企業と共に創り上げていくこと、そして、これらの顧客企業との事業連携を通して日本の産業界における強固な事業パートナーとしての立ち位置を確保することが経営戦略上重要であり、また、この立ち位置をもって当社の中期的な企業成長を推進することが当社の課題と認識しております。

具体的には、①顧客企業と共に行う新たな事業価値創造を可能にする当社の事業・収益基盤を中期的に拡充するとともに、②この事業・収益基盤の源泉である人材力を強化し、また、③その人材力に活力を与える職場環境を醸成することを経営課題と捉えた上で、各々の課題解決に向け各種の経営施策を遂行する所存であります。

すなわち、事業・収益基盤の拡充につきましては、当社の戦略的注力事業であるターゲットビジネスへの経営資源の重点配分を行うことで各ビジネスの強化拡充を図り、当社の提供するITサービスの価値向上と新規ITサービスの開拓を図ってまいります。さらに、当社のグローバル体制をベースにしたグローバルITサービス力の強化並びに当社グループにて独自開発したパッケージソフトを中核とするソリューション事業を展開することにより当社ITサービスの付加価値を高め、事業・収益機会の積極的拡大を図ってまいります。以上に加え、総合的なITサービスの提供をもって顧客との取引深耕を図り、顧客基盤の強化拡充を行うとともに、当社グループ企業を含む各ターゲットビジネス相互の事業シナジー・業務連携を追求することで当社グループ総合力を発揮し、さらに、これらのITサービスの根幹であるソフトウェア開発力の生産性を向上すべくパートナー企業を含めた組織的技術力の高度化を推進し、当社グループの収益成長力を強化してまいります。

以上の事業施策の遂行と同時に、当社グループ全体の内部統制・リスク管理、コンプライアンス、セキュリティ管理をはじめとする経営インフラの更なる強化を行ってまいります。

次に、これらの事業・収益基盤の真の源泉たる人材力について、その技術力・営業力等の能力開発を目的とする教育研修を体系的に整備するとともに、その能力開発を組織的に高めるべく組織・人事制度のあり方そのものを継続的に見直してまいります。グローバル要員の育成についても注力し、従業員に対して語学力のみならず、外国に対する文化的理解度を高め、海外における事業遂行を可能にするグローバル適応力を身に付けさせるべく、各種の施策を遂行してまいります。

また、人材力の具体的能力発揮を高めるため、個々の従業員にとって真に働きやすい職場環境を醸成することが不可欠と考え、就業制度を継続的に見直し、従業員のワークライフバランスを推進してまいります。また、オフィスを含む職場環境の有効活用を目的として各種施策を遂行してまいります。

以上の経営施策について当社グループとしてスピード感をもって推進するとともに、戦略的事業提携並びに同投資の推進にも注力し、当社グループの中期的成長軌道を確固たるものにしてまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業(経営成績と財政状態)に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 事業環境リスク

近年、当社グループが属する情報サービス業界においては、競合他社との競争激化やハードウェアを中心とした価格の低下傾向が続いております。このような環境の下、経済情勢の変化等により顧客企業の情報化投資動向が急速かつ大きく変化した場合や、業界内部での価格競争が現状を大幅に超える水準で継続した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム開発リスク

当社グループは、顧客企業の各種情報システムの受託開発業務を行っておりますが、複雑化・短納期化するシステムの開発においては、計画通りの品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、生産能力の確保、コストの効率化、技術力・ノウハウ活用のためにオフショアを含む多数の業務委託会社を活用しておりますが、期待した生産性や品質が維持できない可能性があります。

このため、専門部署による引合い・見積り段階でのチェックや案件の進捗管理、品質チェックの実施、さらには業務委託会社の総合的審査の実施や委託業務の進捗及び品質管理の徹底により、納入するシステム全体に、予定しない不具合が生じないよう組織的に努力し、リスクの低減に努めております。

 

③ 技術革新への対応に伴うリスク

当社グループが属する情報サービス業界は技術革新が激しいことから、当社グループが現在保有する技術・技能・ノウハウ等が陳腐化する可能性があります。また、当社グループの収益の源泉である顧客企業向けシステム構築に提供するソフトウェア・ハードウェア等の製品が、業界の技術標準の急速な変化により、その技術優位性あるいは価格優位性を失う可能性があります。したがって、当社グループが業界の技術変化の方向性を十分に予測できない場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

当社グループは技術革新に適時・的確に対応するために、従業員の有する能力を高め、新しい技術の組織的発掘及び習得を推進しております。また、システム構築にかかる技術力・製品調達力において分散化を図ると同時に、特定の技術・ノウハウ・製品に過度の収益を依存することなく、ビジネスを推進しております。

 

④ 情報セキュリティリスク

当社グループでは、システム開発時から運用段階に至るまで、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業のシステム技術情報等の各種機密情報を知り得る場合があります。コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これら機密情報の漏洩や改竄等が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招く可能性があります。

このため、当社グループでは、コンプライアンスの徹底を図るとともに、物理的なセキュリティ対策を強化し、さらには業務委託会社も含めて、啓蒙と教育を徹底する等の情報セキュリティ強化策を講じております。また、業務委託会社には情報セキュリティの徹底のための説明会の開催、必要に応じたオンサイトレビュー実施等を通じて、当社グループと同レベルの情報セキュリティの確保と情報管理の徹底を図っております。

 

⑤ 投資リスク

当社グループでは、ターゲットビジネスでのソリューション提供力強化、生産能力確保、最先端分野における技術力、最新のソフトウェア・ハードウェア等の製品調達力確保等を目的に、

・国内外の事業会社やベンチャー企業向けに、出資・融資等の信用供与・試作製品の購入、さらには、これらの事業会社の買収その他の戦略的投資

・ターゲットビジネス領域でのパッケージソフト開発や新サービス開発のための投資
を行っております。

投資に際しては、事業投資先や当該投資先の事業計画、リスク・リターン等について十分に検討し、また、投資後であっても、計画進捗のチェックやモニタリングを行う等リスク管理体制を整えております。

しかしながら、こうした投資は事業投資先の業績悪化や計画未達成等のため、当初見込んだリターンが得られない、もしくは損失を被り、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑥ 訴訟リスク

当社グループでは、当社グループ以外の開発・製造によるソフトウェア・ハードウェア等の製品を多数の顧客企業に対し販売・納入しており、これらの事業活動に関連して第三者が知的財産権の侵害を含む訴訟等を提起する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

⑦ 固定資産の減損リスク

当社グループは、当連結会計年度末において、帳簿価額26,747百万円の土地・建物等を保有しており、オフィス・データセンター・寮・社宅として使用しております。これらの資産は全社の共用資産に区分しており、地価の動向や当社グループの収益の状況によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、事業買収等により生じたのれん等についても当社グループの収益の状況によっては、業績に影響を与える可能性があります。

ただし、キャッシュ・フローを生み出す合理的な単位でのグルーピングを行い、その回収可能性を判断した結果、当連結会計年度において減損損失認識の対象となった固定資産等はありません。

 

⑧ 製品調達リスク

当社グループでは国内外から幅広く選りすぐりのソフトウェア・ハードウェア等の製品を調達して顧客企業に提供しております。米国への駐在員派遣や、海外ネットワークを活用して海外製品の発掘・調達、技術動向の掌握に努めている他、国内外のベンダー各社とは事業戦略を共有して動向把握と安定的な調達を図っております。

しかしながらベンダー事業戦略の突然の変更による製品仕様変更・製品供給の停止、急速な技術革新による製品価値の低下等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 貸倒リスク

当社グループは、多くの顧客企業に製品販売、システム開発受託、サービス提供を行っております。多くの取引は代金回収が事後となるため、顧客企業の財政状態の悪化が当社債権の回収遅延、回収困難をもたらし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループとしては、与信管理及び債権管理部署を事業部門からそれぞれ独立させて顧客企業の信用状況のチェックや適切な与信枠の設定を行っており、また、債権の滞留状況・回収状況の定期的モニタリングを実施しております。また、必要に応じて貸倒引当金の計上等、必要な会計上の対応を行っております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社及び国内関係会社、米国、欧州の日米欧3拠点が一体となって、グローバルな視点から、最新IT動向を鋭敏に捉えつつ、緊密に情報交換、共有することによって、当社グループ全体として最新のIT導入と技術レベルの高度化、充実を図るべく研究開発活動を推進しております。

 

① 高品質アプリケーション・システム構築のための標準プロセスに関する研究

 ユビキタスコンピューティングの普及、Web2.0に見られるインターネット技術の高度化に伴い、企業システムに対する顧客の要求は多様化・複雑化がますます進展し、システム構築に求められる技術の高度化も一段と進んでいます。また、システム開発では高品質なシステムであることはもとより、短期間にシステム開発を実現することも求められるようになってきています。当社では技術の進展に伴って、自社標準プロセス、設計手法などの継続的な見直しを図るとともに、グローバル戦略に沿った標準開発プロセスの確立及び開発手法の体系的再整備に取組んでいます。また、現場で活用される実戦的な開発標準をめざし、品質の確保と効率化を両立させるために標準と支援ツールセットの連携化について取組んでおります。これらの成果を基にしてCMMIに基づくプロセス改善を推進して開発現場でのプロセス品質の向上と見える化を積極的に図るとともに、システム品質向上と納期確保に努めております。

 

② RIA(Rich Internet Applications)技術を活用した新エンタープライズ・システムの研究

 最近のWeb2.0やAjaxなどの新しいインターネット技術の進展に伴い、高度なユーザーインターフェイスを持つ、リッチ化されたアプリケーションのニーズが高まっております。当社は、数年前からこの分野に注目し、2004年に次世代Web開発言語“Curl”の知財権を取得するとともに、Curlの高機能化や、リッチ化技術のエンタープライズ領域への適応研究を行ってまいりました。具体的には、最近注目されているSOA技術とRIA技術とをコラボレートしたフラット化技術の研究並びにエンタープライズ系システムへの適用やサーバーサイドとの親和性の向上による、使い易く開発生産性の高いシステム化技術を中心に研究を行っております。

 

③ オープンソース・システムを活用した低コストシステム構築に関する研究

 近年、急速に普及してきたオープンソース・システム(OSS)は、企業における基幹系システムやネットワーク・ビジネス等において重要な役割を担うようになりつつあります。官公庁・自治体、大手企業を中心とした情報システム及びWeb系システムのスケールアウト構成でのシステム基盤のOSS利用を始め、お客様の強いTCO削減要求と相俟ってOSSに対するサポート要請が急速に増加しております。当社では、OSSの適用性、性能評価や各プロダクトの解析等による技術ノウハウの蓄積・強化を行うとともに、お客様のニーズに対応すべくこれらの技術研究を行い最適なソリューション提供に努めております。

 具体的には、オープン基盤OSである“Linux”、OSSのスタンダードDBMS(DataBaseManagementSystem)になりつつある“MySQL”を中心に、アプリケーション・ソフトウェアを含む各種関連プロダクトの解析・研究を行っております。また、今後求められる大規模運用技術基盤を確立すべくOSの仮想化技術製品である“Linux/Xen”の適用研究も推進しております。

 

④ 新システム基盤技術の最適化に関する研究

 電子政府や最近話題のWeb2.0に代表されるように、インターネットを中心とした情報システムは、国家及び企業に不可欠なインフラとなっており、拡大の一途を辿っています。

 対象業務の複雑さ、システム規模の拡大及び技術の高度化など多面的に対応するには、業務の特性を的確に把握し具現化するとともに、特性にあった最適なシステムを構築する必要があります。当社では、情報システムを支えるIT基盤分野(ハードウェア、ミドルウェア、ネットワーク、セキュリティ、運用管理等)について、信頼性・可用性・拡張性・運用性及びパフォーマンスといった視点において、要素技術及びプロダクトの評価と選定、これらを組み合わせた稼動検証、性能検証等、常に最新の技術を用いたお客様に最適なシステム構成を提供するための技術研究を行っております。当該業務に特化した技術研究を行うための専門知識として、次世代型IT基盤モデルの研究を推進しており、IT基盤のユーティリティサービス化検証を実施し、実用化の目途を得ております。

 

⑤ 新アプリケーションアーキテクチャに関する研究

 ユビキタスコンピューティングの浸透と新しいスタイルのモバイル端末・デバイスの出現、通信と放送の融合進展に伴う新しいITCサービスへの期待、SaaSに代表されるインターネットにおけるアプリケーションデリバリー形態の新規潮流、IT技術の進歩は益々加速しながら、新しい技術コンセプト、新しい要素技術が現れてきております。このような新しい技術コンセプト、要素技術の中から将来のソリューションにつながる要素技術に着目し、提供するソリューションの中に組み入れて育てていくことが必要です。

 当社では各ソリューションに最新技術を取り込むことを推進する一方で、競争力の強化の観点から、既存ソリューションと一線を画して新しく出現した技術コンセプト、要素技術についても調査・検証する必要があると考えています。このような視点から専門的に技術調査、研究を行う組織としてアーキテクチャキッチンを設置し、新技術の影響力、ソリューションへ応用例、採用すべき開発手法やアーキテクチャ構造などを中心に調査・研究を推進しております。

 

⑥ クラウドコンピューティングでのアプリケーション開発に関する研究

マーケットではクラウドコンピューティングが注目を浴びています。クラウドコンピューティングはグリッド技術の延長線上にあり、仮想化技術や大規模分散処理技術を用いることで、柔軟にコンピューティングリソースの変更、大規模・大量データの効率的な処理の実現など、新たなインターネットサービスを提供する技術です。当社では新たに出現するITサービスのあり方について追跡し、調査研究する立場からクラウドコンピューティング技術の研究に着手しております。

本年度はアプリケーションの視点からクラウドコンピューティング技術を捉え、市場での技術動向も含めて調査研究を進めています。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は、1,230百万円であります。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

1 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。

この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与える見積り及び判断を必要としております。当社は過去の実績、または、現在の状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、一貫した見積りを実施しております。客観的な判断材料が十分でない場合は、このような見積りを判断の基礎としております。従って、異なる前提条件の下においては、結果が異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の会計方針が連結財務諸表の作成において重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。

 

① たな卸資産の評価

当社グループのたな卸資産は主に仕掛品と商品に区分されます。

たな卸資産の評価については、当連結会計年度より「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用し、収益性の低下に基づく簿価切り下げ方法により適切に処理しております。

 

② 繰延税金資産

当社グループは、財務諸表と税務上の資産負債との間に生ずる一時的な差異に関わる税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。将来減算一時差異が課税所得を上回っておりましたので、繰延税金資産の回収可能性の判断を行い、解消時期の見通しが困難な将来減算一時差異については、繰延税金資産の回収不能分として評価性引当金を計上しております。各社において繰越欠損金がある場合は、将来の事業計画に基づき合理的に回収可能な金額を算出し、それを限度とし計上しております。

 

③ 貸倒引当金

当社グループは、過去の貸倒実績率に基づき一般債権に対する貸倒引当金を算定しております。また、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を判断し、回収不能見込額を貸倒引当金として追加計上しております。

 

④ 市場販売目的のソフトウェアの償却

当社グループは市場販売目的のソフトウェアの償却は、①見込販売収益に基づく償却費と、②残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分による償却費とを比較し、いずれか大きい額を償却費として計算することとしております。

 

⑤ 投資の減損

当社グループでは、営業上・戦略上の理由から事業会社の株式を保有しております。

当社グループでは、「金融商品に関する会計基準」に基づき、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合、これら株式の減損を実施しております。具体的には、上場会社の株式は、期末時点で株価が帳簿価額に対し50%を下回った場合に減損を計上しております。非上場会社の株式については、当該会社の純資産価額の当社持分が、帳簿価額の50%を下回った場合に、また、このうち投資して間もない株式にあっては投資後2年間にわたり赤字が継続している場合に、将来の回復可能性を検討した上で、減損処理を行うこととしております。当連結会計年度においては、これらの基準に基づき、保有株式の減損の要否を判定した結果、4銘柄について、減損を認識する必要があると判断し、減損処理を行いました。

 

⑥ 退職給付費用と退職給付引当金

当社グループでは、従業員の退職給付費用及び引当金は、保険数理計算により算出される退職給付債務(一部の国内子会社は簡便法)に基づき計上しております。退職給付債務の割引率は、「退職給付会計に関する実務指針」に基づき、安全性の高い長期債券(20年国債)の利回りを基に直近5年平均値にて決定しており、この割引率により将来債務の割引計算を行っております。

 

⑦ 固定資産の減損に係る会計処理

当社グループでは、「固定資産の減損に係る会計基準及び適用指針」に基づき、固定資産の減損処理の要否を判定しております。当連結会計年度において、減損の兆候のある固定資産はありますが、その回収可能性を判断した結果、減損損失の認識は不要と判定しております。

 

2 経営成績

① 売上高

当連結会計年度の売上高は、ERPソリューション案件並びに一部のネットワーク機器にかかるITシステム需要は増加傾向にあったものの、証券業向けビジネスの減少や、製造業向けハードウェア他のシステム販売、官公庁向け大型ハードウェアシステム案件の反動減等があり、前連結会計年度に対し2.1%減の134,263百万円となりました。

 

 

 
前連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
当連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
前期比
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
業務系ソリューション
70,625
51.5
66,968
49.9
△3,657
△5.2
ERPソリューション
15,341
11.2
16,440
12.2
1,099
7.2
プラットフォーム
ソリューション
51,232
37.3
50,854
37.9
△377
△0.7
合計
137,199
100.0
134,263
100.0
△2,935
△2.1

 

(業務系ソリューション)

業務系ソリューションについては、証券業向け案件及び製造業向けハードウェア他のシステム販売の減少等の要因により、前期比5.2%減の66,968百万円となりました。

 

(ERPソリューション)

ERPソリューションについては、製造業向けソフトウェア開発案件の増加等により、前期比7.2%増の16,440百万円となりました。

 

(プラットフォームソリューション)

プラットフォームソリューションについては、一部のネットワーク機器等のシステム販売の増加等があったものの、官公庁向け大型ハードウェアシステム案件の反動減があり、前期比0.7%減の50,854百万円となりました。

 

 

また、当連結会計年度における売上高実績をソフトウェア開発・情報処理・システム販売に分類すると次のとおりであります。

 

 
前連結会計年度
自 平成19年4月1日
至 平成20年3月31日
当連結会計年度
自 平成20年4月1日
至 平成21年3月31日
前期比
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
構成比
(%)
金額
(百万円)
増減率
(%)
ソフトウェア開発
48,525
35.4
49,182
36.6
656
1.4
情報処理
36,010
26.2
35,702
26.6
△308
△0.9
システム販売
52,662
38.4
49,379
36.8
△3,283
△6.2
合計
137,199
100.0
134,263
100.0
△2,935
△2.1

 

② 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、ERPパッケージソフト事業の収益性改善などにより、前連結会計年度に対し1.8%増の32,155百万円となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、間接部門、事業部門の販管費の効率的使用による減少はあったものの、グローバル事業戦略などの収益基盤拡充、人材力拡充、内部統制強化などのマネジメント基盤強化等の戦略的投資による費用増加があり、前連結会計年度に対し8.7%増の23,126百万円となりました。

 

④ 営業利益

以上により、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に対し12.4%減の9,028百万円となりました。

 

⑤ 営業外収益・営業外費用[純額]

当連結会計年度の営業外収益(費用)は、前連結会計年度の239百万円の収益[純額]から255百万円増加し494百万円の収益[純額]となりました。

 

⑥ 経常利益

以上により、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に対し9.7%減の9,523百万円となりました。

 

⑦ 特別損益

当連結会計年度の特別利益82百万円の主な内訳は、事業譲渡益76百万円であります。特別損失2,237百万円の主な内訳は、固定資産除却損145百万円、ソフトウェア一時償却額215百万円、投資有価証券評価損1,597百万円であります。

 

⑧ 税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に対し26.7%減の7,367百万円となりました。

 

⑨ 法人税等

当連結会計年度の法人税等は、前期比19.3%減の3,668百万円となりました。のれん償却の前期比増の影響等もあり、税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率(負担税率)は、前連結会計年度の45.2%から49.8%と4.6ポイントの増加となりました。

 

⑩ 少数株主損益

当連結会計年度の少数株主損失は、一部の子会社において不採算案件が発生したことにより262百万円となりました。

 

⑪ 当期純利益

当期純利益は、前連結会計年度に対し26.8%減の3,961百万円となりました。また、1株当たりの当期純利益は、前連結会計年度の102.52円から24.42円減少し78.10円となりました。

 

3 財政状態

① 資産の部

当連結会計年度末の資産の部は、前連結会計年度末に対し2,888百万円減少し、114,210百万円となりました。

 

(a) 流動資産

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に対し6,170百万円減少し、64,444百万円となりました。

主に、投資有価証券の取得に伴う現金及び預金の減少によるものです。

 

(b) 固定資産

当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に対し3,281百万円増加し、49,766百万円となりました。

時価下落などによる投資有価証券の減少要因はあったものの、投資有価証券の取得による増加などにより、前連結会計年度に対し固定資産は増加しました。

 

② 負債の部

当連結会計年度末の負債の部は、前連結会計年度末に対し2,511百万円減少し、24,264百万円となりました。

 

(a) 流動負債

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に対し2,283百万円減少し、23,133百万円となりました。

大口保守契約代金の前受金などによる増加はあったものの、未払法人税等の減少、売上高の減少に伴う仕入債務の減少などにより、前連結会計年度に対し流動負債が減少しました。

 

(b) 固定負債

当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に対し228百万円減少し、1,131百万円となりました。

主に、リース会計導入に伴うリース債務の計上があったものの、1年内返済の社債の振替による減少などにより、前連結会計年度に対し固定負債が減少しました。

 

③ 純資産の部

当連結会計年度末の純資産の部は、前連結会計年度末に対し376百万円減少し、89,946百万円となりました。

主に、利益剰余金の増加はあったものの、自己株式の市場買付、外国為替の変動による為替換算調整勘定の減少などによるものです。

総資産に占める自己資本比率は前連結会計年度末の76.6%から78.5%となり、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末より47.26円増加し1,794.31円となりました。

 





出典: SCSK株式会社、2009-03-31 期 有価証券報告書