有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループは、CAE、IT、可視化、ビッグデータを用いたソリューションを積極的に提案し続けることで、いつも共に歩み、頼りにしていただける、顧客にとっての“First Contact Company”を目指しております。そして、「新中期経営計画2015年-2020年(3年×2)」を策定し、中長期の経営目標を定め、SI(Solution Integrator)(※1)として、顧客にとって最適なソリューションを提供してまいります。

(※1)「顧客の悩み、課題を多面的に捉え、包括的かつ長期にわたってソリューションを提供すること」と当社では定義しております。

 

3つの経営基本戦略及び重点施策

①当社独自の価値の提供

当社は、従来の3D CAE(※2)におけるMDS(マルチドメインソリューション:電気・熱など異なる分野をまたがって解析する手法)に加え、1D CAE(※3)及びテストと計測を連携させた拡大MDSを推進しております。さらに、当社の「CYBERNET CLOUD」を利用したCAEクラウドと連携させるなど研究開発環境への付加価値の創造に注力しております。

(※2) 3D CAE:3次元形状を元に解析を行う手法

(※3)1D CAE:対象とする製品やシステムなどの機能を数学モデル(数式)で表現し、評価解析する手法。広義では、システムレベルモデリング&シミュレーションといわれております。

②自動車関連分野への注力

ADAS(※4)やIoT(※5)との連携など、ますます高度化・高精度化する自動車関連分野に対して、当社独自の技術を用いたコンサルテーションを通じて、顧客にとっての最適なソリューションをグローバルに提供いたします。

(※4) Advanced Driving Assistant System:運転手の支援や運転技術の補完、さらに運転の代理までも行う、先進運転支援システムのこと

(※5)Internet of Things:様々な「もの」がインターネットに接続され、相互に通信しあう仕組みのこと

③パートナーとの連携強化

グローバル展開を加速するために、各地域でパートナー及びグループ間の連携を強化するとともに、開発子会社製品のOEM提供を積極的に推進いたします。

 

当連結会計年度の業績は、国内売上高は、ITソリューション分野及びモデルベース開発エンジニアリングサービスが好調に推移し、主力のマルチフィジックス解析ツールも堅調に推移したことにより、前年同期を上回りました。海外売上高は、カナダの開発子会社及び米国の開発子会社並びに台湾の販売子会社は好調に推移いたしました。その結果、円高による為替換算の影響があったものの、連結売上高は、前年同期比で増収となりました。利益面では、計画的増員により人件費が増加しておりますが、売上高の増加等があり、営業利益は前年同期を上回りました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、円高による為替差損等の影響により、ほぼ前年並みで推移いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は160億31百万円(前年同期比3.3%増)営業利益は10億27百万円(前年同期比20.6%増)経常利益は10億1百万円(前年同期比0.1%減)親会社株主に帰属する当期純利益は4億62百万円(前年同期比0.3%減)となりました。

 

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「CAEソリューションサービス事業」の一部を組織変更に伴い「ITソリューションサービス事業」に変更しております。前年同期比については、変更後の区分方法により算定したものを記載しております。

(CAEソリューションサービス事業)

<MCAE(Mechanical CAE)分野>

主力のマルチフィジックス解析ツールの新規ライセンス販売は、大口顧客向けの包括契約や大手製造業からの受注があったものの、電気機器業界及び自動車関連業界からの受注が落込み、軟調に推移いたしました。保守契約の更新は、機械・精密機器業界からの受注が増加したことにより、好調に推移いたしました。エンジニアリングサービスは、自動車関連業界からの受注が増加したことにより、好調に推移いたしました。その結果、MCAE分野は、前年同期を上回りました。

<光学設計分野>

主力商品である照明設計解析ソフトウェアの新規ライセンス販売は、電気機器業界からの受注が落ち込み低調に推移いたしましたが、保守契約の更新は、機械・精密機器業界を中心に堅調に推移いたしました。光学設計評価プログラムの新規ライセンス販売は、機械・精密機器業界からの受注により好調に推移し、保守契約の更新も堅調に推移いたしました。自動車用照明設計プラットフォームは、新規ライセンス販売及び保守契約の更新ともに好調に推移いたしました。その結果、光学設計分野は、前年同期を上回りました。

<EDA(Electronic Design Automation)分野>

電子回路基板設計ソリューションは、取扱商品の変更に伴う立ち上げが徐々に進み、新規ライセンス販売及び保守契約の更新ともに、当初期待した計画には至らないものの、前年同期を上回りました。プリント基板(PCB)エンジニアリングサービスは、自動車関連業界からの受注が好調に推移いたしました。その結果、EDA分野は、前年同期を上回りました。

<MBD(Model Based Development)分野>

当社グループ製品である1D CAEツールの新規ライセンス販売は、電気機器業界からの受注により好調に推移し、保守契約の更新も好調に推移いたしました。モデルベース開発エンジニアリングサービスは、自動車関連業界からの自動運転技術やシミュレーション環境構築などに関する受託開発・コンサルティング及び電気機器業界からの受注により、好調に推移いたしました。その結果、MBD分野は、前年同期を大きく上回りました。

<テスト・計測分野>

当社が開発したFPD(Flat Panel Display)自動検査システムは、電気機器業界からの大型受注があったものの、前年の中国向け大型案件分をカバーするには至りませんでした。その結果、テスト・計測分野は、前年同期を大きく下回りました。

<その他分野>

当社グループ製品である最適設計支援ツールの新規ライセンス販売は、自動車関連業界からの受注が増加したものの、電気機器業界からの受注が落ち込み、横ばいに推移いたしましたが、保守契約の更新は、好調に推移いたしました。3次元公差マネジメントツールの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、電気機器業界及び自動車関連業界等からの受注により好調に推移いたしました。その結果、その他分野は、前年同期を下回りました。

<開発子会社>

WATERLOO MAPLE INC.(カナダ)は、北米において大型のOEM案件を受注したこともあり、好調に推移いたしました。Sigmetrix, L.L.C.(米国)は、3次元公差マネジメントツールの販売が、主力の北米においては堅調に推移しましたが、欧州では低調に推移いたしました。Noesis Solutions NV(ベルギー)は、最適設計支援ツールの販売が、北米においては堅調に推移しましたが、欧州では低調に推移いたしました。

 

<販売子会社>

莎益博工程系統開発(上海)有限公司(中国)は、主力の光学系ソフトウェアの販売は、好調に推移いたしました。当社グループ製品については、STEM(※6)コンピューティング・プラットフォームの販売は、堅調に推移いたしましたが、最適設計支援ツールの販売が、低調に推移いたしました。思渤科技股份有限公司(台湾)は、主力商品である光学系ソフトウェア及び他製品の販売が好調に推移いたしました。当社グループ製品については、STEMコンピューティング・プラットフォーム及び3次元公差マネジメントツールの販売は、低調に推移しましたが、最適設計支援ツールの販売が好調に推移いたしました。

(※6)STEM:Science, Technology, Engineering, and Mathematics(科学、技術、工学、数学)という総合的な分野の総称

以上の結果、売上高は131億66百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は22億52百万円(前年同期比15.0%増)となりました。

 

(ITソリューションサービス事業)

<ITソリューション分野>

主力商品である大手開発ベンダのセキュリティ関連ソリューションの新規ライセンス販売は、クラウドモデルの新規受注等により、好調に推移いたしました。保守契約の更新も、月額課金モデルの成長により堅調に推移いたしました。ディスク暗号化ソフトウェアは、セキュリティ事故対策への市場のニーズに支えられ、新規ライセンス販売及び保守契約の更新ともに好調に推移いたしました。また、クラウド環境の普及に伴い、クラウドサービスは好調に推移し、クラウド型シングルサインオン・アクセスコントロールの新規ライセンス販売及び保守契約の更新ともに好調に推移いたしました。その結果、ITソリューション分野は、前年同期を大きく上回りました。

<データソリューション分野>

イノベーション支援ソリューションの新規ライセンス販売及び保守契約の更新は、大手製造業からの複数の大型受注により好調に推移いたしました。医療可視化分野は、気管支系の診断支援システムが、機械・精密機器業界及び中国企業からの受注により、好調に推移いたしました。AR(Augmented Reality:拡張現実)分野は、前年開始した自社ARサービスは順調に立ち上がり、開発請負サービスは好調に推移いたしました。また、産業用ARサービスやVRを使った設計レビューシステムの引き合いが増加しております。その結果、データソリューション分野は、前年同期を上回りました。

以上の結果、売上高は30億4百万円(前年同期比10.9%増)、営業利益は3億61百万円(前年同期比34.3%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は71億86百万円となり、前連結会計年度末と比べ15億21百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、15億73百万円のプラス(前年同期と比べ10億85百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億58百万円及びのれん償却額3億19百万円等により増加したものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、3億80百万円のプラス(前年同期と比べ10億90百万円減)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出3億77百万円等により減少した一方、有価証券の償還による収入8億円等により増加したものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、4億20百万円のマイナス(前年同期と比べ60百万円増)となりました。これは、配当金の支払4億20百万円によるものです。

 

 

2 【仕入、受注及び販売の状況】

(1) 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

CAEソリューションサービス事業

4,663,602

1.6

ITソリューションサービス事業

1,613,849

10.9

合計

6,277,451

3.8

 

(注)1.当連結会計年度より、「CAEソリューションサービス事業」の一部を組織変更に伴い「ITソリューションサービス事業」に変更しております。なお、前年同期比については、変更後の区分方法により算定したものを記載しております。

   2.金額は、仕入価格によっております。

3.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

4.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

CAEソリューションサービス事業

13,206,650

0.3

2,304,423

△5.7

ITソリューションサービス事業

2,713,974

△6.9

674,780

△18.4

合計

15,920,625

△1.0

2,979,204

△8.9

 

(注)1.当連結会計年度より、「CAEソリューションサービス事業」の一部を組織変更に伴い「ITソリューションサービス事業」に変更しております。なお、前年同期比については、変更後の区分方法により算定したものを記載しております。

   2.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

CAEソリューションサービス事業

13,165,744

2.2

ITソリューションサービス事業

2,865,859

8.6

合計

16,031,603

3.3

 

(注)1.当連結会計年度より、「CAEソリューションサービス事業」の一部を組織変更に伴い「ITソリューションサービス事業」に変更しております。なお、前年同期比については、変更後の区分方法により算定したものを記載しております。

   2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

3.金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは、中長期的な安定かつ継続的成長に向け、新中期経営計画基本戦略の実行とともに下記の経営課題に取り組んでまいります。

(1) 顧客の多種多様なニーズに応えられるよう、様々な領域にまたがる複合・統合ソリューションを創造するとともに、社内外の様々な商品・製品やサービスを提供することができる体制を確立し、顧客ごとに最適なソリューションを統合し提供してまいります。

(2) 新しい価値を持つ当社独自のソリューションの開発と提供及びグループ開発子会社の製品競争力の強化並びにエンジニアリングサービスによる付加価値ビジネスを拡大してまいります。

(3) 販売子会社及び開発子会社のそれぞれの役割に基づき、コミュニケーション機会の創出によりグループ会社間連携を推進してまいります。そして、事業計画の進捗状況をより的確かつ効率よく把握することにより、グループ会社間シナジーの最大化に努めてまいります。

(4) 経営効率の向上(営業利益率の改善)を推進してまいります。業務に応じたワークスタイルの採用やワークスペースの工夫による固定費の低減や、業務分掌の見直しによる社内共通業務の効率化を推進してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、リスクとなる可能性がある主な事項は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 商品競争力に係るリスク

当社グループの事業は、デジタルエンジニアリング分野において、世界的かつ先端的な信頼の高いソフトウェアを、関連する技術サービスと共にソリューションとして提供するものであります。当社グループが取り扱う主要なソフトウェアは、これまでの長い商品ライフサイクルにおいて常に進化を繰り返してきておりますが、将来強力な競合ソフトウェアの出現や、開発元の開発力の低下等の理由により、市場競争力が低下することで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため当社グループでは、競合商品の動向や開発元の開発力について調査・検証を行う一方で、競争力のある商品の開拓に努め、リスクの低減に努めております。

(2) 特定の仕入先への依存度に関するリスク

当社グループが取り扱っているソフトウェアは、その多くが開発元から直接仕入れているため、仕入先が限定されており、その依存度は高いと考えております。また、主要な開発元との販売代理店契約は原則として、非独占かつ短期間で更新するものとなっており、他の有力な販売代理店が指定された場合や、開発元自身が直営を開始する場合、または、販売代理店契約が更新されない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、開発元の買収等の経営権等にかかる状況の変化により、契約の見直しを求められる可能性もあります。

(3) 事業投資によるリスク

当社グループでは、M&Aの実施にあたり、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、買収後に未認識の偶発債務が発生した場合や、当該子会社等の利益が、期待した水準を大幅に下回った場合には、子会社株式及びのれんの残高について、相当の減額を行う必要が生じることで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(4) 情報漏洩リスク

業務上、顧客等の個人情報や機密情報を受領する場合があり、当該情報が漏洩した場合には、顧客等からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では「情報セキュリティ委員会」を設置し、不正アクセス等への物理的、システム的なセキュリティ対策を講じると共に、情報セキュリティに関する社内規程を整備し、社員教育を徹底する等、当社の情報管理体制の維持・強化に努めております。

(5) 為替レートの変動に係るリスク

当社グループが取り扱っている主要なソフトウェアは、その多くが海外の開発元から直接仕入れており、その仕入高及び買掛金の一部が外貨建であり、為替相場の変動により採算性が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、為替予約を行う等、為替変動リスクをヘッジすることにより、リスクの低減化を図っております。

(6) 人材獲得と人材育成に関するリスク

当社グループは、CAEという非常に専門性の高い分野を中心とした事業を展開しており、製造業の「ものづくり」においては欠かせない存在として更なるソリューションサービスの向上と拡大に努めております。その担い手である人材の確保が今後の成長において非常に大きなウェイトを占めるものと考えております。当社グループではこれに対応すべく、中長期における人材の確保に注力しておりますが、優秀な人材の獲得や人材の育成が計画通りに進まなかった場合、長期的視点から、当社グループの事業展開、業績及び成長見通しに影響を及ぼす可能性があります。

(7) 情報システムトラブルによるリスク

予測不能な事象により会計システムなどの業務システムやネットワークインフラシステムにトラブルが起こった場合、復旧が長引くと業務に重大な支障をきたすことが考えられます。

このため、当社では、安定的な保守運営を行うために、外部データセンタの利用や復旧システムの強化など技術的な対策を講じると共に、情報セキュリティ関連の規程を整備し、全社で安全なコンピュータシステムの構築と運用に努めております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

経営上の重要な契約は次のとおりであります。

相手先

契約の概要

契約の名称

契約締結年月日

(提出会社)

 

 

 

ANSYS,Inc.
(アンシス社)

同社のソフトウェア製品(ANSYS等)を国内の顧客に対して販売する契約を締結しております。

販売店契約

平成12年5月29日

日本シノプシス合同会社

同社のソフトウェア製品(CODE V等)を国内の顧客に対して販売する契約を締結しております。

ソフトウェア
販売店契約

平成22年12月7日

Mentor Graphics Corporation

同社のソフトウェア製品(Expedition Flow等)を国内の顧客に対して販売する契約を締結しております。

販売店契約

平成26年4月23日

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、制御設計、通信アルゴリズム開発、構造解析、熱解析、回路設計、光学/照明設計、可視化技術、医学工学連携、医用画像処理、射出成形技術などCAE分野、及びITソリューション分野において、自社開発製品のみならず全取扱製品の機能向上を課題としております。当社グループは、自社製品に関する研究開発に取り組むと共に、その他の取扱製品を含め研究機関や教育機関との共同研究、委託研究を行っております。

自社製品については、すでに販売している製品の改良強化に加え、CAEソフトウェア利用の可能性を拡大するサービスに向けた研究開発も行っております。また、共同研究では、ノウハウの提供等による研究参加を通じ、ソフトウェアによるシミュレーション実験及びその検証とその有効性評価並びに多くの応用事例を得ることを目的としており、その成果を販売活動及び当社グループの技術力向上に役立てております。

当連結会計年度の研究開発活動は主に次のとおりであります。なお、当連結会計年度において53,738千円の研究開発費を支出しております。

 

(CAEソリューションサービス事業)

 

[モデル縮退技術]

モデル縮退技術は、従来はANSYSなどの有限要素法ツールなどで扱っていた詳細モデルから支配的な要素のみ抽出することができ、大幅に計算時間を短縮することが可能な技術です。平成28年度は、昨年度までの研究成果を応用的な領域に適用するための技術開発を行い、受託開発を通していくつかの実問題に対しても成果を上げることができました。

また、この研究成果は平成28年のイギリスSouthampton大学で開催された国際会議MoViC&RASD 2016にて発表いたしました。

 

 

[多孔質積層吸音材を含む大規模音響解析と高速可視化システムの開発]

騒音問題は、自動車産業や建築産業などの分野において重要な問題であり、特に自動車産業では、HVやEVなどの普及により、対策範囲は低周波数領域から高周波数領域に広がっております。そして効率的に騒音対策を策定するための手段の一つとして、数値解析による音場の予測が行われるようになってきております。また吸音材料としてはグラスウールなどの多孔質材を積層構造として用いる多孔質積層材が多く用いられますが、多孔質積層材の音-振動伝播特性を数値解析でモデル化するためには、FEM(有限要素法)に基づくBiotモデルが有効とされております。

汎用音響解析ソフトWAONでは、FMBEM(高速多重極境界要素法)の採用により、内部音場、外部音場及び構造や流体との連成音場を、高周波数領域まで取り扱うことが可能です。この手法とFEMに基づくBiot理論が融合すれば、数値解析を用いた様々な音場の予測が可能となります。そこで当社では東京大学大学院との共同研究により、FEMとFMBEM(WAON)とを連携して多孔質積層材を含む大規模音響解析を実施できるシステムの開発を目指しております。

平成28年度は、FEMによるBiotモデルの検証及び従来のBEMとの連携をはかり、平成29年度にはFMBEMへの展開を試みる予定でおります。

また、大規模問題を効率的に取り扱うためには、高速な計算ソルバーを用意するだけではなく、計算の準備及び計算結果の処理作業においても高速な描画性能が非常に重要となります。

そこで、当社が販売・カスタマイズサービスを提供しております大規模な計算データを高速に可視化処理できるAVS/ExpressをWAONのGUIを構成するViewerとして採用することにより、大規模データの高速表示が可能な音響解析システムの開発を目指しております。

まず平成28年度は、WAONのGUIとAVS/Expressとの間で行われるソケット通信部分について、機能開発及び性能評価を実施いたしました。そして、平成29年度に音響解析におけるプリ処理及びポスト処理機能を実装し、汎用大規模音響解析ソフトウェアの描画システムの完成を目指しております。

 

(ITソリューションサービス事業)

 

[多変量データの分析可視化ツールの開発]

当社では、これまで数値シミュレーションや観測結果などを可視化する「AVS/Express」や「MicroAVS」などの製品開発を行ってきました。

今後は、データを見ることで気付くための可視化から、さらに、多変量のデータ間の関係を探索することができる可視化が求められております。

例えば、気候変動に伴う異常気象などの分析には、可視化による現象の把握に加えて、気温や気圧、その他様々な多変量データの関係を分析するための機能が必要とされております。

そこで、そういった研究を支援するために、従来の3次元空間内での可視化と、多変量データを平行座標プロット(グラフ)や散布図、散布図行列で同時に可視化し、さらに対話的に連動させて、データの相関関係を探索することができるツールの開発を進めております。

 

[Mac/Linux版簡単可視化ソフトウェア MicroAVS re の開発]

昨今では、GUI操作の他にUNIXコマンドを利用できるMacやLinuxの利用者が増えております。従来、当社では、解析や実験結果を直感的な操作で可視化するWindows用ソフトの開発・販売を行ってきましたが、新たにこれらのOS利用者に向けた製品開発を行いました。

 

[医用画像診断支援ソフトウェア改良]

薬事製品INTAGE Station-LungVisionのLAA,HAA抽出精度の向上、DirectPathの気管支抽出精度の向上などのアルゴリズムの改良に関する共同研究を行いました。

 

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の財政状態は、当連結会計年度末の総資産残高が195億22百万円となり、前連結会計年度末比6億36百万円の増加となりました。

資産の部では、流動資産は156億80百万円となり、前連結会計年度末比8億22百万円の増加となりました。これは主に、有価証券が6億99百万円増加したこと、受取手形及び売掛金が2億48百万円増加したこと等によります。固定資産は38億42百万円となり、前連結会計年度末比1億86百万円の減少となりました。これは、ソフトウェアが2億10百万円増加したものの、のれんが3億70百万円減少したこと等によります。

負債の部では、負債合計が59億80百万円となり、前連結会計年度末比6億54百万円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が2億11百万円増加したこと等によります。

純資産の部では、純資産合計が135億41百万円となり、前連結会計年度比18百万円の減少となりました。これは、利益剰余金が40百万円増加したものの、為替換算調整勘定が83百万円減少したこと等によります。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の71.5%から69.0%となりました。

当連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、第2[事業の状況]1[業績等の概要]に記載のとおりであります。

 

(2) 次期の見通し

当社グループが提供する様々なCAEソリューションサービスは、ものづくり企業の品質向上、開発期間の短縮、開発コスト削減、製品の安全性の向上並びに環境に配慮した製品開発に貢献しております。当社グループは、引き続き営業及びマーケティング並びに技術サポート・開発体制を強化しながら、顧客の複雑かつ高度な課題を解決すべく、様々な領域にまたがる複合・統合ソリューション(マルチドメインソリューション)の推進に注力し、「Solution Integrator」として付加価値サービスを提供してまいります。
 次期の経営環境につきましては、先行きに対する不透明感があり、当社グループの主要顧客である製造業においては、投資意欲は慎重化していくものと思われます。投資効果を重視した選択基準も年々厳しくなっており、期待に応えられるソリューションの提供が求められております。
 ものづくりの現場では、顧客ニーズの多様化に迅速に対応するため、設計開発の効率化ニーズが拡大しております。その中で、設計開発工程で従来の3D CAE技術と概念設計の1D CAE技術を融合し、トータルで設計開発工程の効率化を図る動きが出てきております。さらに、設計開発に対する検証・計測といった分野や、IoTといったビッグデータ分野でのビジネスが生まれてきております。
 当社グループでは、このような動きに対応した中期経営計画を平成27年2月27日に発表しております。この中期経営計画に掲げる基本戦略に基づき、引き続き業績拡大に向けて取り組んでまいります。

これらの状況を勘案した結果、次期の連結業績は、売上高が174億円(前年同期比8.5%増)、営業利益が14億円(前年同期比36.2%増)、経常利益が15億円(前年同期比49.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が9億円(前年同期比94.8%増)を予想しております。

上記の見通しは、いずれも業界等の動向、国内及び海外の経済状況、為替相場などの要因について、現時点で入手可能な情報をもとに行った見通しであります。そのため、上記連結業績予想数値はこれらの要因の変動により大きく異なる場合があります。

 

(3) 今後の方針について

今後の方針については、第2[事業の状況]3[対処すべき課題]に記載のとおりであります。

 





出典: サイバネットシステム株式会社、2016-12-31 期 有価証券報告書