有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度において当社グループは、前連結会計年度から引き続き、主力サービスである免疫細胞療法総合支援サービスを本格的な成長軌道に乗せるべく、市場の顕在化及び拡大に努めてまいりました。医療チャネルの拡充に向けては、患者の治療選択プロセスにおいて実質的な決定力を有する医師・医療機関に対し、研究開発の進展とその成果を踏まえた訴求力の高い学術営業活動を展開するとともに、患者及び患者家族に向けては、各種メディアやWebサイト、セミナー活動等による情報提供に取り組んでまいりました。当連結会計年度における主な事業活動の成果は以下のとおりであります。

 免疫細胞治療の診療を開始した九州大学先端医療イノベーションセンターに対して免疫細胞療法総合支援サービスの提供を本格的に開始いたしました。

 当社グループの細胞加工に係る技術、ノウハウを活かした新たな細胞医療支援事業として、金沢大学附属病院のトランスレーショナルリサーチセンターに新設された細胞加工施設(CPC)の運営管理業務を受託し、CPC運営受託に係る売上を計上いたしました。

 シンガポール国立大学とエレクトロポレーション法を用いたセル・ローディング・システム「MaxCyte®GTTM Flow Transfection System」に関する使用許諾契約を締結し、シンガポール国立大学に対して同システムと関連デバイスの提供を行いました。

 東京大学医学部附属病院による「ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法」の第3項先進医療(高度医療)の承認取得に伴い、同病院より先進医療の実施に必要となる細胞培養、品質検査、施設運営管理などの一部業務を受託いたしました。

このように、これまで継続的に行ってきた細胞医療支援事業拡大のための取り組みの成果は着実に表れてきております。しかし、前連結会計年度後半に減少した既存契約医療機関については細胞加工数も当連結会計年度後半は増加の傾向が見えたものの、当初期待したほどの回復には至りませんでした。また、医療機関向け広報企画・支援サービスについては、前連結会計年度に比べて受注が減少したこと等により、当連結会計年度の売上高は2,190,986千円(前年同期比483,203千円減、18.1%減)となりました。

研究開発活動については、前連結会計年度から引き続き、治療効果向上につながる新規技術の早期実用化を目指し、「免疫細胞治療に係るエビデンスの強化」、「より治療効果の高い新たな免疫細胞治療に係る技術の開発」、「細胞加工プロセスの大幅な効率化と細胞輸送技術の強化」を目標として、より出口に近いテーマにプライオリティを置いて推進してまいりました。当連結会計年度に開始した主な研究開発活動は以下のとおりであります。

  アジア・パシフィック地域を中心とした海外市場への事業展開に向けて、規制当局の承認に必要な「前臨床試験データ」を取得するため、デューク大学メディカルセンター(米国ノースカロライナ州)と、樹状細胞ワクチン技術開発に係る委託研究契約を締結いたしました。

  九州大学先端医療イノベーションセンターに共同研究部門「先進細胞治療学研究部門」を設置し、産学連携のもと、がん免疫細胞治療に係る次世代医療技術の開発を目指した共同研究を開始いたしました。

 東京大学医学部附属病院と共同で、再発・進行がんの患者を対象として、HSP105[ⅰ]抗原ペプチド[ⅱ]を用いた樹状細胞ワクチン療法の臨床試験を開始いたしました。

 日本赤十字社医療センター、順天堂大学医学部附属順天堂医院、医療法人社団滉志会と共同で、多発性骨髄腫を対象としたガンマ・デルタT細胞療法の有効性評価を目的とした臨床試験を開始いたしました。

その他の研究開発活動を合わせ、当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べて10.2%増加しております。なお、これまでの研究開発活動の成果の一環として、平成24年3月に、樹状細胞の働きをより強化する技術に関する特許が欧州11カ国において成立するとともに、細胞培養評価システムに関する特許が日本で成立いたしました。また、平成24年8月には、樹状細胞によりCTL(細胞傷害性T細胞)[ⅲ]の誘導を高める処理方法に関して、欧州11カ国で特許が成立いたしました。営業活動としては、医師・医療機関をターゲットとした学術営業活動及び、一般向けの広報活動を継続的に推進しておりますが、広報企画の効率化を図ったこと等により、当連結会計年度の販売費については、前連結会計年度に比べて32.6%減少しております。一方、基幹システムの入れ換えを行ったことから、同システムが安定的に稼働、運用されるまでの間のシステムサポート費用やネットワーク環境の整備費用が増加したこと等により、一般管理費については、前連結会計年度に比べて4.2%増加しております。

以上の結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,863,670千円(前年同期比120,151千円減、6.1%減)となり、営業損失は711,132千円(前年同期は営業損失303,594千円)となりました。

その他、受取利息18,974千円、支払利息6,605千円、投資事業組合運用損24,746千円等の営業外損益により、当連結会計年度の経常損失は710,523千円(前年同期は経常損失353,459千円)となりました。また、保有株式を売却したことによる投資有価証券売却益118,502千円を特別利益に計上したこと、本社建物及び医療機関賃貸用建物の減損処理をしたことによる減損損失10,164千円、投資有価証券評価損10,000千円等を特別損失に計上したこと、法人税、住民税及び事業税11,115千円、法人税制の改正等による繰延税金負債の減少により法人税等調整額△1,461千円を計上したことから、当期純損失は624,988千円(前年同期は当期純損失542,527千円)となりました。

 

[ⅰ]HSP105

HSP105(Heat Shock Protein 105)は、熱等の何らかの要因によって体内で生産されるストレスタンパク質に分類される。膵がん、大腸がん、乳がん、食道がん等の多くのがんに高発現するタンパク質で、正常細胞では精巣での発現が確認されている。腫瘍組織にHSP105が高発現していることが確認された患者に対しては、HSP105特異的な免疫細胞を誘導することで抗腫瘍効果が期待できる。

  

[ⅱ]HSP105抗原ペプチド

HSP105タンパク質を構成するアミノ酸配列のうち、特にがん抗原特異的CTLが強く反応する部分を指す。このペプチドを用いることにより、HSP105を高発現しているがん細胞を標的とするCTLを効率的に刺激・増殖させることができる。

 

[ⅲ]CTL

CTL(Cytotoxic T Lymphocyte(細胞傷害性Tリンパ球))は、Tリンパ球の一種で宿主にとって異物になる細胞(がん細胞・ウイルス感染細胞・移植細胞など)を認識して殺傷する。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,237,075千円減少し、当連結会計年度末には3,621,523千円となりました。

 営業活動に使用した資金は337,537千円(前年同期は251,574千円の使用)となりました。

 投資活動に使用した資金は884,462千円(前年同期は721,589千円の使用)となりました。

財務活動に使用した資金は15,075千円(前年同期は2,869,256千円の獲得)となりました。

 なお、キャッシュ・フローの詳細は、「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)当連結会計年度の財政状態の分析 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

2【生産、受注及び販売の状況】

当社グループ(当社及び連結子会社1社)において、開示対象となるセグメントはありませんのでサービス区分別に記載しております。

(1) 生産実績

該当事項はありません。

 

(2) 受注状況

該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

サービス区分別

当連結会計年度

(自 平成23年10月1日

至 平成24年9月30日)

前年同期比(%)

免疫細胞療法総合支援サービス(千円)

2,006,792

82.6

その他(千円)

184,193

75.1

合計(千円)

2,190,986

81.9

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成22年10月1日

至 平成23年9月30日)

当連結会計年度

(自 平成23年10月1日

至 平成24年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

医療法人社団 滉志会

2,565,477

95.9

2,052,496

93.7

 

3【対処すべき課題】

 当社グループは、引き続き、主力事業である免疫細胞療法総合支援サービスを中心とする細胞医療支援事業に資源を集中し、臨床開発の促進及びその成果を利用した学術推進活動やそれに伴う医療チャネルの拡充により需要の顕在化を図るとともに、細胞医療分野における各種アライアンス、M&Aを促進し、細胞医療支援事業を本格的な成長軌道に乗せることにより、早期の黒字化を達成するとともに、将来的には細胞医薬品の開発を実現することで、飛躍的な成長を目指してまいります。

 これを踏まえ当社グループが対処すべき特に重要な課題は、以下のとおりであります。

 

①免疫細胞治療に対する医師・医療機関の認知度及び理解度の向上

 免疫細胞療法総合支援サービスを拡充するためには、まず、患者の治療選択プロセスにおいて実質的に決定権を有する医師・医療機関が、免疫細胞治療をがん治療オプションとして積極的に選択する状況を作る必要があります。しかしながら、近年の免疫学、分子生物学及び細胞工学等の発展と共に、免疫細胞治療に係る技術は飛躍的に進歩しつづけており、世界的に本分野における研究開発が進む一方、一般の臨床医がその最新の技術動向、内容等を詳細にキャッチアップすることは困難であることから、免疫細胞治療に対する医師・医療機関の認知度及び理解度は未だ低いのが現状であります。

 このようなことから、当社グループは、引き続き、医師・医療機関に対する学術営業活動を強化、推進してまいります。また、研究開発活動としては、既存及び新規の免疫細胞治療につき、臨床効果を評価すると共に、新たな治療プロトコルを開発するべく、大学病院をはじめとする地域の中核医療機関と共同で複数の臨床研究を進めてまいります。これは、免疫細胞治療の臨床効果に係るエビデンスを強化・構築することにより、医師・医療機関に対する訴求力が向上されることとなるだけでなく、既存契約医療機関との医療連携を促進し、将来に向けた確実な医療チャネルの拡大を実現するものであります。

 

②規制上の承認(RA:Regulatory Approval)獲得の推進

   ここ最近においては、再生・細胞医療の事業化が国家戦略として取り上げられ、新たな規制や法的枠組みが整備されようとしており、当社グループにとって重要な環境の変化が起ころうとしています。このような状況を踏まえ、当社グループは、東京大学医学部附属病院を始めとする地域中核医療機関との共同臨床研究を着実に推進し、その研究成果をもって、新たな規制や法的枠組みの中で規制上の承認を獲得することを通して、主力事業である免疫細胞療法総合支援サービスのブランド力の向上を図るとともに、将来的には細胞医薬品の事業を展開することにより、売上の拡大を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループといたしましては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応等に努める方針でありますが、投資判断は、以下の記載事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行なわれる必要があります。以下の記載は、当社グループに関連するリスクをすべて網羅するものではないことにご留意ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

①サービス価格に係るリスク

 免疫細胞治療は先進的な医療技術であるため、一般的な治療として行われている外科療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療等)などのように、現時点では保険診療の対象とはなっておらず、当社契約医療機関における免疫細胞治療1クールの治療費総額は、医師が適切と判断する治療の種類等にもよりますが、およそ160万円であります。当社は、免疫細胞療法総合支援サービスの対価として細胞加工の種類と回数に基づく変動課金制によるサービス料を頂いておりますが、その金額は当該契約医療機関の患者が負担する治療費に制約されます。また、免疫細胞治療は先端医療であるがゆえに、医師の治療方法に対する考え方に相違があること、関連技術が急速な進歩過程にあること等の理由により、標準的な価格水準が定まっていないことから、今後の免疫細胞治療の普及過程における治療費水準の変化等に伴い、当社サービス価格の見直しがなされた場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

②競合及び競合他社に係るリスク

(1)免疫細胞治療に係る分野への企業参入状況

 近年、ベンチャー企業数社が、当社グループのサービスと類似したモデルで免疫細胞治療に係る分野に参入してきております。こうした動きは、新たな技術革新の進展を促し、市場が拡大していく反面、玉石混交の状況を作り出す可能性もあり、結果として患者のデメリットになることも考えられます。業界の発展とともに参入する企業が増え、他企業がトラブルを起こした場合、業界全体のイメージ低下等により、当社グループも間接的に悪影響を受ける可能性があります。

(2)バイオ・テクノロジーの進歩に伴う競合

 当社グループの属するバイオテクノロジー業界は急速に変化・拡大しておりますが、特にがん治療分野では新しい治療薬の研究開発が進んでおります。大手製薬企業が、がんをターゲットとして開発を進める分子標的薬(病気に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬)や血管新生阻害剤(がん細胞に栄養や酸素を供給する血管の新生を抑える薬)等は免疫細胞治療との併用効果が期待されておりますが、仮に免疫細胞治療との併用が適切でなく、治療効果の高い医薬品が開発された場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループにおいては、積極的な研究開発投資により、常に最先端の技術への対応、業界に先駆けた新技術の開発等に注力しておりますが、当該技術革新への対応が遅れた場合、あるいは、現在の主力事業の対象となっている免疫細胞治療に代わる画期的な治療法が開発された場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

③品質管理体制に係るリスク

 現在、当社グループが事業を推進している再生・細胞医療分野においては、急速に進歩した最先端技術に基づいた治療が行われるため、安全面・品質管理面でのスタンダードが十分に確立されていない現状にあります。
 このような状況の中、当社は、平成16年3月19日、細胞医療支援事業としては世界に先駆け、ISO(国際標準化機構)が制定した品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取得いたしました。これは、当社の細胞医療支援事業がグローバル・スタンダードに照らして公正に運営されていることが、独立した第三者機関によって裏付けられたことを意味しております。また、平成19年10月には、当社グループの契約医療機関である医療法人社団滉志会を初めとする免疫細胞治療を専門に提供する医療機関が、各医療機関に技術支援を行う企業と協力して免疫細胞療法連絡会を設け、同会において「治療用自己免疫細胞の加工に係る構造設備基準」及び「治療用自己免疫細胞の加工に係る品質管理基準」が策定されました。当社は、これらの運用開始に際して、これまでの経験と実績から得た安全性管理のノウハウ等を提供することで協力しており、今後の細胞医療における安全面・品質面でのデファクト・スタンダードの早期確立を目指し、患者が常に質の高い先端医療を享受できる体制を構築するとともに、情報を適正に開示して業界の適正化を図っております。なお、当社が契約医療機関に提供する免疫細胞療法支援サービスにおいては、加工される細胞が投与されるに足りる安全性を保つために、以下のような品質管理体制を整えております。

(1)無菌性の確保

 細胞加工工程における細菌汚染を防ぎ、無菌性を保つために、細胞加工施設の空気清浄度をGMP (Good Manufacturing Practice;医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則)に規定される無菌医薬品製造区域と同等の施設要件とし、運営管理を行っております。

(2)細胞の取り違いおよびウイルス等の感染防止

 細胞の取り違い防止、ウイルス等の感染防止のために、細胞・組織の取扱いや感染症の危険性排除等について規定した厚生労働省ガイドライン(ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品等の品質および安全性確保について、医薬発第1314号、平成12年12月26日)に準拠しております。また、細胞加工工程における人為的な過失、ミスの発生を低減するために、作業工程は全て個々の標準書および手順書をGMPより一部引用するなどして制定し、これらに基づき工程管理を行っております。

(3)資材管理

 細胞加工には常に安全な資材を用いることが条件となるため、培地(細胞培養液)や試薬については、製造先との厳密な購買契約を締結し、培地や試薬の不良品の混入、劣化を未然に防ぐとともに、仕入、保存管理の徹底、検査体制の充実等、常に品質管理体制の強化を図っております。

 当社グループは、今後とも常に品質管理体制の強化に努めてまいりますが、培地や試薬の不良品の混入、劣化、培養過程における人為的な過失、地震や火災等の災害等が発生した場合には、重大な事故に繋がる恐れもあり、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

④法的規制の影響

 当社グループが行なう細胞医療支援事業は、医療機関に対するサービス業であることから、当該事業に係る法的規制として、医師法、薬事法等の医事関連法規が考えられますが、現状においては、当社の免疫細胞療法総合支援サービスにつき、これら法的規制の対象となる行為はありません。

(1)医師法との関連

 医師法は、医師となる要件及び医師の行う行為について定めた法律であり、同法17条において「医師でなければ医業をなしてはならない」と規定されております。当社が行う免疫細胞療法総合支援サービスにおいては、サービスの一環として、当社の技術者が契約医療機関で細胞加工及び品質検査業務に従事しておりますが、これらは、医療機関の医師が行う医療行為(免疫細胞治療)の一連の行為の一部を補助するものであり、当該行為はすべて医師の指揮監督下に行われることから、当社の技術者が同法17条に規定する「医業」を行っているものではありません。その他、医師法の各条項を含め、当社グループの行う事業については現在のところ、医師法の規制に該当する行為はありません。

(2)薬事法との関連

 薬事法は、医薬品等の有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行う法律であり、同法12条において「医薬品等の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品等の製造をしてはならない」旨規定されております。ただし、医療機関が自らの患者の細胞を加工する行為については、薬事法における医薬品等の製造に該当するものではありません。当社は、医療機関に対し、施設、技術・ノウハウ、技術者、材料および資材、品質保証、システム等、医師が免疫細胞治療を実施するために必要なあらゆるソリューションを免疫細胞療法総合支援サービスとして包括的に提供するものであり、患者の細胞加工については、契約医療機関で医師の指揮監督下に行われております。従って、当社の行う事業についても、同法12条に規定する「医薬品等の製造」の規制を受けるものではありません。その他、薬事法の各条項を含め、現在のところ当社グループの行う事業について、薬事法の規制に該当する行為はありません。

 その他の医事関連法規も含め、当社の行う免疫細胞療法総合支援サービスに関し、現状において、特に法的規制の対象になるものはありません。しかしながら、我が国における今後の医事関連法規および行政の動向によっては、当社グループの事業がこれら法的規制の対象となることにより、将来の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

⑤研究開発に内在する不確実性

 当社グループが事業を展開する分野は、急速に進歩を続ける最先端のバイオテクノロジーに立脚したものであるため、継続的な研究開発活動が将来的な事業拡大のための大変重要な役割を担っております。

 当社グループでは、研究開発型バイオテックカンパニーとして将来に渡る企業価値向上を図るべく、先端医科学研究所を中心に、基盤研究から技術開発、臨床開発まで、総合的な研究開発を戦略的に遂行していくための体制を構築し、積極的な活動を行っております。 

 これらに必要な研究開発費は、平成22年9月期407,753千円(連結総売上高に対する比率12.7%)、平成23年9月期468,190千円(連結総売上高に対する比率17.5%)、平成24年9月期515,829千円(連結総売上高に対する比率23.5%)、となっており、将来に渡る企業価値向上を図るための先行投資と認識しております。 

 しかしながら、研究開発テーマが事業化できなかった場合、事業化された場合でも当初の想定通りに売上が確保できなかった場合等には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。 

⑥知的財産権に係るリスク

(1)特許出願状況

 当社グループは、平成11年4月に分子免疫学研究所を開設して以来、バイオテクノロジーおよびその周辺分野における最先端の研究開発および技術開発に取り組んでおり、平成24年9月末までに、31件の特許を出願(うち海外出願8件)しております。その内、特許出願内訳は、技術に関するものが30件、ビジネスモデルに関するものが1件となっており、今後も、さらに知的財産権の獲得を進めていく方針であります。また、保有する知的財産権につきましては、自社利用のみにこだわることなく、積極的に他社へのライセンシング供与を検討し、当社グループ技術のデファクト・スタンダード化を促進してまいります。

 

 当社グループの出願特許状況は、以下の通りです。

出願件数

(国内)23件 (海外)8件 ※本件数は未公開出願も含みます。

登録件数

(国内)6件 (海外)欧州(11カ国)3件、豪州2件

登  録

特許4031932号

ドナー等識別方法及び生体物質識別手段

特許4136350号

医療支援システム

特許4557886号

食道癌の抗原およびその利用

特許4668568号

培養容器、培養装置および細胞の培養方法

特許4958554号

リンパ球増殖抑制因子の吸着剤及び処理方法

特許4932703号

細胞培養評価システム、細胞培養評価方法および細胞培養評価プログラム

EP1536006

Cancer antigens and utilization thereof

EP1788078

Dendritic cell, drug containing the dendritic cell, therapeutic method using the dendritic cell and method of culturing gammadelta T cell

AU2005260887

Dendritic cell, drug containing the dendritic cell, therapeutic method using the dendritic cell and method of culturing gammadelta T cell

EP1930414

Method for activation treatment of antigen-presenting cell

AU2006288348

Method for activation treatment of antigen-presenting cell

 上記のうち、「医療支援システム」は、免疫細胞療法総合支援サービスにおける「オーダーメイド医療管理システム」として実用化されております。また、” Dendritic cell, drug containing the dendritic cell, therapeutic method using the dendritic cell and method of culturing gammadelta T cell”及び” Method for activation treatment of antigen-presenting cell”は、免疫細胞療法総合支援サービスにおける「樹状細胞ワクチン療法」に関連する技術として日本において実用化されており、今後、海外へのライセンシング供与を検討してまいります。今後、医療技術や細胞培養に密接に関わる重要な(周辺)技術については、積極的に知的財産権の出願を行ない、当社グループの技術を適切に保護していく必要があります。

 ただし、これら先端医療技術に関する技術の中には、特許として知的財産権を獲得するよりも、ノウハウとして保有する方が事業戦略上優位であると考えられるものも少なからずあり、必ずしも全ての技術について特許としての権利化を目指す必要はないと考えております。当社グループの持つ技術・ノウハウについては、取引先あるいは共同研究先との秘密保持契約等で守ることにより、外部流出が厳しく管理されております。

 このように当社グループは、当社独自の技術あるいは研究成果、事業化に伴うビジネスモデルに関し、必要に応じて、また可能な範囲において特許権等知的財産権の出願を行ない、権利の保護に努めております。

 また、他社からの当社グループ知的財産権の侵害及び他社知的財産権に対する侵害等に関しては、常時技術・特許調査を行ない、権利の保護及び他社特許の侵害を回避するためのスキームを策定し、当社グループの技術やビジネスを適切に保護しております。

しかしながら、このように常に様々な状況を想定して対応してはいても、出願した案件が権利化できないという可能性もあります。また、権利化できた場合でも、実際にその権利を行使できなかったり、第三者の権利に抵触したりしている可能性もあります。

(2)医療行為および関連技術に係る特許

 現在、当社グループ契約医療機関で既に実施されている医療行為については公知の事実となっているため、現在の主要事業に関し上記係争リスクはないものと考えております。なお、すでに政府の知的財産戦略本部で医療行為に関する特許についての検討が行われ、これを受けて特許庁でも医薬発明に関する審査基準が運用されております。これにより医薬発明として保護される範囲が拡大され、当社グループが開発する技術のうち医療関連技術に関しても特許として権利化できる可能性があります。当社グループとしても今後の動向を注視し、その時々の法規に沿った形での権利保護に努めてまいります。

⑦政府の推進政策等の変化

 現在、我が国においては、バイオテクノロジーおよび先端医療に係る各種の推進政策が実施されております。これらの推進政策は、現在の主力事業である免疫細胞療法総合支援サービスだけではなく、当社グループが行う研究開発とその成果によって、今後当社グループが事業を展開する分野に大きく関わっております。

 政府の主な推進政策とその概要は以下の通りであります。

(1)第3次対がん10か年総合戦略

 厚生労働省と文部科学省は、昭和59年度から平成5年度の「対がん10か年総合戦略」、平成6年度から平成15年度の「がん克服新10か年戦略」に引き続き、平成16年度から平成25年度の「第3次対がん10か年総合戦略」を発表しました。この「第3次対がん10か年総合戦略」では、以下の重点研究課題事項が提示されております。

a)学横断的な発想と先端科学技術の導入に基づくがんの本態解明の飛躍的推進

b)基礎研究の成果を積極的に予防・診断・治療等へ応用するトランスレーショナル・リサーチの推進 

c)革新的な予防法の開発

d)革新的な診断・治療法の開発

e)がんの実態把握と情報・診療技術の発信・普及

 また、これらの重点研究課題事項については、さらに詳細な戦略が示されており、「免疫療法」もそのひとつとして掲げられております。

 これらは、いずれも当社グループの細胞医療支援事業及び研究開発活動と密接に関わるものであり、今後の事業展開に大きな影響を与えるものと考えております。

(2)医療イノベーション5か年戦略

 平成24年6月、内閣官房医療イノベーション推進室は、今後の医療イノベーション推進の具体的施策をとりまとめた工程表となる「医療イノベーション5か年戦略」を策定しました。

この中では、再生医療や個別化医療のような世界最先端の医療の分野で日本が世界をリードする実用化モデルを作ること、医療サービスのイノベーションに向けての検討を併せて進めることが示され、再生医療、個別化医療、バイオ医薬品等が、がん領域等研究開発の重点領域に指定されております。

また、日本発の革新的な医薬品を創出するため、難治性がんや希少がん等を中心にがんペプチドワクチンをはじめとしたがん免疫療法や抗体医薬等の分子標的薬、核酸医薬等の創薬研究に関し、GLP 準拠の非臨床試験、国際水準の臨床研究・医師主導治験を推進し、5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けて10種類程度の治験への導出を図ることが盛り込まれており、細胞培養施設の基準の作成に向けた検討を行うことや医療として提供される再生医療についても、医薬品とは異なる再生医療の特性を踏まえた上で、薬事規制と同等の安全性を十分に確保しつつ、実用化が進むような仕組みを構築することも含まれていることから、当社グループの今後の事業展開に大きな影響を与えるものと考えております。

(3)先進医療制度

 現在の日本における医療制度においては、保険診療の中に保険で認められていない診療を含むことは認められていません。しかし、将来的に保険導入を目指す先端的医療技術については、医療技術毎に定められた要件を満たす医療機関の届出により保険診療との併用を認める「先進医療」という制度があり、現在、がんに対する免疫細胞治療に関連する医療技術については、6つの医療技術が「先進医療」として認められております。

 これにより今後、「先進医療」として免疫細胞治療を実施する医療機関が増える可能性があり、免疫細胞治療の認知、普及が進むことも期待されます。

 

 しかしながら、今後、これら政府の政策の方向性に大きな変化が生じることとなった場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

⑧特定の取引先への依存及び貸付金

 当社グループの技術・サービスを供与する契約医療機関は、平成24年9月30日現在、医療法人社団「滉志会」の4医療機関「瀬田クリニック東京」(東京都千代田区)、「瀬田クリニック新横浜」(神奈川県横浜市港北区)、「瀬田クリニック大阪」(大阪府吹田市)及び「瀬田クリニック福岡」(福岡県福岡市博多区)並びに「東京大学医学部附属病院」(東京都文京区)、「国立病院機構大阪医療センター」(大阪府大阪市中央区)、「九州大学先端医療イノベーションセンター」(福岡県福岡市東区)、「金沢大学附属病院トランスレーショナルリサーチセンター」の8施設であります。
 このうち、医療法人社団「滉志会」の4医療機関に対する売上の総額は、平成24年9月期2,052,496千円(連結売上高に占める割合93.7%)と、現時点では同医療法人に対する販売依存度が高い状態にあります。医療法人社団「滉志会」は、当社と緊密かつ安定的な関係にありますが、今後両者の関係が悪化した場合や、万が一同医療法人において不慮の事故が発生すること等により受診患者数の減少、閉鎖等の事態に至った場合には、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社は、医療法人社団「滉志会」に対して、運営資金の長期貸付を行っており、平成24年9月30日現在の残高は700,000千円であります。これらの貸付金の返済が滞った場合、または貸付先の運営が計画通りに進まず引当金等を設定する場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑨株式価値の希薄化

 当社第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行により発生する潜在株式数50,576株(議決権の数50,576個)は、平成24年9月30日現在の発行済株式総数732,755株(議決権の数732,755個)の6.90%(議決権ベース)となり、当該社債に付された新株予約権の行使により1株当たりの株式価値の希薄化が生じる可能性があります。なお、本新株予約権の全てが行使された場合であっても支配株主の異動が見込まれるものではありません。また、本社債の転換価額には、いわゆるMSCB等に該当するような修正条項を付しておりません。

⑩米国MaxCyte社とのセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約

 当社グループは、平成19年8月に米国MaxCyte社とセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約を締結し、同技術を使ったサービスを当社グループの契約医療機関に提供しております。また、平成22年4月にはセル・ローディング・システム技術に係るライセンス契約の範囲拡大の契約を締結し、対象細胞・導入物質における独占的通常実施権、契約地域、及び対象疾患の権利範囲についてライセンス範囲を拡大しております。当社グループはそれぞれの契約において米国MaxCyte社に対してライセンス料を支払っており、それらは長期前払費用に計上し、契約満了の平成34年8月までの期間で均等償却しております。そのため、今後、当社グループが何らかの理由で契約満了以前に米国MaxCyte社のセル・ローディング・システム技術を使用しなくなった場合には、その時点で長期前払費用の残高を全て償却することになり、当社グループ業績に影響を与える可能性があります。  

5【経営上の重要な契約等】

(1)免疫細胞療法総合支援サービス契約

契約先

契約期間

契約の概要

医療法人社団 滉志会

平成20年10月1日から平成30年9月30日まで(以降1年毎の自動更新)

当社は、本契約に基づき、免疫細胞療法総合支援サービスを提供し、その対価を受け取るものであります。

国立大学法人  東京大学

平成19年2月6日から平成28年3月31日まで

同上

国立大学法人  九州大学

平成23年7月15日から平成28年3月31日まで

同上

 

(2)技術ライセンスを受けている契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約期間 

㈱メディネット

 (当社)

MaxCyte,Inc.

アメリカ

エレクトロポレーション技術に係るライセンス契約 

平成19年8月27日から

平成34年8月26日まで

 

6【研究開発活動】

当社グループは、がんや感染症分野及び難治性疾患に対する基礎研究、産業化を目指した技術開発からその臨床応用まで、幅広い研究開発活動を推進しており、マイルストーンに沿った進捗が得られるように管理、運営を図っております。現在は、特に当社グループの中核事業である免疫細胞療法総合支援サービスに関わる臨床的エビデンスの構築や技術改良に積極的に取り組んでおり、科学的根拠に基づいた免疫細胞治療の普及・促進や開発成果のいち早い社会への還元を通じ、健全な市場の拡大を目指しております。さらに、国内外を問わず積極的に研究開発のアライアンスを推進し、新規技術の早期実用化及び新規事業の早期実現を図っております。

当連結会計年度においては、NKBIO CO., LTD.(大韓民国ソンナム市)(以下、韓国NKBIO社)と、同社が保有するナチュラルキラー細胞(以下、NK細胞)の培養法の技術検討を行い、同技術を当社グループが保有する細胞培養に係る独自技術、ノウハウ等へ応用したNK培養方法の開発を進めてまいりました。また、がん抗原HSP105由来の抗原ペプチドに関する欧州特許権、樹状細胞の処理方法に関する欧州、豪州特許権を取得したことにより、今後はこれらの抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン療法の技術開発を推進してまいります。さらに、がん免疫細胞治療の臨床研究支援活動も引き続き推進しており、当連結会計年度においては、新たに2件の共同臨床研究を開始いたしました。

なお、平成24年9月末日現在、研究開発部門スタッフは総計29名おり、これは総従業員の約18%に当たります。

 

(基盤的研究及び技術開発)

当社グループでは、当社グループが持つ細胞培養、細胞加工、解析に関する技術を軸として、積極的に外部研究機関とのコラボレーションを進め、研究開発の促進やイノベーションの創出を図っております。現在は、細胞加工技術の改良、新規開発及び免疫細胞治療に関する基盤研究と臨床研究支援を中心テーマとして研究開発を進めております。

当連結会計年度においては、韓国NKBIO社との技術提携に基づいて、同社が保有するNK細胞の培養技術の検証を行うとともに、当社が保有する細胞培養に関する独自技術やノウハウ等への応用開発を進めました。その結果、平成24年11月1日から臨床現場へNK細胞療法の技術提供を開始できる運びとなりました。なお、韓国NKBIO社は活性化自己NK細胞を細胞医薬品としてKFDA(韓国食品医薬品安全庁)の品目許可を得るとともに、韓国内で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対する第Ⅲ相臨床試験を継続しております。

また、当社は樹状細胞ワクチンに係る技術を重要課題と位置付け、積極的に研究開発を推進しております。当連結会計年度においては、ゾレドロン酸を用いた樹状細胞の処理方法に関する特許が欧州、豪州で成立いたしました。前連結会計年度に欧州で特許が成立したがん抗原HSP105に由来する抗原ペプチド4種類については、大腸がん、膵がん、乳がん、食道がん等、多くのがんに高発現していることが確認されており、両技術のライセンシングも視野に入れて、樹状細胞ワクチン療法への応用やペプチドワクチン治療の開発を進めてまいります。現在は、安全性と有用性の検討を行うため、HSP105ペプチドパルス樹状細胞ワクチン療法の臨床研究を計画しております。

樹状細胞ワクチン療法と同様に特異的免疫細胞治療の一つであるCTL療法の実用化に向けた生体外での効率的なCTL培養技術については、国立がん研究センターとの共同研究の成果を受けて実用化開発を進めており、臨床現場への早期提供を目指してまいります。

 

(臨床開発)

当社グループの臨床開発活動としては、免疫細胞治療のエビデンス構築を目指し、当社グループの契約医療機関を中心に大学病院や各地域の中核医療機関との共同研究活動を実施しております。当社の主な研究活動の役割としては、研究の企画、推進及びデータマネジメントの支援、免疫細胞の加工に係る基礎データの提供等を行うことであり、これらの活動を通して臨床研究の円滑な推進に努めております。さらに、臨床研究の免疫学的検査を適切に支援することで免疫細胞治療の効果予測因子の探索等にも積極的に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、前連結会計年度に引き続き、臨床エビデンスの構築を第一の目的とした国内の医療機関との共同臨床研究等を推進いたしました。なお、当連結会計年度において開始された臨床研究は以下のとおりであり、平成24年9月末日現在、以下の2件を含めて計18件の臨床研究(一部、解析研究も含む)が進められております。

・臨床研究

対象疾患: 進行・再発がん患者

対象治療: HSP105抗原ペプチドを用いた樹状細胞ワクチン

共同研究: 東京大学

対象疾患: 多発性骨髄腫

対象治療: ガンマ・デルタT細胞療法

共同研究: 日本赤十字社医療センター、順天堂大学

対象治療については、当社が技術・サービスを提供する契約医療機関で主に使用されている治療法名称で記しております。

 

以上の取り組みの結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は515,829千円となっております。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当連結会計年度の経営成績の分析

 ①売上高及び営業利益

 当連結会計年度の売上高は2,190,986千円(前年同期比483,203千円減、18.1%減)となりました。これは、前連結会計年度後半に減少した既存契約医療機関における細胞加工数については当連結会計年度後半は増加の傾向が見えたものの、当初期待したほどの回復には至らなかったこと、また、医療機関向け広報企画・支援サービスについては前連結会計年度に比べて受注が減少したこと等によるものです。

 売上原価は、新たにサービス提供を開始した九州地区、北陸地区の労務費、設備維持経費の増加等により前連結会計年度に対して4.5%増加し、1,038,448千円となりました。売上原価の売上高に対する比率は、売上原価の増加、売上高の減少による固定費割合の増加等により10.2ポイント増加し、47.4%となりました。その結果、売上総利益は前連結会計年度に対し31.4%減少し、1,152,538千円となりました。

 

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に対して6.1%減少し、1,863,670千円となりました。大学等との共同研究の増加等により、研究開発費は前連結会計年度に対して10.2%増加いたしました。当連結会計年度の販売費については、広報企画の効率化を図ったこと等により、前連結会計年度に対して32.6%減少しております。一方、基幹システムの入れ換えを行ったことから、同システムが安定的に稼働、運用されるまでの間のシステムサポート費用やネットワーク環境の整備費用が増加したこと等により、一般管理費については、前連結会計年度に対して4.2%増加しております。

 この結果、営業損失は711,132千円(前年同期は営業損失303,594千円)となりました。

 

 ②営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、前連結会計年度の49,865千円の損失(純額)に対し、当連結会計年度は609千円の収益(純額)となりました。これは、主に受取利息の増加(前年同期比12,768千円増)、為替差益8,021千円(前年同期は為替差損16,169千円)、投資事業組合運用損の増加(前年同期比8,786千円増)、及び株式交付費の減少(前年同期比19,632千円減)によるものであります。

 この結果、経常損失は710,523千円(前年同期は経常損失353,459千円)となりました。

 

 ③特別損益及び税金等調整前当期純利益

 特別損益は、前連結会計年度の25,161千円の損失(純額)に対し、当連結会計年度は95,189千円の利益(純額)となりました。これは、主に投資有価証券売却益の増加(前年同期比118,490千円増)、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額の減少(前年同期比20,630千円減)によるものであります。

 この結果、税金等調整前当期純損失は615,334千円(前年同期は税金等調整前当期純損失378,620千円)となりました。

 

 ④当期純利益

 法人税等については、「法人税、住民税及び事業税」11,115千円(前年同期比1,076千円増)、法人税等調整額△1,461千円(前年同期比155,329千円減)により、当期純損失は624,988千円(前年同期は当期純損失542,527千円)となりました。

  

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

 ①資産、負債及び純資産の状況 

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて710,526千円減少し、7,313,852千円となりました。流動資産は4,395,222千円と前連結会計年度末に比べ1,348,185千円減少しており、主な要因は現金及び預金の減少337,103千円、売掛金の減少173,797千円、有価証券の減少899,971千円です。固定資産は2,918,630千円と前連結会計年度末に比べ637,658千円増加しておりますが、これは有形固定資産の減少140,719千円、無形固定資産の増加40,573千円、長期貸付金の増加705,447千円等によるものです。
 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて146,572千円減少し、2,391,802千円となりました。そのうち流動負債は1,198,889千円で前連結会計年度末に比べて157,482千円減少しております。主な要因は、未払金の減少152,527千円です。固定負債は1,192,913千円と前連結会計年度末に比べて10,910千円増加しており、主な要因はリース債務の減少15,415千円、繰延税金負債の増加25,860千円によるものです。
 当連結会計年度末の純資産は、当期純損失624,988千円、その他有価証券評価差額金の増加61,034千円により前連結会計年度末に比べて563,954千円減少し、4,922,049千円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の68.4%から67.3%となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1,237,075千円減少し、当連結会計年度末には3,621,523千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動に使用した資金は337,537千円(前年同期は251,574千円の使用)となりました。

 主な増加は、減価償却費212,273千円、売上債権の減少173,797千円であり、主な減少は、税金等調整前当期純損失615,334千円、投資有価証券売却益118,502千円です。 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は884,462千円(前年同期は721,589千円の使用)となりました。

 主な支出は、有形固定資産の取得による支出128,142千円、無形固定資産の取得による支出104,315千円、長期前払費用の取得による支出130,000千円、長期貸付けによる支出700,000千円であり、主な収入は、投資有価証券の売却による収入192,595千円です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は15,075千円(前年同期は2,869,256千円の獲得)となりました。

 内訳は、リース債務の返済による支出15,075千円です。  





出典: 株式会社メディネット、2012-09-30 期 有価証券報告書