有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 

(1)業績

 当連結会計年度における我が国経済は、米国でのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安から急激に失速いたしました。また、株価の大幅な下落や急激な円高により企業収益が大幅に悪化するなど、先行きの不透明感が一層強まってまいりました。

 一方、医薬品業界におきましても、激しい国際競争の中で経営統合や合併等の再編が続いており、これらの合理化により生じた資金を研究開発に重点的に投入する傾向が一層顕著になってきています。

 このような流れの中で、当社グループが属するCRO業界は、引き続き成長を続けております。ことに治験モニタリング業務および品質管理業務において、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROに対する製薬会社の期待は高く、この意味でCRO業界でも淘汰が進んでおります。

 このような状況下、当社グループにおきましては、国内大手製薬会社からの治験業務受託件数は引き続き拡大いたしました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は2,036百万円(前年同期比59.9%増)、経常利益515百万円(同4.4%増)、当期純利益300百万円(同1.3%増)と増収増益となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、売上債権の増加等の減少要因もあったものの、税金等調整前当期純利益が515百万円(前年同期比2.7%増)と増加したこと等により、前連結会計年度末に比べて、32百万円増加し、当連結会計年度末には552百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は161百万円となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益515百万円が、売上高の増加に伴う売上債権の増加額171百万円及び法人税等の支払額274百万円を上回ったこと等によるものであります。 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は60百万円となりました。これは、主に差入保証金の差入による支出63百万円があったこと等によるものであります。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は65百万円となりました。これは、主に株式の発行による収入44百万円があったものの、株式公開費用の支払額30百万円及び配当金の支払額59百万円が上回ったこと等によるものであります。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 平成20年4月1日

至 平成21年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

    2,036,005

    159.9

合計(千円)

    2,036,005

    159.9

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

        3.当連結会計年度より事業を開始したCSO事業については、生産実績がないため記載しておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

    3,564,973

    212.6

    3,956,396

    169.1

合計

    3,564,973

    212.6

    3,956,396

    169.1

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

    2.当連結会計年度より事業を開始したCSO事業については、受注実績がないため記載しておりません。

    3.当連結会計年度末日後における受注の結果、提出日(平成21年6月29日)現在において、CRO事業の受注残高は3,260,092千円、CSO事業の受注残高は128,700千円になっております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 平成20年4月1日

至 平成21年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

    2,036,005

    159.9

合計(千円)

    2,036,005

    159.9

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成19年4月1日

至 平成20年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成20年4月1日

至 平成21年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

武田薬品工業株式会社

490,403

38.5

    658,067

    32.3

エーザイ株式会社

232,270

18.2

620,085

30.5

大塚製薬株式会社

462,358

36.3

    472,916

    23.2

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度より事業を開始したCSO事業については、販売実績がないため記載しておりません。

3【対処すべき課題】

 当社の経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、企業統合、買収等による研究開発費の投資効率を上げることを最大の眼目としております。関連して臨床試験の規模の拡大と国際化は避けられない状況となっております。このような状況に応じて、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
 当社グループにおきましては、設立から間もないこともあり、対処すべき課題は多岐に渡りますが、継続的な売上高及び利益率の拡大、それを支える内部管理体制の充実を図るため、以下の課題を柱として取り組み、成長を期してまいります。

 

(1)モニタリング業務の品質の向上・維持

 当社グループの主要な業務でありますモニタリング業務の品質を向上・維持することは、製薬会社との良好な信頼関係を構築し、経営基盤を安定化する上で最重要の課題であります。そのため、人事考課制度を含めたマネジメントシステム、研修システムのさらなる充実化、および品質管理部門や当社独自の組織であるプロジェクト・コミッティーの機能を強化することにより、モニタリング業務、引いては臨床試験の品質の向上・維持に努めてまいります。
 なお、プロジェクト・コミッティーとは、受託業務にかかる品質を担保するために設置されている社内の組織であり、受託した治験計画書に対して事前に当社グループとして特に留意すべき点の確認・指示を行い、また治験が開始されてからは入手した症例報告書(CRF)の記載内容について、科学的および医学・薬学的妥当性を第三者的観点で検討し、問題点・不明点をプロジェクト担当CRAにフィードバックする役割を果たすことを任としております。構成メンバーは、臨床試験を主体とする開発業務に精通した経験者および社外の医師から成り、全社的な品質の向上と標準化に貢献するものとなっております。 

(2)優秀な人材の確保

 モニタリング業務の受託を拡大するにあたり、その業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠であります。人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者を積極的に採用するとともに、CRAの適性を有する新卒者及び未経験者を見極め、採用を進めてまいります。 

(3)CRO事業の選択と集中による差別化

 従前と比較して、CROの位置づけは重要性を増し、医薬品開発業界において一定の評価を受けるに至ったものと考えております。しかしながら、特に大手製薬会社は高い品質を維持し、かつ、固定費削減のために医薬品開発業務のアウトソーシングを進めておりますが、その委託先には自らと同等の能力を有し、対等の立場で医薬品開発を実行・支援できるCROを求めているものと当社グループは考えております。
 従いまして、当社グループは経営資本の「選択と集中」を行い、医薬品開発の特定業務及び特定段階に特化してまいります。 

(4)財務基盤の安定化

 当社グループは、優秀なCRAを獲得・育成することにより、CRO事業の品質向上に努め、開発パイプライン(注)を数多く有しCROへのアウトソーシングを積極的に進めている大手製薬会社のニーズに応えてまいります。また、CRO事業を利益率の高いモニタリング業務等に特化し、高い収益性の確保を目指すとともに、予算実績管理及びコスト管理を徹底することにより内部留保の充実を図る方針であります。

  (注)「開発パイプライン」とは、製薬会社の医薬品開発初段階から販売間近の段階までの各フェーズに、ど のような開発段階にある医薬品が、どの程度存在するのかを示したものです。 

(5)日米欧の3極での事業展開

 前述のとおり、当社グループは特定業務への特化、治験段階の特化を推進することによって構築した治験の各業務における技術を、中長期的に日米欧の3極に展開することで、海外における研究開発に積極的な国内製薬会社に対して、日本国内と同水準のCRO事業を海外においても提供する方針であります。まずその足掛かりとして平成20年7月に米国現地法人(LINICAL USA,INC.)を設立し、当社グループの米国における臨床試験に対応できる体制造りを進めております。すでに、米国に拠点を有さない国内製薬会社の医薬品開発に係るコンサルティング業務も開始しております。 

(6)医薬品販売支援事業への展開 

 当社グループは、新規事業として、当連結会計年度より、製薬会社に対する医療機関向け医薬品販売支援事業(CSO事業)を開始しております。平成21年3月31日現在、CSO事業にかかる契約の締結には至っておりませんでしたが、その後、本書提出日現在までに、製薬会社との間で受託契約を締結し、その受託業務を開始しております。このCSO事業を継続的に拡大させるためには、医薬品販売の中心となる優秀な医薬品販売担当者の確保及び育成は必要不可欠であります。人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者を積極的に採用し、医薬品販売支援事業の品質の向上・維持に努めてまいります。

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。 

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。 

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

(1)特定の製薬会社への受託依存度の高さに関するリスク

 当社グループは、大手製薬会社に特化して取引を行っていく方針であり、結果として特定の製薬会社への依存度が相対的に高くなっております。平成20年3月期及び平成21年3月期における主要販売先への売上依存度は以下の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成19年4月1日

至 平成20年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成20年4月1日

至 平成21年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

武田薬品工業株式会社

490,403

38.5

    658,067

    32.3

エーザイ株式会社

232,270

18.2

620,085

30.5

大塚製薬株式会社

462,358

36.3

    472,916

    23.2

(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。 

 

 当社グループのこれまでの成長は、当社グループのモニタリング業務の品質が顧客である大手製薬会社に認められた結果であるものと考えております。

 しかしながら、特定の製薬会社への依存が継続し、他の製薬会社との業務受託案件に対して適切に人材を配置できない場合、または当社グループの顧客である製薬会社の合併・統合等により経営方針を転換した場合や、主要取引先が消滅した場合には、特定の製薬会社に特化するという当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 また、製薬会社が当社グループに委託中のプロジェクトの開発中止を決定した場合に、次のフェーズにおける治験の受託が不可能になること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(2)治験の事故等によるリスク 

 当社グループは日常よりCRAに対して継続的に研修を実施し、品質の確保に努めております。また、治験薬の副作用が生じた場合の直接の責任は製薬会社が負うことになりますが、当社グループを含むCRO業界が関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故が発生した際に当社グループが顧客への報告等、十分に対応できなかった場合において、治験受託件数が減少し、もしくは訴訟を受けることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 また、当社グループのCRAが関わった治験において、過失等により、治験標準業務手順書その他の規則の遵守を怠り、回収した症例報告書の有効性に問題があることとなった場合において、その治験の委託者である製薬会社に損害を与え、当社グループが損害賠償の責めを負うとき、または、委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときは、訴訟の提起や治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(3)CRO業界内の競争激化に関するリスク 

 当社の設立は平成17年でありますが、近年、当社グループが特定の業務、治験段階に特化するのと同様に特定の業務、治験段階、領域等に特化するCROが登場してきております。当社は設立以来、大手製薬会社から治験を継続して受託しており、業績は順調に推移しておりますが、当社グループと類似したビジネスモデルを有するCROの増加に伴う価格競争の激化により、受託契約価格の下落が起こった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(4)国内における治験の海外シフトに関するリスク 

 日本での新薬製造承認申請には、基本的に国内で実施した治験のデータが必要ですが、国内における治験は、欧米及びアジア等の海外と比較して被験者の治験への組み入れが難しいこと、厚生労働省の審査期間が長いこと、保管すべき書類が多いこと等の理由から、新薬の承認までの期間が長いと言われております。そのような状況を改善するため、厚生労働省及び文部科学省により「新たな治験活性化5ヵ年計画(注)」が策定され、国内における治験のスピードアップに向けた取り組みが図られております。 

 しかしながら、当該計画が実効性の低いものにとどまり、かつガイドラインに基づき海外治験データの国内申請時における利用が加速された場合には、国内で行われる治験数が減少し、当社グループの治験受託件数が減少することにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

  (注)「新たな治験活性化5カ年計画」とは、平成19年3月に文部科学省とともに厚生労働省が策定した「新たな治験活性化5カ年計画」のことを指します。同計画は、平成15年4月に策定された「全国治験活性化3カ年計画」の成果と課題を踏まえ、国民に品質の高い最先端の医療が提供され、国際競争力強化の基礎となる医薬品・医療機器の治験・臨床研究実施体制を確保するために、我が国における治験環境の充実を図り、医薬品の開発に資する魅力ある創薬環境を実現するために策定されました。

 

(5)製薬会社による治験の委託数減少のリスク 

 近年、研究開発のスピードアップと固定費の削減を目的とした医薬品開発業務のアウトソーシング化が加速し、ことに治験のモニタリング業務において、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROに対する製薬会社の高い期待を背景としてCRO業界は堅調に成長しており、今後ともこの傾向は続くものと当社グループは考えております。  

 しかしながら、当社グループの顧客である製薬会社の医薬品開発戦略の変更や治験の内製化等のアウトソーシングに係る方針転換等があった場合に、当社グループの治験受託件数が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(6)法改正及び法規制等に関するリスク 

イ.当社グループが属するCRO業界は、薬事法、薬事法施行令、薬事法施行規則及びそれらに関連するGCP等 の関連法令の規制を受けており、治験の各業務を受託するCROは、これらの法令を遵守し、治験によって得られた資料及びデータを顧客に提供する義務がありますが、これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約され治験の各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

ロ.当社グループが、受託するモニタリング業務の実施等において、関連する諸法令に対して重大な違反の事実があった場合には、製薬会社から信用を失うことにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)人材獲得に関するリスク 

 当社グループは、治験の各業務のうちモニタリング業務等に特化することにより、これまでの成長を実現してきたものと考えております。従いまして、当社グループの業務推進において即戦力となるCRA経験者や医学・薬学知識を有する要員の確保が必要不可欠であります。 

 これまでのところ、当社グループは人材獲得の面で大きな問題に直面はしておりませんが、製薬会社、薬局チェーン業界及びCRO業界等における人材獲得競争の激化、薬学部における6年制課程の導入による平成22年4月及び平成23年4月における新卒学生の大幅な減少等により、当社グループの計画どおりに人材を採用できない可能性があります。 

 モニタリング業務に必要な人材を確保できなかった場合、人材の教育・研修が遅れた場合、または他社からの人材引抜により当社グループの人材流出が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(8)人員増加に伴う品質の低下のリスク 

 当社グループは製薬会社からの治験受託件数を着実に増加させており、それに伴って受注残高も増加傾向にあります。当社グループでは、これまで大手製薬会社出身者を中心にこれらの業容拡大に対応してきましたが、更なる業容拡大に備えて必要な人員を積極的に採用しており、その中には新卒者その他のモニタリング業務未経験者を含んでおります。これら未経験者の大量採用を行うことにより、一時的な品質や稼働率の低下及び研修期間の人件費・研修費の負担により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 また、当社グループは、CRAに対して入社時のみならず入社後も継続的に研修を実施し、一定水準の品質のモニタリング業務の提供に努めておりますが、研修の遅延等により、これら大量採用を行ったモニタリング業務未経験者の育成が順調に進まない場合には、当社グループのモニタリング業務の品質の低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(9)創業役員への依存によるリスク 

 当社の社長をはじめとする常務取締役以上の役員は、当社の創業当時から当社の設立に深く関与し、その後も当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社では、営業会議やリーダー会議を通して役員以下部門長その他の管理職への情報の共有、技術の継承及び組織の強化を図り、創業役員に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由によりこれらの創業役員が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)社内管理体制について 

 当社は平成21年3月31日時点において取締役7名、監査役3名並びに従業員132名と組織が小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い人員増加を図る方針であり、内部管理体制もこれに合わせて強化させていく予定ですが、事業の拡大や人員の増加に対して適切かつ十分な組織対応ができなかった場合には、当社グループの事業遂行及び拡大に制約が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

(11)情報の流出によるリスク 

 当社グループを含むCRO業界が関わった治験にかかる個人情報の流出によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験にかかる個人情報の流出により製薬会社から信用を失った場合において、治験受託件数の減少や、訴訟の提起により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが関わった治験にかかる症例報告書等の機密情報について、その情報の流出があった場合において、当社グループが委託者である製薬会社から損害賠償の責めを負うとき、または、その情報の流出により委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときには、訴訟の提起、もしくは治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

(12)業歴が浅いことについて 

 当社は平成17年6月の設立から間もないため、期間業績比較を行うための十分な実績数値を得ることができません。したがって、当社の過年度の経営成績は、当社の今後の売上高、利益等の成長性を判断する材料としては不十分な面があります。  

  

 平成18年3月期

(単体) 

平成19年3月期

(連結) 

平成20年3月期

(連結) 

平成21年3月期

(連結) 

 売上高(千円)

      118,659

     613,479 

    1,273,038 

2,036,005

 経常利益(千円)

       19,134 

     195,920 

     494,162 

 515,992

 当期純利益(千円)

       11,921 

     114,534 

     296,584 

 300,478

(注)当社は、平成19年3月期より連結財務諸表を作成しているため、平成18年3月期については単体決算数値を記載しております。 

 

(13)海外進出によるリスク 

 当社は、将来的に、国内の製薬会社が米国において実施する治験の各業務を受託することを目的とした現地法人(LINICAL USA,INC.)を平成20年7月に米国カリフォルニア州に設立しております。なお、同法人の設立当初においては、国内の製薬会社の米国進出を支援する事業を行っており、その後は国内大手製薬会社の海外での治験受託を行うことを予定しております。今後、当事業を拡大するにあたって追加的な出資を行う場合や計画通りに事業が進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 

 

5【経営上の重要な契約等】

   該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態及び経営成績の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日(平成21年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

 当社グループは、当第2四半期連結会計期間より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度末との比較に替えて、前事業年度末との比較を行っております。

① 資産の部

 当連結会計年度末における資産合計は1,255百万円となり、前事業年度末と比較して323百万円の増加となりました。これは、主に受注の拡大に伴う売掛金、リース会計基準の適用に伴うリース資産及び差入保証金の増加によるものであります。 

② 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は339百万円となり、前事業年度末と比較して48百万円の増加となりました。これは、主にリース会計基準の適用に伴うリース債務の増加等によるものであります。 

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は916百万円となり、前事業年度末と比較して275百万円の増加となりました。これは、主に利益剰余金の増加及び公募増資による資本金及び資本準備金の増加並びに自己株式の取得によるものであります。 

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、国内大手製薬会社を中心とした医薬品開発業務受託拡大の結果、前連結会計年度に比べ762百万円増加し、2,036百万円となりました。

② 売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ408百万円増加し、912百万円となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ310百万円増加し、573百万円となりました。

④ 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ44百万円増加し、549百万円となりました。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、主に株式公開費用30百万円などを計上したものの、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ21百万円増加し、515百万円となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ13百万円増加し、515百万円となりました。

⑦ 当期純利益

 当連結会計年度の当期純利益は、主に法人税、住民税及び事業税220百万円などを計上したものの、前連結会計年度に比べ3百万円増加し、300百万円となりました。

(4)経営戦略の現状と見通し

 国内におきましては、当社が属するCRO業界の市場規模は引き続き成長を続けております。当社といたしましては、これらの状況を踏まえて、今後とも治験の主たる段階であるフェーズⅡ、Ⅲにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化し、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROとして、顧客への期待に応えていく所存でございます。

 そのためには、モニタリング業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠となっております。CRAの人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者の積極的な獲得及びCRAの適性を有する新卒者、未経験者の採用を進めるとともに、採用したCRAに対して、入社時には相当の研修期間を設け、また、入社後も継続的に研修を実施することにより、モニタリング業務の品質の向上を常に図っております。

 また、米国における治験の市場規模は国内と比較して非常に大きいといわれており、米国へ進出することにより、事業の拡大に努めていく方針であります。米国においても日本国内と同水準のCRO事業を提供するために、まずその足掛かりとして平成20年7月に米国現地法人(LINICAL USA,INC.)を設立し、当社グループの米国における臨床試験に対応できる体制造りを進めており、すでに、米国に拠点を有さない国内製薬会社の医薬品開発に係るコンサルティング業務も開始しております。

 さらに、当社グループは、新規事業として、製薬会社に対する医療機関向け医薬品販売支援事業(CSO事業)を開始しており、本書提出日現在、製薬会社との間で受託契約を締結し、その受託業務を開始しております。 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動により獲得した資金が、投資活動により使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べて、32百万円増加し、当連結会計年度末には552百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は161百万円となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益515百万円が、売上高の増加に伴う売上債権の増加額171百万円及び法人税等の支払額274百万円を上回ったこと等によるものであります。 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は60百万円となりました。これは、主に差入保証金の差入による支出63百万円があったこと等によるものであります。 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は65百万円となりました。これは、主に株式の発行による収入44百万円があったものの、株式公開費用の支払額30百万円及び配当金の支払額59百万円が上回ったこと等によるものであります。 

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、企業統合、買収等による研究開発費の投資効率を上げることを最大の眼目としております。関連して臨床試験の規模の拡大と国際化は避けられない状況となっております。応じて、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。 

 当社グループでは、特定の領域、受託業務、治験段階に特化し、国内大手製薬会社と同等の立場で医薬品開発を実行・支援できる知識・技術・経験を有するCROを「CDO(Contract Development Organization)」と称しております。当社グループは前述した製薬会社の要求に応えるため、治験の主たる段階であるフェーズⅡ、フェーズⅢにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化したCDOを目指し事業展開を行う方針であります。





出典: 株式会社リニカル、2009-03-31 期 有価証券報告書