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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当事業年度における世界経済は、欧州においては域内の意思統一が図れず、政府債務危機が政策対応の遅れから深刻化したため景気悪化が進行しました。一方、中国等の新興国は、金融引締め政策から緩和策に方向転換したものの欧州の景気悪化の影響を回避できるまでには至りませんでした。米国においては、金融緩和策を継続し景気のてこ入れを行ったことから緩やかな成長となりましたが、全体的には欧州の影響が大きく景気後退及び信用不安の連鎖により厳しい状況でした。

我が国経済においては、大幅な円高による輸出の減少や電力問題等による国内需要の停滞もありましたが、金融緩和の継続や復興需要の影響等もあり緩やかながらも成長を維持しました。

当事業年度における当社を取り巻く環境は、このような世界経済・我が国経済の動向に加え前年度の震災の影響もあり、販売数量は増加いたしましたが、世界的な信用不安によるリスクオフの動きから商品市場が下落し厳しい結果となりました。

この結果、当事業年度の売上高は486億5百万円(前事業年度比9.5%減)、営業利益は1億20百万円(同95.1%減)、経常利益は59百万円(同97.3%減)、当期純損失は37百万円(前事業年度は当期純利益12億51百万円)となりました。品目別では、インゴット売上高は197億1百万円(同15.5%減)、スクラップ売上高は283億60百万円(同4.5%減)、その他売上高は5億43百万円(同18.4%減)となりました。

なお、当社はインゴットの製造・販売及びスクラップの加工・販売を行う非鉄金属事業を主たる事業としており、その他の事業の開示情報としての重要性が乏しいと考えられることから、セグメント情報の記載を省略しております。

 

(2)キャッシュ・フロー

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、15億62百万円(前年同期比1億36百万円増、9.5%増)となりました。主な要因といたしましては、税引前当期純利益は26百万円(前年同期比22億25百万円減、98.8%減)、売上債権の減少による収入10億58百万円、たな卸資産の減少による収入16億2百万円などの収入と税金の支払による支出7億60百万円、有利子負債の減少による支出16億62百万円などによるものです。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は23億77百万円(前事業年度は10億42百万円の支出)となりました。主な収入としては非鉄金属価格の下落による売上債権の減少による収入10億58百万円、たな卸資産の減少による収入16億2百万円、主な支出は税金等の支払額7億60百万円による支出が発生したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2億85百万円(前事業年度は50百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2億22百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は19億11百万円(前事業年度は4億3百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純減額11億63百万円、長期借入金の借入5億円に対し、長期借入金の返済による支出9億29百万円、配当金支払による支出2億49百万円によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

当社はインゴットの製造・販売及びスクラップの加工・販売を行う非鉄金属事業を主たる事業としており、非鉄金属事業の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいと考えられることから、セグメント情報の記載を省略しているため、生産、受注及び販売の状況については、品目別に記載しております。

 

(1)生産実績

当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成23年9月1日

至 平成24年8月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

インゴット

19,056,507

79.5

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.スクラップについては、選別、プレスといった加工作業を主としており、生産実績がないため記載を省略しております。

4.その他については生産実績はございますが、金額が僅少であるため、記載を省略しております。

 

(2)受注状況

当社は受注生産と見込生産を併用しており、両者を明確に区別することが困難であること、また、非鉄金属相場等の市況は日々変動し期末日時点における受注高及び受注残高を合理的に算定することが困難であることから、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自 平成23年9月1日

至 平成24年8月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

インゴット

19,701,508

84.5

スクラップ

28,360,603

95.5

その他

543,847

81.6

合計

48,605,959

90.5

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成22年9月1日

至 平成23年8月31日)

当事業年度

(自 平成23年9月1日

至 平成24年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

現代重工業(韓国)

6,666,901

12.4

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

3.当事業年度における総販売実績に占める現代重工業(韓国)の割合は10%未満であるため、記載を省略しております。 

 

3【対処すべき課題】

(1) 現状の認識について

当社を取り巻く外部環境は、欧州の政府債務危機が深刻化し、欧州の景気後退による悪影響が世界的に広まったこ
とから、中国をはじめ新興国における金融引締めから金融緩和策への変更や米国における緩和策の継続など景気拡大のための施策が講じられたものの厳しい状況が続きました。我が国においては、長引く円高や電力問題などがあり不透明感はあったものの金融緩和の継続や復興需要の影響等もあり緩やかながらも成長を維持しました。

以上のような状況のなか、当社の主力商品である銅市況は、世界的な信用不安の高まりからリスクオフの動きが強
まり低調に推移いたしました。

今後も、欧州の政府債務危機問題や米国の「財政の崖」問題、中国の景気低迷の長期化など攪乱要因はあるもの
の、世界的な信用不安の連鎖及び景気後退からの脱却を図るために、危機回避への世界的な対応がとられつつありま
す。

また、中長期的にみた場合には、新興国を中心としたインフラ整備による資源需要や世界的な環境意識の高まりは
趨勢的に増加していくものと思われることから、当社の企業としての役割は増大していくものと考えられ、以下の課
題を克服することによって最適事業ポートフォリオを確立したいと考えております。

(2) 当面の対処すべき課題、対処方針及び取組状況の内容

①優秀な人材の確保

当社は、非鉄金属スクラップを世界及び日本全国から集荷し、それを材料に各種インゴットを製造し販売している事業と、集荷したスクラップを選別・加工し販売する事業を主に行っており、あらゆる産業分野の基幹素材としての幅広いニーズに応えております。近年の多種多様な合金開発、市況の変化や営業戦略の多様化など当社を取り巻く環境の変化に迅速に対応していくためには、海外営業や商品市場取引等に精通した人材確保が必要であります。

そのために、採用制度の多様化を図り、中途採用と新卒採用の併用を行いながら、入社後の研修制度の整備を初めとして、人材育成制度の強化を行います。また、公平な人事制度の確立を目指すとともに、魅力ある職場作りの一環として福利厚生制度の充実も図っていきます。

 

②海外市場への進出

我が国においては、長引く円高や電力問題等から工場の海外移転が進んでおり、また、少子高齢化の進行で今後の大きな成長が見込めない環境となっております。

一方、新興国をはじめとした海外では、今後の成長が期待できる市場が数多くあり、当社の成長には、海外戦略が重要であると考えております。

以上のことから、当社では、まず世界最大の市場である米国に当社初の拠点を平成24年7月に設立いたしました。今後は、米国現地法人の業務拡大を図るとともに、アジア地域での更なる営業力の強化を図るべく現地法人の設立や現地企業との業務提携等を行うことによって業容拡大を目指してまいります。

 

③リスク管理体制の強化

当社の取り扱っている製・商品は、非鉄金属相場や為替相場等に大きく影響を受けます。特に、近年の新興国等のインフラ整備拡大の影響による非鉄金属需要の増大に加え、投機資金の流入もあって、非鉄金属価格の変動率は高くなっております。また海外需要の高まりから輸出取引が増える傾向があることや、国内でのスクラップの発生量及び流通量が減少傾向にあることから、輸入取引も増加する可能性が高まっております。

このように、当社を取り巻く状況は大きく変化してきており、特に市場リスクの管理が重要になっております。

このため、ロンドン金属取引所(LME)や為替取引等、ヘッジ手段の多様化を図ることによって、市場リスクの低減をすすめ、また市場関連知識を持った人材の採用や育成を行います。

具体的取り組みとしては、ロンドン金属取引所(LME)での先物取引や夜間の変動に対応するため外国為替証拠金取引を行いリスクヘッジを行っています。

また、本年初めて海外現地法人を設立したことから、海外拠点の管理体制の整備強化を行っております。

 

④事業分野の拡大

当社は、銅系商品を中心とした製品を中心に事業展開を行っておりますが、更なる業容拡大のためには、銅系以外の分野の強化が必要であります。

そのために、銅系以外の分野に強い人材育成や銅業種に強い業者との関係強化が必要です。

現状、必要知識の修得や銅系以外の集荷を重点項目として営業活動を行っており、今後も銅系以外の分野の取扱量の拡大を目指します。

また、美術工芸事業では、企画型営業に注力し、販路拡大のためディズニーキャラクター等を用いた製品の開発にも力を入れており、ビジネスチャンスの拡大に努めております。当社全体における美術工芸事業のシェアは非常に小さいものではありますが、今後も、市場・顧客に対し存在感のある製品を提供し、更なる事業拡大に努めていく予定です。

 

4【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 原材料の調達について

当社は、原材料を国内外の複数の調達先を確保することで安定的な調達を行うよう努めています。しかしながら、市況環境の大幅な変化による発生量や流通量の減少から市場の需給環境が引き締まった結果、適正価格での調達難、調達不足からの大幅な仕入価格の上昇、生産活動への支障が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 顧客が属する業界の需要動向について

当社製品の主要な顧客は、造船業界、住宅販売、設備関連産業に属しています。したがって、当社製品は、上記業界の非鉄金属に対する需要動向に大きく影響される可能性があります。今後何らかの要因で非鉄金属に対する需要が落ち込んだ場合には、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 特定の販売先への集中

平成24年8月期において、当社売上高に占める三菱マテリアル株式会社、現代重工業(韓国)、ナカシマプロペラ株式会社及びJX日鉱日石金属株式会社4社合計の売上高比率は35.7%であります。

各社とは長期的な取引関係を継続しておりますが、何らかの理由により、取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等があった場合には、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等

当社の取扱い品目の価格は、毎日の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けます。そのため価格変動リスク及び為替変動リスクのマネジメントは当社にとって非常に重要であります。

平成20年9月から平成24年8月までのロンドン金属取引所銅相場(LME銅キャッシュ月中平均)及び為替相場

(TTM月中平均)は下記の通りであります。

  

H20.9〜H21.8 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

6,991

4,926

3,717

3,072

3,221

3,315

3,750

4,407

4,569

5,014

5,216

6,165

為替相場(ドル/円)

単位:円

106.82

100.58

96.85

91.53

90.41

92.43

97.98

99.12

96.28

96.57

94.51

94.91

 

H21.9〜H22.8 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

6,196

6,288

6,676

6,982

7,386

6,848

7,463

7,745

6,838

6,499

6,735

7,284

為替相場(ドル/円)

単位:円

91.53

90.36

89.22

89.57

91.22

90.37

90.52

93.41

91.69

90.92

87.75

85.50

 

H22.9〜H23.8 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

7,709

8,292

8,470

9,147

9,556

9,858

9,531

9,483

8,927

9,045

9,619

9,041

為替相場(ドル/円)

単位:円

84.45

81.93

82.54

83.45

82.66

82.54

81.81

83.44

81.23

80.56

79.51

77.27

 

H23.9〜H24.8 

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

8,314

7,347

7,551

7,567

8,043

8,422

8,457

8,259

7,919

7,420

7,589

7,492

為替相場(ドル/円)

単位:円

76.88

76.75

77.60

77.88

76.98

78.40

82.46

81.55

79.75

79.30

79.02

78.68

(データ出典 LME銅:ロンドン金属取引所  為替相場:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

①非鉄金属相場の影響

海外取引(仕入及び販売)は、ロンドン金属取引所(LME)の価格を基準として刻々と変化します。

国内取引(仕入及び販売)は、国内建値(ロンドン金属取引所(LME)×TTS+諸費用)を基準として日々変化します。取引先との価格の決定方法としては、当月平均、前月平均、固定価格等、様々な決め方はありますが、LME価格は、それら全ての基準となっております。従って、原材料の在庫評価額の変動リスクに加えて、非鉄金属相場の変動による利鞘の変動リスクが存在し、業績に影響を与える可能性があります。特に最近は、商品市場への投機資金の流入により価格の変動率は大幅に高まっており、リスク量は増大しております。

このためロンドン金属取引所(LME)先物等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社の業績が大きな影響を受ける可能性があります。

 

②為替相場の影響

当社が取り扱っている製品の輸出重量比率は平成21年8月期43.5%、平成22年8月期35.0%、平成23年8月期27.2%、平成24年8月期29.1%、また輸入重量比率は、平成21年8月期17.6%、平成22年8月期24.2%、平成23年8月期24.0%、平成24年8月期22.4%と高い水準となっているため、為替変動の影響を受けます。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社の業績が大きな影響を受ける可能性があります。

 

③業績の大幅な変動

当社業績は、平成21年のリーマンショックによる世界的不況の影響等で、平成21年8月期の売上高が半減いたしましたが、市況が大幅に変化した場合は、業績の大幅な変動が起こる可能性があります。 

 

(注)TTM:電信中値相場

TTS:対顧客電信売相場 

 

(5) 有利子負債

平成24年8月期末において、当社の有利子負債は50億円、総資産に対する割合は36.8%となっております。当社は、財務体質の改善に努力いたしておりますが、今後の金利動向が当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 法的規制について

当社は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づいて、産業廃棄物保管基準に則った保管を行い、産業廃棄物処理業者に収集運搬及び処理を委託しています。廃棄物処理法における(不適切な産業廃棄物の保管、委託処理に係る契約書の未作成、マニフェスト虚偽記載等)一定の要件に抵触した場合、行政処分等がなされる可能性があり、当社の風評、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

また、国内事業所において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律などの環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌等の汚染防止に努めておりますが、関連諸法令の改正・強化によって、当社において新たな管理費用・処理費用負担が求められる可能性があります。

さらに、当社が製造、販売する一部の製品には、製造過程で毒物及び劇物取締法の対象となる薬品が使用されております。その管理については、法令を遵守するとともに当社の環境マネジメントマニュアルに従い、廃液流出や盗難、労災事故等への対応を行っておりますが、万が一、使用、保管上の不測の事態の発生や天災、火災等の事故があった場合、環境汚染を招く可能性があり、当社の風評、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) カントリーリスク

当社は、輸出重量比率が29.1%(平成24年8月期)、輸入重量比率が22.4%(平成24年8月期)と高いことから、取引先の各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律または規制の変更並びにそれらの解釈の相違等により、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

 

(8) 設備事故等

当社は、多くの生産設備等を有しており、運転・保守管理と設備安全化の両面から労働災害及び生産設備等の事故防止の徹底を図っておりますが、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社の業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(9) テロ、戦争、事故、地震など自然災害について 

当社は、北陸地区における大規模な自然災害や、当社の製造施設における事故等が発生した場合、製造設備等への損害、生産活動の停止、取引先や製造施設近隣住民への補償等により、当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社の主要取引先の地域での地震等の大規模な自然災害で、主要取引先の生産活動が停止した場合や広いエリアでの災害のため、経済全体が大きく減速した場合にも営業活動(仕入及び販売)が困難になることで当社の経営成績が影響を受ける可能性があります。

非鉄金属の鉱山が多い地域での地震、テロ、戦争などが起こった場合も、非鉄金属の供給及び価格に大きく影響を及ぼすことから、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。 

 

6【研究開発活動】

 当社は循環型社会に対応していくため、既存事業の領域拡大を目指した活動を今後も事業の中心としていくべく研究開発を進めております。具体的にはインゴットでは、銅を主体とした銅合金の開発、スクラップではレアメタルリサイクル技術の開発であります。

 現状は、取引先の新商品開発のための鋳造試験や成分分析などによる協力が中心であり、自社においては一部実験等を行ってはいるものの、主として関連情報の収集・調査が主体であるため、研究開発費は発生しておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。当社は、財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社は、特に以下の重要な会計方針に関して、使用される当社の重要な判断、見積りが当社の財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えております。

 

たな卸資産の評価減

当社は、たな卸資産の市場需要に基づく将来の消費見込みまたは販売見込み並びに市場状況に基づく時価の見積額を測定し、たな卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。実際の市場における将来需要または時価が当社の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

有形固定資産及び無形固定資産の減損

当社は、減損会計を適用しておりますが、減損損失を認識する有形固定資産及び無形固定資産は存在しておりません。しかしながら、減損損失の判定を行う事業単位において、損益状況の悪化や事業内容の変化によって減損等の処理が必要となる状況が生じた場合には、償却、減損損失もしくは除却損等の追加が必要となる可能性があります。

 

投資有価証券の減損

当社は、取引金融機関や販売先あるいは仕入先など取引会社の株式を保有しております。これらの株式のうち、上場株式では株式市場の価格変動リスクを負っているため、決算期末日の時価が取得価額から50%以上下落した場合には減損を認識いたします。また、決算期末日の時価が取得価額から30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性の判定を合理的な基準に基づき行い、回復する見込みがあると判断したものを除き、減損を認識いたします。非上場株式では投資先の純資産額における当社持分額が取得価額の総額より50%以上下落した場合に、減損を認識いたします。保有株式の時価評価額の下落により、投資有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(2) 財政状態の分析

当事業年度末の資産につきましては、資産合計136億53百万円と対前年同期比28億1百万円減少いたしました。主な要因といたしましては、非鉄金属相場の価格下落による売上債権の減少10億58百万円、たな卸資産の減少16億2百万円によるものです。 

負債につきましては、負債合計67億53百万円と対前年同期比25億4百万円減少いたしました。主な要因といたしましては、有利子負債の減少16億62百万円と未払法人税等の減少7億64百万円によるものです。

純資産につきましては、純資産合計69億円と対前年同期比2億96百万円減少いたしました。主な要因といたしましては、当期純損失37百万円の計上と配当による利益剰余金の減少2億50百万円によるものです。

 

(3) 経営成績の分析

当事業年度の売上高は前年同期比9.5%減の486億5百万円と減収となり、経常利益は同97.3%減の59百万円、当期純損失37百万円を計上するに至りました。

 

売上高

当事業年度の売上高は、インゴット売上高で197億1百万円(前年同期比15.5%減)、スクラップ売上高で283億60百万円(前年同期比4.5%減)、その他売上高で5億43百万円(前年同期比18.4%減)となり売上高合計で486億5百万円(前年同期比9.5%減)となりました。

インゴット売上高は、販売量が前年同期比0.5%減少とほぼ同水準でしたが、市況環境の悪化により販売金額では前年同期比15.5%減少いたしました。また、スクラップ売上高は販売量が前年同期比11.4%増加いたしましたが、市況環境の悪化により販売金額は前年同期比4.5%減少いたしました。 

 

売上総利益

売上総利益は、前年同期比22億84百万円減少し13億44百万円となり、売上総利益率については前年同期比4.0ポイント下落し2.8%となりました。主な要因としては、期初における非鉄金属相場の下落が東日本大震災による電力問題の懸念から積み増した前期末在庫に大きく影響を与えたこと、さらに第4四半期に再び非鉄金属相場の下落が発生したことで利益の確保が困難であったためです。

 

営業利益

販売費及び一般管理費は、前年同期比26百万円増加し12億24百万円と前年同期比2.2%の増加となりました。その結果、営業利益は売上総利益の大幅減少により前年同期比95.1%減、23億10百万円減少の1億20百万円となりました。

 

営業外収益及び費用

営業外収益は、助成金収入、受取保険金の増加により前年同期比17百万円増加の35百万円となりました。一方、営業外費用は、株式公開費用、デリバティブ運用損がなくなり、借入金や社債の利息が大幅に縮小したこと等により、前年同期比1億5百万円減少し96百万円となりました。

 

経常利益

経常利益は、営業外損益の大幅な改善はあったものの、営業利益の大幅な減少により前年同期比97.3%減の59百万円となりました。これに伴い、売上高経常利益率は前年同期比4.1ポイント下落し0.1%となりました。

 

特別損益

特別利益は、固定資産売却益の6百万円、特別損失は、主に株式市場の低迷による投資有価証券評価損39百万円であります。

 

法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計額は、前年同期比9億36百万円減少し、63百万円となりました。

 

当期純損失

以上の結果、当期純損失が37百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、15億62百万円(前年同期比1億36百万円増、9.5%増)となりました。主な要因といたしましては、税引前当期純利益は26百万円(前年同期比22億25百万円減、98.8%減)、売上債権の減少による収入10億58百万円、たな卸資産の減少による収入16億2百万円などの収入と税金の支払による支出7億60百万円、有利子負債の返済による支出16億62百万円などによるものです。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

営業活動の結果得られた資金は23億77百万円(前事業年度は10億42百万円の支出)となりました。主な収入としては非鉄金属価格の下落による売上債権の減少による収入10億58百万円、たな卸資産の減少による収入16億2百万円、主な支出は税金等の支払額7億60百万円による支出が発生したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2億85百万円(前事業年度は50百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2億22百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は19億11百万円(前事業年度は4億3百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純減額11億63百万円、長期借入金の借入5億円に対し、長期借入金の返済による支出9億29百万円、配当金支払による支出2億49百万円によるものです。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク (4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等」に記載のとおり、当社の取扱い品目が、日々の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けるため、これら二つの市場の相場変動により大きな影響を受ける可能性があります。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

上記のように、当社の当事業年度の業績は、上半期は、前期末に電力問題等から供給責任を果たすために在庫を積み増したものの、前期末からの銅価格の急落で大幅な在庫評価損が発生したことにより赤字計上となりました。第2四半期以降にいったん回復傾向を示したものの第4四半期に再度、市況環境が悪化し、加えて物不足による売り渋りから利鞘も悪化したことにより厳しい結果となりました。

当事業年度のインゴット事業に関しましては、当社の主力製品であります大型船舶用スクリューの原材料でありますアルミ青銅販売量は、世界経済の悪化による海運業界の荷動きの悪化及び新造船の竣工による需給ギャップ拡大から前年同期比微減となりました。一方、住設関連用材料である青銅系に関しましては、微増となったことからインゴット全体では前年同期比ほぼ横ばいの結果となりました。

スクラップ事業に関しましては、銅鉱石の品位低下により製錬向けの山行銅の需要が増加したことから、海外需要増と相まって販売量は増加いたしました。

当社としてはこのような状況の下、インゴット事業では住設関連用材料の販売拡大に重点を置くとともに、製造コストの削減を行いながら、銅合金の取扱品目を増やすことにより顧客ニーズの拡大を図っております。スクラップ事業に関しましても、ニッケル系やアルミ系などの取扱い品目の増加を目指すとともに、銅系の調達力を強化し「銅のクロタニ」としての基盤強化を図ってまいります。その一環として当事業年度当社初めての海外現地法人を米国のポートランド市(オレゴン州)に設立いたしました。

以上のことから、当社計画では、スクラップ事業にやや重点を置いた計画となっておりますが、主力事業のバランスは維持しながら安定した収益を確保できる体制を構築してまいります。

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資金調達としては、運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)、長期借入金及び無担保社債による調達を基本とし、不足が生じる場合には調達コストも考慮し、短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には、長期借入金による調達で賄っております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。

長期資金の調達に際しては、金利動向並びに発行費用等の調達コストも含めて総合的に検討し、銀行借入に比較して有利な条件に限り、社債発行を行うこととしております。また、株式の発行に関しては、資本政策に基づき、株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。

資金の流動性については、利益の確保に加え、棚卸資産管理及び売掛債権の管理を行うことにより、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的確保に努めております。 

 

(8) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。

当事業年度は、欧州債務危機によって世界的な信用不安・景気悪化が広まり、当社製品への需要低下、市況悪化による価格低下から厳しい環境でした。

近年、世界的な資源需要の高まりや投機資金の流入から価格変動が大きくなっており、市況変動リスクをはじめとしたリスク管理体制の構築が急務であり、在庫管理の強化やグループ全体での安定的調達基盤の確立、ヘッジ手段のノウハウの取得等を進めてまいります。また、北米や東南アジア等の事業基盤の充実化を図り、機動的な資本戦略の実行や財務体質の強化により安定的な収益を確保できる体制構築を目指します。

 





出典: 黒谷株式会社、2012-08-31 期 有価証券報告書