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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度における世界経済は、米国は堅調に推移したものの、中国を始めとした新興国や資源国において減速感が強まったことで、予想以上に低調に推移いたしました。特に9年半ぶりの米国の金利引上げや大幅な原油安は、資源価格の下落・世界同時株安を誘発し、各市場に負の連鎖を引き起こしました。各国の政策期待から過度の警戒感は後退したものの英国のユーロ離脱や米国の利上げへの思惑、中国の不良債権問題など、新たな世界経済への攪乱要因が出てきました。

このような世界経済の動きから、我が国経済も調整を余儀なくされデフレからの脱却が厳しい状況となっています。特に、年度後半からの日米金融政策への期待感の剥落による大幅な円高は、我が国固有の懸念材料として先行き不透明感を強めています。

また、当社グループの主力取扱商品である銅価格は、ロンドン金属取引所の銅先物3カ月物価格で2009年7月以来の安値を付け、期初高・期末安と期を通して下落基調となりました。加えて、為替レートもドル安・円高基調となったことで円価格ベースではドル価格ベース以上の下落となり、厳しい相場環境で推移いたしました。国内原材料の発生減・市況下落による流通量減などによる需給バランスの逼迫や造船業界の低迷による利鞘の縮小は前年度よりも更に悪化したこともあり、収益面でも非常に厳しい状況となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は429億55百万円、営業損失は5億92百万円、経常損失は4億58百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は3億89百万円となりました。セグメントの業績は次のとおりであります。

①非鉄金属事業

銅価格の下落、国内スクラップの需給悪化から調達環境が厳しく、コストが上昇した中で、販売面では造船業界の不振もありインゴットは低調な結果となりました。一方スクラップに関しては、銅鉱石の銅分補填として製錬向け故銅の需要が増大し、販売数量が増加したものの相場下落の影響が大きく当連結会計年度の売上高は424億6百万円となりました。

非鉄金属事業の品目別売上高は、インゴット売上高は157億67百万円、スクラップ売上高は264億90百万円、その他売上高は1億48百万円となりました。

②美術工芸事業

仏像・仏具、キャラクター製品の金の電鋳品が好調に推移したことから当連結会計年度の売上高は5億49百万円となりました。

なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。

(以下、「(2)キャッシュ・フロー」、「2 生産、受注及び販売の状況」及び「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても同じ。)

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高から5億14百万円減少した12億29百万円となりました。

主な要因といたしましては、売上債権の減少4億14百万円、仕入債務の増加1億46百万円などによる収入に対し、税金等調整前当期純損失が4億58百万円、たな卸資産の増加による支出3億13百万円及び配当金の支払による支出1億7百万円などによるものです。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は3億11百万円となりました。これは主に売上債権の減少4億14百万円、仕入債務の増加1億46百万円、減価償却費1億76百万円などの収入に対し、税金等調整前当期純損失4億58百万円、たな卸資産の増加3億13百万円、利息の支払61百万円及び法人税等の支払56百万円などの支出が発生したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は11百万円となりました。これは主に投資有価証券の売却1億42百万円などの収入に対し、有形固定資産の取得1億40百万円などの支出が発生したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2億12百万円となりました。これは主に長期借入金12億円の借入による収入に対し、短期借入金の純減額1億91百万円、長期借入金の返済11億13百万円及び配当金の支払1億7百万円などの支出が発生したことによるものです。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品目別

当連結会計年度

(自 平成27年9月1日

  至 平成28年8月31日)

前年同期比(%)

非鉄金属事業(千円)

インゴット

15,643,987

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.スクラップについては、選別、プレスといった加工作業を主としており、生産実績がないため記載を省略しております。

4.美術工芸事業については、記載を省略しております。

 

(2)受注状況

非鉄金属事業は受注生産と見込生産を併用しており、両者を明確に区別することが困難であること、また、非鉄金属相場等の市況は日々変動し期末日時点における受注高及び受注残高を合理的に算定することが困難であることから、記載を省略しております。

また、美術工芸事業については、受注生産と見込生産の明確な区分が困難であることから、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年9月1日

  至 平成28年8月31日)

前年同期比(%)

非鉄金属事業(千円)

42,406,408

美術工芸事業(千円)

549,115

合計

42,955,523

(注)1.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 平成27年9月1日

  至 平成28年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

住友金属鉱山株式会社

10,176,228

23.7

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

3【対処すべき課題】

(1) 当社グループの現状の認識について

当社グループの業績は、米国、欧州、我が国などの先進国や中国をはじめとした新興国の経済動向に左右されます。また、世界的な銅の需給動向、銅相場や為替相場の影響も大きく受けます。

近年、各国の経済動向は、順調な米国経済、停滞する欧州経済、そして底堅い日本経済と先進国はマチマチな状況で推移しています。一方新興国は、中国が減速感を強めており、また他の新興国も米国利上げによる金融不安、資源安などから成長が鈍化しており、世界経済全体では、不安定感が増大しております。

また、銅市況に関しましては、銅鉱石の余剰要因がある一方、国内のスクラップ発生減による需給のタイト化等、需給動向や市況変動への思惑が増大しており、銅固有の不安定要因から先行きの見通しが厳しくなってきております。しかしながら、中長期的にみた場合には、経済動向、市況環境に大きく影響を受けるものの、新興国を中心としたインフラ整備による資源需要や世界的な環境意識の高まりは趨勢的に増加していくものと思われることから、以下の課題を克服することによって当社グループの企業としての価値を高めて行きたいと考えております。

(2) 当面の対処すべき課題、対処方針及び取組状況の内容

①優秀な人材の確保

当社グループは、非鉄金属スクラップを世界及び日本全国から集荷し、それを材料に各種インゴットを製造し販売している事業と、集荷したスクラップを選別・加工し販売する事業を主に行っており、あらゆる産業分野の基幹素材としての幅広いニーズに応えております。近年の多種多様な合金開発、市況の変化や営業戦略の多様化など当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応していくためには、海外営業や商品市場取引等に精通した人材確保が必要であります。

そのために、採用制度の多様化を図り、中途採用と新卒採用の併用を行いながら、入社後の研修制度の整備をはじめとして、人材育成制度の強化を行います。また、公平な人事制度の確立を目指すとともに、魅力ある職場作りの一環として福利厚生制度の充実も図っていきます。

②海外市場への進出

我が国においては、長期間にわたった円高や電力問題等から工場の海外移転が進み、加えて、少子高齢化の進行で、銅スクラップ市場の今後の大きな拡大が見込めない環境となっております。

一方、新興国をはじめとした海外では、今後の成長が期待できる市場が数多くあり、当社グループの成長には、海外戦略が重要であると考えております。

以上のことから、当社グループでは、まず平成24年7月に世界最大の市場である米国に当社初の海外拠点を設立し、平成26年8月にはタイで現地企業との合弁会社を設立いたしました。今後は、米国現地法人の業務拡大を図るとともに、アジア地域での営業基盤を構築し、拠点網の整備を図ることで更なる業容拡大を目指してまいります。

③リスク管理体制の強化

当社グループの取り扱っている製・商品は、非鉄金属相場や為替相場等市場の変動に大きく影響を受けます。特に、近年の新興国等のインフラ整備拡大の影響による非鉄金属需要の増大に加え、主要国金融政策の変化に伴う投機資金の流出入もあって、非鉄金属価格や為替相場の変動率は高まっております。また海外需要の高まりや、国内でのスクラップの発生量及び流通量が減少傾向にあることで輸出入取引も増加傾向が見込まれます。

このように、当社を取り巻く状況は大きく変化してきており、特に市場リスクの管理が重要になっております。

このため、ロンドン金属取引所(LME)や為替取引等、ヘッジ手段の多様化、情報収集能力の強化を図り、また市場関連知識を持った人材の採用や育成を行うことによって、市場リスクの管理能力を高めていきます。

また、海外子会社及び海外関連会社を設立したことから、海外拠点の管理体制の整備、強化も行っております。

④事業分野の拡大

当社グループは、銅系商品を中心とした製品を中心に事業展開を行っておりますが、更なる業容拡大のためには、銅系以外の分野の強化が必要であります。

そのために、銅系以外の分野に強い人材の育成や当該分野に強い業者との関係強化が必要です。

現状、必要知識の修得や銅系以外の集荷を重点項目として営業活動を行っており、今後も銅系以外の分野の取扱量の拡大を目指します。

また、美術工芸事業では、販路拡大のためキャラクター商品を用いた金製品の開発をはじめとした企画型営業に取り組み、企画から製造引き渡しまでの一貫体制をとっております。精密鋳造技術による原型に忠実な再現力と金工技術による最終仕上げの完成度の高さにより、ビジネスチャンスの拡大に努めております。当社グループ全体における美術工芸事業のシェアは非常に小さいものではありますが、今後も、市場・顧客に対し存在感のある製品を提供し、更なる事業拡大に努めていく予定です。

 

4【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 原材料の調達について

当社グループは、原材料を国内外の複数の調達先を確保することで安定的な調達を行うよう努めています。しかしながら、市況環境の大幅な変化による発生量や流通量の減少から市場の需給環境が引き締まった結果、適正価格での調達難、調達不足からの大幅な仕入価格の上昇、生産活動への支障が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 顧客が属する業界の需要動向について

当社グループの製品の主要な顧客は、造船業界、住宅販売、設備関連産業に属しています。したがって、当社グループの製品は、上記業界の非鉄金属に対する需要動向に大きく影響される可能性があります。今後何らかの要因で非鉄金属に対する需要が落ち込んだ場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 特定の販売先への集中

平成28年8月期において、当社グループの売上高に占める住友金属鉱山株式会社の売上高比率は23.7%であります。

当該会社とは長期的な取引関係を継続しておりますが、何らかの理由により、取引関係の解消又は契約内容の大幅な変更等があった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等

当社グループの取扱い品目の価格は、毎日の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けます。そのため価格変動リスク及び為替変動リスクのマネジメントは当社グループにとって非常に重要であります。

平成23年9月から平成28年8月までのロンドン金属取引所銅相場(LME銅キャッシュ月中平均)及び為替相場

(TTM月中平均)は下記の通りであります。

 

H23.9〜H24.8

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

8,314

7,347

7,551

7,567

8,043

8,422

8,457

8,259

7,919

7,420

7,589

7,492

為替相場(ドル・円)

単位:円

76.88

76.75

77.60

77.88

76.98

78.40

82.46

81.55

79.75

79.30

79.02

78.68

 

H24.9〜H25.8

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

8,068

8,070

7,694

7,963

8,049

8,070

7,663

7,203

7,229

7,004

6,893

7,182

為替相場(ドル・円)

単位:円

78.17

78.98

80.89

83.64

89.24

93.23

94.80

97.73

101.10

97.44

99.77

97.85

 

H25.9〜H26.8

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

7,161

7,189

7,066

7,203

7,295

7,152

6,668

6,671

6,884

6,806

7,105

7,001

為替相場(ドル・円)

単位:円

99.23

97.87

100.02

103.48

103.92

102.14

102.27

102.58

101.83

102.08

101.73

102.97

 

H26.9〜H27.8

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

6,872

6,739

6,701

6,423

5,816

5,702

5,926

6,028

6,301

5,834

5,457

5,089

為替相場(ドル・円)

単位:円

107.07

107.99

116.21

119.41

118.33

118.59

120.36

119.58

120.75

123.75

123.25

123.21

 

H27.9〜H28.8

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

LME銅キャッシュ

単位:ドル/MT

5,208

5,223

4,808

4,629

4,463

4,595

4,948

4,851

4,708

4,631

4,856

4,758

為替相場(ドル・円)

単位:円

120.23

120.07

122.58

121.85

118.34

115.08

113.03

109.83

109.12

105.48

103.98

101.34

(データ出典 LME銅:ロンドン金属取引所  為替相場:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

①非鉄金属相場の影響

海外取引(仕入及び販売)は、ロンドン金属取引所(LME)の価格を基準として刻々と変化します。

国内取引(仕入及び販売)は、国内建値(ロンドン金属取引所(LME)×TTS+諸費用)を基準として日々変化します。取引先との価格の決定方法としては、当月平均、前月平均、固定価格等、様々な決め方はありますが、LME価格は、それら全ての基準となっております。従って、原材料の在庫評価額の変動リスクに加えて、非鉄金属相場の変動による利鞘の変動リスクが存在し、業績に影響を与える可能性があります。特に最近は、商品市場への投機資金の流入により価格の変動率は大幅に高まっており、リスク量は増大しております。

このためロンドン金属取引所(LME)先物等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。

②為替相場の影響

当社グループでは、主にドル建てによる国際間取引の割合が高いため、為替変動の影響を受けます。このため為替予約等によるリスクヘッジを行っていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、当社グループの業績が大きな影響を受ける可能性があります。

(注)TTM:電信中値相場

TTS:対顧客電信売相場

 

(5) 有利子負債

平成28年8月期末において、当社グループの有利子負債は62億96百万円、総資産に対する割合は43.8%となっております。当社グループは、財務体質の改善に努力いたしておりますが、今後の金利動向が当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6) 法的規制について

当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づいて、産業廃棄物保管基準に則った保管を行い、産業廃棄物処理業者に収集運搬及び処理を委託しています。廃棄物処理法における(不適切な産業廃棄物の保管、委託処理に係る契約書の未作成、マニフェスト虚偽記載等)一定の要件に抵触した場合、行政処分等がなされる可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

また、国内事業所において、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律などの環境関連法令に基づき、大気、排水、土壌等の汚染防止に努めておりますが、関連諸法令の改正・強化によって、当社グループにおいて新たな管理費用・処理費用負担が求められる可能性があります。

さらに、当社グループが製造、販売する一部の製品には、製造過程で毒物及び劇物取締法の対象となる薬品が使用されております。その管理については、法令を遵守するとともに当社グループの環境マネジメントマニュアルに従い、廃液流出や盗難、労災事故等への対応を行っておりますが、万が一、使用、保管上の不測の事態の発生や天災、火災等の事故があった場合、環境汚染を招く可能性があり、当社グループの風評、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) カントリーリスク

当社グループは、多国間取引の割合が高いことから、取引先各国の経済情勢に加え、貿易・通商規制、税制、予期しない法律又は規制の変更並びにそれらの解釈の相違等により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

(8) 設備事故等

当社グループは、多くの生産設備等を有しており、運転・保守管理と設備安全化の両面から労働災害及び生産設備等の事故防止の徹底を図っておりますが、万が一、重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

(9) テロ、戦争、事故、地震など自然災害について

当社グループは、北陸地区における大規模な自然災害や、当社グループの製造施設における事故等が発生した場合、製造設備等への損害、生産活動の停止、取引先や製造施設近隣住民への補償等により、当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社グループの主要取引先の地域での地震等の大規模な自然災害で、主要取引先の生産活動が停止した場合や広いエリアでの災害のため、経済全体が大きく減速した場合にも営業活動(仕入及び販売)が困難になることで当社グループの経営成績が影響を受ける可能性があります。

非鉄金属の鉱山が多い地域での地震、テロ、戦争などが起こった場合も、非鉄金属の供給及び価格に大きく影響を及ぼすことから、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは循環型社会に対応していくため、既存事業の領域拡大を目指した活動を今後も事業の中心としていくべく研究開発を進めております。具体的にはインゴットでは、銅を主体とした銅合金の開発、スクラップではレアメタルリサイクル技術の開発であります。

 現状は、取引先の新商品開発のための鋳造試験や成分分析などによる協力が中心であり、自社グループにおいては一部実験等を行ってはいるものの、主として関連情報の収集・調査が主体であるため、研究開発費は発生しておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純損失」を「親会社株主に帰属する当期純損失」としております。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに連結会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて見積りと判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループは、特に以下の重要な会計方針に関して、使用される当社グループの重要な判断、見積りが当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えております。

 

たな卸資産の評価減

当社グループは、たな卸資産の市場需要に基づく将来の消費見込み又は販売見込み並びに市場状況に基づく時価の見積額を測定し、たな卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。実際の市場における将来需要又は時価が当社グループの見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

有形固定資産及び無形固定資産の減損

当社グループは、減損会計を適用しておりますが、減損損失を認識する有形固定資産及び無形固定資産は存在しておりません。しかしながら、減損損失の判定を行う事業単位において、損益状況の悪化や事業内容の変化によって減損等の処理が必要となる状況が生じた場合には、償却、減損損失もしくは除却損等の追加が必要となる可能性があります。

 

投資有価証券の減損

当社グループは、取引金融機関や販売先あるいは仕入先など取引会社の株式を保有しております。これらの株式のうち、上場株式では株式市場の価格変動リスクを負っているため、連結決算期末日の時価が取得価額から50%以上下落した場合には減損を認識いたします。また、連結決算期末日の時価が取得価額から30%以上50%未満下落した場合には、回復可能性の判定を合理的な基準に基づき行い、回復する見込みがあると判断したものを除き、減損を認識いたします。非上場株式では投資先の純資産額における当社持分額が取得価額の総額より50%以上下落した場合に、減損を認識いたします。保有株式の時価評価額の下落により、投資有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(2) 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産につきましては、資産合計143億75百万円となりました。主な内訳といたしましては、売上債権52億58百万円、たな卸資産23億55百万円、有形固定資産22億86百万円などであります。

負債につきましては、負債合計77億68百万円となりました。主な内訳といたしましては、有利子負債62億96百万円、仕入債務11億8百万円などによるものです。

純資産につきましては、純資産合計66億7百万円となりました。主な内訳といたしましては、資本金10億円、資本剰余金6億85百万円及び利益剰余金48億75百万円などによるものです。

(3) 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は429億55百万円、売上総利益5億6百万円となり売上総利益利率は1.2%と大変厳しい状況でした。販売管理費の節約、効率的な為替相場の管理などに努めましたが、経常損失4億58百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は3億89百万円となりました。

 

売上高

当連結会計年度の売上高は、インゴット売上高で157億67百万円、スクラップ売上高で264億90百万円、美術工芸品売上高は5億49百万円、その他売上高は1億48百万円となり売上高合計で429億55百万円となりました。

主な変動要因は、次のとおりであります。インゴット売上高につきましては、前年は好調に推移した海外向販売が造船業界の不振もあり、販売数量を大きく減少させ、円高の進行と非鉄金属相場下落により販売単価も大きく下落しました。また、スクラップ売上高は、販売数量は増加したものの、円高の進行と非鉄金属相場下落の影響が大きく、期を通して苦戦を強いられました。

 

売上総利益

売上総利益は、美術工芸事業は好調を維持しましたが、非鉄金属事業の不振から5億6百万円の計上にとどまり、売上総利益率については1.2%となりました。

 

営業損失

販売費及び一般管理費は、節約に努めました結果10億98百万円となりましたが、営業損失5億92百万円の計上となりました。

 

営業外収益及び費用

営業外収益は、デリバティブ運用益77百万円、為替差益1億22百万円などが発生したことにより2億36百万円となりました。一方、営業外費用は、支払利息63百万円、持分法による投資損失33百万円などにより1億2百万円となりました。

 

経常損失

経常損失は4億58百万円となり、為替差益の計上などにより営業外損益が1億33百万円となりましたが、営業損失5億92百万円を解消するまでには至りませんでした。

 

法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額

法人税、住民税及び事業税は4百万円、法人税等調整額は△73百万円となり、税金費用は差引△69百万円となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純損失

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失が3億89百万円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高から5億14百万円減少した12億29百万円となりました。

主な要因といたしましては、売上債権の減少4億14百万円、仕入債務の増加1億46百万円などによる収入に対し、税金等調整前当期純損失が4億58百万円、たな卸資産の増加による支出3億13百万円及び配当金の支払による支出1億7百万円などによるものです。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は3億11百万円となりました。これは主に売上債権の減少4億14百万円、仕入債務の増加1億46百万円、減価償却費1億76百万円などの収入に対し、税金等調整前当期純損失4億58百万円、たな卸資産の増加3億13百万円、利息の支払61百万円及び法人税等の支払56百万円などの支出が発生したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は11百万円となりました。これは主に投資有価証券の売却1億42百万円などの収入に対し、有形固定資産の取得1億40百万円などの支出が発生したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2億12百万円となりました。これは主に長期借入金12億円の借入による収入に対し、短期借入金の純減額1億91百万円、長期借入金の返済11億13百万円及び配当金の支払1億7百万円などの支出が発生したことによるものです。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等」に記載のとおり、当社グループの取扱い品目が、日々の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けるため、これら二つの市場の相場変動により大きな影響を受ける可能性があります。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、米国経済以外は総じて低調に推移、特に中国を始めとした新興国・資源国経済が予想以上に減速したことから、世界経済全体でも景気減速懸念が強まりました。

このような外部環境の影響もあり、銅価格は、ロンドン金属取引所の銅先物3カ月物価格で約7年ぶりの安値を付け、加えて期初高・期末安と期を通して下落基調となり、厳しい相場環境で推移いたしました。また、銅価格の動きとともに、国内原材料の発生減・市況下落による流通量減などによる需給バランスの逼迫や造船業界の低迷による影響から利鞘が縮小したことで、収益面でも非常に厳しい状況となりました。

当連結会計年度の非鉄金属事業のインゴットに関しましては、当社グループの主力製品の大型船舶用スクリューの原材料であるアルミ青銅販売量が、LNG船やコンテナー船の需要一巡から大きく減少いたしました。一方、住設関連用材料である青銅系に関しましては、採算性を重視しながら受注を行い増量となりましたが、インゴット全体では前年比で減少いたしました。スクラップに関しましては、国内外とも総じて堅調な動きとなり、特に銅鉱石の品位低下による製錬向け故銅の需要が伸びたことから、国内販売中心に増加いたしました。しかしながら、国内での銅スクラップの需給ギャップ拡大による、調達難・利鞘悪化の状況等、仕入・販売環境が大きく悪化したため、利益面では引き続き厳しい環境となりました。

当社グループの業績に大きな影響を与えるロンドン金属取引所の銅価格は、2011年2月に史上最高値を付けた後、世界経済の低迷、特に中国経済の減速から下落傾向となり、米国の早期金融緩和解除の動きも加わって、中国の社会インフラ投資を中心とした「実需」とグローバルな金融緩和による「流動性拡大」が支えた資源価格のスーパーサイクルは終わりを迎えました。特に、2013年からは、ほぼ一貫して下落トレンドを続けており、2014年からは、原油価格の急落の影響もあり、2016年1月にはドルベースで、8月には円ベースで約7年ぶりの安値を付けております。

このような状況のなか、中国を始めとした新興国や資源国の成長鈍化で世界経済の不透明感が強まり、また、日米欧の金融政策のズレによる国際資金フローの変化や英国のEU離脱等の新たな懸念材料もでてきております。しかし一方で、生産調整による需給ギャップ改善の動きや各国の政策期待による景気動向への思惑により、市況は、底値圏でもみ合いながら方向感を探る動きになると想定しております。

当社グループとしては上記背景から、インゴットに関しましては、住宅・設備投資向けは増加を想定しておりますが、造船向けの不振によりインゴット全体では減少を見込んでおります。一方、スクラップに関しましては、製錬向け故銅を中心に需要が見込めることから増加を目指し、スクラップ全体では販売量の拡大を図っていきます。また、販売商品の見直しや更なるヘッジの活用を図ることで市況影響の低減を図り、安定的利益を確保するよう努めていきます。国内の調達力を再度強化しつつ、北米とタイの2つの海外拠点を活用して安定的調達を確保することで適正利鞘の確保を行い、「銅の黒谷」としての基盤強化を図ってまいります。以上のことから、当社グループの非鉄金属事業の計画では、スクラップにやや重点を置いた活動計画となっておりますが、主力事業のバランスは維持しながら安定した収益を確保できる体制を構築してまいります。

美術工芸事業に関しましては、当面は現状並みの水準が維持可能として計画しておりますが、長期的に安定的利益を確保できるように、企画提案力、製造技術力のより一層の強化を図ってまいります。

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)及び長期借入金による調達を基本とし、不足が生じる場合には調達コストも考慮し、短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には、長期借入金による調達で賄っております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。

長期資金の調達に際しては、金利動向を注視し、株式の発行に関しては、資本政策に基づき、株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。

資金の流動性については、利益の確保に加え、棚卸資産管理及び売掛債権の管理を行うことにより、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的確保に努めております。

 

(8) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき経営資源の最も効率的な運用を行い、企業価値を最大限に高めるべく努めております。

当連結会計年度は、米国経済は順調に推移したものの、世界経済全体では先行き不透明感が強まり低調に推移したため、資源価格の下落、需要の減退となり厳しい状況でした。

このような状況の下、インゴット製品販売量は減少、スクラップ販売量は増加、全体では微増となりましたが、販売環境厳しく本格的な需要回復には今しばらくの時間が必要と思われます。また、原材料調達に関しても、国内での銅スクラップの発生減から需給関係がタイトになっている影響で調達価格が上昇する等、当社グループを取り巻く環境は引き続き厳しい状況です。

今後は北米及びタイの海外拠点を活用し事業基盤の拡充を図ることによって厳しい競争環境の中でも安定的な業容拡大を目指すとともに、経済環境、金融環境の変化に伴う多種多様なリスクに対する管理体制の構築を行い、在庫管理の強化やグループ全体での安定的調達基盤の確立、ヘッジ手段のノウハウの取得等を進めてまいります。

また、機動的な資本戦略の実行や財務体質の強化により安定的な収益を確保できる体制構築を目指します。

 

 





出典: 黒谷株式会社、2016-08-31 期 有価証券報告書