有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度における世界経済は、米国、欧州を中心に堅調な景気回復がみられましたが、米国新政権の政策動向に注意する必要があり、欧州においても英国のEU離脱問題が懸念される不透明な状況で推移しました。新興国では、中国経済の成長鈍化が続き、資源安による資源国経済の不振とともに、先行きは予断を許さない状況にあります。一方、日本経済は、円安の進行による輸出の持ち直しにより、企業収益が底堅く推移し、雇用・所得環境の改善が進み、個人消費に明るさが見られるなど、緩やかな回復基調が続きました。

当社の属する半導体業界では、平成28年の世界半導体市場の成長が前年並みとなり、メモリーや車載機器向け半導体を中心に好調を維持しております。また、日本国内においてはメモリーやセンサーに旺盛な需要が見られる状況にあります。

当社の事業領域であるビジュアル・コンピューティング関連分野においては、従来のGPU用途に加え、大量のデータを複数のプロセッサを用いて同時に処理するGPUの並列処理に着目したディープラーニング(深層学習)やAI(人工知能)分野への応用が強く期待されており、今後到来が予見される自動運転やIoT(モノのインターネット)時代へ向け、この分野へ注目が集まる状況が続いております。

 このような環境下において、当社は、引き続き中期経営計画に掲げた3つの事業分野において収益基盤の再構築を図るための施策を展開してまいりました。当事業年度においては、IPコアライセンス事業において、当社の第3世代GPUアーキテクチャを搭載した高性能GPU IPコア「M3000」シリーズの営業活動を開始するとともに、既存のIPライセンスの受注活動に注力してまいりました。ランニングロイヤリティ収入面では、既存顧客からの収入に加え、株式会社豊通エレクトロニクス(現 株式会社ネクスティエレクトロニクス)と共同で開発したミドルウエアライブラリ「IPSL」の売上を計上しました。SoC/モジュールビジネスにおいては、前事業年度に続きアミューズメント向け画像処理半導体「VF2」の販売活動を展開しました。しかしながら、販売代理店から最終顧客への販売が近時の業界における規制動向の変化による需要減少や顧客の新機種選定の遅延の影響を受けるとともに、顧客の需要が「VF2」の後継機となる次世代画像処理半導体「RS1」へ移行している状況にあるため、期初の想定を大幅に下回りました。プロフェッショナルサービス分野においては、株式会社バンダイナムコエンターテインメントとの共同開発による「RS1」の開発や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受けた「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」の開発を進めてまいりました。また、当事業年度において研究開発の成果として発表した「ZIA」Classifier(ジア クラシファイア)の第1号案件を受注することができました。

 業務資本提携先である株式会社UKCホールディングスとの取り組みにつきましては、引き続きSoC/モジュールビジネス分野およびプロフェッショナルサービス分野において共同で営業活動を展開し、提携の成果として売上を計上することができました。

 研究開発分野では、ディープラーニング等の最先端のAI技術を活用した製品ラインナップで構成されるプラットフォーム「ZIA」を発表し、その第1段としてディープラーニングによる動画像認識を効率的に行う「ZIA」Classifierを開発するとともに、更なる「ZIA」シリーズ製品の開発を進めております。また、引き続きNEDOプロジェクトである「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」の研究開発に取り組んでおります。

 当社は、これらの研究開発から得られた成果を中長期的な事業展開の中で有力な収益基盤とするべく育成してまいります。

 この結果、当事業年度の売上高は、既存顧客からのライセンスおよびランニングロイヤリティ収入に加え、新たに「ZIA」Classifierのライセンス売上および「IPSL」のロイヤリティ収入を計上するとともに、「RS1」およびNEDOの受託開発売上を計上したことにより、694百万円(前年同期比5.4%減)となりました。利益面では、「RS1」開発に伴う研究開発費の発生により、営業損失は263百万円(前年同期営業損失176百万円)となり、経常損失は262百万円(前年同期経常損失193百万円)となりました。

 特別損益につきましては、前事業年度において株式を売却したカナダ・コグニビュー社の株式売却代金の最終清算金を受領したことにより特別利益13百万円を計上いたしました。また、画像処理半導体「VF2」の販売数量が計画未達となる見込みとなったため、「VF2」に係る固定資産の採算性の再評価を実施し減損処理を行ったことにより減損損失106百万円を計上し、当期純損失は、365百万円(前年同期当期純損失64百万円)となりました。

 

当社は、単一セグメントでありますが、事業の傾向を示すため、事業別の業績を以下に示します。

 

事業別売上高

①IPコアライセンス事業

 IPコアライセンス事業では、新規、既存顧客のライセンスおよびランニングロイヤリティ収入ならびに保守サポートによる収入を計上したことにより、売上高は253百万円となりました。

 

②LSI事業

 LSI事業では、画像処理半導体「VF2」の性能評価ボードを販売したことによる売上を計上し、売上高は1百万円となりました。

 

③その他の事業

 その他の事業では、次世代画像処理半導体「RS1」およびNEDOの受託開発売上等をプロフェッショナルサービスの売上として計上したことにより、439百万円となりました

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ371百万円増加し1,069百万円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、74百万円の支出(前年同期は265百万円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失364百万円、仕入債務の減少額158百万円などによる減少要因と、売上債権の減少額300百万円、減損損失106百万円、減価償却費52百万円などによる増加要因によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、410百万円の収入(前年同期は184百万円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の純減額による収入400百万円および投資有価証券の売却による収入13百万円などによる増加要因によるものであります。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、35百万円の収入(前年同期は23百万円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入35百万円による増加要因であります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)仕入実績

 当事業年度の仕入実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

仕入実績(千円)

前年同期比(%)

IPコアライセンス事業

LSI事業

800

0.4

その他の事業

合計

800

0.4

(注)1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

IPコアライセンス事業

LSI事業

1,095

0.3

その他の事業

774,813

600.6

335,263

合計

775,908

151.7

335,263

6,912.6

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.IPコアライセンス事業には、ライセンス供与に伴うカスタマイズ収入を記載しております。なお、ライセンス収入、ランニングロイヤリティ収入および技術サポートは、受注という概念が馴染まないため記載しておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績を事業部門別に示すと次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

販売実績(千円)

前年同期比(%)

IPコアライセンス事業

253,707

99.7

LSI事業

1,095

0.3

その他の事業

439,550

340.7

合計

694,353

94.6

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ピーピーエル

350,000

47.7

株式会社バンダイナムコエンターテインメント

100,000

13.6

250,000

36.0

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

154,887

22.3

シャープ株式会社

104,438

14.2

139,995

20.2

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当事業年度の株式会社ピーピーエルについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、「ビジュアル・コンピューティング分野のワンストップ・ソリューション・プロバイダー」になることをめざし、平成31年3月期の売上高を平成26年3月期比10倍以上とすることをめざしてまいります。そして、この目標を達成し、当社のめざす姿を実現するため、IPライセンス、SoC/モジュール、プロフェッショナルサービスの3つのビジネスにおいて成長のための戦略を推進してまいります。

 

(2)経営環境

当社の属する半導体市場は、従来のモバイル機器、パソコン、TVに加え、IoT(注)の到来によりインターネットに接続できるデバイスはコンシューマー機器、産業機器、社会インフラ等に拡がるものと予想され、日本企業が強い分野へと拡大することが見込まれます。インターネットに繋がるデバイスの数が加速度的に増加するものと予想され、半導体メーカーは今後もフル生産の状態が続くものと考えられます。

 

(3)経営戦略等

<当社の強み>

このような市場環境認識の下、半導体分野における高い知見と世界有数の技術を持つ当社の強みは以下の点にあると認識しております。

①IoTの到来で重要性が高まる高度なSoC技術

②半導体の低消費電力技術

③世界有数のグラフィックスIPの知見・技術

④拡大分野である画像認識技術

加えて、IPビジネスにおいてワールドクラスの顧客への導入実績を持ち、競合他社と異なり半導体ベンダーを仲介せずに顧客の高度技術をサポートできる点も強みの一つであります。

<当社の戦略>

当社が必要とされるIoT市場の急成長に備え、強みをフル活用できる「3つの柱」で成長への基盤を構築します。

①IPライセンスビジネス

当社のGPU技術とライセンスビジネス実績を基に、自動車、医療、産業機器などの成長分野で新規ビジネス、サービスを創出する。

・画像認識技術にフォーカスした施策の展開

・IPポートフォリオの拡充によるシナジー効果発揮、提案力の強化

②SoC/モジュールビジネス

サービスを含めたソリューション提供による提案力と収益力の向上を図る。

・当社の強みを生かし過去に実績のある「勝てる分野」でビジネスを立ち上げる。

・SoC/モジュールビジネスの基盤確立

③プロフェッショナルサービスビジネス

高い技術力の提供により、新たな分野を顧客とともに構築するための要とする。

・GPU/ビジョン技術(自社/他社)をベースとした高付加価値サービスの構築

・パートナーシップによる案件発掘:ソリューションの提供

④体制・コーポレート

・市場トレンドを取り入れられるマーケティング等の仕組みの強化

・アライアンスによる経営資源の強化

 

当社は、成長戦略に示した3つの分野をワンストップで実現できる「ビジュアル・コンピューティング分野のワンストップ・ソリューション・プロバイダー」となるため、これら成長戦略の着実な実行を対処すべき課題と認識し、全社を挙げて取り組んでまいります。

 

(注)IoT(Internet of Things)とは、パソコン、スマートフォン・タブレット、ゲーム機等の情報通信機器にとどまらず、社会で利用される様々なモノに通信機能を持たせ、インターネットに接続したり、相互に通信することにより、自動認識、自動制御、遠隔計測などが行われることをいいます。

 

 

4【事業等のリスク】

当社の経営成績、財政状態および株価等に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

①IPコアライセンス事業における特定の他社製品への依存について

当社は、任天堂株式会社(以下、任天堂という)が販売する新携帯ゲーム機「ニンテンドー2DS」および「ニンテンドー3DS」向けに半導体を供給する半導体メーカーから出荷数量に応じてグラフィックスIPコア「PICA200」のランニングロイヤリティを受領しております。

また、グラフィックスIPコア「PICA200」の携帯ゲーム機向けライセンス供与は、現状では任天堂製品向けに限る方針であります。

そのため任天堂の販売戦略に変更が生じた場合等、何らかの理由により、出荷台数が減少した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

②製品の収益性

当社は、画像処理やグラフィックス処理技術に基づき、今後のニーズの変化に対応できる新技術と新製品の開発を行っております。このための各研究開発プロジェクトは、成長する市場が必要とする機能を想定しながら実施しておりますが、投下した研究開発費の全てを回収できるとは限らず、この場合、当社の収益性に影響を及ぼす可能性があります。

また、LSIの立ち上がりが今後の収益計画において極めて重要であると認識しておりますが、何らかの事情で当社または生産委託先の開発が大幅に遅れたり、開発自体が頓挫する事態に至った場合、当社の収益性に影響を及ぼす可能性があります。

③LSI製品の販売体制について

当社は、LSI製品の販売は商社を介した代理店販売を基本としております。販売代理店とは良好な関係を構築しておりますが、今後販売代理店との関係に問題が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

④LSI製品の製造委託について

当社は、製造設備を持たない会社として研究開発業務に特化した事業活動を行っておりますので、LSI事業の製品製造に関しては半導体メーカーに委託しております。しかしながら、製造委託先において十分な生産枠が確保できない場合や通常想定することができない事象により製造委託先の設備に問題等が発生するなど、何らかの理由により委託先における製造に支障が生じた場合、または、委託先との製造委託契約が終了し、適切な代替委託先が確保できない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤販売先の市場動向による経営成績への影響について

当社製品は、モバイル・コンシュマー機器、アミューズメント機器、自動車、家電製品等の市場向けであり、これら顧客の機器製品にソフトウエアおよびハードウエアとして組み込まれて使用されております。

これら市場の製品はいずれもライフサイクルが短く、技術革新のスピードも早いため、当社の売上・利益を維持し、増大させるためには、市場の動向を見極めた上で新市場の開拓を積極的に行う必要があります。

当社としては、日頃から顧客や外部機関等からの情報を分析することにより、市場動向の変化に応じて、新規製品の開発、新市場の開拓に取り組んでおりますが、これら市場の動向に当社の予想以上の変化があり、当社の新規製品の開発または新市場の開拓が遅れた場合には、当社の売上高および利益ともに影響を受ける可能性があります。

⑥代表者への依存について

当社の代表取締役社長兼CEOである山本達夫は、過去にエンジニアとして従事していた経験もあり、技術的にも当社の製品に精通しております。また、これまでに培った広い人脈を活かして、自ら国内外への営業活動も行っており、当社の技術面・営業面での同氏への依存度は非常に高くなっております。

今後は、組織のさらなる体系化および人材育成強化等の策を講じ、同氏への依存度を低下させるべく体制の構築に努めていく所存ではありますが、当面は同氏への依存度は高いままであることが見込まれます。

このような状況下において、退任等何らかの要因により、同氏の当社における業務執行が困難となった場合、当社の業績および事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦第三者の知的財産権を侵害する可能性について

当社は当事業年度末現在において、提供するIPコア・LSI製品の技術および制作する表現物等に関して、第三者より知的財産権を侵害する旨のクレーム、侵害訴訟等を提起する等の通知は受けておりません。

当社は、当社のIPコア技術が第三者の特許権を侵害する可能性につき調査を行っておりますが、当社が提供するIPコア・LSI製品の技術および表現物等が、特許権その他第三者の知的財産権を侵害する可能性を完全に排除することは困難であり、今後このような第三者の知的財産権を侵害する旨のクレームを受け、または侵害訴訟を提起され、当社の事業が差し止められ、または損害賠償等の金銭的な負担を強いられる等の結果となった場合、当社の業績および社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

⑧技術の進展等について

当社の事業は、画像処理やグラフィックス処理技術に密接に関連しておりますが、これらの技術の進展は著しく、短期間で新機種が発売され、高機能化も進んでおります。

当社としては、技術開発に注力し、技術の進展に対応していく方針であります。しかしながら、当社が予想しない新技術の開発・普及により事業環境が急変し、当社が迅速または適切に対応できない場合、または、競合他社が当社を上回る技術を開発し、当社技術が陳腐化した場合には、当社の売上高または利益が減少し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、これらの状況に迅速に対応するため、研究開発費等の費用が多額に発生した場合には、当社の経営成績および今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

⑨自然災害及び事故等について

当社及び当社取引先の事業拠点が、地震及び台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の被害を受けた場合、当社の事業活動に支障が生じ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

小規模組織であることについて

当社は社歴が浅く、また、事業規模が小規模であることから、人員体制の未整備、少人数の役職員への依存等、小規模組織特有の課題があると認識しております。

今後は、事業の拡大に伴い業務遂行体制の充実に努めてまいりますが、人的資源に限りがあるため、役職員の業務遂行上支障が生じた場合、あるいは役職員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑪人材の確保・育成について

当社は、今後の事業拡大に向けて、優秀な人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。そのため、人材に報いるための報酬体系、ストック・オプション制度等も導入しておりますが、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではなく、適格な人材を十分確保できなかった場合には、当社の事業拡大が制約を受ける可能性があり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑫情報管理体制について

当社は研究開発をはじめとする当社の事業活動に際して情報管理が重要であると認識しており、このため、コンピューター・ウィルスの検知、ファイアウォールの構築等の外部からの侵入に対する予防策および情報へのアクセス可能な管理者の制限、当社と役職員および顧客等との間における機密保持契約の締結、入退出管理等の情報流出対策を講じるとともに、ハード面での障害時により業務への支障が生じないようデータ管理の多重化を行うなど、情報管理に関するシステムと社内体制の構築を行っております。

しかしながら、これらのシステム・体制によっても情報漏洩の可能性を完全に排除することは困難であり、今後何らかの理由により当社の技術情報等重要な情報が社外に流出した場合、当社の業績および事業運営に影響する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 販売契約等

相手方の名称

契約の内容

契約期間

シャープ株式会社

特定製品向けの当社グラフィックスIPコアの使用許諾(注1)

平成19年7月25日より13年間

期間満了の1年前までにいずれからも申し出のない限り1年間延長、以降も同様

任天堂株式会社

当社ソフトウエアIPの使用許諾(注2)

平成20年8月1日より同技術を採用した任天堂製品の販売・頒布の終了または任天堂製品向けのソフトウエアの販売・頒布の終了のうち、いずれか遅い方まで有効

(注)1.当社はライセンス収入およびランニングロイヤリティ収入を収受しております。

2.当社はライセンス収入を収受しております。

 

 業務資本提携契約

相手方の名称

契約締結日

契約内容

株式会社UKCホールディングス

平成26年5月9日

業務提携

①マシンビジョン・ソリューション共同開発

②IP販売

③事業展開に資する経営資源の相互活用

④その他提携事項

資本提携

当社株式の保有

 

受託契約

相手方の名称

契約品目

契約締結日

契約内容

契約期間

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構

IoT推進のための横断技術開発プロジェクト

平成28年

8月15日

省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム

平成28年6月24日から

平成31年3月31日まで

 

6【研究開発活動】

1.研究開発体制

当社は、グラフィックスIPコア、LSI開発に対して研究開発活動を行っています。

なお、当社は単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。

2.グラフィックスIPコアの開発状況

組み込み機器向けの3Dグラフィックス(OpenGL ES)に準拠したグラフィックスIPコア、低消費電力グラフィックスLSI、人工知能を用いた画像認識などに関わるソフトウエア及びIPコアの開発を進めています。

また、標準規格のグラフィックスIPコア開発に加え当社独自の技術を実装することで、競合他社との差別化を図るための技術の開発を推進しています

(1)開発状況

①グラフィックスLSIおよび、IPコアの開発

VF2の後継機種として、株式会社バンダイナムコエンターテインメントと業務提携をし、次世代アミューズメントプラットフォーム向けグラフィックスLSIの共同開発を行っています。また、本LSIに搭載する性能・機能改善、消費電力改善を行ったグラフィックスIPコアの開発も推進し、新たなグラフィックスIPコアの製品化を進めています。

②「MAESTRO」の開発

一般的にソフトウエアで処理される3Dグラフィックスの陰影付け処理などをハードウエアに実装することで、より写実的な3Dグラフィックス描画を低消費電力、高品質、かつ高速に実現することができる「MAESTRO」の改善として、さらなるアルゴリズム(注1)開発、ハードウエア・ソフトウエアの開発を進めており、①で開発している次世代LSIへの統合を行います。

③人工知能に関わるソリューション開発

平成28年度に採択された国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」にて「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」の開発を推進しています。当社は人工知能アルゴリズムを従来比10倍以上の処理効率を実現する省電力AIエンジンの開発を進め、成果物の一部を人工知能に関わるソリューションである「ZIA」プラットフォームとして、製品化を進めています。

 

(2)開発成果

性能改善、消費電力改善を行った新3DグラフィックスIPコアである「M3000」シリーズの製品化を行いました。また、株式会社豊通エレクトロニクス(現 株式会社ネクスティエレクトロニクス)と共同開発を行っていたミドルウェアライブラリ「IPSL」の製品リリースを行いました。

人工知能分野に関わるソリューションとして平成28年度に採択されたNEDOプロジェクトの成果を製品化として「ZIA」プラットフォームの第一弾製品としてディープラーニング(注2)を用いた画像認識と画像の分類エンジンである「ZIA Classifier」の製品化を行いました。

(注1)「アルゴリズム」とは、問題を解くための効率的手順を定式化した形で表現したものを意味します。

(注2)「ディープラーニング」とは機械学習の一種で、ニューラルネットワークを何層も重ねたものを用いてクラス分類や回帰を行うための手法。画像認識や音声認識といった様々なデータとパターンの認識に応用されている。

 

3.研究開発費

当事業年度における研究開発費総額は455百万円となっております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。当社はこの財務諸表の作成にあたって、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積りおよび判断を行っております。当社経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)経営成績の分析

当社は、「ビジュアル・コンピューティング分野のワンストップ・ソリューションプロバイダーになる」を掲げ、IPコアライセンス、SoC/モジュール、プロフェッショナルサービスの「3つの柱」において、成長へ向けた基盤を構築するための施策を展開してまいりました。IPコアライセンス分野については、当社の第3世代GPUアーキテクチャを搭載した高性能GPU IPコア「M3000」シリーズの営業活動を開始するとともに、既存のIPライセンスの受注活動に注力してまいりました。ランニングロイヤリティ収入面では、既存顧客からの収入に加え、株式会社豊通エレクトロニクス(現 株式会社ネクスティエレクトロニクス)と共同で開発したミドルウエアライブラリ「IPSL」の売上を計上しました。また、SoC/モジュール分野では、前事業年度に続きアミューズメント向け画像処理半導体「VF2」の販売活動を展開しました。しかしながら、販売代理店から最終顧客への販売が近時の業界における規制動向の変化による需要減少や顧客の新機種選定の遅延の影響を受けるとともに、顧客の需要が「VF2」の後継機となる次世代画像処理半導体「RS1」へ移行している状況にあるため、期初の想定を大幅に下回りました。さらに、プロフェッショナルサービス分野では、株式会社バンダイナムコエンターテインメントとの共同開発による「RS1」の開発や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受けた「省電力AIエンジンと異種エンジン統合クラウドによる人工知能プラットフォーム」の開発を進めてまいりました。また、当事業年度において研究開発の成果として発表した「ZIA」Classifier(ジア クラシファイア)の第1号案件を受注することができました。しかしながら、LSI開発に伴う研究開発費の発生および減損損失の計上等が影響し、利益を確保するに至りませんでした。

この結果、当事業年度の売上高は、既存顧客からのライセンスおよびランニングロイヤリティ収入に加え、新たに「ZIA」Classifierのライセンス売上および「IPSL」のロイヤリティ収入を計上するとともに、「RS1」およびNEDOの受託開発売上を計上したことにより、694百万円(前年同期比5.4%減)となりました。利益面では、「RS1」開発に伴う研究開発費の発生により、営業損失は263百万円(前年同期営業損失176百万円)となり、経常損失は262百万円(前年同期経常損失193百万円)となりました。

特別損益につきましては、前事業年度において株式を売却したカナダ・コグニビュー社の株式売却代金の最終清算金を受領したことにより特別利益13百万円を計上いたしました。また、画像処理半導体「VF2」の販売数量が計画未達となる見込みとなったため、「VF2」に係る固定資産の採算性の再評価を実施し減損処理を行ったことにより減損損失106百万円を計上し、当期純損失は、365百万円(前年同期当期純損失64百万円)となりました。

 

3)経営成績に重要な影響を及ぼす要因について

当社が当面の間に見込んでいるランニングロイヤリティ収入は任天堂株式会社が販売する新携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の製造台数に大きく依存しております。その結果、当該製品の販売戦略に変更が生じた場合等には、当社の業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)経営戦略の現状と見通し

 今後の世界経済は、欧米先進国を中心に景気回復が続くものと見込まれますが、米国政権の外交・為替・貿易政策の巧拙や欧州主要国の選挙結果次第では先行き不透明感を増す展開となることも予想されます。

 当社の属する半導体業界では、引き続きメモリー、車載機器向けの需要が市場を牽引するものと見込まれますが、世界的な保護主義の高まりが市場に与える影響が懸念され、市場全体では方向感の見えにくい状況が続くものと見込まれます。

 このような環境下において当社は、既存事業の強化に加え、AI分野のビジネスに取り組み収益機会の多様化を図ることにより、成長力を回復させるための施策を展開してまいります。具体的には、次世代画像処理半導体「RS1」の事業化に取り組むとともに、ZIAプラットフォームの製品ラインナップの充実を図り、顧客のニーズに合わせた製品群として営業活動を推進してまいります。また、NEDOの受託開発につきましても引き続き取り組んでまいります。

 

 

(5)財政状態に関する分析

当事業年度末における資産合計額は1,780百万円となり、前事業年度末に比べ464百万円減少いたしました。主な変動要因は、売掛金が300百万円減少したことおよび画像処理半導体の販売数量が計画未達となる見込みとなったことによる減損処理に伴い無形固定資産が154百万円減少したことなどによるものであります。

負債合計額は110百万円となり、前事業年度末に比べ135百万円減少いたしました。これは、画像処理半導体の仕入計上に伴う買掛金が158百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計額は1,670百万円となり、前事業年度末に比べ329百万円減少いたしました。これは、当事業年度においてストック・オプションが21,300株行使されたことにより、資本金、資本準備金がそれぞれ17百万円増加し、当期純損失の計上等により利益剰余金が365百万円減少したことによるものであります。

これらの結果、自己資本比率は93.6%となりました。

 

(6)キャッシュ・フローの状況に関する分析

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ371百万円増加1,069百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、74百万円の支出(前年同期は265百万円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失364百万円、仕入債務の減少額158百万円などによる減少要因と、売上債権の減少額300百万円、減損損失106百万円、減価償却費52百万円などによる増加要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、410百万円の収入(前年同期は184百万円の支出)となりました。主な要因は、定期預金の純減額による収入400百万円および投資有価証券の売却による収入13百万円などによる増加要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、35百万円の収入前年同期は23百万円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入35百万円などによる増加要因であります。

なお、当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期

自己資本比率(%)

96.4

96.6

88.9

93.6

時価ベースの自己資本比率(%)

54.5

276.1

238.0

392.9

自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 

(7)経営者の問題意識と今後の方針

 当社が今後持続的な成長を遂げるには、新たな成長分野への取組みとLSI製品の開発が急務であると認識しております。

 新たな成長分野への取組みとしましては、半導体分野における高い知見と世界有数の技術を持つ当社の強みをフル活用できる「3つの柱」で、成長への基盤を構築してまいります。1つ目の柱は、IPライセンスビジネスで、当社のGPU技術とライセンスビジネス実績を基に、自動車、医療、産業機器などの成長分野で新規ビジネスとサービスを創出するものであります。2つ目の柱は、SoC/モジュールビジネスで、サービスを含めたソリューション提供による提案力と収益力の向上を図るものであります。そして、3つ目の柱は、プロフェッショナルサービスビジネスで、高い技術力の提供により、新たな分野を顧客とともに構築するための要とするものであります。

 これらの3つの柱を展開し、IPライセンスビジネス・SoC/モジュールビジネス・プロフェッショナルサービスビジネスをワンストップで実現できる「ビジュアル・コンピューティング分野のワンストップ・ソリューション・プロバイダー」となるため、これら成長戦略の着実な実行を対処すべき課題と認識し、全社を挙げて取り組んでまいります。

 

 





出典: 株式会社ディジタルメディアプロフェッショナル、2017-03-31 期 有価証券報告書