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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国の経済は、平成24年12月に発足した新政権による財政・金融政策への期待感により、公共投資の増加、円高の是正による輸出環境の改善、株価の上昇により、景気回復への兆しがみられたものの、消費税増税や電力料金の値上げ等依然として先行き不透明な状況が継続しています。

 医薬品業界におきましても、主力製品の特許切れ、世界的な新薬承認審査の厳格化等により厳しい環境にあります。また、国内市場におきましても、後発品使用促進等の医療費抑制策の推進で製薬各社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いています。

 一方、医療機関におきましても、診療報酬の改定等による医療費抑制策の推進で厳しい環境が続いており、医療外収入の臨床試験を受託・実施する医療機関が増加しています。

 このような状況の中、当社が属するSMO(治験施設支援機関)業界は、臨床試験の効率的な運営ニーズから、多くの医療機関と提携している大手に集約して発注する傾向が強まっており、大手による寡占化が進んでいます。

 こうした環境のもと、当社は、優良な医療機関との提携拡大及び治験実施体制の整備、プロジェクト管理体制の強化、提案型営業の全面展開等の営業体制の強化を図ることにより業績の拡大に努めてまいりました。しかしながら、上期においては、売上高、利益共に大変厳しい結果となり、平成25年9月期の業績予想の修正を行い、全社をあげて、新規受注獲得に繋がる営業活動の強化、稼働中のプロジェクトについて前倒しの進捗促進、費用削減等に取り組み、利益体質の改善を行ってまいりました。これらの活動の結果、通期で上期の落ち込みをカバーするまでは至らなかったものの、下期においては、大型案件の新規受注等、回復の兆しが見える状況となりました。

 以上のような取り組みの結果、当事業年度の売上高は、SMO売上高が5,362百万円(前期比3.4%減)、その他売上が340百万円(同74.0%増)となり、合計で5,703百万円(同0.8%減)、営業利益は400百万円(同51.6%減)、経常利益は407百万円(同51.4%減)、当期純利益は239百万円(同37.7%減)となりました。

 なお、当社の事業は単一セグメントであるため、セグメントごとに記載しておらず、サービス区分別に記載しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,485百万円となっております。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、営業活動の結果使用した資金は162百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益が464百万円等の収入があった一方で、売上債権の増加139百万円、賞与引当金の減少59百万円、前受金の減少130百万円、預り金の減少53百万円、法人税等の支払額177百万円等の支出があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は1,432百万円となりました。これは主に、関係会社貸付け1,000百万円、投資有価証券の取得352百万円、無形固定資産の取得93百万円等の支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は105百万円となりました。これは主に、配当金の支払額105百万円等の支出によるものであります。

(注)当社は前期において、連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりましたので、前期比は記載しておりません。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社は、SMO事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、サービス区分別の情報を記載しております。

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成24年10月1日

至 平成25年9月30日)

生産高

前期比(%)

SMO

(千円)

5,359,302

その他

(千円)

342,207

合計

(千円)

5,701,510

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

3.前期は連結財務諸表を作成しておりましたので、前期比は記載しておりません。

 

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成24年10月1日

至 平成25年9月30日)

受注高

前期比

(%)

受注残高

前期比

(%)

SMO

(千円)

5,623,927

7,373,823

103.7

その他

(千円)

324,719

495,517

96.8

合計

(千円)

5,948,647

7,869,340

103.2

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.当社事業の特性により、受注高(受注残高)の一部が売上に計上されない場合があります。これは治験依頼者である製薬会社側の事由によって、症例登録期間が早期に終了となる場合や、当社の生産活動において症例登録期間までに全ての症例が登録されない場合等が考えられます。いずれの場合におきましても取引契約上の合意事項であり、違約金等の支払いは発生しておりません。

3.前期は連結財務諸表を作成しておりましたので、受注高については、前期比は記載しておりませんが、受注残高については、前事業年度末の数値との比較を記載しております。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成24年10月1日

至 平成25年9月30日)

販売高

前期比(%)

SMO

(千円)

5,362,640

96.6

その他

(千円)

340,906

174.0

合計

(千円)

5,703,547

99.2

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.前期は連結財務諸表を作成しておりましたので、前期比の記載については、前事業年度の損益計算書の数値との比較を記載しております。

 

3【対処すべき課題】

当社は、「医療施設への支援を通じて人々の健康生活に貢献する」という企業理念のもと、ステークホルダーの皆様から信頼されるSMOとなるために、持続的な成長、顧客満足度の向上に努めてまいります。そのためには、強固なチームワークのもと、以下の課題に鋭意取り組んでまいります。

 

(1)プロジェクト管理体制の強化

 プロジェクト管理体制について、システムの整備、マネジメントの強化・充実を図ることにより、臨床試験の品質向上ひいては、顧客満足度の向上を目指します。具体的には以下の事項に取り組みプロジェクト管理体制を強化していく方針であります。

 

①品質の維持向上

 「臨床試験における品質確保こそがSMOの存在意義である」を合言葉に、更なる品質維持向上に努めてまいります。

 

②臨床試験全体の管理体制の更なる強化

 臨床試験のあらゆるステージ(開始前、実施中、試験終了時)に応じて適切かつ効率的な業務遂行を実現する管理体制を構築してまいります。

 

③育成担当者のスキル向上

 CRC等に対して指導を行う育成担当者のスキルを向上させることにより新人CRCの早期戦力化、標準化を図り高品質のサービス提供に努めてまいります。

 

④がん領域専門のCRCの育成と教育体制の強化

 当社の強みである「がん領域」のブランド強化に向けてがん領域専門CRCの育成、教育指導者の醸成による教育体制の強化を図ります。

 

(2)営業体制の強化(顧客戦略)

 製薬業界が引き続き厳しい新薬開発競争にある中、当社を含むSMO業界においても、製薬企業の開発コスト抑制から、経営環境は益々厳しさを増し、集中・選別化が進んでいます。このような状況のもと、具体的には以下の事項に取り組み、営業力の強化に努めていく方針であります。

 

①提案型営業の拡大

 引き続き提案型営業を全顧客・全領域に進め顧客ニーズ探索並びに最適な提案の推進に努め顧客との信頼関係の向上を図ります。

 

②データベースの構築

 提案型営業のスピード・質の向上を目的として提携施設情報及び営業活動のデータベース構築を進めてまいります。

 

③グループ並びに提携先との連携

 イーピーエスグループ各社並びに提携企業との連携による共同提案による効率的な臨床試験運営を実現し受注拡大に加え顧客との信頼関係向上を図ります。

 

④臨床研究の受託拡大

 国策による環境整備に伴い市場拡大が見込まれる臨床研究分野については、イーピーエスグループ各社並びに提携企業との連携により、広範かつ多様なニーズに対応できる体制構築に努めてまいります。

 

(3)施設力の強化(施設戦略)

 今後の製薬企業の開発動向や医療機関の経営環境の変化に対応すべく、引き続き優良な提携医療機関の開拓及び育成を推進致します。具体的には以下の事項に取り組み施設力の強化に努めていく方針であります。

 

①がん領域施設の拡大

 当社の強みである、「がん領域」のブランド強化を目的に、全国のがん拠点病院等との提携を進めてまいります。

 

②大学病院・大病院との提携

 多くの診療科を有する大学病院や地域の中核病院を新規開拓及び深耕開拓することで、アンメット・メディカルニーズに応える領域の拡大を図ると共に、医師主導臨床研究の中心的な存在である大学病院・大病院との関係強化に努めてまいります。

 

③専門領域ユニットの拡大

 “開発動向を先取りした施設開拓”を更に推進することにより今後もニーズの高い領域における専門医療機関との提携拡大を図ると共に、地域単位での症例集積度を高めたユニットとすることで、臨床試験運営の効率化のニーズを満たす施設群の構築を進めてまいります。

 

(4)業務提携、M&Aによる拡大

 SMO業界の集中・選別化が進む環境下において、より顧客満足度を高めたサービスを提供するために、グループ並びに提携先との連携を強化してまいります。一方で、市場シェアの拡大を図るため、他社との提携、M&Aを推進する方針であります。

 

(5)コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの強化

 企業価値を高め、社会から信頼される企業として継続的に成長するためには、経営の効率性の向上、健全性の維持、透明性の確保を常に念頭に置き、これらの維持向上に努めることが企業としての責務であると認識しております。昨今では、景気の不透明感が高まる中、ステークホルダーの皆様から、継続的に信頼を得るためには、経営の安定化を進めると共に、高い倫理観に基づく公正、明瞭な社内風土の維持向上が必要不可欠であります。これらを実現するべく、経営トップが先頭に立って、コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの強化を最重要課題と認識し、体制の整備、適正な運営及び従業員に対する啓蒙活動を推進してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社の財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も合わせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特別な記載がない限り、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を含んでおりますので、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅しているものではないと考えております。

 

(1)SMO事業に関連する法的規制の強化のリスク

 SMO事業におけるCRC業務をはじめ、治験実施支援にかかるそれぞれの業務の遂行につきましては、平成9年に厚生省により定められたGCP省令等の関連法令を厳格に遵守して行う必要があります。当社では、医療機関の行う臨床試験がこれら諸規則を厳格に遵守した上で適正に実施されるよう、各種研修や教育を実施し各現場での管理体制は万全を期し支援を行っておりますが、今後、厚生労働省より同省令の内容に関する何らかの変更、もしくはその理解と運用に関する新たな指針等が出された場合、その法的規制の内容によっては業務の遂行に混乱が生じたり、万が一関連法令違反が生じた場合、医療機関及び製薬会社等からの信頼が損なわれ、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 上記のCRC業務では、当社従業員のCRC(治験コーディネーター)が、臨床試験を実施する医療機関において実務機能の支援を行っております。当該業務については一般的に医療機関との委受託契約によるアウトソーシングによって役務の提供を行っておりますが、当社では医療機関側の様々なニーズに対応するため、一般労働者派遣事業にかかる許可(般13-011282)を受けております。また、臨床試験情報管理の強化として、当該情報を担う部署及び支店を対象に「ISO/IEC27001:2005(JIS Q 27001:2006)」(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得し、情報セキュリティ体制に対応しております。

 

(2)治験のグローバル化(国際共同治験)の伸展により国内臨床試験が減少するリスク

 現在、医薬品の審査・承認制度は各国それぞれ異なっておりますが、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH:International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)」において、新医薬品の承認審査データを相互活用する為の条件整備に向けた、海外臨床試験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、国内においても一定の確認試験を基に、海外臨床試験データを用いて承認申請を行うことが認められるようになりました。これに伴い、今後わが国の製薬業界においても治験のグローバル化がすすみ、製薬企業が高品質の臨床試験データを効率良く安価に入手できる国で重点的に臨床試験を実施するようになる場合には、それによって国内で実施される治験の総量が減少する可能性があります。現時点においてこうした対応は、外資系製薬会社の一部から徐々にその範囲を広げている状況にあり、当社と致しましても質とスピードを高めて顧客満足の向上を図るべく、進捗管理体制の強化を進めております。しかしながら、行政の対応を含む治験環境の変化によって、急激に国内での臨床試験が減少するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(3)製薬企業等の再編成により国内臨床試験が減少するリスク

 SMO企業の主な収益の源泉は、製薬企業の新医薬品開発に際して行われる臨床試験(治験)にかかる各医療機関からのアウトソーシングによるものであります。世界の製薬企業の間では経営環境の厳しさが増す中で、巨額な負担を伴う研究開発活動の効率化及びマーケットシェアの拡大等に対応するために合併統合等の動きが活発化しており、国内の製薬企業においても、この流れを受けて統合・再編の動きが進む中、主要な顧客である製薬企業の絶対数が減少しております。

 当社は、特定の製薬企業に偏った取引状況ではなく、外資系企業を含む多くの製薬企業と取引しているため、顧客数の減少に関するリスクは限定的と考えておりますが、急激な統合・再編によって日本において実施される臨床試験が大幅に減少するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(4)医療機関が独自に臨床試験を実施することにより受託機会が減少するリスク

 現在、中小規模の医療機関においては、臨床試験実施の経験が乏しいことや臨床試験に従事するスタッフが不足している場合が多く、臨床試験の実施においてはSMOを利用することが一般的になっております。しかしながら、将来において医療機関の臨床試験管理体制が整備され、臨床試験の実施経験を積んだ人材の補強を行うことで独自で臨床試験を実施するようになった場合には、SMOへの委託が減少する可能性があります。当社では、こうした状況においても業務における専門性やスピード、効率性等の向上を図るべくスタッフの教育研鑚に努めることで、SMOに委託することの有用性が維持されると判断しておりますが、予想以上に医療機関の体制整備が進んだ結果、委託の有用性が低下するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(5)医療機関との提携拡大が停滞するリスク

 当社は、全国の医療機関との間で臨床試験等に関する業務提携基本契約を締結し、多種多様な領域において、臨床試験の実施にかかる支援サービスの提供を行っております。ここで、当社と致しましては、今後の臨床試験動向を踏まえた上で、新たな提携医療機関の更なる拡充を図っていく所存でおりますが、同業他社との間で提携医療機関の獲得競争が激化した場合や、予期せぬ事態により新規の医療機関との提携が進まなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(6)参入障壁が低いことによる競争激化のリスク

 臨床試験の支援業務サービスを提供するSMO市場は、一般に大きな設備投資を必要としないため参入障壁が低く、過去においても新規または異業種からの新規参入が見られております。ここで、SMO事業を遂行する上では、GCP省令をはじめとする関連法令や諸規則による厳格な基準を継続的に充足する必要があり、これを満たす為には、規則等に適切に対応し得る高い品質管理体制や業務経験等の積上げが要求されるため、当社の業務における優位性は相応に維持できるものと考えております。しかし、こうした優位性に対抗し得るような高い能力を持った業者の参入が相次ぎ、これらによる競争の激化に伴い、販売価格が大幅に下落するような状況が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(7)受注プロジェクトの中止、延期及びカットオフのリスク

 製薬企業等の特定の新薬開発プロジェクトが、何らかの理由により中止や延期になる可能性、または、製薬企業等があらかじめ予定していた症例数を早期に確保できた場合等に、症例の組入れを当初の契約期限以前に終了する(これをカットオフといいます。)ことがあります。これに対して、当社は全国に展開する規模のメリットにより、受注領域並びに顧客を幅広く分散すること、または症例の進捗管理体制の充実により、症例組入れのスピードを向上させることなどによって、リスクの逓減を図っておりますが、予期せぬ事態により、受注したプロジェクトの中止、延期並びにカットオフが集中し、予定されていた売上が計上されないような状況が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(8)被験者の健康被害によるリスク

 臨床試験に参加している被験者に健康被害が生じた場合、一義的には治験依頼者である製薬企業等が治療に要する費用やその他の損失を補償することがGCP省令で義務付けられております。しかし、これらの被害が当社の故意または重大な過失に起因する場合には、製薬企業や医療機関から被験者の健康被害に関連して損害賠償請求を受ける可能性があり、また状況によっては被験者本人からクレームを受けることも考えられます。これに対して当社では、治験支援業務における品質管理体制と教育体制の充実を図る一方で、保険加入により損害賠償請求に対する一定額のリスク回避を行っておりますが、それにもかかわらず予期せぬ健康被害等の事態が発生した場合には、損害賠償補償の発生や、風評等の悪化により当社業務への信頼が毀損することによって、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(9)情報セキュリティ管理のリスク

 当社をはじめSMO企業では、治験関連業務の実施において、製薬企業等の新薬開発事業にかかる情報や被験者の個人情報等といった機密情報に接する機会が多いため、保有する情報資産についてのセキュリティ管理については厳格な管理体制を確立した上で、更に日々継続的に管理水準の向上を図っております。しかしながら、こうした管理体制が十分に機能せず、何らかの理由でこれらの情報が流失した場合には、被験者、医療機関並びに製薬企業等より損害賠償請求を受ける可能性があると共に、当社に対する業務上の信頼が毀損することにより、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(10)人材確保が困難となるリスク

 SMO事業の遂行にあたっては医学や薬学、IT技術等の専門的な知識・経験を有する優秀な人材の確保が重要となります。中でもCRCについて、当社では看護師、薬剤師、臨床検査技師等の資格を有する者、またはそれに準ずる知識・経験を有する人材を採用した上で、教育研修を通じて更なる能力の向上を図っております。また、臨床試験を円滑に進捗させる上では、臨床試験に携わる医師、被験者並びに製薬会社担当者等との間で調整機能としての役割を担うことから、高いコミュニケーション能力も同時に求められます。こうしたことから当社では、全国に拠点を有する強みを活かして幅広い採用活動を行っており、また既存従業員に対しましても、業務のモチベーション向上に向けた研修体制の充実や、良好な職場環境づくりの一環として福利厚生制度の充実を図っております。

 しかし、人材の採用が計画通りに行われない場合や、何らかの理由で多数の離職者が発生した場合、更に法令等の改正によりCRC業務の遂行に関して特定の国家資格の取得が義務付けられるような場合には、人材確保が困難となり業務の遂行に支障が生じることから、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(11)ベンチャーキャピタル等が株式を売却するリスク

 当社の株主には、投資ファンド等のベンチャーキャピタルが含まれており、当社はこれらの株主に対して、安定的な保有を要請しております。しかしながら、今後の当社株式の株価推移によっては、これらの株主がそれぞれ所有する株式の全部または一部を売却する可能性が考えられ、この場合には短期的に株式市場の需給バランスに影響を及ぼす可能性があります。当社と致しましては、そうした売却が行われた場合でも株価下落リスクを限定的なものとする為に、継続して企業価値の増大に努めてまいります。

 

(12)親会社の政策が変更になるリスク

 当社の筆頭株主であり親会社のイーピーエス株式会社につきましては、当社をはじめとするグループ会社全体の安定的な成長・拡大をグループの経営方針に掲げており、同社の保有する当社株式につきましても、グループ会社の安定性確保の観点から長期に保有するものと考えております。しかしながら、グループ内外における何らかの予期せぬ事情により、株式市場において当該株式の売却が行われた場合や、売却の可能性が生じた場合には、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。更に、特定の相手先への譲渡が行われるような場合には、当該売却先の取得株数や保有方針、更に株主としての経営関与の方針等によっては、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 業務提携契約

(1)契約会社名

  株式会社綜合臨床サイエンス

(2)契約業務

  臨床試験の実施支援業務

(3)契約締結日

  平成25年3月7日

(4)契約内容

  ①顧客情報及び臨床試験情報等を共有し、共同提案営業を行う臨床試験を特定する。

  ②特定した臨床試験を対象として、双方から候補となる医療機関を提示し、両者による臨床試験実施体制を構築し、共同提案営業を行う。

  ③教育研修等に関して、それぞれの従業員の人材育成のために、必要に応じて、双方の教育カリキュラムに相互参加できるものとする。

(5)契約期間

  平成25年3月7日から平成28年3月6日まで

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、次のとおり認識しております。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積もりや評価が含まれております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末より208百万円減少し、4,648百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の減少1,700百万円、売掛金の増加139百万円、関係会社短期貸付金の増加1,000百万円等により流動資産が566百万円減少し、投資有価証券の増加351百万円等により固定資産が358百万円増加したことによるものであります。

 当事業年度末の負債は、前事業年度末より342百万円減少し、1,101百万円となりました。この主な要因は、未払金の減少77百万円、前受金の減少130百万円、預り金の減少53百万円、賞与引当金の減少59百万円等により流動負債が357百万円減少し、固定負債が15百万円増加したことによるものであります。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末より133百万円増加し、3,547百万円となりました。自己資本比率につきましては、前事業年度末の70.3%から当事業年度末76.3%となりました。

 

(3)経営成績の分析

①売上高及び営業利益

 当事業年度における売上高は、5,703百万円(前期比0.8%減)となりました。サービス区分別の売上高は、SMO売上については、前事業年度からの新規大型受注減少等により、期初から売上高は伸び悩み、全社を挙げて、稼動プロジェクトの前倒しや、優良な医療機関との提携拡大、提案型営業の前面展開による新規大型受注獲得等の施策に取組んだ結果、5,362百万円(同3.4%減)となりました。その他売上については340百万円(同74.0%増)となりました。

 一方、当事業年度における売上総利益は、生産性向上や費用削減活動に取組みましたが、支店増設や、人件費の増加により、売上原価は4,302百万円(同11.2%増)となり、売上総利益は1,400百万円(同25.4%減)、売上総利益率は24.6%(同8.1ポイント減)となりました。また、管理体制強化と経費削減効果により、販売費及び一般管理費が1,000百万円(同4.7%減)となり、営業利益は400百万円(同51.6%減)、営業利益率は7.0%(同7.4ポイント減)となりました。

②経常利益

 当事業年度における経常利益は、営業外収益が9百万円、営業外費用が2百万円の計上により407百万円(同51.4%減)となり、経常利益率は7.1%(同7.4ポイント減)となりました。

③税引前当期純利益

 当事業年度における税引前当期純利益は、事業譲渡による特別利益57百万円の計上により464百万円(同40.9%減)となりました。

④当期純利益

 当事業年度における当期純利益は、法人税、住民税及び事業税が186百万円、法人税等調整額が38百万円となり239百万円(同37.7%減)となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、1,485百万円となっております。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、営業活動の結果使用した資金は162百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益が464百万円等の収入があった一方で、売上債権の増加139百万円、賞与引当金の減少59百万円、前受金の減少130百万円、預り金の減少53百万円、法人税等の支払額177百万円等の支出があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は1,432百万円となりました。これは主に、関係会社貸付け1,000百万円、投資有価証券の取得352百万円、無形固定資産の取得93百万円等の支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は105百万円となりました。これは主に、配当金の支払額105百万円等の支出によるものであります。

 なお、前期において連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりましたので、前期比は記載しておりません。 

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

① 医療機関動向

 医療機関の経営環境は厳しさを増しており、収益確保のため臨床試験に進出しようとする医療機関が増加しています。その一方で、医師・看護師不足が深刻な問題となっており、臨床試験を推進したくても、臨床試験実施のための医師、CRCの確保が難しい状況にあり、また臨床試験の質を維持するための人材育成にも苦慮している状況にあります。こうしたことから、今後の医療機関の動向が、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

② 業界動向

 SMO業界においては、引き続き集中・選別化が進む見通しであります。製薬企業等は、委託先の事業の存続性をより重視するようになってきたため、財務体質が比較的強固な当社にとっては受注の拡大が期待できるものの、一方で多額の設備投資を必要としないことから新規参入した企業が、一時的に廉価によりプロジェクトを受注することで価格形成に影響が出る恐れがあります。その場合は経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③ 国内臨床試験動向

 現在、医薬品の審査・承認制度は各国それぞれ異なっておりますが、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)」において、新医薬品の承認審査データを国際間で相互活用するための条件を整えつつあります。更に、海外治験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、今後、グローバル化が促進され、製薬企業等が、効率良く高品質の臨床試験データを入手できる国で臨床試験を実施するようになれば、国内での臨床試験が減少する可能性があります。また製薬企業等の再編により、製薬企業等の絶対数が減少することで、国内の臨床試験が減少する可能性もあります。その場合は経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 この他の要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 これらの状況を踏まえ、当社がSMO業界の中で確固たる地位を築き、ステークホルダーの皆様から、信頼されるSMOとなるために、事業における高品質を維持し、安定した利益を確保しつつ、業界におけるシェア拡大を図る方針であります。

 当社は、平成17年7月の株式会社ミントとの合併以来、着実に社内体制の整備、営業力の強化、契約施設の増強、業務の効率化と適正な人員配置によるコストダウン等に取り組んでまいりました。今後におきましては、次のステップとして、①製薬企業等から受注を獲得するための営業能力、②臨床試験実施先である医療機関を開拓・整備・支援する医療機関開拓・支援能力、③受託した契約に基づき、的確な症例をスピーディーかつ効率的に獲得すると共に、適正な臨床試験実施のための各種支援業務を確実にこなす業務遂行能力、そして、④これら3つの要素の総合力を最大限発揮するためにこれらを有機的に支える管理サポート能力、以上4つの力の更なる強化・拡大を図ると共に、これらをバランス良く機能させるための総合的な統制力を高めることが重要と考えております。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 製薬企業等が、医療機関に要求する「品質:GCP省令を遵守した質の高い臨床試験の実施」、「スピード:迅速な症例登録による臨床試験の期間短縮」及び「コスト:臨床試験の実施にかかる費用の削減」は、医療機関を支援するSMOに対する要求でもあり、これらの要求が益々厳しさを増す中で、SMO各社にとって、いかに高品質、かつ顧客優位性のあるサービスを提供するかが事業展開の重要な課題となるものと認識しております。

 一方、国においても平成19年に策定された「新たな治験活性化5カ年計画」の結果を踏まえ、平成24年3月に新たに策定された「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」において、①日本の国民に医療上必要な医薬品・医療機器を迅速に届ける、②日本発のシーズによるイノベーションの進展、実用化につなげる、③市販後の医薬品・医療機器の組み合わせにより、最適な治療法等を見出すためのエビデンスの構築を進めると示されており、今後も臨床研究及び治験を実施する医療機関を支援するSMOの位置づけは極めて重要であり、日本における臨床研究及び治験の実施環境の整備、ひいては日本の医療水準の向上において、SMOが果たす役割は大きなものであると考えております。

 こうしたことから、当社におきましては、安定した財務基盤を維持し、高水準のコンプライアンスと適切な内部統制の運営による高品質な企業経営により、企業価値の増大を図り、倫理を最優先にした品質の高いサービスの提供を行っていく方針であります。

 





出典: 株式会社イーピーミント、2013-09-30 期 有価証券報告書