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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当事業年度におけるわが国の経済は、財政・金融政策への期待感により、公共投資の増加、円高是正による輸出環境の改善、株価の上昇等により、景気回復への兆しがみられたものの、一部では消費増税や円安影響の懸念もあり、政府の成長戦略への期待に盛り上がりを欠き、欧州での景気低迷を背景にデフレ懸念が強まり、依然として先行き不透明な状況が継続しています。

 医薬品業界におきましても、主力製品の特許切れ、世界的な新薬承認審査の厳格化等により厳しい環境にあります。また、国内市場におきましても、後発薬品使用促進等の医療費抑制策の推進で製薬各社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続いています。

 一方、医療機関は、診療報酬の改定等による医療費抑制策の推進で厳しい環境が続いており、診療報酬外収入の臨床試験を受託・実施する医療機関が増加しています。

 このような状況の中、当社が属するSMO(治験施設支援機関)業界は、従来より製薬会社からの臨床試験における効率化ニーズに加え、新薬の開発領域における難治性疾患へのシフトによる多様な領域への対応に加え、臨床試験の様々な課題解決のための企画提案に基づいたサービスが求められています。

 こうした環境のもと、当社は、優良な医療機関との提携拡大及び治験体制の整備、プロジェクト管理体制の強化、提案型営業の全面展開等による営業体制強化により業績の拡大と、業務効率改善に努めてまいりましたが、当事業年度終盤において、順調に推移してきた売上高が大型案件が終了したこと等により伸び悩みました。

 以上のような取り組みの結果、当事業年度の売上高は、SMO売上高が6,032百万円(前年同期比12.5%増)、その他売上高が、前事業年度末において当社の親会社であるイーピーエス株式会社に、臨床研究支援事業のうち事務局支援事業を譲渡したことにより255百万円(同25.1%減)となり、合計で6,288百万円(同10.3%増)、営業利益は901百万円(同124.9%増)、経常利益は910百万円(同123.5%増)、当期純利益は491百万円(同105.2%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、2,311百万円(前年同期は1,485百万円)となっており、前事業年度末と比較して、825百万円増加(前年同期は1,700百万円の減少)しております。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は950百万円(前年同期は162百万円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益が878百万円、未払消費税等の増加112百万円等の収入があった一方で法人税等の支払額168百万円等の支出があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は19百万円となりました。(前年同期は1,432百万円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得11百万円等の支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は105百万円(前年同期は105百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額105百万円等の支出によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社は、SMO事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、サービス区分別の情報を記載しております。

(1)生産実績

 当事業年度の生産実績は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成25年10月1日

至 平成26年9月30日)

生産高

前期比(%)

SMO

(千円)

6,036,305

112.6

その他

(千円)

253,999

74.2

合計

(千円)

6,290,305

110.3

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当事業年度の受注状況は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成25年10月1日

至 平成26年9月30日)

受注高

前期比

(%)

受注残高

前期比

(%)

SMO

(千円)

6,359,525

113.1

7,700,383

104.4

その他

(千円)

139,694

43.0

379,910

76.7

合計

(千円)

6,499,219

109.3

8,080,293

102.7

(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.当社事業の特性により、受注高(受注残高)の一部が売上に計上されない場合があります。これは治験依頼者である製薬会社側の事由によって、症例登録期間が早期に終了となる場合や、当社の生産活動において症例登録期間までに全ての症例が登録されない場合等が考えられます。いずれの場合におきましても取引契約上の合意事項であり、違約金等の支払いは発生しておりません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

サービス区分別

当事業年度

(自 平成25年10月1日

至 平成26年9月30日)

販売高

前期比(%)

SMO

(千円)

6,032,965

112.5

その他

(千円)

255,300

74.9

合計

(千円)

6,288,266

110.3

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社は、「医療施設への支援を通して人々の健康生活に貢献する」という企業理念のもと、ステークホルダーの皆様から信頼されるSMOとなるために、持続的な成長及び顧客満足の向上に努めてまいります。そのためには、強固なチームワークのもと、以下の課題に鋭意取り組んでまいります。

 

(1)プロジェクト管理体制の強化

 プロジェクト管理体制について、システムの整備並びにマネジメントの強化及び充実を図ることにより、臨床試験の品質向上、ひいては顧客満足度の充足を目指します。具体的には、以下の事項に取り組み、プロジェクト管理体制を強化していく方針であります。

 

①品質の維持向上と管理体制の強化

 プロセス管理と業務環境改善により品質を確保しつつ、更なるプロジェクト管理体制の強化を図ります。

 

②新規出店とCRC採用強化

 事業拡大のためのCRC採用の強化を図るとともに、適正な業務環境確保及び業務の効率化のため新規出店を推進します。

 

③育成担当者のスキル向上

 CRC等に対して指導を行う育成担当者のスキルを向上させることにより、新人CRCの早期戦力化及び標準化を図り、顧客との信頼関係向上を図ります。

 

④がん領域専門のCRCの育成と教育体制の強化

 当社の強みである「がん領域」のブランド強化に向けて、がん領域専門CRCの育成及び教育指導者の醸成による教育体制の強化を図ります。

 

(2)営業体制の強化(顧客戦略)

 製薬業界が引き続き厳しい新薬開発競争にある中、当社を含むSMO業界においても、製薬企業の開発コスト抑制から、経営環境は益々厳しさを増し、集中及び選別化が進んでいます。このような状況のもと、具体的には、以下の事項に取り組み、営業力の強化に努めていく方針であります。

 

①提案型営業の拡大

 引き続き、提案型営業を全顧客及び全領域に進め、顧客ニーズ探索及び最適な提案の推進に努め、顧客との信頼関係向上を図ります。

 

②戦略的受注活動の推進

 当社の持つ経営資源が最大限に発揮されるよう地域、新規提携施設、人員配置状況を鑑みた戦略的受注を推進します。

 

③グループ及び提携先との連携

 イーピーエスグループ各社及び提携企業との連携による共同提案により、効率的な臨床試験運営を実現し、受注拡大に加え顧客との信頼関係向上を図ります。

 

④臨床研究の受託拡大

 国策による環境整備に伴い市場拡大が見込まれる臨床研究分野については、イーピーエスグループ各社及び提携企業との連携により、広範かつ多様なニーズに対応できる体制構築に努めてまいります。

 

(3)施設力の強化(施設戦略)

 今後の製薬企業の開発動向及び医療機関の経営環境の変化に対応すべく、引き続き優良な提携医療機関の開拓及び育成を推進いたします。具体的には以下の事項に取り組み施設力の強化に努めていく方針であります。

 

①がん領域施設の拡大

 当社の強みである、「がん領域」のブランド強化を目的に、全国のがん拠点病院等との提携を進めてまいります。

 

②大学病院及び大病院との提携

 多くの診療科を有する大学病院や地域の中核病院を新規開拓及び深耕開拓することで、アンメット・メディカルニーズに応える領域の拡大を図るとともに、医師主導臨床研究の中心的な存在である大学病院及び大病院との関係強化に努めてまいります。

 

③施設受注力の強化

 施設の臨床試験受託能力に焦点をあて、製薬会社ニーズに対応した施設リレーションを強化し施設受注力の強化を図ります。

 

(4)業務提携及びM&Aによる拡大

 SMO業界の集中及び選別化が進む環境下において、より顧客満足度を満たしたサービスを提供するために、グループ及び提携先との連携を強化してまいります。一方で、市場シェアの拡大を図るため、他社との提携及びM&Aを推進する方針であります。

 

(5)コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの強化

 企業価値を高め、社会から信頼される企業として継続的に成長するためには、経営の効率性の向上、健全性の維持、透明性の確保を常に念頭に置き、これらの維持向上に努めることが企業としての責務であると認識しております。昨今では、景気の不透明感が高まる中、ステークホルダーの皆様から、継続的に信頼を得るためには、経営の安定化を進めると共に、高い倫理観に基づく公正、明瞭な社内風土の維持向上が必要不可欠であります。これらを実現するべく、経営トップが先頭に立って、コーポレートガバナンスの充実とコンプライアンスの強化を最重要課題と認識し、体制の整備、適正な運営及び従業員に対する啓蒙活動を推進してまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社の財政状態及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあり、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項と考えております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も合わせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特別な記載がない限り、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、不確実性を含んでおりますので、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅しているものではないと考えております。

 

(1)SMO事業に関連する法的規制の強化のリスク

 SMO事業におけるCRC業務をはじめ、治験実施支援にかかるそれぞれの業務の遂行につきましては、平成9年に厚生省により定められたGCP省令等の関連法令を厳格に遵守して行う必要があります。当社では、医療機関の行う臨床試験がこれら諸規則を厳格に遵守した上で適正に実施されるよう、各種研修や教育を実施し各現場での管理体制は万全を期し支援を行っておりますが、今後、厚生労働省より同省令の内容に関する何らかの変更、もしくはその理解と運用に関する新たな指針等が出された場合、その法的規制の内容によっては業務の遂行に混乱が生じたり、万が一関連法令違反が生じた場合、医療機関及び製薬会社等からの信頼が損なわれ、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 上記のCRC業務では、当社従業員のCRC(治験コーディネーター)が、臨床試験を実施する医療機関において実務機能の支援を行っております。当該業務については一般的に医療機関との委受託契約によるアウトソーシングによって役務の提供を行っておりますが、当社では医療機関側の様々なニーズに対応するため、一般労働者派遣事業にかかる許可(般13-011282)を受けております。また、臨床試験情報管理の強化として、当該情報を担う部署及び支店を対象に「ISO/IEC27001:2005(JIS Q 27001:2006)」(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得し、情報セキュリティ体制に対応しております。

 

(2)治験のグローバル化(国際共同治験)の伸展により国内臨床試験が減少するリスク

 現在、医薬品の審査・承認制度は各国それぞれ異なっておりますが、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH:International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)」において、新医薬品の承認審査データを相互活用する為の条件整備に向けた、海外臨床試験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、国内においても一定の確認試験を基に、海外臨床試験データを用いて承認申請を行うことが認められるようになりました。これに伴い、今後わが国の製薬業界においても治験のグローバル化がすすみ、製薬企業が高品質の臨床試験データを効率良く安価に入手できる国で重点的に臨床試験を実施するようになる場合には、それによって国内で実施される治験の総量が減少する可能性があります。現時点においてこうした対応は、外資系製薬会社の一部から徐々にその範囲を広げている状況にあり、当社と致しましても質とスピードを高めて顧客満足の向上を図るべく、進捗管理体制の強化を進めております。しかしながら、行政の対応を含む治験環境の変化によって、急激に国内での臨床試験が減少するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(3)製薬企業等の再編成により国内臨床試験が減少するリスク

 SMO企業の主な収益の源泉は、製薬企業の新医薬品開発に際して行われる臨床試験(治験)にかかる各医療機関からのアウトソーシングによるものであります。世界の製薬企業の間では経営環境の厳しさが増す中で、巨額な負担を伴う研究開発活動の効率化及びマーケットシェアの拡大等に対応するために合併統合等の動きが活発化しており、国内の製薬企業においても、この流れを受けて統合・再編の動きが進む中、主要な顧客である製薬企業の絶対数が減少しております。

 当社は、特定の製薬企業に偏った取引状況ではなく、外資系企業を含む多くの製薬企業と取引しているため、顧客数の減少に関するリスクは限定的と考えておりますが、急激な統合・再編によって日本において実施される臨床試験が大幅に減少するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(4)医療機関が独自に臨床試験を実施することにより受託機会が減少するリスク

 現在、中小規模の医療機関においては、臨床試験実施の経験が乏しいことや臨床試験に従事するスタッフが不足している場合が多く、臨床試験の実施においてはSMOを利用することが一般的になっております。しかしながら、将来において医療機関の臨床試験管理体制が整備され、臨床試験の実施経験を積んだ人材の補強を行うことで独自で臨床試験を実施するようになった場合には、SMOへの委託が減少する可能性があります。当社では、こうした状況においても業務における専門性やスピード、効率性等の向上を図るべくスタッフの教育研鑚に努めることで、SMOに委託することの有用性が維持されると判断しておりますが、予想以上に医療機関の体制整備が進んだ結果、委託の有用性が低下するような場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(5)医療機関との提携拡大が停滞するリスク

 当社は、全国の医療機関との間で臨床試験等に関する業務提携基本契約を締結し、多種多様な領域において、臨床試験の実施にかかる支援サービスの提供を行っております。ここで、当社と致しましては、今後の臨床試験動向を踏まえた上で、新たな提携医療機関の更なる拡充を図っていく所存でおりますが、同業他社との間で提携医療機関の獲得競争が激化した場合や、予期せぬ事態により新規の医療機関との提携が進まなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(6)参入障壁が低いことによる競争激化のリスク

 臨床試験の支援業務サービスを提供するSMO市場は、一般に大きな設備投資を必要としないため参入障壁が低く、過去においても新規または異業種からの新規参入が見られております。ここで、SMO事業を遂行する上では、GCP省令をはじめとする関連法令や諸規則による厳格な基準を継続的に充足する必要があり、これを満たす為には、規則等に適切に対応し得る高い品質管理体制や業務経験等の積上げが要求されるため、当社の業務における優位性は相応に維持できるものと考えております。しかし、こうした優位性に対抗し得るような高い能力を持った業者の参入が相次ぎ、これらによる競争の激化に伴い、販売価格が大幅に下落するような状況が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(7)受注プロジェクトの中止、延期及びカットオフのリスク

 製薬企業等の特定の新薬開発プロジェクトが、何らかの理由により中止や延期になる可能性、または、製薬企業等があらかじめ予定していた症例数を早期に確保できた場合等に、症例の組入れを当初の契約期限以前に終了する(これをカットオフといいます。)ことがあります。これに対して、当社は全国に展開する規模のメリットにより、受注領域並びに顧客を幅広く分散すること、または症例の進捗管理体制の充実により、症例組入れのスピードを向上させることなどによって、リスクの逓減を図っておりますが、予期せぬ事態により、受注したプロジェクトの中止、延期並びにカットオフが集中し、予定されていた売上が計上されないような状況が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(8)被験者の健康被害によるリスク

 臨床試験に参加している被験者に健康被害が生じた場合、一義的には治験依頼者である製薬企業等が治療に要する費用やその他の損失を補償することがGCP省令で義務付けられております。しかし、これらの被害が当社の故意または重大な過失に起因する場合には、製薬企業や医療機関から被験者の健康被害に関連して損害賠償請求を受ける可能性があり、また状況によっては被験者本人からクレームを受けることも考えられます。これに対して当社では、治験支援業務における品質管理体制と教育体制の充実を図る一方で、保険加入により損害賠償請求に対する一定額のリスク回避を行っておりますが、それにもかかわらず予期せぬ健康被害等の事態が発生した場合には、損害賠償補償の発生や、風評等の悪化により当社業務への信頼が毀損することによって、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(9)情報セキュリティ管理のリスク

 当社をはじめSMO企業では、治験関連業務の実施において、製薬企業等の新薬開発事業にかかる情報や被験者の個人情報等といった機密情報に接する機会が多いため、保有する情報資産についてのセキュリティ管理については厳格な管理体制を確立した上で、更に日々継続的に管理水準の向上を図っております。しかしながら、こうした管理体制が十分に機能せず、何らかの理由でこれらの情報が流失した場合には、被験者、医療機関並びに製薬企業等より損害賠償請求を受ける可能性があると共に、当社に対する業務上の信頼が毀損することにより、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(10)人材確保が困難となるリスク

 SMO事業の遂行にあたっては医学や薬学、IT技術等の専門的な知識・経験を有する優秀な人材の確保が重要となります。中でもCRCについて、当社では看護師、薬剤師、臨床検査技師等の資格を有する者、またはそれに準ずる知識・経験を有する人材を採用した上で、教育研修を通じて更なる能力の向上を図っております。また、臨床試験を円滑に進捗させる上では、臨床試験に携わる医師、被験者並びに製薬会社担当者等との間で調整機能としての役割を担うことから、高いコミュニケーション能力も同時に求められます。こうしたことから当社では、全国に拠点を有する強みを活かして幅広い採用活動を行っており、また既存従業員に対しましても、業務のモチベーション向上に向けた研修体制の充実や、良好な職場環境づくりの一環として福利厚生制度の充実を図っております。

 しかし、人材の採用が計画通りに行われない場合や、何らかの理由で多数の離職者が発生した場合、更に法令等の改正によりCRC業務の遂行に関して特定の国家資格の取得が義務付けられるような場合には、人材確保が困難となり業務の遂行に支障が生じることから、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、次のとおり認識しております。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、経営者が採用した会計方針及びその適用方法並びに経営者によって行われた見積もりや評価が含まれております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末より771百万円増加し、5,420百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の増加825百万円等により流動資産が853百万円増加し、無形固定資産の減少35百万円、投資有価証券の減少34百万円等により固定資産が82百万円減少したことによるものであります。

 当事業年度末の負債は、前事業年度末より385百万円増加し、1,487百万円となりました。この主な要因は、未払消費税等の増加112百万円、未払法人税等の増加229百万円等により流動負債が379百万円増加し、固定負債が5百万円増加したことによるものであります。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末より385百万円増加し、3,932百万円となりました。自己資本比率につきましては、前事業年度末の76.3%から当事業年度末72.6%となりました。

 

(3)経営成績の分析

①売上高及び営業利益

 当事業年度における売上高は、6,288百万円(前年同期比10.3%増)となりました。サービス区分別の売上高は、SMO売上については、優良な医療機関との提携拡大及び治験体制の整備、プロジェクト管理体制の強化、提案型営業の全面展開等による営業体制強化により業績の拡大に努めてまいりましたが、当事業年度終盤において、順調に推移してきた売上高が大型案件が終了したこと等により伸び悩み6,032百万円(同12.5%増)となりました。その他売上については、前事業年度末において当社の親会社であるイーピーエス株式会社に、臨床研究支援事業のうち事務局支援事業を譲渡したことにより255百万円(同25.1%減)となりました。

 一方、当事業年度における売上総利益は、生産性向上や費用削減活動に取組みにより、売上原価は4,286百万円(同0.4%減)となり、売上総利益は2,001百万円(同42.9%増)、売上総利益率は31.8%(同7.2ポイント増)となりました。また、管理体制強化等により、販売費及び一般管理費が1,100百万円(同10.0%増)となり、営業利益は901百万円(同124.9%増)、営業利益率は14.3%(同7.3ポイント増)となりました。

②経常利益

 当事業年度における経常利益は、営業外収益が11百万円、営業外費用が2百万円の計上により910百万円(同123.5%増)となり、経常利益率は14.5%(同7.4ポイント増)となりました。

③税引前当期純利益

 当事業年度における税引前当期純利益は、投資有価証券の評価減による特別損失32百万円の計上により878百万円(同89.1%増)となりました。

④当期純利益

 当事業年度における当期純利益は、法人税、住民税及び事業税が394百万円、法人税等調整額が△7百万円となり491百万円(同105.2%増)となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、2,311百万円(前年同期は1,485百万円)となっており、前年事業年度末と比較して、825百万円増加(前年同期は1,700百万円の減少)しております。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、営業活動の結果得られた資金は950百万円(前年同期は162百万円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益が878百万円、未払消費税等の増加112百万円等の収入があった一方で法人税等の支払額168百万円等の支出があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、投資活動の結果使用した資金は19百万円となりました。(前年同期は1,432百万円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得11百万円等の支出によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において、財務活動の結果使用した資金は105百万円(前年同期は105百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額105百万円等の支出によるものであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

① 医療機関動向

 医療機関の経営環境は厳しさを増しており、収益確保のため臨床試験に進出しようとする医療機関が増加しています。その一方で、医師・看護師不足が深刻な問題となっており、臨床試験を推進したくても、臨床試験実施のための医師、CRCの確保が難しい状況にあり、また臨床試験の質を維持するための人材育成にも苦慮している状況にあります。こうしたことから、今後の医療機関の動向が、当社の経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

② 業界動向

 SMO業界においては、引き続き集中・選別化が進む見通しであります。製薬企業等は、委託先の事業の存続性をより重視するようになってきたため、財務体質が比較的強固な当社にとっては受注の拡大が期待できるものの、一方で多額の設備投資を必要としないことから新規参入した企業が、一時的に廉価によりプロジェクトを受注することで価格形成に影響が出る恐れがあります。その場合は経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

③ 国内臨床試験動向

 現在、医薬品の審査・承認制度は各国それぞれ異なっておりますが、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)」において、新医薬品の承認審査データを国際間で相互活用するための条件を整えつつあります。更に、海外治験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、今後、グローバル化が促進され、製薬企業等が、効率良く高品質の臨床試験データを入手できる国で臨床試験を実施するようになれば、国内での臨床試験が減少する可能性があります。また製薬企業等の再編により、製薬企業等の絶対数が減少することで、国内の臨床試験が減少する可能性もあります。その場合は経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 この他の要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 これらの状況を踏まえ、当社がSMO業界の中で確固たる地位を築き、ステークホルダーの皆様から、信頼されるSMOとなるために、事業における高品質を維持し、安定した利益を確保しつつ、業界におけるシェア拡大を図る方針であります。

 当社は、平成17年7月の株式会社ミントとの合併以来、着実に社内体制の整備、営業力の強化、契約施設の増強、業務の効率化と適正な人員配置によるコストダウン等に取り組んでまいりました。今後におきましては、次のステップとして、①製薬企業等から受注を獲得するための営業能力、②臨床試験実施先である医療機関を開拓・整備・支援する医療機関開拓・支援能力、③受託した契約に基づき、的確な症例をスピーディーかつ効率的に獲得すると共に、適正な臨床試験実施のための各種支援業務を確実にこなす業務遂行能力、そして、④これら3つの要素の総合力を最大限発揮するためにこれらを有機的に支える管理サポート能力、以上4つの力の更なる強化・拡大を図ると共に、これらをバランス良く機能させるための総合的な統制力を高めることが重要と考えております。

 

(7)経営者の問題認識と今後の方針について

 製薬企業等が、医療機関に要求する「品質:GCP省令を遵守した質の高い臨床試験の実施」、「スピード:迅速な症例登録による臨床試験の期間短縮」及び「コスト:臨床試験の実施にかかる費用の削減」は、医療機関を支援するSMOに対する要求でもあり、これらの要求が益々厳しさを増す中で、SMO各社にとって、いかに高品質、かつ顧客優位性のあるサービスを提供するかが事業展開の重要な課題となるものと認識しております。

 一方、国においても平成19年に策定された「新たな治験活性化5カ年計画」の結果を踏まえ、平成24年3月に新たに策定された「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」において、①日本の国民に医療上必要な医薬品・医療機器を迅速に届ける、②日本発のシーズによるイノベーションの進展、実用化につなげる、③市販後の医薬品・医療機器の組み合わせにより、最適な治療法等を見出すためのエビデンスの構築を進めると示されており、今後も臨床研究及び治験を実施する医療機関を支援するSMOの位置づけは極めて重要であり、日本における臨床研究及び治験の実施環境の整備、ひいては日本の医療水準の向上において、SMOが果たす役割は大きなものであると考えております。

 こうしたことから、当社におきましては、安定した財務基盤を維持し、高水準のコンプライアンスと適切な内部統制の運営による高品質な企業経営により、継続的な成長を図り、倫理を最優先にした品質の高いサービスの提供を行っていく方針であります。

 





出典: 株式会社イーピーミント、2014-09-30 期 有価証券報告書