有価証券報告書を3社、または3期分比較分析できる! いますぐトライアルで試す >>
 






セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 本書において使用される専門用語につきましては、(*)印を付けて「第2 事業の状況  7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の末尾に用語解説を設け説明しております。

 当社の報告セグメントの区分は、従来「創薬アライアンス事業」「リード抗体ライセンスアウト事業」「基盤技術ライセンス事業」の3つとしておりましたが、当事業年度より、「創薬事業」「創薬支援事業」の2つの報告セグメントに変更いたしました。これは、当社の事業展開や経営環境の変化に即応した迅速な意思決定と効率的な業務執行を目的とした組織変更を決定したことに伴うものです。なお、各セグメントにおける前年同期比は、前事業年度の数値をセグメント変更後の数値に組替えた上で比較を行っております。

(1)業績

 当社の当事業年度における事業開発活動の状況としましては、今後のライセンス契約獲得に必要なデータの蓄積と、パイプラインの導出活動やADLib®システムを用いた新規の抗体作製ビジネスに関する営業活動を実施してまいりました。また、導出活動と並行してパイプラインの価値を高めるため、2016年8月に初期臨床段階までの開発を自社で行う方針を打ち出し、LIV-1205(ヒト化抗DLK-1抗体)の開発を進めております

 創薬事業においては、2016年3月にはLIV-1205に続きLIV-2008b(ヒト化抗TROP-2抗体)についてもスイスのADC Therapeutics社(以下「ADCT社」といいます)とADC開発用途での全世界における独占的な開発・販売権に関する新たなオプションライセンス契約を締結しました。また、小児がん領域においては、2016年10月に米国国立がん研究所(National Cancer Institute; NCI)が運営する組織であるPediatric Preclinical Testing Consortium(以下、「PPTC」といいます)で評価することを合意しました。PPTCは小児がんを対象とした非臨床試験の実施プログラムを行なう組織で、これまでに10年の実績があり、50社以上の製薬企業と協力して小児がんモデルを用いて新薬候補品を評価しています。本プログラムへの採択が、LIV-1205の初期臨床開発への重要な一歩になるものと期待しております。

 以上の結果、当該事業における当事業年度の売上高は27,414千円(前年同期比6,568千円減少)、セグメント利益(売上総利益)は20,184千円(前年同期比13,798千円減少)となりました。

 創薬支援事業においては、2016年12月に中外製薬株式会社と、2016年9月には中外製薬株式会社の海外子会社であるChugai Pharmabody Research Pte. Ltd. (以下、両社を併せて「中外製薬グループ」といいます)との契約期間が延長となりました。また、2016年12月には田辺三菱製薬株式会社およびTanabe Research Laboratories U.S.A., Inc.(以下、両社を併せて「田辺三菱製薬グループ」といいます)との委受託基本契約を締結いたしました。田辺三菱製薬グループとはADLib®システムを用いて田辺三菱製薬グループが保有する抗原に対するモノクローナル抗体作製等を進めてまいります。さらに、他の製薬会社とも契約を締結し、抗体作製プロジェクトも進めております。一方、診断薬分野の大手企業である富士レビオ株式会社との取引におきましては、共同研究開発が2016年9月30日の期間満了をもって終了いたしました。今後は、ビタミンD測定キット(Lumipulse® G25-OH Vitamin D Immunoreaction Cartridges)を含め、共同研究開発期間中にADLib®システムを用いて取得した抗体を使用した診断薬キットの製品売上高に応じた一定のロイヤルティ収益を受領する予定となっております。

 以上の結果、当該事業における当事業年度の売上高は224,800千円(前年同期比21,329千円減少)、セグメント利益(売上総利益)は94,232千円(前年同期比13,840千円減少)となりました。

 また、当社は今後の企業価値向上のためパイプラインの初期臨床開発用、並びに、有望な技術やシーズの導入を目的としたM&A等に対応するための資金調達を目的として、2016年9月15日付でメリルリンチ日本証券株式会社を割当先とする行使価額修正条項付き第13回新株予約権を発行いたしました

 以上の結果、当事業年度における売上高は252,215千円(前年同期比27,898千円減少)、営業損失は1,042,357千円(前年同期比227,558千円減少)となりました。経常損失は、第13回新株予約権の発行に係る新株予約権発行費6,896千円や株式交付費4,949千円の計上、東京都知的財産総合センターの助成金に係る補助金収入4,007千円を計上したこと等により1,047,157千円(前年同期比206,759千円減少)となりました。当期純損失は、新株予約権戻入益6,228千円を特別利益として計上し、固定資産に係る減損損失321,466千円、株式会社イーベックに係る投資有価証券評価損113,999千円及び希望退職者の募集による特別退職金24,800千円等を特別損失として計上し、また法人税等調整額12,537千円を調整した結果、1,491,162千円(前年同期比208,447千円増加)となりました。

 各セグメント事業の基盤となる技術プラットフォームの研究開発活動の状況につきましては、ADLib®システムの改良並びに治療用候補抗体の作製実績を積み上げながら製薬企業等への導出を目指すとともに、アンメットメディカルニーズに応えられるような治療用抗体の研究開発を継続しております

 以上の研究開発活動の結果、当事業年度における研究開発費は626,699千円となりました。なお、当社は創薬基盤技術であるADLib®システムを核として事業を展開しており、全ての保有資産が一体となってキャッシュ・フローを生成していることから、研究開発費を各報告セグメントへ配分しておりません。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は4,553,178千円となり、前事業年度末と比較して2,452,551千円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により使用した資金は969,906千円となりました。主な内訳として、税引前当期純損失1,501,280千円に対し、資金の支出を伴わない減損損失321,466千円等を調整した資金の増加、また、主な支出要因として前受収益27,031千円の減少及び未払金22,998千円の減少があります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により取得した資金は1,988,626千円となりました。主な要因は有価証券の償還による収入2,300,000千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により取得した資金は1,433,831千円となりました。この主な内訳は、第三者割当て等の新株予約権の行使による株式の発行による収入1,461,435千円であります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

(2)受注実績

 当社は研究開発を主体としており、受注実績を定義することが困難であるため、受注実績の記載はしておりません。

(3)販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

創薬事業

27,414

80.7

創薬支援事業

224,800

91.3

合計

252,215

90.0

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自 平成27年1月1日

至 平成27年12月31日)

当事業年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

販売高

(千円)

割合(%)

販売高

(千円)

割合(%)

中外製薬グループ

183,516

65.5

187,345

74.3

ADC Terapeutics社

9,056

3.2

27,414

10.9

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当社の報告セグメントの区分は、従来「創薬アライアンス事業」「リード抗体ライセンスアウト事業」「基盤技術ライセンス事業」の3つとしておりましたが、当事業年度より、「創薬事業」「創薬支援事業」の2つの報告セグメントに変更いたしました。各セグメントにおける前年同期比は、前事業年度の数値をセグメント変更後の数値に組替えた上で比較を行っております。

 

3【対処すべき課題】

(1) 技術導出・パイプライン拡充のため、医薬品候補抗体の開発実績の蓄積

 医薬品業界においては、当社が研究開発に取り組んでいる抗体医薬に加え、低分子医薬、ペプチド医薬、核酸医薬、再生医療等の研究開発が行なわれております。このような環境の中で、抗体医薬は、疾患の原因である抗原に対する特異性が高いため、安全性や有効性において優位であると認識しております。

 ADLib®システムは当社が保有する抗体作製技術の一つであり、既存の技術にはない独自性について製薬企業等から評価を得ております。今後、ADLib®システムを中心にその他技術を利用して、パイプラインを拡充するとともに、技術導出を促進させることが重要な課題であると認識しております。

(2) パイプラインの早期導出、並びに収益の確保

 非臨床試験段階のパイプラインとしてLIV-1205、LIV-2008、LIV-2008bおよび抗セマフォリン3A抗体があり、導出に向けた取り組みを強化しております

 LIV-1205(ADC領域)およびLIV-2008bは、ADCT社と締結済みのオプションライセンス契約がライセンス契約へ移行した場合、当社の中長期的な経営基盤構築に大きく寄与すると考えられることから、ライセンス契約へ移行させることが課題であります。また、LIV-1205(Naked抗体)、LIV-2008および抗セマフォリン3A抗体についても製薬企業への導出活動を継続し、早期にライセンス契約を締結できるよう積極的に取り組みます。

 

4【事業等のリスク】

 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません

 当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項および本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております

 なお、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

1.事業環境に由来するリスクについて

(1) 抗体医薬品市場について

 2014年11月現在、欧米で上市されている治療用抗体は47品目あり、年平均4品目が上市されている最近の動向から2020年には約70品目に達するとの予測もあることから、抗体医薬品市場は安定的に成長するものと見込んでおります(mAbs, 2015; 7(1):9-14)。しかしながら、各種疾患のメカニズムや病態の解明により、疾患特異的に作用する分子標的薬の開発、低分子特有の副作用を軽減するために疾患部位に薬を送り届けるデリバリーシステムの開発等との競合により想定どおりに市場が拡大しない場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。また、2013年11月に制定された再生医療関連法や改正薬事法等による再生医療による治療の普及等も抗体医薬品市場に影響を与える1つの要因と言えます。

(2) 技術革新について

 完全ヒトADLib®システムは、治療・診断用途に適したヒト抗体を数週間で作製することを可能とするものであり、将来的なビジョンとして「パンデミック等の新興感染症の発生に即応し、安全で有効な抗体を迅速に提供すること」や「患者様から疾患に関連する細胞や組織の提供を受け、最適な抗体を迅速に作製・選択するオーダーメイド医療を実現する」等に対応することを描いております。しかしながら、急激な技術革新等により医薬品開発分野での競合優位性が保持できない場合、また、必要な技術進歩を常に追求するために想定以上の費用と時間を要する場合は、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(3) 他社との競合について

 競合他社が同じターゲットで優れた機能をもつ抗体を創出した場合は、導出候補先である製薬企業等へのライセンスアウト活動が容易でなくなる可能性があります。また、複数の同業他社の参入に伴いアライアンス活動の競争が激化し当社事業の優位性に影響を及ぼす可能性があります

(4) 海外取引について

 当社は、主に製薬企業等を対象として創薬基盤技術やリード抗体を紹介し、取引開始に向けた営業活動を行っております。今後、当社の海外における事業展開が進展し、海外の製薬企業等との取引規模が拡大した場合、海外における法的規制や商取引慣行等により、当社の事業展開が制約を受ける可能性があります。また、外貨預金においては、急激な為替相場の変動が生じた場合、当社の財政状態、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります

 

2.事業内容に由来するリスクについて

(1) 知的財産権について

 当社は、研究開発活動等において当社が所有し又は使用許諾を受けた様々な知的財産権を使用しています。当社が創製した技術等について、当社の知的財産権を侵害されるリスク又は当社が他社の知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。こうしたリスクに対応するために、積極的かつ速やかに特許出願等を行うことで排他性の確保を図るとともに、特許情報データベース等を活用して情報収集を行い、当社特許権の侵害および他社関連特許権の早期発見・対応に努めております。すでに基盤技術特許は国内外で成立しておりますが、第三者の特許の存在により特許侵害訴訟を提起された場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(2) 特定の技術への依存について

 当社は、理研と創薬基盤技術であるADLib®システムに関する特許ライセンス契約を締結し、積極的な研究開発により技術改良を行いながら事業を展開しておりますが、競合他社が画期的な技術で先行した場合や特許期間が満了した場合、また、当社の技術が他の安価な技術で代替できる場合や技術自体が陳腐化した場合、あるいは当社の技術改良の対応が遅れた場合は、当社の技術優位性が低下し、事業等に影響を及ぼす可能性があります

(3) 特定の取引先への依存について

 当社は、中外製薬グループと抗体医薬品開発にかかる共同研究契約及び委託研究取引基本契約を締結しており、当事業年度における当社の売上高に占める同社グループの割合は高い水準となっております。当社では事業の核となるADLib®システムの更なる技術改良を推進し、付加価値を向上させることで、その他製薬企業等から収益を獲得しながら、各クライアントとの良好な取引関係を維持・継続していく方針であります。しかしながら、中外製薬グループの経営方針の変更による委託業務量の減少や契約条件の変更、本契約の解除等が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(4) 複数の製薬企業との関係について

 当社が製薬企業と共同研究契約を締結する場合、当該契約が定めるターゲットに重複が生じないよう配慮しておりますが、研究内容によっては、部分的に重なりが発生する可能性も考えられます。その結果、当社がどちらか一方の企業との共同研究の機会を喪失することで当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(5) 提携先に影響されるリスク

 当社は、治療用抗体創出のため戦略的アライアンス推進の一環として共同研究での補完関係を前提とした事業を推進しております。しかしながら、提携先の技術および研究開発の進捗に大きな差が生じた場合、また経営不振や経営方針の変更があった場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(6) 収益計上について

 契約の締結時期、医薬品開発の進捗状況、医薬品販売開始時期等の遅れによる収益上の期ずれ、また何らかの事由により医薬品開発、販売が中止となる場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(7) 事業計画の主な前提条件について

① 既存提携先との提携事業の確実な推進

 当社は、既存提携先との継続的な事業提携を基盤として事業計画を策定しております。しかしながら、当社の想定どおりに事業提携が進捗しない場合、あるいは想定していた成果が得られない場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

② 取引先数及び契約締結数の増加

 当社は、複数の製薬企業への継続的な導出活動による契約獲得を目指し、事業計画を策定しております。当社の事業特性として、契約金額が計画を下回る場合、契約締結時期が計画よりも遅れる場合、計画している契約が締結できない場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

③ 当社の創薬基盤技術に関する研究開発の進捗

 当社は、ADLib®システムのバージョンアップをはじめとした研究開発活動の進捗を前提として、事業計画を策定しております。しかしながら、研究開発活動を中断せざるを得ない場合、研究開発に想定以上の開発コストがかかる場合、あるいは研究開発から想定どおりの成果が得られない場合等には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(8) 減損会計について

 当社は事業用の有形・無形の固定資産を保有しておりますが、経営環境や事業の著しい変化などにより事業計画が想定どおり進まない場合や価値の低下があった場合、減損会計の適用により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.医薬品開発の不確実性に由来するリスク

 一般に医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要するだけでなく、その成功確率も他産業に比して著しく低い状況にあります。研究開発の初期段階において有望だと思われる化合物や抗体であっても、非臨床試験や臨床開発の過程で有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止を行なうことがあり、投資した資金の回収に影響を及ぼします。また、開発を中止した場合には、それまでに投じた研究開発資金を回収できなくなります。さらに、当社が参画する医薬品業界は、研究、開発、製造および販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法およびその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。当社は医薬品医療機器等法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提として事業計画を策定しています。しかしながら、当社が開発を進めている抗体が現実に医薬品として上市されるまでの間、これらの規制や制度・価格設定動向等が変更される可能性もあります。もしこれらに大きな変更が発生した場合には、当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

4.その他のリスク

(1) 小規模組織であること

 当社は小規模な組織であるため、研究開発体制および社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。このような限られた人材の中で、業務遂行上、取締役および幹部社員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分が大きいため、当社の業容の拡大に応じた人員の増強や社内管理体制の充実等を図っております。しかしながら、一部の取締役および執行役員の退職により事業活動に不備が生じた場合には、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります

(2) 特定の人物への依存について

 当社の事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員に強く依存しています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保又は育成が計画通りにいかない場合は、当社の財政状態および経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります

(3) 社歴が浅いことについて

 当社は社歴が浅い会社であるため、業績の期間比較を行うための十分な財務数値が得られておりません。従って、過年度の経営成績および財政状態だけでは、今後の当社の業績を判断する材料としては十分な期間とは言えないと考えております。将来、当社が開発・導入した医薬品の上市により事業収益を計上し、利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益はありません

(4) マイナスの繰越利益剰余金の計上について

 当社は、創業時よりADLib®システムを利用した医薬品開発のための研究開発活動を重点的に推進してきたことから、多額の研究開発費用が先行して計上され、創業以来当期純損失を計上し、当事業年度末における繰越利益剰余金額はマイナスであります。当社は安定的な利益計上による強固な財務基盤の確立を目指しておりますが、事業が計画どおりに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金が計画どおりに解消できない可能性があります

(5) 資金調達について

 当社では、研究開発活動における成果創出のため多額の研究開発費が先行して計上され、継続的な営業損失が生じております。今後も事業運転資金や研究開発投資および設備投資等の資金需要が予想されます。製薬企業等とのアライアンスによる収益や新株予約権の権利行使等によるキャッシュインおよび人件費や研究開発活動にかかる投資活動等のキャッシュアウトを見込んだ資金計画を策定しておりますが、充分な事業活動資金を確保できない場合には、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります

(6) 新株式の発行による株式価値の希薄化について

 当社は資金調達を目的とした増資や新株予約権行使による新株式の発行を機動的に実施していく可能性があります。新株式の発行は当社の事業計画を達成する上で合理的な資金調達手段であると判断しておりますが、発行済株式総数が増加することにより、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。当社は役職員に対して新株予約権を付与しており、今後も優秀な人材の採用や役職員の業績向上に対する意欲を高めるインセンティブとして活用し、当社の中長期的な企業価値の向上を図ることを目的として新株予約権を付与していくことを予定しております

(7) 営業機密の漏洩について

 当社における事業では、当社は顧客である製薬企業等からの情報を預かる立場にあります。従いまして、当社は役職員との間において顧客情報を含む機密情報に係る契約を締結しており、さらに退職時にも個別に同様の契約を締結し顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。また、抗原名をプロジェクトコード化した社内共通言語を用いた顧客情報管理を実施するとともに、顧客情報へのアクセス制限も行っております。しかしながら、万一顧客の情報が外部に漏洩した場合は、当社の信用低下等により当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 自然災害等の発生について

 当社は、東京都渋谷区および川崎市宮前区に研究所を設置しており、事業活動や研究開発活動に関わる設備および人員が各研究所に集中しております。そのため、各研究所の周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、火災、テロ等が発生し、当社が保有する抗体ライブラリの滅失、研究所設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合、当社の事業等に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当社の経営上の重要な契約は次のとおりであります。

(1) 基盤技術に関する特許ライセンス契約

相手方の名称

相手先

所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

理研

日本

平成23年1月1日

平成23年1月1日から

平成35年7月28日まで

ADLib®システムの基盤特許に関する実施権及び再実施権の取得、及びその対価である一定比率のロイヤルティの支払い

 

(2)アライアンス契約

相手方の名称

相手先

所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

中外製薬

日本

平成20年11月1日

平成20年11月1日から

平成29年12月31日まで

(注1)

抗体作製に関する共同研究を実施

中外製薬

日本

平成23年6月30日

平成23年7月1日から

平成30年12月31日まで

(注2)

抗体作製に関する委託研究を実施

CPR社

シンガポール

平成24年8月1日

平成24年8月1日から

平成33年12月31日まで

効率的な抗体医薬品の開発に必要な研究材料の調製等の業務

(注)1.平成28年12月27日付覚書により平成29年12月31日まで契約延長

   2.平成28年12月27日付覚書により平成30年12月31日まで契約延長

 

(3)ライセンス契約

相手方の名称

相手先の

所在地

契約締結日

契約期間

契約内容

富士レビオ

日本

平成22年9月30日

特許期間満了まで

(ただし、共同研究開発は平成22年9月30日から平成28年9月30日まで)

ADLib®システムの非独占的実施許諾及び共同研究開発契約

富士レビオ

日本

平成25年6月20日

特許期間満了まで

ADLib®システムの使用により取得したビタミンD類の測定を目的とした抗体を含む体外診断用医薬品の製造及び販売に係る実施許諾

 

6【研究開発活動】

 当社は研究開発型のバイオ医薬品企業として、経営資源を研究開発活動に集中しております。研究開発費は当社が保有するパイプラインの開発費、次期開発候補品の基礎・探索から創薬研究、並びに創薬基盤技術の研究にかかる費用で構成されております。研究開発活動の具体的な内容は、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

1.重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のためこれらの見積りと異なる場合があります。

 

2.財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は4,681,517千円となり、前事業年度末と比較して408,016千円増加いたしました。この主な要因は、第三者割当てによる新株予約権の行使等により現金及び預金が増加したことであります。

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は107,635千円となり、前事業年度末と比較して537,643千円減少いたしました。この主な要因は、固定資産に係る減損損失や投資有価証券評価損の計上による減少であります。

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は169,088千円となり、前事業年度末と比較して68,440千円減少いたしました。この主な要因は、未払金22,322千円の減少や、売上計上による前受収益27,031千円の減少であります。

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は54,986千円となり、前事業年度末と比較して62,023千円減少いたしました。この主な要因は、繰延税金負債12,537千円の減少や返済による長期借入金50,004千円の減少であります。

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は4,565,078千円となり、前事業年度末と比較して837千円増加いたしました。これは、当期純損失の計上による利益剰余金1,491,162千円の減少があった一方で、新株予約権の権利行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ741,121千円増加したこと、新株予約権の発行等により新株予約権が9,757千円増加したことによります。

 

3.経営成績の分析

 当事業年度における売上高は、国内製薬企業とのアライアンス契約に基づく収益の計上等により252,215千円となりました。販売費及び一般管理費は1,156,774千円となり、その主なものは研究開発費626,699千円であります。この結果、営業損失は1,042,357千円、経常損失は1,047,157千円、当期純損失は1,491,162千円となりました。これらの要因については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりです。

 

4.キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

5.経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおり、当社の事業開発活動の状況を踏まえた経営戦略の現状と見通しは以下のとおりです。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は多様な抗体を迅速に創出して医薬品や診断薬等の開発につなげることにより、新しい治療法を必要とする患者様、御家族および医療従事者の方々のお役に立ちたいと願っています

 がんや自己免疫疾患、感染症等、多くの疾患に対して抗体医薬品が開発されていますが、ある患者様には効果が認められる抗体が他の患者様には効き目がないことがあります。これは、例えば同じ肺がんでも患者様によってがん細胞の性質が異なることがあるためです。その場合、患者様のがん細胞に適合した抗体医薬品を迅速に作製して治療に用いることが望まれます。さらには、がん細胞の異なる性質を見分けることができれば、より効果的な治療を患者様に提供できるようになります。また、治療法が確立されていない希少・難治性疾患と広域に流行する可能性が高い新興感染症はいずれも人類にとって大きな脅威です。新興感染症の爆発的な流行には、グローバルでの素早い対応が求められます。ADLib®システムの多様性や迅速性に加え、他の抗体作製技術や新規の創薬技術の特長を最大限活かし、これらの疾患の克服と人類の健康に貢献します

 

(2) 目標とする経営指標

 創薬事業においては、ADLib®システムの継続的な改良および技術導入や共同研究提携等の戦略的アライアンスを推進することで、創薬力を高めてまいります。また、パイプライン数の拡充・導入に向けては、ADLib®システム、抗体産生動物を含むその他抗体作製技術を用いて、アンメットメディカルニーズに対する医薬品開発に有用な抗体作製実績を積み重ねると共にシーズの導入にも努めてまいります。パイプラインの価値最大化に向けては、非臨床試験段階のみならず初期臨床開発まで実施した上での導出を検討します

 創薬支援事業においては、アライアンス契約や技術ライセンス契約を継続的に締結することで、収益基盤の安定化を目指します。その上で、当社の抗体作製技術、これまでの経験と実績を活かしてクライアントの期待を上回る成果を提供して包括契約の締結を目指します。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 独自の創薬基盤技術であるADLib®システムを核とした中長期的な事業シナリオは次のとおりです。

① 治療用リード抗体の創出

 製薬企業やアカデミア等との共同研究開発を継続して、医薬品候補として有望な抗体を自社で作製し、製薬企業等へ早期に導出することを目指します

② 技術開発と事業開発の連動

 当社のような創薬基盤技術型のバイオベンチャー企業の場合、技術開発、医薬品候補抗体の作製および事業開発が相互に影響を与えながら事業が展開されます。そのため、事業開発と技術開発の継続的な連動を図り、柔軟な事業展開を行っていく方針です

アライアンスの推進

 現在当社では、製薬企業等と共同研究契約および試料提供契約を締結して、共同研究、パイプライン評価を進めております。今後も相互補完的な価値を持つ企業との戦略的アライアンスを推進することにより、事業開発や研究開発活動を加速させてまいります。それにより、抗体創薬企業としての認知度を高めることで、最先端の情報をより早く入手し、優秀な人材を確保することが出来ると考えます

④ 創薬事業の規模拡大

 製薬企業等との新規アライアンス契約の締結、並びに既に締結済みの契約の規模拡大を目指します。また、新規開発パイプラインの策定においては、将来の提携や早期ライセンスアウトが実現できるよう、業界での開発傾向や既存薬剤による医療ニーズの充足度等を調査、検討のうえ、最適な創薬ターゲットと適応疾患を選定することが重要です。そのため、当社では自社での評価の他に、製薬企業等との情報交換による需要の発掘やアカデミアとの連携などを通じて、ターゲットの拡充と選定が適切に行われるよう努めてまいります。その上で提供可能なパイプラインがクライアントのニーズに即していた場合には、早期に本格契約(ライセンス契約)へと繋げていくことを目指します

 

 

<用語解説>(50音、アルファベット順)

用語

意味・内容

アンメットメディカルニーズ

いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療ニーズのことをいいます。

キメラ抗体

ヒト以外の動物に由来する抗体分子のうち抗原と結合する部分(可変領域)を取り出し、ヒト由来の抗体分子の定常領域と交換したものをヒトキメラ抗体といいます。このような異種の抗体のキメラ抗体は、一般的に可変領域のもっている抗原と結合する能力を保持することが知られています。

クローン

同一の起源を持ち、かつ均一な遺伝情報を持つ核酸、細胞、個体の集団のことをいいます。

クロマチン構造

クロマチンとは、真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体のことを表します。例えばヒトの場合、一つの核に納められているDNAの総延長はおよそ2mといわれており、これを10μmの核に収納するための構造がクロマチン構造であります。

抗原

通常、細菌やウイルスの持つタンパク質等、体内で異物と認識され、抗原抗体反応を起こさせる物質のことを抗原といいます。抗原が体内に入ると、これを撃退するための物質として抗体が作られ、抗原を排除するために働きます。さらにこの意味から派生して、抗体に結合する物質、あるいはこれから抗体を作製したい物質全般を、抗原と呼ぶこともあります。

抗セマフォリン3A抗体

セマフォリン3A(Semaphorin 3A)は神経軸索ガイダンス因子として同定された分子で、神経軸策伸張を抑制することにより伸長方向を決めていることが知られています。最近の研究では、骨や臓器の発生と成長に重要な役割を果たしていること、セマフォリン3Aを阻害することにより神経再生が起きること、また炎症・免疫反応やがん、アルツハイマーとも関連していることが報告されています。

抗体

特定の異物(抗原)に特異的に結合し、その異物を体内から除去する分子のことをいいます。抗体は、免疫グロブリンというタンパク質です。

抗体遺伝子

抗体遺伝子とは、抗体タンパク質の設計図となる遺伝子のことです。

抗体遺伝子座

遺伝子座とは、染色体やゲノムにおける遺伝子の位置のことをいい、抗体遺伝子座とは、ゲノムの中で抗体を形作る遺伝子が存在する場所のことを示します。

抗体医薬品

抗体を利用した医薬品のことです。

相同組換え

相同組換え(相同的組換え)は、DNAの塩基配列がよく似た部位(相同部位)の間で起こる遺伝子の組換えメカニズムのことをいいます。

様々な化学物質や放射線により切断されたDNAは主に相同組換えによって修復されます。また、相同組換えがうまくいかないと配偶子が形成されなくなる等、生命が存続するために不可欠な仕組みの一つです。トリDT40における抗体遺伝子座の相同組換えは、抗体遺伝子の多様化を創出するための仕組みとして機能しています。

探索

創薬研究の最初の段階として、医薬品の元となる生理活性をもつ物質を探索する研究段階があります。この研究を一般的に探索研究と呼びます。

低分子医薬

分子量が小さく、ごく少数の機能的な分子グループを含む比較的単純な構造をした有機化合物。医薬品の領域では、概ね分子量数百程度のものを低分子(型)化合物といいます。

特異的抗体

抗原抗体反応において、ある特定の抗原に結合する抗体です。

トリコスタチンA(TSA)

ニワトリDT40細胞にクロマチン弛緩を誘導するために利用する薬剤でヒストン脱アセチル化酵素という種類の酵素の働きを阻害する働きがあります。

トリ・マウスキメラIgG

抗体分子のFc領域をマウス由来の分子に交換し、それ以外の部分はトリ由来のものをマウス・キメラIgGといいます。トリ・マウスキメラIgGを産生するADLib®システムでは、トリIgMではなく、トリ由来の可変領域が持っている抗原と結合する能力を維持したキメラ抗体(*)が取得できます。

 

用語

意味・内容

バイスペシフィック(多重特異性)抗体

一つの抗体分子で複数のターゲット(抗原)を認識する多重特異性抗体のことです。

ハイブリドーマ法

抗原を実験動物に免疫して、抗体を作り出すB細胞と増殖し続ける能力を持った特殊な細胞(ミエローマ細胞)を融合した細胞(ハイブリドーマ)を作製する方法です。

ヒト化抗体

ヒトの抗体に似ていますが、一部他の動物由来の構造を保持する抗体のことをいいます。

ファージディスプレイ法

遺伝子工学的手法でファージ(細菌に感染するウイルス)粒子に多様な抗体タンパク質の抗原認識部位を発現提示させ、抗原と反応するファージを回収して、モノクローナル抗体を作製する方法です。

免疫化学的アッセイ

免疫化学的アッセイとは、生物材料を用いて行うバイオアッセイ(生物化学的実験)の一つであり、特に抗体を用いて行う分析手法をいいます。抗体が、抗原に対して非常に特異的に結合する特長を持っているため、免疫化学的アッセイはバイオアッセイの中でも特に広く用いられる手法です。

免疫寛容

特定の抗原(例えば、自身の体の構成成分やそれに似ているもの)に対しては、これが異物とみなされないために体が免疫反応を示さず、体内で抗体を産生しない状態をいいます。

免疫チェックポイント阻害剤

いわゆる免疫療法の一種です。最近話題になっているこの治療薬は、これまでの免疫療法では免疫細胞の攻撃力を高める、アクセルをかける働きが中心であったのに対し、免疫細胞にかけられたブレーキを外す働きをもっています。他に治療法のなかった患者様にも治療効果をあげることに成功しています。

免疫反応

生体が外来性あるいは内因性の物質に対して自己か非自己かを識別し非自己に対してこれを排除することで、個体の生存維持及び種の存続のために起こす一連の生体反応をいいます。

モノクローナル抗体

DT40細胞やハイブリドーマ等、単一の抗体を産生する細胞から得られた抗体のこと。

ライブラリ

一つ一つの細胞が異なる構造の抗体を持っているような、大量の細胞の集団のことを、図書館にたとえて、ライブラリと呼びます。

リード抗体

医薬品の候補となる抗体のことです。

ADC

抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate)のことを指します。ADCの特徴は、悪性腫瘍や炎症性疾患等の目的の組織や細胞表面タンパク質(抗原)に特異的に結合する抗体に抗がん剤等の薬物を結合させることにより、薬剤を病変部位に選択的に到達させ、細胞内に放出させることで、がん細胞等を死滅させることができます。

ADLib® axCELL

ADLib®システムの応用技術の一つです。ADLib®システムで使用する抗原を細胞にまで拡大した技術で、当社で開発に成功した独自技術です。細胞表面に発現する抗原をそのまま自然な状態で利用することで従来技術では取得困難であった抗体を得ることができます。

ADLib® Combo

ADLib®システムの応用技術の一つです。既存の抗体とは異なったエピトープ(抗体が認識する抗原の一部分)を認識する抗体の取得方法のことです。

ADLib®(アドリブ)システム

ニワトリのBリンパ細胞由来のDT40細胞の持つ抗体遺伝子の組換えを活性化することによって、抗体タンパク質の多様性を増大させ、特定の抗原を固定した磁気ビーズで特異的抗体を産生する細胞をつり上げる仕組みです。理研で開発された技術で、当社はその独占的な実施権を保有しております。既存の方法に比べ、迅速性に優れていること及び従来困難であった抗体取得が可能であること等の点に特徴があると考えております。

Bリンパ細胞

リンパ球の1種で、主に抗体を産生します。

 

 

 

用語

意味・内容

DT40細胞

ニワトリのファブリキウス嚢(鳥類に特有な一次免疫器官)から取り出され、がん遺伝子の導入により不死化されたB細胞(抗体産生細胞の一種)の一つです。このDT40細胞株の抗体遺伝子座において起こる遺伝子変換を人為的に誘導することによって、多様な抗体を産生する細胞集団(ライブラリ)が得られます。これがADLib®システムの技術の基になっています。

ELISA

ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay) は、試料中に含まれる抗体あるいは抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる免疫化学的アッセイの一つです。

first-in-class

一般的には、その作用機序の医薬品のなかで市場に最初に登場した医薬品を指します。類似薬がないことから高い薬価と高い売上が期待できます。抗体の場合は、あるタンパク質(抗原)を疾患治療用のターゲットとして初めて用いる場合、その抗体はfirst-in-class抗体と呼ばれます。first-in-class抗体のターゲット抗原の候補は、潜在的なものも含めてアカデミアを中心としたさまざまな疾患研究の中に多く存在していると考えられます。当社ではそうした抗原をターゲットとすることで、これまでにない医薬品候補抗体の開発を目指し、治療充足度が十分でない疾患の治療に貢献します。

GPCR

GPCR(G Protein Coupled Receptor)は、7回膜貫通型タンパク質であり、がんや免疫疾患の治療を目的とした有力な医薬品ターゲットとして注目されています。

IgG

抗体は、構造の違いによっていくつかのタイプに分けられ、その中の免疫グロブリンG(Immunoglobulin G)の名称を略したものです。IgG抗体はヒトの抗体の大部分を占めている抗体です。

IgM

抗体は、構造の違いによっていくつかのタイプに分けられ、その中の免疫グロブリンM(Immunoglobulin M)の名称を略したものです。オリジナルのADLib®システムによって作製する抗体は一般的にこのタイプのものです。なお、当社では、ADLib®システムによって作製したIgM抗体をIgG化する技術も保有しております。

Nature Biotechnology

Nature誌と同じ出版社であるNature Publishing Group社が発行するバイオテクノロジー専門の論文雑誌です。

 





出典: 株式会社カイオム・バイオサイエンス、2016-12-31 期 有価証券報告書