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セクション一覧

第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

第11期

決算年月

平成25年6月

平成26年6月

平成27年6月

平成28年6月

平成29年6月

売上高

(千円)

678,269

818,901

2,474,499

4,327,878

4,895,747

経常利益

(千円)

174,119

221,992

1,496,415

2,372,312

2,624,446

当期純利益

(千円)

137,180

148,512

1,004,164

1,581,288

1,890,750

持分法を適用した場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

2,725,000

2,734,254

2,750,336

3,630,183

3,870,769

発行済株式総数

(株)

13,241,300

13,433,300

13,803,300

56,440,800

57,309,200

純資産額

(千円)

5,696,242

5,863,205

6,912,431

10,242,756

12,180,801

総資産額

(千円)

5,926,153

5,999,273

7,738,442

11,956,402

13,628,452

1株当たり純資産額

(円)

429.96

109.06

124.91

90.69

106.39

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(—)

(−)

(−)

(−)

(−)

1株当たり当期純利益金額

(円)

12.32

2.77

18.36

14.23

16.54

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益金額

(円)

9.86

2.32

15.66

12.26

14.56

自己資本比率

(%)

96.1

97.7

89.1

85.6

 89.4

自己資本利益率

(%)

4.6

2.6

15.7

18.5

 16.9

株価収益率

(倍)

583.17

724.15

186.82

213.71

214.93

配当性向

(%)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

234,566

72,174

1,386,143

1,533,057

1,530,776

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

112,625

3,473,143

961,723

981,920

 △1,939,399

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

5,187,570

18,360

44,366

1,742,856

45,580

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

5,572,450

2,200,392

4,679,619

6,909,149

6,556,679

従業員数

(名)

25

28

43

47

60

 

(注) 1.売上高には消費税等は含まれておりません。

2.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社が存在しないため記載しておりません。

3. 平成27年6月9日開催の当社取締役会の決議に基づき、平成27年7月1日付で普通株式1株につき4株の株式分割を行っております。第8期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。

4. 平成29年6月13日開催の当社取締役会の決議に基づき、平成29年7月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っております。第10期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。

 

5.第11期の1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額の算定上の基礎となる普通株式の期中平均株式については、資産管理サービス信託銀行株式会社(信託E口)が所有する当社株式を控除対象の自己株式に含めて算出しております。また、1株当たり純資産額の算定においては、期末発行済株式総数から控除する自己株式数に含めて算出しております。

6.従業員数は、就業人数であり、使用人兼務役員は含まれておりません。

 

 

2 【沿革】

平成17年9月に、株式会社東京大学エッジキャピタル(UTEC)及び株式会社東京大学TLO(CASTI)の紹介にて、菅裕明(当社のコア技術・フレキシザイムの開発者であり、現当社社外取締役)と窪田規一(現当社代表取締役)が出会いました。技術的には伍していても、事業としては欧米の後塵を拝し、閉塞感のある日本のバイオ業界の現状に対し、新しい創薬の方向について語り合い、お互いに一つの夢を共有するに至りました。「日本発・世界初の新薬を創出し社会に貢献したい」という共通の夢から、バイオ創薬における独創的な製薬メーカーに成長することを標榜し、平成18年7月に東京大学先端科学技術研究センターの国際・産学共同研究センターにて当社は設立されました。そして、「フレキシザイム技術」に始まる独自の知的財産の強みを最大限に生かしたビジネスモデルを構築することができました。
 当社は、当社のモットーである"Our Dreams can come TRUE !"に沿って「日本発・世界初の新薬を創出し社会に貢献したい」という夢に向かって着実に歩んでおります。
 当社設立以後の変遷は、以下のとおりであります。

 

年月

概要

平成18年7月

東京都千代田区において当社設立(ラボは東京大学先端科学技術研究センター内)

平成18年12月

国立大学法人東京大学とフレキシザイムを中心とした包括的な第三者へのサブライセンス権付き独占実施・許諾権を取得

平成19年5月

ニューヨーク州立大学とフレキシザイム開発に係る基本特許に関して第三者へのサブライセンス権付き独占実施・許諾権を取得

平成19年5月

英国・Cambridge Antibody Technology Ltd.(現MedImmune Ltd.)と基礎技術に関する基礎研究契約を締結(第一次契約)

平成21年3月

英国・MedImmune Ltd.と技術に関する共同研究開発契約を締結(第二次契約)

平成21年3月

本社を東京都目黒区(東京大学先端科学技術研究センター内)に移転

平成22年4月

本社及びラボ機能を東京都目黒区(東京大学駒場リサーチキャンパスKOL内)に移転

平成22年10月

Bristol-Myers Squibb Company(米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成22年11月

AMGEN Inc.(米国アムジェン社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成22年12月

田辺三菱製薬㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成23年9月

内閣府及び各省等主催の第10回「産学官連携推進会議」において産学官連携功労者として「日本学術会議会長賞」を受賞

平成24年7月

第一三共㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成24年9月

AstraZeneca Plc.(英国アストラゼネカ社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結(第三次契約:MedImmune Ltd.からの継承)

平成24年9月

GlaxoSmithKline Plc.(英国グラクソ・スミスクライン社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成24年11月

Novartis Pharma AG(スイスノバルティス社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成25年1月

フジサンケイビジネスアイ(日本工業新聞社)主催の第8回「日本バイオベンチャー大賞」(後援:経済産業省、文部科学省、関西経済連合会等)において「大賞」を受賞

平成25年3月

IPSEN,S.A.S(仏国イプセン社)と創薬研究に関する共同研究契約を締結

平成25年4月

公益財団法人東京都医学総合研究所と受託研究契約を締結

平成25年6月

株式会社東京証券取引所マザーズ市場に上場

平成25年9月

Bristol-Myers Squibb Company(米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社)とPDPS技術ライセンス契約を締結(技術貸与の実施)

平成25年12月

Eli Lilly and Company(米国イーライリリー・アンド・カンパニー社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成26年3月

特定非営利活動法人ビジネスモデル学会において第2回「ビジネスモデル大賞」を受賞

平成27年1月

一般社団法人日本経済団体連合会に入会

平成27年4月

Novartis Pharma AG(スイスノバルティス社)とPDPS技術ライセンス契約を合意(技術貸与の実施)

平成27年4月

Merck Sharp and Dohme(米国メルク・アンド・カンパニー社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

 

 

年月

概要

平成27年9月

Sanofi S.A.(仏国サノフィ社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成27年9月

帝人ファーマ㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成27年11月

杏林製薬㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成27年12月

東京証券取引所市場第一部に市場変更

平成27年12月

Genentech, Inc.(米国ジェネンテック社)と創薬研究開発に関する共同研究開発契約を締結

平成28年2月

塩野義製薬㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成28年2月

ベンチャー創造協議会・経済産業省・日本ニュービジネス協議会連合会・東京ニュービジネス協議会(Connect!)主催の第2回「日本ベンチャー大賞」において「内閣総理大臣賞」を受賞

平成28年3月

Eli Lilly and Company(米国イーライリリー・アンド・カンパニー社)とPDPS技術ライセンス契約を締結(技術貸与の実施)

平成28年3月

旭化成ファーマ㈱と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成28年7月

Genentech, Inc. (米国ジェネンテック社)とPDPS技術ライセンス契約を締結(技術貸与の実施)

平成29年4月

Janssen Pharmaceuticals, inc. (米国ヤンセン社)と創薬開発に関する共同研究開発契約を締結

平成29年6月

塩野義製薬㈱とPDPS技術ライセンス契約を締結(技術貸与の実施)

 

(注)平成29年7月に本社・研究所を東京都目黒区(東京大学先端科学研究センター内)から神奈川県川崎市に移転しました。また、同8月に塩野義製薬㈱及び積水化学㈱との合弁契約を締結し、同9月に合弁会社であるペプチスター株式会社を設立しております。

 

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の概要

当社は、当社独自の創薬開発プラットフォームシステム(*1)であるPDPS(Peptide Discovery Platform System)を活用して、国内外の製薬企業との共同研究開発のもと、新しい医薬品候補物質の研究開発を行っています。

当社の事業の系統図は、次のとおりです。なお、当社のセグメントはアライアンス事業のみの単一セグメントであります。

 

        <事業系統図>


(注)  当社の各種売上金の詳細については後述「(4) 当社のビジネスモデルについて」に記載のとおりであります。

 

当社は、特殊ペプチド医薬に特化した事業を展開しております。「特殊ペプチド」とは、当社窪田(現当社代表取締役)の造語ですが、生体内タンパク質を構成する20種類のL体のアミノ酸だけではなく、特殊アミノ酸と呼ばれるD体のアミノ酸やNメチルアミノ酸等を含んだ特殊なペプチドをいいます。当社では、後述のとおり創薬に適していると考えられるこの特殊ペプチドから医薬品候補物質を創製することを主たる事業としております。

特殊ペプチドによって創薬開発を行うことを可能にするため、当社は創業以来、創薬開発基盤システムを創り上げることに注力してまいりました。その成果が、当社独自の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)です。当社は、このPDPSにより、多様性を持った特殊ペプチドのライブラリーを作製し、標的分子(ターゲットタンパク)に対して適した特殊ペプチドを短期間でスクリーニングすることができるようになりました。

当社の事業の概要は、次のとおりであります。(A)共同研究開発:当社と製薬企業との間で共同研究開発契約を締結すると、当社は、製薬企業から契約一時金、研究開発支援金等の売上金及び標的分子(ターゲットタンパク)を受領します。その後、当社では、PDPSを活用して多様性のある特殊ペプチドのライブラリーを作製し、標的分子に対してアフィニティ(他の分子との特異的な親和性)のある特殊ペプチドをPDPSにより高速でスクリーニングして製薬企業に提供します。提供された特殊ペプチドは、その後、製薬企業において創薬開発が進められることになりますが、製薬企業の創薬開発が成功裡に進めば、当社は創薬開発の進捗段階に応じて、当該特殊ペプチドに係る製品の上市に至るまで及び上市後においても契約に基づき種々の対価を受領することができます。(B)PDPS技術貸与(PDPS技術ライセンス):当社との共同研究開発を通じて、製薬企業は当社のPDPSが持つ能力に関心を抱くようになり、製薬企業からPDPSを当該製薬企業内で使いたいとの要望が出てくるようになりました。これを受けて、当社では研究開発コラボレーションの一環として、共同研究開発先に対してPDPS技術の非独占的な実施許諾(技術ライセンス契約 、技術貸与)を行っています。(C)戦略的提携/自社創薬:当社は、自社の医薬品候補化合物(パイプライン)を複数本有しており、これらの医薬品候補物質を医薬品にするため、自社内で研究開発を進めています。また、世界中の特別な技術を有する製薬企業やバイオベンチャー企業、アカデミア等の研究機関と戦略的提携を組むことで、自社のパイプラインの拡充を図っています。

 

 

(2) 創薬の歴史と(特殊)ペプチドの位置付け

 創薬開発の歴史的スタートは、明治30年(1897年)にバイエル社の研究者によって開発されたアスピリン(*2)が市販された明治32年(1899年)だとされております。それから100年以上にわたり低分子医薬品(*3)が創薬の中心的なポジションを占めてきました。

1980年代には抗体(*4)を医薬品に利用するべく研究がすすめられましたが抗原性の問題(*5)等により、実用には至りませんでした。その後も、欧米の製薬企業が長期にわたり研究開発を進めた結果、平成9年(1997年)頃から抗体医薬品(*6)が発売され、2000年代は抗体医薬品が創薬開発の中心になっております。しかし、低分子医薬、抗体医薬とも医薬品として素晴らしい特性はあるものの、一方でそれぞれいくつかのウイークポイントも持っております。(下表<低分子医薬と抗体医薬の特徴>参照)

そのため現在、世界の多くの大手製薬企業はおよそ10年後を目処にした低分子医薬・抗体医薬に続く次世代の創薬開発を目指し、積極的な活動を行っております。

 <低分子医薬と抗体医薬の特徴> ※当社見解に基づく/当社作成


 

<用語解説>

*1

創薬開発プラットフォームシステム

創薬開発においてもととなる医薬品候補物質(プレリード化合物)を創出するための基盤となる技術。

なお、リード化合物とは、医薬品の原料となりうる生理活性を持つ化合物のことであり、新薬の開発は、リード化合物を創製することから始まる。

*2

アスピリン

代表的な消炎鎮痛剤。消炎・解熱・鎮痛作用を持つ。

*3

低分子医薬

分子と分子の結びつきが短い、分子の大きさ(分子量)が1,000未満の化学的に合成された化合物による創薬の総称。

*4

抗体

体内に侵入した異物に対して生体が作り出すタンパク質の総称。

*5

抗原性の問題

本来、薬として利用されるべき抗体を生体が異物としてとらえてしまい副作用が生じたり、排除されてしまう問題。

*6

抗体医薬品

医薬品として抗体を活用した創薬の総称。

*7

免疫排除

生体内において異物ととらえられてしまうことにより排除されてしまう機能。抗体医薬の場合、薬効が低下したり、効かなくなる現象。

*8

生体内毒性

本来反応すべきでない分子に対して反応してしまうことによって起きる毒性(弊害)。

*9

蛋白・蛋白相互作用

複数の異なるタンパク質分子が特異的結合する現象。それにより、生体内において各種の生理作用が生じる。

 

 

一般的にいわれるペプチド(*10)は、2個以上の天然型アミノ酸(*11)が結合して作られた化合物の総称であり、生体内においては、ホルモンや各種伝達物質として働く生体にとって不可欠なものです。ペプチドは生体内で重要な働きを担っていることから、古くから創薬の候補物質として注目されていました。しかしながら、少数の事例を除き、いくつかの問題点により創薬に結びつくまでには至っていませんでした。これに対し、当社が創出する新しい医薬品候補物質、すなわち特殊ペプチド(*12)は、下表<一般的なペプチドと特殊ペプチドの違い>(当社作成)のとおり、今までの一般的なペプチドの(医薬品候補物質としての)問題点の多くを解決することにより、医薬品候補物質としてよりふさわしい特徴を持つことができる可能性があると期待されています。

 

 

<一般的なペプチドと特殊ペプチドの違い> ※当社見解に基づく/当社作成

 

一般的なペプチド

特殊ペプチド

組成及び構造

20種類の(天然型)アミノ酸によって構成されており、多くは線状。

通常のアミノ酸以外に、特殊なアミノ酸が組み込まれており、多くは環状。

構造安定性(*13)

柔軟であるが、構造をとりにくい。

柔軟であり、構造が安定している。

生体内安定性(*14)

生体内では短時間で分解されてしまう。

生体内でも安定している。

細胞膜透過性(*15)

多くの場合、細胞膜は透過できない。

高い確率で細胞膜を透過できる。

 

 

これまでの医薬品の中心である低分子医薬と抗体医薬は、医薬品としての優位点と共に問題点も併せ持っております。たとえば、低分子医薬は、下表<低分子医薬・特殊ペプチド医薬・抗体医薬の分子量比較>(当社作成)のとおり、分子量(*16)が相対的に小さく様々な種類のターゲット(標的分子)に対応できること(ターゲットの多様性)が優位点です。その一方で、ターゲットに対する結合力や特異性が劣り、標的とするターゲットに結合せずに結合すべきでない分子に結合してしまうことなどにより、多くの副作用を引き起こしてしまう(生体内毒性が低くない)リスクが相対的に高いことが問題点となります。

一方、抗体医薬は、低分子医薬に比べてその分子量が非常に大きいため、ターゲットの多様性は低いものの、ターゲットに対する結合力や特異性に優れていることが優位点になります。しかし、その大きさゆえに細胞内のターゲットに対応できず経口投与ができないことや、生体内で免疫反応を惹起してしまう(生体が異物と判断してしまう)リスクが相対的に高いことなどの問題点も数多く存在します。

低分子医薬や抗体医薬に比べて、特殊ペプチドは、分子量で評価すると低分子医薬よりやや大きい程度であることや、前述の物質的な特性から、下表<低分子医薬・抗体医薬・特殊ペプチド医薬の特性(能力)比較>(当社作成)のとおり、従来の低分子医薬や抗体医薬の問題点を低減しながら、同時に双方の優位点を実現できる可能性があります。

 

<低分子医薬・特殊ペプチド医薬・抗体医薬の分子量比較> ※当社作成

 

低分子医薬

特殊ペプチド医薬

抗体医薬

分子量(Da)

50 〜 1,000

500 〜 2,000

50,000 〜 150,000

 

 

<低分子医薬・抗体医薬・特殊ペプチド医薬の特性(能力)比較> ※当社見解に基づく/当社作成

相対的な特徴

低分子医薬

抗体医薬

特殊ペプチド医薬

迅速な研究開発が可能

×

ターゲットに対する強い結合力

×

ターゲットに対する強い特異性

×

生体内毒性が低い

×

タンパク・タンパク阻害反応

×

高い生体内安定性

×

ターゲットの多様性の多さ

×

細胞内のターゲットに対応

×

経口投与が可能

×

大量製造の容易さ

×

低い生体内免疫反応性

×

 

(注) 「○」は備える又は優れると思われる能力   / 「△」は備えると期待される能力

「×」は備えていない又は劣ると思われる能力

 

 

次に、このような特殊ペプチドのターゲットに対する強い結合力を視覚的に説明するために特殊ペプチドが創薬のターゲットとなるタンパク質に結合している状況を分析したデータに基づくイメージ画像(タンパク質X線結晶構造解析(*17))を掲示します。

医薬品は、創薬のターゲットとなるタンパクに結合し働くこと(生理活性)により、薬としての機能を発揮します。つまり、創薬のターゲットタンパクに強く特異的に結合することが重要になります。次の図は、その特殊ペプチドの特徴をよく表しております。

 

<特殊ペプチドの結合:複数点による結合> ※共同研究開発に伴う当社データ

 

 


 左図のらせん状の帯の部分が創薬のターゲットとなるタンパクです。そのうえのマッチ棒の様な集まりが特殊ペプチドです。特殊ペプチドはターゲットタンパクに対して複数のポイント(ここでは3か所・点線丸)において結合しております。
 低分子医薬の場合はこの結合ポイントが1か所であるため、結合力に限界があります。また、1か所の結合ポイントだと他のタンパクとの違いを見出すことも困難になります。これは、1ケタの暗号数字では特異性(選択性)が低いということと同じ理屈にたとえられます。

 

 

特殊ペプチドのターゲットタンパクに対する結合の一様式は複数のアンカーを複数のポイントに対して打ち込んだ形であり、低分子医薬のようにターゲットに対して多くの多様性を持っているうえ、低分子医薬よりもはるかに強固な結合力を保持しております。そのことが、特異性の高さにも結び付いております。

<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>


                            ※Suga & Nureki Lab.データ

 

 

抗体医薬は、創薬のターゲットとなるタンパクの表面にしっかりと張り付く形で結合しております。低分子医薬が点(ポイント)で創薬ターゲットタンパクを捉えているのに対して、抗体医薬は面で創薬ターゲットタンパクを捉えていることになります。

前頁の図<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>は特殊ペプチド(六角形の集まり)がターゲットタンパク(らせん状のリボン)に結合しているX線結晶構造解析結果です。抗体医薬と同じようにターゲットタンパクの表面にしっかりと絡みついて結合しています。

このことから、特殊ペプチドはまさにサイズの小さい抗体医薬といえます。小さいサイズながら抗体医薬とそん色のない特性を持っている理由はこのような結合の形によるものです。

 

<特殊ペプチドの結合:標的分子の内側に潜り込んで絡みついて結合している様子>


                            ※Suga & Nureki Lab.データ

 

上図は先ほどの<特殊ペプチドの結合:標的分子の表面に絡みついて結合している様子>の図とは異なるターゲットタンパクに対する特殊ペプチドのX線結晶構造解析結果です。特殊ペプチドはターゲットタンパクの表面ではなく内側に潜り込み絡み付くように結合しているのがわかります。抗体医薬ではその大きさの問題からこのようにターゲットタンパクの内側に対する結合様式を持つことはできません。

特殊ペプチドは、創薬ターゲットタンパクの特徴に合わせて、特異性の高い強固な複数の結合形態をとることができる多様性を持った医薬品候補物質と言うことができます。

これまで説明してきたように、特殊ペプチドが結合したターゲットタンパクのX線結晶構造解析により、どのように特殊ペプチドが働いているのかを詳細に理解することができます。これらの情報をもとに、最先端の創薬技術を活用することで、近年では特殊ペプチドとターゲットタンパクとの結合のしかたを再現するような低分子医薬をデザインすることが可能となってきました。現在当社では特殊ペプチドのような結合力や特異性を有した低分子医薬の開発を進めております。

また、特殊ペプチドそのものを医薬品として利用するのではなく、結合力や特異性などの特徴を利用し、生体内の特定の部位や臓器に別の薬剤を送達するキャリアー(運び屋)として利用するPDC(*18)の開発をすることも可能であり、当社では自社パイプライン(*19)の一環としてPDCの研究開発を進めております。

 

 

<用語解説>

*10

ペプチド

アミノ酸が2つ以上結合してできた化合物。大きさによりペプチド⇒ポリペプチドと呼ばれ、さらに大きくなったものがタンパク質と呼称される。

*11

天然型アミノ酸

タンパク質・ペプチドを作っている最小の成分。 地球上のあらゆる生命、植物も動物もアミノ酸により作り出される(合成される)タンパク質からできており、アミノ酸はすべての生命の源(素)。通常、合成に利用されるアミノ酸は20種類であり、天然型アミノ酸と呼ばれている。

*12

特殊ペプチド

20種類の天然型アミノ酸から合成された通常の(一般的な)ペプチドに対して非天然型アミノ酸と呼ばれる20種類以外のアミノ酸が組込まれたペプチドの総称。古くからその存在は知られていたが、人工的に合成することが困難であった。

*13

構造安定性

立体構造等、形状が安定した構造のこと。通常のペプチドはアミノ酸が線状につながった構造をしており、柔軟な構造であるが故に形状が安定していない例が多い。

*14

生体内安定性

生体内にはペプチダーゼという酵素が有り、通常のペプチドはペプチダーゼにより容易に分解されてしまう。

*15

細胞膜透過性

通常のペプチドの多くは細胞の外側構造、細胞膜を透過することができない。細胞内には多くの創薬ターゲットが存在する。

*16

分子量

各原子(水素や酸素など)の原子量(水素は1、酸素は16)の和のこと。たとえば、水分子(H2O)は水素2つと酸素1つで合計18となる。

*17

タンパク質X線結晶構造解析

X線の特徴を利用してタンパク質の三次元構造を立体的に解析する分析方法。タンパク質の実態構造の解析に不可欠な技術。

*18

PDC

ペプチド薬物複合体(Peptide Drug Conjugate)のことであり、ペプチドと他の薬剤を化学的に結合させた複合体。

*19

パイプライン

医薬品の開発に当たり、その初期の段階から開発・販売に至るまでの一連の計画のこと。

 

 

 

(3) 事業の特徴について

① 創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)について

特殊ペプチドを医薬品候補物質として活用するためには、多くのハードルを越えなければなりませんでした。これまで、特殊ペプチドの特徴である特殊アミノ酸(*20)を組み込んで医薬品候補物質として活用するためには、多くの時間や労力を要し、容易ではありませんでした。

また、生体(細胞)がペプチドを作るときに組み込めるアミノ酸の種類は20種類の天然型アミノ酸に限られているため、無細胞翻訳系(*21)によっても合成することができませんでした。

当社は、それらの問題点を解決し、特殊ペプチドを大規模な創薬ライブラリー(*22)として構築できる技術・システムを開発しました。それが、フレキシザイム(Flexizyme)技術であり、FITシステム(Flexible In-vitro Translation system)であります。

 

ア. フレキシザイム(Flexizyme)について

フレキシザイムは、当社の創立者の一人である菅裕明・東京大学教授が、長期にわたる研究の結果、完成させた「多目的tRNA(*23)アシル化(*24)RNA触媒(*25)」です。

ペプチドが翻訳合成(*26)されるときアミノ酸ごとに1種類の特定のtRNAが結合します。これがアミノアシル結合と呼ばれる現象です。

アミノ酸とtRNAは特定の対の関係になっており、その対の組合せを基にアミノ酸とtRNAをアミノアシル結合させるのがARS(アミノアシルtRNAシンセテース)と呼ばれる酵素(*27)です。

ARSもアミノ酸とtRNAの対の組合せと同じように特定の対の関係があります。アミノ酸・tRNA・ARSの組合せは明確に特定されており、それは生物のルールであると考えられていました。さらにそれぞれのARSは20種類の天然型アミノ酸にのみ対応しており、特殊アミノ酸に対応するARSは存在しませんでした。

ところが、フレキシザイムは単体でARSに代わりすべてのアミノ酸(非天然型アミノ酸を含む)とtRNAを自由に組合せ結合することができるスーパー触媒ともいうべき特徴を持っております。

それにより、アミノ酸とtRNAの組合せは無限大に近くなりました。

当社のフレキシザイム技術は、今まで無細胞翻訳系により組み込むことが困難であった特殊なアミノ酸を簡単に、そして迅速にペプチド合成の中に組み込むことを可能にした独自の技術です。

特殊なアミノ酸を組み込んだペプチドを創製することが容易になったことで特殊ペプチドは生体内における安定性が増し、分解されにくいという特質を活かして医薬品としての作用を発揮する素地の一つを整えることになりました。そのほか、細胞膜の透過性を持つ特殊ペプチドも採れており、細胞内の標的をターゲットにすることもできるようになりました。

イ. FIT(Flexible In-vitro Translation)システムについて

次にFITシステムですが、フレキシザイム技術で創製できるようになった特殊ペプチドを下表<医薬品候補物質の多様性の比較>(当社作成)のとおり、FITシステムにより多様性(数や種類)を持ったライブラリーとして構築することができるようになりました。

低分子医薬のライブラリーの多様性を1としたとき、おおよその値として、抗体医薬はその1万倍程度の多様性を持ち、特殊ペプチドは低分子医薬の1億倍程度の多様性を持っております。ライブラリーの多様性は、医薬品としての候補物質を含んでいる可能性を高めるため、多様性が大きくなればなるほど、医薬品候補物質発見の可能性も高くなります。この多様性の比較からも、当社の特殊ペプチドライブラリーは、まだ見ぬ医薬品候補物質を生み出す大きな可能性を持っているものと考えております。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自の翻訳合成系として活用しています。)

 

<医薬品候補物質の多様性の比較> ※当社作成

ライブラリーの種類

多様性

多様性の比較

低分子医薬

104 〜 105

1

抗体医薬

108 〜 1010

10,000

特殊ペプチド医薬

1012 〜 1014

100,000,000

 

(注) 「多様性の比較」は左記「多様性」における下端の値をとっております。

 

ウ. RAPID(RAndom Peptide Integrated Discovery)ディスプレイシステムについて

RAPIDディスプレイシステムは、特殊ペプチドを短期間でスクリーニング(*28)できる高速のスクリーニングシステムです。

従来のライブラリーに比べて格段の多様性を持っている特殊ペプチドライブラリーを活用するためには、数千億から兆単位の数の特殊ペプチドを効率的かつ高速、正確にスクリーニングする必要があります。

当社は、FITシステムの特徴を最大限に生かし活用するために、独自にRAPIDディスプレイシステムを開発しました。RAPIDディスプレイシステムは、無細胞翻訳系において合成された特殊ペプチドの特徴を生かして、ターゲットタンパクに対して結合力・特異性・選択性の秀でた特殊ペプチドを短期間でスクリーニングできる高速のスクリーニングシステムです。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自のディスプレイシステムとして活用しています。)

エ. PDPS(Peptide Discovery Platform System)について

当社は、フレキシザイム技術とFITシステムを組合せ、多様性を持つ特殊ペプチドライブラリーを構築することができるシステム:PDTS(Peptide Discovery Translation System)を作り上げ、さらに特殊ペプチドライブラリーを高速スクリーニングすることを目的として開発したRAPIDディスプレイシステムをPDDS(Peptide Discovery Display System)と位置付け、この3つの独自技術・システムを組み合わせた独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)を構築しました。

 

<当社の創薬開発プラットフォームシステムの概念図>


(注) なおFITシステムについては、当社においてさらに改良を加え、フレキシザイム技術と組み合わせることによって「PDTS」という独自の翻訳合成系を構築しております。

 

<用語解説>

*20

特殊アミノ酸

20種類の天然型アミノ酸以外のアミノ酸。非天然型アミノ酸とか異常アミノ酸等とも呼ばれる。

*21

無細胞翻訳系

遺伝情報(遺伝子情報)から細胞内でペプチドやタンパクが合成されるメカニズムが翻訳系(合成)と呼ばれている。この細胞内でペプチド・タンパクが合成されるメカニズムを、細胞を使わずに試験管内で再現した実験方法。

*22

創薬ライブラリー

創薬ターゲットタンパクに対して結合する医薬品候補物質(低分子や抗体や特殊ペプチド等)を検索するときに利用する医薬品候補物質が大量に集められた母集団。

*23

tRNA

運搬RNA(遺伝子)と呼ばれており、遺伝情報(遺伝子情報)からペプチドやタンパクが合成されるときに、アミノ酸を運搬する機能を持ったRNA(遺伝子)。

*24

アシル化

アミノアシル結合を実行するためにアミノ酸のアミノ基等の水素を置換する働き。

*25

触媒

自身は変化しないまま、接触する周りの物質の化学反応を促進あるいは抑制する物質。

*26

翻訳合成

mRNAの情報に基づいてタンパク質を合成する反応のこと。

*27

酵素

生体でおこる化学反応に対して触媒として機能する分子。

*28

スクリーニング

設定された基準に対して達成されているか否かを判断するために実施される検査。

 

 

 

② 知的財産権(特許等)について

当社は先端研究開発型製薬企業であり、知的財産権の開発・維持・発展は重要な経営ポイントになります。

次の図は、当社の特許ポートフォリオの概念図です。この図のように当社の特許ポートフォリオは、③(及び①・②)の特許をコアにして、周囲を取り囲むように関連する複数の特許・発明(④・⑤・⑥・⑦)で固めることにより、特許(技術)が単独のものとして孤立することなく、当社の創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)が「システム」として機能するように設計しております。

 

<当社の特許ポートフォリオの概念図>

 


 

(注) 上図の「特許」には特許登録されているものと出願中のものがあります。

 

さらに、この創薬開発プラットフォームシステム(PDPS)の特許・発明群を各種ライブラリーの発明が取り囲む形にすることにより、特許ポートフォリオを同心円状に強化することが可能になりました。

コアとなる7つの特許・発明の詳細は次の表のとおりです。①と②はニューヨーク州立大学が出願人であり、③・④・⑤・⑦は国立大学法人東京大学が出願人であり、⑥は当社が出願人であります。その他にライブラリー特許(発明)、ノウハウ特許(発明)、物質特許(発明)があり、それらについても随時権利化(出願)を進めております。

なお、当社は、ニューヨーク州立大学及び国立大学法人東京大学の上記特許について、第三者サブライセンス権(*29)付き独占実施・許諾権(*30)を取得しております。

 

 

<当社の特許ポートフォリオ(*31)>

発明の名称

出願人

出願国

出願・特許番号

①Catalytic RNAs with Aminoacylation Activity

ニューヨーク州立大学

米国(登録)

カナダ(登録)

欧州(登録)

日本(登録)

US Patent 7,001,723

CA Patent 2391433

EP Patent 1232285
特許第4745577号

②Ribozymes with Broad tRNA Aminoacylation Activity

ニューヨーク州立大学

米国(登録)

カナダ(登録)

欧州(登録)

日本(登録)

US Patent 7,622,248

CA Patent 2476425

EP Patent 1483282
特許第4464684号

③多目的アシル化触媒とその用途

国立大学法人東京大学

米国(登録)

欧州(登録)

日本(登録)

US Patent 8,188,260

EP Patent 1964916

特許第5119444号

④N末端に非天然骨格をもつポリペプチドの翻訳合成とその応用

国立大学法人東京大学

米国(登録)

欧州(登録)

日本(登録)

US Patent 8,557,542

EP Patent 2088202

特許第5200241号

⑤環状ペプチド化合物の合成方法

国立大学法人東京大学

米国(登録)

欧州(登録)

日本(登録)

US Patent 9,090,668
EP Patent 2141175
特許第5605602号

⑥ペプチド翻訳合成におけるRAPIDディスプレイ法

当社

米国(出願中)

欧州(登録)

日本(登録)

US 13/502,487

EP Patent 2492344

特許第5174971号

⑦新規人工翻訳合成系(FIT システム)

国立大学法人東京大学

米国(登録)

欧州(出願中)

日本(登録)

中国(登録)

US Patent 9,701,993

EP 11820026

特許第5725467号

CN Patent 201180052318.9

 

 

①と②はフレキシザイム(Flexizyme)技術開発に関わる基本特許です。③はフレキシザイムそのものに関する特許であり、PDTS(Peptide Discovery Translation System)の中心となる特許であります。

⑥は特殊ペプチドライブラリーを高速スクリーニングすることができるRAPIDディスプレイシステムの特許であり、PDDS(Peptide Discovery Display System)の中心となる特許であります。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自のディスプレイシステムとして活用しています。)

⑦は翻訳合成系にて特殊ペプチドをライブラリー化するFITシステムの発明であり、PDTSの中心となる発明であります。(現在、当社ではさらなる改良を加えて独自の翻訳合成系として活用しています。)

④はペプチド、タンパクが翻訳合成されるとき、Met(メチオニン)というアミノ酸から合成が開始されるという生命の基本的なルールを書き換えることを可能にした技術特許です。この技術特許によりMet(メチオニン)以外のあらゆるアミノ酸から合成を開始することができるようになりました。当社は、この技術により、合成するペプチドの形状を自由に変えることができるようになり、特殊ペプチドに対し従来では考えられなかった多様性を持たせることが可能になりました。

⑤はペプチドを特殊な環状化構造(*32)にする発明です。この技術により特殊ペプチドが生体内での安定性や構造の安定性を確保することができるようになりました。

以上、①から⑦までの特許によって当社独自の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS(Peptide Discovery Platform System)が構成されております。

さらに、概念図中「ライブラリー特許」とあるのは、各種、特殊ペプチドライブラリーを作成する技術であり、これらにより特殊ペプチドの可能性を拡大するとともにポートフォリオを強化することができます。ライブラリーの発明は、今後、研究開発の進展によりさらに増加させていくことが可能と考えております。

概念図中「ノウハウ特許」とあるのは、特定の機能を持った特殊ペプチドをスクリーニングする技術であり、各種機能を持ちうる特殊ペプチドを特定の機能に絞り込み、スクリーニングの段階で選別することが可能になりました。

概念図中「物質特許」とあるのは、研究途上で発見された特殊ペプチドの物質特許(発明)であります。当社の通常の共同研究活動では、特殊ペプチドの物質特許(発明)は、創薬開発権利金の支払いと引き換えに、クライアントに対し提供されますが、この発明はクライアントとは関係なく発生したものであります。

 

 

<用語解説>

*29

第三者サブライセンス権

特許をライセンスするときには、特許権者(ライセンサー)と実施権者(ライセンシー)の関係が生じます。ライセンシーは自己の特許権を強化するために第三者に対する再実施権(サブライセンス)を獲得することが好まれます。

*30

独占実施・許諾権

特許の実施権は独占と非独占があり、独占実施権はより強い効力を持っており、加えて第三者に対する許諾権(再実施権=サブライセンス権)を持つことにより、最も強固な特許契約となります。

*31

特許ポートフォリオ

特許権侵害などの危険性を回避し、自社の特許権を強固なものにするために自社特許権の強み弱点を分析し、複数の特許群で対外的な守りを作り上げること。

*32

特殊な環状化構造

生体内で壊れやすいペプチドの特徴を改善するために開発された環状化構造。通常の環状化構造がジスフィルド環状化結合と呼ばれるのに対して、この構造はチオエーテル環状化構造と呼ばれる。

 

 

(4) 当社のビジネスモデルについて

当社の基本的な共同研究開発契約は、クライアントから標的分子(ターゲットタンパク)を受領し、その標的分子ごとにプロジェクトを設定し、順調に研究開発が進めば一連の複数カテゴリーの売上が立つように設計されております。

次の図(<当社における一般的な共同研究開発契約の内容と流れ>)は、当社がクライアント企業と共同研究開発契約を締結する場合の一般的な当社の売上カテゴリーの流れを示したものです。

当社では、当社の創薬開発プラットフォームシステム:PDPSを使うことに対する対価(テクノロジカルアクセスフィー)としてまず「契約一時金(A)」を受領することを原則としております。さらにその後の研究開発にかかる対価として標的分子ごとに「研究開発支援金(B)」を原則として前受にて受領しております。また、追加業務が発生する場合の対価として「追加研究開発支援金(C)」を標的分子ごとに設定しており、プロジェクトによっては(C)の売上が発生します。当社は、これらの金額を初期のディスカバリーステップ時に受領しているため、事業展開の早期から売上を生み出すことができます。

その後、クライアントでの評価により医薬品候補物質が特定され、クライアントが前臨床試験、臨床試験の段階に進む場合には、当該特殊ペプチドを当社がクライアントにライセンスアウトすることの対価として「創薬開発権利金(D)」が発生します。当社がクライアントに対し、あらかじめ定められた一定の条件をクリアした特殊ペプチドを提供した後(すなわち(B)・(C)より後のフェーズ)は、医薬品候補物質に係る開発の進捗はクライアントに委ねられており、当社でのコントロール及び売上予測は極めて困難になるという特徴があります。

 

 

<当社における一般的な共同研究開発契約の内容と流れ>


 

(D)以降も引き続き開発が進みクライアントでの評価ステップを経て、臨床試験等の段階に移行すれば、その段階に応じて、各「目標達成報奨金(E)」「売上ロイヤルティ(E)」を当社は受領することになります。「売上ロイヤルティ」では、最終的に上市された医薬品としての売上金額に対して、一定の料率を乗じて得られる額を「売上ロイヤルティ」として当社が受領します。加えて、上市された医薬品の売上高が所定の金額に達した場合には「売上達成報奨金(E)」も受領します。

 

当社の共同研究開発契約の特徴としては、このように初期のディスカバリーステップから、売上が発生する取り決めとなっていることのほかに、最初の契約締結時において契約一時金から売上ロイヤルティまでのすべての売上カテゴリー(P)に関して、それらの金額又は金額の計算方法が原則として確定的に規定されていることが挙げられます。

これまでのビジネスモデルでは、初期のディスカバリーステップは「フィージビリティースタディ」(*33)と評価され、売上が発生しないケースが多かったと認識しておりますが、当社のビジネスモデルでは、早期に売上を生み出すために上記の契約内容で契約を締結することに注力しております。

当社の事業セグメントは、上記のとおり製薬企業との共同研究開発契約をもとにした「アライアンス事業」1本です。共同研究開発の取り組みを通じて、共同研究開発先からの要望により、共同研究開発先との間で当社の創薬開発プラットフォームシステム:PDPS技術を貸与する(技術ライセンス契約の締結)ことがあります。当該契約を締結した場合、当社はその契約内容に応じて種々のライセンスフィーを共同研究開発先から受領します。

 

<用語解説>

*33

フィージビリティースタディ

計画された事業やプロジェクト、技術等が実現可能か否か、利用することに意義や妥当性があるかを多角的に検討すること。

 

 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

平成29年6月30日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

60

40.8

3.2

9,936

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

研究開発部門

54

全社(共通)

6

合計

60

 

(注) 1.従業員数は、契約社員を含む就業人員であります。

2.全社(共通)と記載されている従業員数は、管理部門の従業員であります。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4.単一セグメントであるため、事業部門別の人数を記載しております。

 

(2) 労働組合の状況

労使組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 





出典: ペプチドリーム株式会社、2017-06-30 期 有価証券報告書