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セクション一覧

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 当社は、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

(1) 業績

 当連結会計年度における我が国経済は、底堅さを増した個人消費に加え、輸出・生産の持ち直しにより企業部門に改善の兆しがみられるなど、緩やかな回復傾向が続いております。一方で、米国の政権交代による海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動等の影響により先行きは不透明な状況が続いております。

 

 当社グループを取り巻く環境においては、スマートフォンやタブレットPCなどのスマートデバイスの普及が世界規模で急速に拡大し、それに伴い、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、動画配信サイト、ソーシャルゲーム、コミュニケーションアプリなどの新たなサービスの利用が拡大しております。

 そのような環境変化は、人々のライフスタイルを、スマートデバイス等を使い、最適メディアを選択し、必要なときに必要な時間だけコンテンツを消費し、SNS等を使って即時に情報や感動を共有するといったメディア接触方法の多様化、コンテンツ視聴の短時間化、情報共有のリアルタイム化へと世界規模で変化させ、「スキマ時間に楽しめるショートコンテンツ」といった新たな付加価値へのニーズを急速に拡大させてきました。

 また、インターネット動画配信等の新興メディアの興隆で競争が激化するメディア業界においては、オリジナルコンテンツによる差別化の重要性が増してきております。

 このような事業環境の中、当社では、視聴者や消費者等の多様化し変化の早い嗜好や価値観、旬な時事ネタ等を捉え、適時に対応することを強みとするファスト・エンタテインメント事業を展開し、インターネット時代にマッチしたオリジナルコンテンツを量産してまいりました。

 「TOKYO GIRLS COLLECTION」においては、過去より分離していました“商標権”と“イベント・プロデュース会社”を統合し、事業の一体経営による意思決定の迅速化、経営効率・収益性の向上を目指すことを目的として平成28年9月1日に当社の子会社である株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONが、株式会社W mediaの株式を取得し、今まで以上にファッション・ビューティーに関する情報の発信源として日本のガールズカルチャーを世界に発信する取組みをしてまいりました。なお、平成29年1月1日付で株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONを存続会社、株式会社W mediaを消滅会社とする吸収合併方式により両社は合併し、株式会社W TOKYOに商号変更しております。

 

 ソーシャル・コミュニケーション領域においては、IP(Intellectual Property:主にキャラクター等の著作権や商標権等の知的財産権)を開発・取得し、動画広告等のマーケティングサービス提供及びスマートフォン向けゲームアプリやメッセンジャーアプリ向けスタンプ等のデジタルコンテンツの企画開発・配信を行っております。

 当連結会計年度においては、IPの露出先の拡大や展開手法の多様化による、IP価値の成長に連動し、各サービスを展開いたしました。10周年を迎えた「秘密結社 鷹の爪」においては、日本初のエンタテインメント型攻城戦ツアーとして戦国時代の城攻めをリアルに体感できる「鷹の爪団のSHIROZEME」を国宝「松江城」で開催するとともに、在上海日本国総領事館が主催する中国・上海の観光PRイベントに参加するなど、海外展開を視野に入れた活動を開始いたしました。また、「パンパカパンツ」においては、ナショナルクライアントへの全国プロモーションを拡大するとともに、過去連続してダウンロード1位を記録しているLINEスタンプに続き、韓国のアニメ専門ケーブルチャンネルにおいて視聴率1位を獲得するなど、国内外において事業領域を拡大いたしました。さらに、「貝社員」においては、全国29局ネットで放送されている朝の情報エンタテインメント番組内で「朝だよ!貝社員」として継続的に放送されるとともに、東京スカイツリータウン内の「すみだ水族館」において、イベント「ビックリ!貝まつり〜アイツもコイツも実は貝〜」を開催し、認知度を拡大いたしました。

 デジタルコンテンツにおいては累計240万ダウンロードを記録したスマートフォン向けゲームアプリ「おそ松さんのへそくりウォーズ〜ニートの攻防〜」において新規イベントを実施するなど、事業領域を順調に拡大いたしました。

 「TOKYO GIRLS COLLECTION」においては、「TOKYO GIRLS COLLECTION'16 A/W」、「TOKYO GIRLS COLLECTION'17 S/S」及び「takagi presents TGC KITAKYUSHU 2016 by TOKYO GIRLS COLLECTION」を開催するとともに、アジアの最旬の「ファッション」「文化」「エンタテインメント」を世界へ発信する「TOYOTA presents ASIA FASHION AWARD 2016 in TAIPEI」をプロデュースするなどアジア展開を加速させております。さらに、10年間にわたりトレンドを生み出し続けてきたプロデュース力と、インフルエンサーの発掘・育成を行ってきたノウハウを活かし、インフルエンサーマーケティング事業を新規に開始・展開するなど、事業領域・規模を急速に拡大させております。

 新規事業領域としては、DOTAMA、泉まくらなどが所属する音楽レーベル「術ノ穴」が当社グループに参画し、新たな事業領域として音楽プロデュース事業に本格参入いたしました。

 

 IPクリエイション領域においては、IPの新規開発及び映画・TV・ネットメディア等の映像コンテンツの企画開発・制作及び総合的なプロデュースを展開しております。

 当連結会計年度においては、各IPのTVシリーズ・WEBシリーズの継続により認知度向上及び世界観醸成に努めるとともに新規映画作品の公開等を行いました。特に「秘密結社 鷹の爪」においては10周年記念施策として「鷹の爪8 〜吉田くんの×ファイル〜」を公開しております。また、実写映画プロデュースでは「ディストラクション・ベイビーズ」が、今年で69回目を迎え、ヨーロッパを代表する国際映画祭「ロカルノ映画祭」で「新進監督コンペティション部門 最優秀新進監督賞」を受賞するとともに、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの三大陸の作品に特化した映画祭である「ナント三大陸映画祭」(Festival des 3 Continents)で準グランプリである「銀の気球賞」を受賞するなど、多様なコンテンツの創出、事業規模の拡大を行っております。

 

 一方で、中国大型案件の交渉中止、国内案件全般について供給体制が十分に整わなかったことによる一部受注の見送り及び納品時期の次期への変更等により売上が減少するとともに、近年の映像制作業界の人材逼迫により、当初想定していたプロデュース及び制作体制を十分に構築することができず、リソースの分散を招き、当初計画と比較して新規IPの育成、既存IPの成長が進まなかった結果、獲得する収益を固定費(人件費、出資金償却等)が上回り、営業損失及び経常損失を計上することとなりました。また、当該状況について事業構造を抜本的に改革することが必要であると判断し、事業構造改善費用、減損損失及び関係会社株式評価損等の特別損失を計上いたしました。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は4,427,486千円、営業損失は895,728千円、経常損失は916,187千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,801,288千円となりました。

 

 なお、当社グループは、ファスト・エンタテインメント事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載はしておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,362,596千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、265,243千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失の計上1,800,976千円、たな卸資産の増加266,477千円による減少があったものの、事業構造改善引当金の増加374,202千円、減損損失の計上340,028千円、出資金の減少207,958千円による増加等によるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、432,546千円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出70,220千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出341,460千円による減少によるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、2,436,786千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出432,893千円による減少があったものの、株式の発行による収入1,504,220千円、長期借入れによる収入944,436千円による増加等によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当社グループは、ファスト・エンタテインメント事業を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。

 

(2) 受注状況

 当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。

区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソーシャル・コミュニケーション

4,209,645

891,873

IPクリエイション

336,711

3,130,872

合計

4,546,356

4,022,746

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループの事業セグメントは、ファスト・エンタテインメント事業の単一セグメントであるため、売上区分別に記載しております。

3.ソーシャル・コミュニケーションの受注高及び受注残高は、主に広告・マーケティング収入によるものであります。

4.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

区分

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソーシャル・コミュニケーション

3,484,898

IPクリエイション

942,587

合計

4,427,486

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当社グループの事業セグメントは、ファスト・エンタテインメント事業の単一セグメントであるため、売上区分別に記載しております。

3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「世界有数の高付加価値を創り出し、世界で最も憧れられる、エンタテインメント&コミュニケーション創造企業となり、世界的に高い評価と期待を受ける企業となる。」「世界中の人々から愛され、多くの日本人が誇りに思ってくれる、特別で重要な「ブランド」となる。」という経営ビジョンの実現に向けて、経営施策に取り組んでおります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、収益性の高い効率経営の観点から、売上高営業利益率を重要な経営指標とするとともに、キャッシュ・フロー経営についても重視していく所存であります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題

 昨今、世界規模でのインターネットの進歩と拡張、スマートフォン、タブレットPCなどのスマートデバイスの急速な普及、ソーシャルメディア、動画配信・投稿サイトなどの新たな成長メディアの興隆等がメディア環境を大きく変化させております。

 このような中、人々のライフスタイルは、スマートデバイスを使い最適メディアを選択し、必要なときに必要な時間だけコンテンツを消費し、SNSを使って即時に情報や感動を共有するといったメディア接触方法の多様化、コンテンツ視聴の短時間化、情報共有のリアルタイム化へと変化し、当社の主力領域である「スキマ時間に楽しめるショートコンテンツ」といった新たな付加価値へのニーズを急速に拡大させております。

 当社グループでは、既存事業やサービスのさらなる成長に加え、「TOKYO GIRLS COLLECTION」においては、株式会社W TOKYOの当社グループへの参画に伴い、商標と運営の一体化が実現することによる新たな価値創造へ様々な施策を展開いたします。具体的には従来の主に年2回のイベント開催に加え、ガールズ向けの幅広いサービスニーズが多様な業界、アジアを中心とした海外パートナー及び地方創生を担う地方自治体等との提携をさらに拡大・成長させてまいります。また、既存のビジネスモデルにとらわれない新規事業分野への進出も積極的に展開させてまいります。

 今後も、中長期にわたりインターネット時代にマッチするエンタテインメントやコミュニケーションを継続的に創造する、ファスト・エンタテインメント事業を推進するため、以下の課題を対処すべき課題として認識しております。

 

① IP(著作権・商標権等の知的財産権)の保有

 近年のデジタル化とマルチメディア化の中においては、新しいメディアやSNS等新しいサービスの栄枯盛衰が激しく、旬のメディアやサービスに柔軟かつ迅速にIPビジネスを展開することが必要となってきております。そのため、当社グループでは迅速な意思決定を担保するために、IPを保有することが重要と考えております。

 特に、製作委員会を用いた新規IPの開発に際しては、当社又は製作委員会がIPを保有すること及び製作委員会に対する出資者数を限定することに留意しており、柔軟な意思決定ができるよう努める方針です。

 

② 新規IPの量産とプロデュース

 当社グループは、マルチメディア化とユーザー嗜好の細分化によって、単一IPをマスメディア放送によってプロデュースする手法は費用対効果が低下してきていると考えており、新規IPのプロデュースに関して、まず地方局、インターネット放送局、ウェブメディア、SNS等の特定メディアが持つコミュニティへのアプローチが重要と考えております。

 メディアネットワークと短納期・低コストの制作システムの強みを活かし、新規IPを量産し多数のコミュニティへの同時多発的な事業展開を行ってまいります。

 

③ 新しい知的財産権ビジネスの開発

 マルチメディアにプロモーションを展開したい広告主のニーズが拡大する中、当社グループでは、ソーシャル・キャラクターを活用し、わかりやすく商品・サービスの紹介・マナー啓蒙を行えること、並びに話題性を喚起する時事ネタやクライアントの要望に対応する適時性や柔軟性に富んだサービスの企画提案を行えることを強みとしています。

 また、コンテンツのデジタル化とメディア構造の変化により、IPのライセンシー先が多様化してきております。ぬいぐるみやステーショナリー等のリアル商品のライセンシーに加え、SNSやスマートフォンでのゲーム、スタンプ、ガジェット等のデジタル商品のライセンシーが急増しております。デジタル商品の開発サイクルは、インターネット業界のビジネスサイクルに準じ、大幅に短納期化されています。

 当社グループは、今後も引き続き、IPオーナーとして新しいビジネス領域への迅速な展開力と、内製化した制作システムによる大量かつスピード感ある制作力、そして様々なメディアやデバイスへの展開力を活かし、迅速かつ魅力的なソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービス及び商品展開を図っていく方針です。

 

④ 人材登用と能力開発

 当社グループは、現時点においては小規模組織でありますが、今後想定される事業拡大、新規事業及びグローバル展開に伴い、継続的に人材の確保が必要であると考えております。また人材の確保とともに、当社グループの経営理念、ビジネスモデルに適した人材の育成及びスピード感あるグローバル展開に対応できる異文化コミュニケーション能力の向上が重要と考えております。当社グループは、必要な人材の確保に努めるとともに、今後も引き続き、教育制度の整備や海外パートナーとの人材交流等を進めて人材の能力開発を図る方針です。

 

 

⑤ 海外戦略

 エンタテインメントニーズはアジア市場をはじめとして世界的に拡大している中、当社グループは、ファスト・エンタテインメント事業の海外展開を強化しております。

 アジア諸国ではコンテンツ産業を国家的な戦略分野と位置づけて、ソフト・パワーの強化を推進しており、その市場規模は急激に拡大を続けています。一方、従来型の海外進出手法である人気作品の輸出(番組販売等)は現地放送コードに抵触しないための改変作業やファンサブサイト(※)の存在から迅速な事業展開や商業化が困難となっております。

 そのため、当社グループは事業の現地展開を推進し、中国コンテンツプロデュース会社との共同事業等、現地パートナーと共同でファスト・エンタテインメント事業を推進しております。

 また、「TOKYO GIRLS COLLECTION」はクールジャパンの代表格として、従来より海外からの注目度も高く、当社グループのノウハウを活かすことで、より幅広い事業や海外展開を推進させる方針です。

 当社グループは、引き続き、マルチメディア時代に適応したIPビジネスを展開させた経験をもとに、各国の有力パートナーとアライアンスを組み、ファスト・エンタテインメント事業の国際展開を積極的に推進させる方針です。

(※)ファンサブサイト:ファン(愛好家)がテレビ番組を録画し、放送直後からサブタイトル(字幕)を付け、字幕付映像ファイルを流通させているインターネットサイト。

 

4【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 景気変動について

 マーケティング・サービスの業績は、他の広告会社と同様に、市場変化や景気の影響を受けやすい傾向があります。その中で、当社が提供するソーシャル・キャラクター・マーケティング・サービスにおいて、ソーシャルメディア広告を含むインターネット広告市場については堅調に推移すると予想しておりますが、当社グループの想定通りに市場規模が推移しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ライセンスサービスの業績は、キャラクターグッズ等が、ユーザーにとって日常生活において必ずしも必要不可欠な商品ではないため景気動向により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合環境について

 当社は映像制作の制作ツールとして主にFlashを採用しております。Flashを採用した映像コンテンツは、容量が小さく、拡大・縮小しても劣化せず解像度による制約が少ないなどの特徴があるため、多様なメディアやデバイスごとのデータ形式の変換が不要となります。このため、当社が制作する映像コンテンツの多くは、様々なメディアやデバイスに低コストで同時に展開することを可能としております。

 また、当社ではFlashを活用して映像の動きによる表現を意図的に制限する一方で、ストーリーやアイディアによりコンテンツの価値を高める制作手法を開発しております。このため、当社では、コンテンツのストーリー性やアイディアに関するクオリティを担保するブランド力のさらなる向上を図っております。

 また、Flash作品の商業化を維持・発展させるために大量の作品を安定供給する制作システムの最適化、及びIPを成長させるための様々なメディアやデバイスへの展開のさらなる進化を図っております。

 しかし、Flashは2Dや3Dなど他の制作手法と比べると、圧倒的に安価であり、一般的な性能のPCでも動作することから、制作環境を整えるのは比較的容易であるため、当社を上回るブランド力と安定供給能力及びIP成長のためのプロデュース能力と資金力を備えた新規参入企業が現れた場合、競争激化により当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 技術革新について

 当社は、適時に多様なコンテンツを手軽に視聴したいという市場ニーズに迅速で柔軟に対応できる制作システムを構築しており、現在はFlashを主な映像制作のための制作ツールとして採用しております。他方、新たな制作ツールを採用した表現手法の多様化も進めており、さらなる付加価値の追求も図っております。しかし、制作ツールの技術革新が当社の予想を超えて進行し、当社が新しい制作ツールにスムーズに移管できなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2) 当社グループ事業に関するリスク

① IPの成長について

 当社はクオリティの高い新規IPを開発するよう努めておりますが、新規IPの全てがユーザー等の嗜好に合致するとは限らず、当初計画していた通りに進捗しない可能性があります。当社では継続的に新規IPを開発することでIPポートフォリオを構築してリスクの軽減を図っておりますが、多数のIPの成長が計画通りに進捗しない場合、製作委員会に対する出資金について減損損失を計上するなど、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 自社IPの侵害について

 当社グループは単独及び共同で保有するIPをもとにビジネスをグローバルに展開しており、IPの認知度と著作権保護水準のバランスによってIP戦略を柔軟に選択しております。しかし、IPの認知度が当該国の著作権保護水準を大幅に上回った場合、海賊版や模倣品、違法配信等の権利侵害によって生じる機会損失がプロモーションコストを超過する可能性があります。個別に適切な対応を図る方針ではありますが、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 第三者の保有するIPの侵害について

 当社グループは第三者の保有するIPに関して、これを侵害することのないよう留意し、制作・開発を行っております。しかしながら、当社グループの事業分野におけるIPの現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できていないところで第三者の保有するIPを侵害している可能性は否定できません。万一、当社グループが第三者の保有するIPを侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求又は使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新規事業

 当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も、積極的に新サービスないし新規事業に取り組んでいく考えであります。これにより追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、予測とは異なる状況が発生する等により新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資が回収できず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ グローバル展開について

 当社グループは、世界的なスマートデバイスの普及、ブロードバンド網の発達及び成長メディアの興隆に合わせてグローバル展開を進めております。その中で各国の市場ニーズや嗜好の変化などの不確実性や、景気変動、政治的・社会的混乱、法規制等の変更、大幅な為替の変動などの潜在的なリスクが存在しており、それらのリスクに対処できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 業務・資本提携・合弁等について

 当社グループでは、業務・資本提携・合弁等を通じた事業拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先・合弁先の持つ経営資源を融合することで、大きなシナジー効果を発揮することを目指しておりますが、当初見込んだ効果が計画通り発揮されない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ IP買収について

 IPポートフォリオの成長を加速する有効な手段として、他社の保有するIPの買収を有効に活用していく方針です。IPの買収に当たっては、リスクを吟味した上で決定していますが、当初見込んだ効果が計画通り発揮されない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 取引慣行等について

 広告業界においては、知的財産権に関する事項を除き、取引の柔軟性や機動性を重視する取引慣行から、契約書の取り交しや発注書等の発行が行われないことが一般的であります。現在大手広告代理店等を中心に取引慣行の改善や取引の明確化が進められており、当社グループも取引先との間で事前に文書を取り交すように努め、取引の明確化を図っております。しかし上記のような取引慣行の理由から不測の事故又は紛争が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑨ 広告・映像制作事業について

 当社グループの主力事業である広告・映像制作事業においては、受注から売掛金の回収まで数か月から1年程度の期間を要する案件があります。特に映像制作事業の場合、近年急速に拡大している映画事業は受注額も拡大しており、完成まで長期を要するものも多く、売掛債権の回収期間は長期化する傾向にあります。ただし、取引先は業界大手から構成されており、与信管理の徹底により回収リスクへの対応を図っております。

 当社グループは今後、売掛金回収の促進及びサイトの短縮等につとめる考えではありますが、一時的な運転資金の必要額が増加した場合、当社グループの資金繰りに影響を与える可能性があります。

 

(3) 当社グループ事業体制に関するリスク

① 小規模組織であること

 当社グループの組織体制は、小規模であり、業務執行体制もそれに応じたものになっております。当社グループは、今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制の充実を図っていく方針ですが、人材の確保や能力開発が計画通りに進まない等の場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、今後の事業拡大に対応するためには、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 少数の事業推進者への依存について

 当社グループは小規模組織であるため、事業戦略の推進は各部門の責任者に強く依存する傾向があります。当社グループは、今後も優秀な人材の確保及び教育に努めてまいりますが、人材の確保及び教育が想定通りに進まない場合あるいは人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業戦略の推進に支障をきたす可能性があります。

 具体的には、代表取締役椎木隆太は、当社グループ全体の経営方針や経営戦略の策定をはじめ、業界内外・国内外に持つ幅広い人脈によるアライアンスパートナーとの関係構築、新規事業の推進など、当社グループの事業活動上、重要な役割を果たしております。また、取締役小野亮は、当社の主力IPである「秘密結社 鷹の爪」の監督であるほか、CCO(Chief Creative Officer)として当社のIP全般に関する品質管理に重要な役割を果たしております。さらに、当社の連結子会社である株式会社W TOKYOの代表取締役社長である村上範義は、「TOKYO GIRLS COLLECTION」に関する業界内外・国内外に持つ幅広い人脈によるアライアンスパートナーとの関係構築、「TOKYO GIRLS COLLECTION」の商標権を活用した新規事業の推進など、「TOKYO GIRLS COLLECTION」の事業活動上、重要な役割を果たしております。

 当社グループでは、これら少数の事業推進者に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により当該推進者が業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスク

① 配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、将来の企業成長と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、株主に継続的に配当を行うことを基本方針としております。

 しかしながら、当連結会計年度の大幅な損失計上により利益剰余金がマイナスの状態となっており、誠に遺憾ではありますが、無配とせざるを得ない状況にあります。次期の配当につきましても、収益体質の強化と安定化を図り、内部留保を高めるよう努めたいことから、無配とさせていただく予定です。

 

② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社グループは、取締役、従業員及び取引先に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下、「ストック・オプション」という。)を付与しております。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。平成29年6月末現在これらのストック・オプションによる潜在株式数は488,400株であり、発行済株式総数20,240,600株の2.4%に相当しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) 株式会社W media株式の取得

 当社の連結子会社である株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONは、平成28年8月10日の取締役会において、株式会社W mediaの発行済株式の全株式を取得し、同社を子会社化(当社の孫会社化)することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。その後同契約に基づき、平成28年9月1日を企業結合日として、株式取得を完了し、株式会社W mediaを連結の範囲に含めております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

(2) 株式会社TOKYO GIRLS COLLECTION株式の一部譲渡

 当社は、平成28年9月27日の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONの株式の一部を譲渡することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、株式を譲渡しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

(3) 株式会社W mediaの吸収合併

 当社の連結子会社である株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONは、平成28年10月21日の取締役会において、同社の子会社である株式会社W mediaを、平成29年1月1日を効力発生日として吸収合併することを決議し、平成28年11月22日付で株式譲渡契約を締結いたしました。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

(4) 株式会社W TOKYO株式の一部譲渡

 当社は、平成29年5月31日の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社W TOKYOの株式の一部を譲渡することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、株式を譲渡しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当該連結財務諸表の作成には、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所がございます。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内で合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意下さい。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、4,422,023千円となりました。主な内訳は、現金及び預金2,362,596千円、受取手形及び売掛金1,017,618千円、仕掛品725,416千円であります。

 また、固定資産は、1,728,636千円となりました。主な内訳は、のれん666,872千円、商標権606,898千円及び出資金339,517千円であります。

 以上の結果、総資産は6,150,659千円となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、2,423,885千円となりました。主な内訳は、買掛金612,499千円、前受金577,638千円、短期借入金450,000千円及び1年内返済予定の長期借入金476,620千円であります。

 また、固定負債は1,837,343千円となりました。内訳は長期借入金1,463,141千円及び事業構造改善引当金374,202千円であります。

 以上の結果、負債合計は4,261,229千円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,889,430千円となりました。主な内訳は、資本金1,520,573千円、資本剰余金1,670,324千円及び利益剰余金△1,301,771千円であります。

 

(3) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の連結売上高合計は4,427,486千円となりました。分野別の詳細は、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。

 

(売上原価)

 当連結会計年度の売上原価は3,991,875千円となりました。これは、主に制作及びプロデュースに係る外注加工費が増加したためであります。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,331,340千円となりました。これは、主に従業員増員に伴う労務費が増加したためであります。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外収益は3,289千円となりました。主な内訳は、為替差益1,742千円及び助成金収入1,400千円であります。

 当連結会計年度の営業外費用は23,748千円となりました。主な内訳は、株式交付費15,033千円及び支払利息8,707千円であります。

 

(特別損益)

 当連結会計年度の特別損失は884,789千円となりました。内訳は、事業構造改善費用379,167千円、減損損失340,028千円、投資有価証券評価損65,499千円、関係会社株式評価損55,393千円及び特別退職金44,699千円であります。

 

 以上の結果、当連結会計年度営業損失は895,728千円、経常損失は916,187千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,801,288千円となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループは、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に関するリスク、事業に関するリスク、事業体制に関するリスク等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響が与える可能性があると認識しております。

 そのため、当社グループは、継続的なIPの開発及びプロデュース、IPポートフォリオのグローバル化、IPマネジメントの高度化、有力パートナーとのアライアンス、優秀な人材の採用及び能力開発等により、経営成績に重要な影響を与えるリスクを分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針

 当社グループは、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後の業容拡大を遂げるためには、厳しい環境の下で、様々な課題に対処して行くことが必要であると認識しております。

 そのため、当社グループは、エンタテインメントに求められる付加価値を、継続的に見直してまいります。そして、その新たな付加価値に対応した最適な制作システムの構築、新たな成長メディア、デバイス及びサービスを活用した柔軟なプロデュース、新たな収益機会の開発、積極的なグローバル展開等を行ってまいります。

 

(7) 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは、インターネットの進化とコンテンツ及びメディアのデジタル化の潮流の中、クリエイティブとビジネスをプロデュースするファスト・エンタテインメント事業に経営資源を集中し、インターネット時代に適合したエンタテインメントやコミュニケーションを創造してまいりました。

 今後も新しいテクノロジーやサービス、メディアネットワーク及びデジタル領域の新手法などを積極的に統合し、価値あるIP及びデジタルコンテンツを開発し、世界中の人々へ笑顔や感動、サプライズを届けてまいります。





出典: 株式会社ディー・エル・イー、2017-06-30 期 有価証券報告書